問題:
取得時効に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 所有権に基づいて不動産を占有する者は、自己の物を占有しているのであるから、その不動産について民法162条による取得時効を主張することはできない。
イ. Aが、C所有の甲土地を自己の所有であると過失なく信じて占有を開始し、7年間占有した後、甲土地がCの所有であることを知っているBが、Aから甲土地の引渡しを受けて3年間占有を継続した。この場合、Bは、自己の占有にAの占有を併せて主張することにより、10年の取得時効による甲土地の所有権の取得を主張することができる。なお、A及びBの占有は、いずれも所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然とされたものとする。
ウ. 公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されることもなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合であっても、公用廃止の処分が明示的にされない限り、その公共用財産について取得時効は成立しない。
エ. 土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地の賃借権を時効により取得することができる。
オ. 相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成するまでは、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができない。
答え:
正しいものは、イ・エの2つである。
解説:
ア 誤り。民法162条1項は、「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。」と定め、同条2項も、10年間「他人の物を占有した者」が、その占有の開始の時に善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得すると定めている。このように、条文の文言上は「他人の物」の占有が要件とされている。しかし、最判昭和42年7月21日(民集21巻6号1643頁)の裁判要旨は、「所有権に基づいて不動産を占有する者についても、民法第一六二条の適用がある。」としている。本肢は、自己の物を占有しているから取得時効を主張することができないとしている点で誤りである。
イ 正しい。民法187条1項は、「占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。」と定め、同条2項は、「前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。」と定めている。そして、10年の取得時効を定める同法162条2項は、占有者が「その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったとき」を要件としている。最判昭和53年3月6日(民集32巻2号135頁)の裁判要旨は、「不動産の占有主体に変更があつて承継された二個以上の占有が併せて主張された場合には、民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる。」としている。本肢では、BがAの占有を併せて主張しており、その最初の占有者であるAは占有開始の時点で善意・無過失であったから、Bが占有を承継した時に悪意であっても、Aの7年とBの3年を合わせた10年の占有によって、10年の取得時効を主張することができる。
ウ 誤り。最判昭和51年12月24日(民集30巻11号1104頁)の裁判要旨は、「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されることもなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなつた場合には、右公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げない。」としている。同判決の参照法条には、民法162条及び国有財産法3条が掲げられている。本肢のような事情がある場合には、公用廃止の処分が明示的にされていなくても、黙示的に公用が廃止されたものとして取得時効の成立は妨げられない。本肢は、公用廃止の処分が明示的にされない限り取得時効は成立しないとしている点で誤りである。なお、最判平成17年12月16日(民集59巻10号2931頁)の裁判要旨は、公有水面埋立法に基づく埋立免許を受けて埋立工事が完成した後竣功認可がされていない埋立地であっても、長年にわたり事実上公の目的に使用されることもなく放置され、公共用財産としての形態、機能を完全に喪失するなどして、公共用財産として維持すべき理由がなくなり、同法に基づく原状回復義務の対象とならなくなった場合には、土地として私法上所有権の客体になるとしている。
エ 正しい。民法163条は、「所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。」と定めている。最判昭和43年10月8日(民集22巻10号2154頁)の裁判要旨は、「土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができる。」としている。同判決の参照法条には、民法163条及び601条が掲げられている。
オ 誤り。民法884条は、「相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。」と定めている。最判令和6年3月19日(民集78巻1号63頁)の裁判要旨は、「相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる。」としている。同判決の参照法条には、民法162条及び884条が掲げられている。本肢は、相続回復請求権の消滅時効が完成するまでは時効により取得することができないとしている点で誤りである。
問題:
所有者不明土地管理命令、所有者不明建物管理命令及び管理不全土地管理命令に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 土地が数人の共有に属する場合において、共有者の一人の所在を知ることができないときは、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その所在を知ることができない共有者の共有持分を対象として、所有者不明土地管理命令をすることができる。
イ. 管理不全土地管理命令が発せられた場合には、その対象とされた土地の管理及び処分をする権利は、管理不全土地管理人に専属する。
ウ. 管理不全土地管理人が、裁判所の許可を得ないで、保存行為及び管理不全土地等の性質を変えない範囲内においてその利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をした場合には、その許可がないことをもって善意の第三者に対抗することができない。
エ. 管理不全土地管理人が管理不全土地管理命令の対象とされた土地を売却するには、裁判所の許可を得なければならず、裁判所がその許可をするには、その土地の所有者の同意がなければならない。
オ. 所有者不明建物管理命令の効力は、その対象とされた建物の所有者が有する当該建物の敷地の賃借権には及ぶが、当該建物の所有者が当該建物の敷地の所有権を有する場合には、その敷地の所有権には及ばない。
答え:
正しいものは、ア・エ・オの3つである。
解説:
ア 正しい。民法264条の2第1項は、「裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができる。」と定めている。所在を知ることができない共有者の共有持分だけを対象として、所有者不明土地管理命令をすることができる。これに対し、管理不全土地管理命令について定める同法264条の9第1項は、「当該土地を対象として」管理を命ずる処分をすることができると定めており、共有持分を対象とする旨の定めは置かれていない。なお、これらの規定は、令和3年法律第24号による改正で新設され、令和5年4月1日から施行されている。
イ 誤り。所有者不明土地管理人について、民法264条の3第1項は、所有者不明土地等の「管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。」と定め、同法264条の4は、「所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。」と定めている。これに対し、管理不全土地管理人について、同法264条の10第1項は、管理不全土地等の「管理及び処分をする権限を有する。」と定めるにとどまり、管理処分権が管理人に専属する旨の規定も、訴えの当事者を管理人とする旨の規定も置かれていない。法務省の公表資料「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」も、管理不全土地・建物管理制度について、「管理処分権は管理人に専属しない。管理不全土地・建物等に関する訴訟においても、所有者自身が原告又は被告となる。」と説明している。本肢は、管理不全土地管理人に専属するとしている点で誤りである。
ウ 誤り。民法264条の10第2項は、「管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。」と定め、1号に「保存行為」、2号に「管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」を掲げている。同項ただし書が保護の対象とする第三者は、「善意でかつ過失がない第三者」である。これに対し、所有者不明土地管理人については、同法264条の3第2項ただし書が「この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。」と定めており、第三者の無過失は要件とされていない。本肢は、管理不全土地管理人について、第三者の無過失を要件とせずに、善意の第三者に対抗することができないとしている点で誤りである。
エ 正しい。民法264条の10第3項は、「管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。」と定めている。前掲の法務省資料も、管理不全土地・建物管理制度について、「土地・建物の処分(売却、建物の取壊し等)をするには、その所有者の同意も必要。」としている。所有者不明土地管理人がする行為の許可について定める同法264条の3第2項には、このような所有者の同意を要する旨の定めはない。
オ 正しい。民法264条の8第2項は、「所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。」と定めている。所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ敷地に関する権利は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利であり、所有権は括弧書きにより除かれている。
問題:
遺贈及び「相続させる」旨の遺言に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 特定遺贈の受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができるが、その放棄は、放棄をした時から将来に向かってのみその効力を生ずる。
イ. 受遺者が、遺言者の死亡後、遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示していない限り、受遺者の相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる。
ウ. 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときはその効力を生じないが、特定の遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は、遺贈とは異なるから、当該推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該推定相続人の代襲者が当然にその遺産を相続する。
エ. 遺贈の目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかった場合であっても、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらずこれを遺贈の目的としたものと認められるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
オ. 負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、負担の利益を受けるべき者は、直ちに、家庭裁判所に対し、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを請求することができる。
答え:
誤っているものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
ア 誤り。民法986条1項は、「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。」と定め、同条2項は、「遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と定めている。遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時に遡って効力を生ずる。本肢は、将来に向かってのみその効力を生ずるとしている点で誤りである。なお、遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない(同法989条1項)。また、包括受遺者については、同法990条が「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」と定めている。
イ 正しい。民法988条は、「受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」と定めている。遺贈の放棄は遺言者の死亡後にするものであり(同法986条1項)、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは遺贈がその効力を生じない(同法994条1項。ウ参照)から、同法988条が問題となるのは、遺言者の死亡後に受遺者が承認又は放棄をしないまま死亡した場合である。受遺者が死亡した時期が遺言者の死亡の前か後かで、結論が大きく分かれる点を押さえておきたい。
ウ 誤り。民法994条1項は、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と定め、同法995条は、遺贈がその効力を生じないときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する(遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。)と定めている。そして、最判平成23年2月22日(民集65巻2号699頁)の裁判要旨は、「遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはない。」としている。同判決の参照法条には、民法887条、908条及び985条が掲げられている。「相続させる」旨の遺言であっても、特段の事情のない限り効力を生じないのであって、代襲者が当然に相続するのではない。本肢は、代襲者が当然にその遺産を相続するとしている点で誤りである。なお、民法1014条2項は、「遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言」を「特定財産承継遺言」と呼んでいる。
エ 正しい。民法996条は、「遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。」と定め、同法997条1項は、「相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。」と定めている。なお、同条2項は、その権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない(遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。)と定めている。
オ 誤り。民法1027条は、「負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」と定めている。同条は、遺言の取消しの請求について、相当の期間を定めた履行の催告をし、その期間内に履行がないことを求めており、催告及び取消しの請求をすることができる者として定めているのは「相続人」である。本肢は、負担の利益を受けるべき者が直ちに遺言の取消しを請求することができるとしている点で誤りである。なお、同法1002条1項は、「負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。」と定め、同条2項は、受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる(遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。)と定めている。
問題:
土地の滅失の登記及び河川区域内の土地の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならず、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処される。
イ. 土地の一部が河川法6条1項の河川区域内の土地となったときは、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その日から1月以内に、その旨の登記を申請しなければならない。
ウ. 土地の一部について河川区域内の土地である旨の登記を嘱託するときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託しなければならない。
エ. 河川法6条1項の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の分筆の登記及び滅失した部分についての滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。
オ. 河川法6条1項の河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。
答え:
誤っているものは、イ・ウ・エの3つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記法42条は、「土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない。」と定めている。そして、同法164条1項は、同法42条の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定めている。
イ 誤り。不動産登記法43条2項は、「土地の全部又は一部が前項第一号の河川区域内又は同項第二号の高規格堤防特別区域内、同項第三号の樹林帯区域内、同項第四号の特定樹林帯区域内若しくは同項第五号の河川立体区域内の土地となったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記を登記所に嘱託しなければならない。」と定めている。同項による河川区域内の土地である旨の登記は河川管理者の嘱託によってされるものであり、表題部所有者又は所有権の登記名義人に申請義務を課す規定は置かれていない。同法164条1項が過料の対象として掲げる申請義務の規定にも、同法43条は含まれていない。本肢は、表題部所有者又は所有権の登記名義人に申請義務があるとしている点で誤りである。なお、河川法6条1項の河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項は、不動産登記法27条各号及び34条1項各号に掲げるもののほか、河川区域内の土地である旨とされている(不動産登記法43条1項)。
ウ 誤り。不動産登記法43条4項は、「土地の一部について前二項の規定により登記の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができる。」と定めている。河川管理者が表題部所有者等に代わってする分筆の登記の嘱託は、「することができる」とされているのであって、義務とはされていない。これに対し、河川区域内の土地である旨の登記の嘱託(同条2項)及びその登記の抹消の嘱託(同条3項)は、いずれも「嘱託しなければならない」とされている。本肢は、河川管理者が分筆の登記を嘱託しなければならないとしている点で誤りである。
エ 誤り。不動産登記法43条6項は、「第一項各号の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の地積に関する変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。」と定めている。一部が滅失した場合に河川管理者が嘱託すべき登記は、地積に関する変更の登記であって、分筆の登記及び滅失の登記ではない。本肢は、分筆の登記及び滅失した部分についての滅失の登記を嘱託しなければならないとしている点で誤りである。
オ 正しい。不動産登記法43条5項は、「第一項各号の河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。」と定めている。全部が滅失した場合(同条5項=滅失の登記)と一部が滅失した場合(同条6項=地積に関する変更の登記)とで、嘱託すべき登記が異なる点を押さえておきたい。
問題:
建物の認定及び建物の床面積の定め方に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、「準則」とは、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号民事局長通達)をいう。
ア. ガード下を利用して築造した店舗、倉庫等の建造物は、建物として取り扱うものとされている。
イ. 浮船を利用したものは、固定しているものであっても、建物として取り扱わないものとされている。
ウ. 建物の一部が上階まで吹抜になっている場合には、その吹抜の部分は、上階の床面積に算入する。
エ. 階段室、エレベーター室又はこれに準ずるものは、床を有するものとみなして各階の床面積に算入する。
オ. 出窓は、その高さが1.5メートル以上のものであれば、その下部が床面と同一の高さにあるかどうかにかかわらず、床面積に算入する。
答え:
正しいものは、ア・エの2つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記規則111条は、「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」と定めている。そして、準則77条は、「建物の認定に当たっては、次の例示から類推し、その利用状況等を勘案して判定するものとする。」とした上で、(1)で建物として取り扱うもの、(2)で建物として取り扱わないものを例示しており、同条(1)ウは、建物として取り扱うものとして「ガード下を利用して築造した店舗、倉庫等の建造物」を掲げている。
イ 誤り。準則77条(2)ウは、建物として取り扱わないものとして「浮船を利用したもの。ただし、固定しているものを除く。」を掲げている。固定しているものは、建物として取り扱わないものの例示から除かれているのであって、固定しているものであっても建物として取り扱わないとする本肢は誤りである(固定しているものが建物に当たるかどうかは、同条柱書により、例示から類推し、その利用状況等を勘案して判定されることになる。)。同様のただし書を持つ例示として、同条(2)イは、「機械上に建設した建造物。ただし、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものを除く。」を掲げている。
ウ 誤り。準則82条は、「建物の床面積は、規則第115条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。」とし、同条(8)は、「建物の一部が上階まで吹抜になっている場合には、その吹抜の部分は、上階の床面積に算入しない。」と定めている。本肢は、吹抜の部分を上階の床面積に算入するとしている点で誤りである。なお、不動産登記規則115条は、「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。」と定めている。
エ 正しい。準則82条(6)は、「階段室、エレベーター室又はこれに準ずるものは、床を有するものとみなして各階の床面積に算入する。」と定めている。これに対し、同条(7)は、「建物に附属する屋外の階段は、床面積に算入しない。」と定めており、階段室と建物に附属する屋外の階段とで取扱いが異なる。
オ 誤り。準則82条(11)は、「出窓は、その高さ1.5メートル以上のものでその下部が床面と同一の高さにあるものに限り、床面積に算入する。」と定めている。高さが1.5メートル以上であることと、その下部が床面と同一の高さにあることの双方を満たすものに限り床面積に算入されるのであって、高さの要件だけで足りるわけではない。本肢は、その下部が床面と同一の高さにあるかどうかにかかわらず床面積に算入するとしている点で誤りである。なお、同条(10)は、建物の内部に煙突又はダストシュートがある場合(その一部が外側に及んでいるものを含む。)には、その部分は各階の床面積に算入し、外側にあるときは算入しないと定めている。
問題:
筆界特定の事務、筆界特定登記官及び筆界調査委員に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 筆界特定の事務は、対象土地の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はこれらの支局若しくは出張所がつかさどる。
イ. 対象土地が二以上の法務局又は地方法務局の管轄区域にまたがる場合には、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該対象土地に関する筆界特定の事務をつかさどる法務局又は地方法務局を指定する。
ウ. 筆界特定は、登記官のうちから法務局又は地方法務局の長が指定する筆界特定登記官が行う。
エ. 法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるときは、その筆界調査委員を解任することができる。
オ. 法務局又は地方法務局の長は、筆界特定の申請がされてから筆界特定登記官が筆界特定をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めなければならない。
答え:
誤っているものは、ア・イ・オの3つである。
解説:
ア 誤り。不動産登記法124条1項は、「筆界特定の事務は、対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局がつかさどる。」と定めている。筆界特定の事務をつかさどるのは法務局又は地方法務局であり、その支局又は出張所は含まれていない。これに対し、登記の事務については、同法6条1項が、「登記の事務は、不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。」と定めており、支局及び出張所も含まれる。本肢は、筆界特定の事務を支局又は出張所もつかさどるとしている点で誤りである。
イ 誤り。不動産登記法124条2項は、同法6条2項及び3項の規定を筆界特定の事務について準用し、この場合において、同条2項中「不動産」とあるのは「対象土地」と、「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と、「法務局若しくは地方法務局」とあるのは「法務局」と読み替えるものとしている。同法6条2項は、「不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定する。」と定めているから、筆界特定の事務について指定をするのは、読替えにより法務大臣又は法務局の長であり、地方法務局の長は含まれない。本肢は、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が指定するとしている点で誤りである。なお、同法124条2項は、指定がされるまでの間の申請について定める同法6条3項も準用している(同項中「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と読み替える。)。
ウ 正しい。不動産登記法125条は、「筆界特定は、筆界特定登記官(登記官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が行う。」と定めている。なお、筆界特定のため必要があると認めるときに、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係のある公私の団体に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができるのは、筆界特定登記官ではなく、法務局又は地方法務局の長である(同法138条)。
エ 正しい。不動産登記法129条は、「法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その筆界調査委員を解任することができる。」と定め、1号に「心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。」を、2号に「職務上の義務違反その他筆界調査委員たるに適しない非行があると認められるとき。」を掲げている。筆界調査委員を任命するのも、法務局又は地方法務局の長である(同法127条2項)。
オ 誤り。不動産登記法130条は、「法務局又は地方法務局の長は、筆界特定の申請がされてから筆界特定登記官が筆界特定をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局又は地方法務局における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。」と定めている。標準的な期間を定めることは努力義務ではなく、定めた期間を公にしておくことまでが義務とされている。本肢は、標準的な期間を定めるよう努めなければならないとしている点で誤りである。
問題:
土地家屋調査士法人(以下「調査士法人」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 調査士法人は、その社員となろうとする土地家屋調査士が定款を定めた時に成立し、その主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければ、その成立を第三者に対抗することができない。
イ. 調査士法人は、定款で定めるところにより業務を行うものであるから、定款にその定めがなければ、不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理の業務を行うことができない。
ウ. 調査士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うが、民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人における民間紛争解決手続代理関係業務については、土地家屋調査士法3条2項に規定する土地家屋調査士である社員のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
エ. 調査士法人の社員は、総社員の同意があるときは、他の調査士法人の社員となることができる。
オ. 調査士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかったときは、各社員は、連帯して、その弁済の責任を負うが、社員が調査士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
答え:
正しいものは、ウ・オの2つである。
解説:
ア 誤り。土地家屋調査士法31条1項は、「調査士法人を設立するには、その社員となろうとする調査士が、定款を定めなければならない。」と定め、同法32条は、「調査士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。」と定めている。定款の作成は設立の手続であって、調査士法人は設立の登記によって成立するのであり、定款を定めた時に成立するのではない。本肢は、調査士法人が定款を定めた時に成立するとしている点で誤りである。
イ 誤り。土地家屋調査士法29条1項は、「調査士法人は、第三条第一項第一号から第六号までに規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、次に掲げる業務を行うことができる。」と定め、1号に「法令等に基づきすべての調査士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部」を、2号に「民間紛争解決手続代理関係業務」を掲げている。不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理は、同法3条1項2号に規定する業務であるから、調査士法人は、定款の定めの有無にかかわらずこれを行うことができる。定款で定めるところにより行うことができるのは、同法29条1項各号に掲げる業務である。本肢は、定款にその定めがなければ不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理の業務を行うことができないとしている点で誤りである。なお、民間紛争解決手続代理関係業務は、社員のうちに同法3条2項に規定する調査士がある調査士法人(調査士会の会員であるものに限る。)に限り、行うことができる(同法29条2項)。
ウ 正しい。土地家屋調査士法35条1項は、「調査士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。」と定め、同条2項は、「民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人における民間紛争解決手続代理関係業務については、前項の規定にかかわらず、第三条第二項に規定する調査士である社員(以下「特定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。」と定めている。なお、調査士法人の社員は各自調査士法人を代表するのが原則であるが(同法35条の2第1項本文)、民間紛争解決手続代理関係業務については、特定社員のみが各自調査士法人を代表する(同条2項本文)。
エ 誤り。土地家屋調査士法37条1項は、「調査士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその調査士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の調査士法人の社員となつてはならない。」と定めている。同項には、総社員の同意による例外は定められていない。本肢は、総社員の同意があるときは他の調査士法人の社員となることができるとしている点で誤りである。なお、同条2項は、社員が同条1項の規定に違反して自己又は第三者のためにその調査士法人の業務の範囲に属する業務を行ったときは、当該業務によって当該社員又は第三者が得た利益の額は、調査士法人に生じた損害の額と推定すると定めている。
オ 正しい。土地家屋調査士法35条の3第1項は、「調査士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯して、その弁済の責任を負う。」と定め、同条2項は、「調査士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。」と定めている。そして、同条3項は、「前項の規定は、社員が調査士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。」と定めている。なお、民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人が同業務に関し依頼者に対して負担することとなった債務を当該調査士法人の財産をもって完済することができないときは、同条1項の規定にかかわらず、特定社員(当該調査士法人を脱退した特定社員を含む。)が、連帯して、その弁済の責任を負う(同条4項本文)。
問題:
表示に関する登記における登記官の実地調査に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、「準則」とは、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号民事局長通達)をいう。
ア. 登記官は、建物の滅失の登記の申請をすべき義務がある者がその申請をしていない建物の滅失を発見したときは、直ちに職権でその建物の滅失の登記をするものとされている。
イ. 登記官は、必要があると認める場合には、登記所の職員に細部の指示を与えて実地調査を行わせて差し支えないものとされている。
ウ. 登記官は、実地調査を行う場合には、その土地又は建物の所有者その他の利害関係人又は管理人の立会いを求め、なお必要があると認めるときは、隣地の所有者又は利害関係人等の立会いを求めるものとされている。
エ. 登記官は、実地調査を完了した場合において、土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図が必要であると認めるときであっても、自らこれらの図面を作成することはできない。
オ. 登記官は、実地調査を行った場合には、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。
答え:
正しいものは、イ・ウ・オの3つである。
解説:
ア 誤り。準則63条1項は、登記官は、不動産登記法57条(建物の滅失の登記の申請)を含む同項所定の規定による申請をすべき事項で申請のないものを発見した場合には、「直ちに職権でその登記をすることなく、申請の義務がある者に登記の申請を催告するものとする。」と定め、同条2項は、この催告は、別記第59号様式による催告書によりするものとしている。表示に関する登記は登記官が職権ですることができ(同法28条)、準則60条1項は、「登記官は、事情の許す限り積極的に不動産の実地調査を励行し、その結果必要があるときは、職権で、表示に関する登記をしなければならない。」と定めているが、申請義務がある事項で申請のないものを発見したときは、直ちに職権で登記をするのではなく、まず申請の催告をするものとされている。本肢は、直ちに職権でその建物の滅失の登記をするとしている点で誤りである。
イ 正しい。準則64条は、「登記官は、必要があると認める場合には、登記所の職員に細部の指示を与えて実地調査を行わせて差し支えない。」と定めている。
ウ 正しい。準則61条2項は、「登記官は、実地調査を行う場合には、その土地又は建物の所有者その他の利害関係人又は管理人の立会いを求め、なお必要があると認めるときは、隣地の所有者又は利害関係人等の立会いを求めるものとする。」と定めている。また、同条1項は、登記官は、実地調査を行おうとする場合には、あらかじめ土地又は建物の所有者その他の利害関係人に通知する等、調査上支障がないように諸般の手配をしなければならないと定め、同条3項は、実地調査において質問又は検査をする場合には、所有者その他の利害関係人等に対して身分、氏名及び質問又は検査の趣旨を明らかにし、これらの者に迷惑をかけることがないように注意しなければならないと定めている。
エ 誤り。準則61条4項は、「登記官は、実地調査を完了した場合において、必要があると認めるときは、土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図を作成するものとする。」と定め、同条5項は、「前項の図面の作成については、規則第3章第1節第7款の規定によるものとする。」と定めている。登記官は、必要があると認めるときは、自らこれらの図面を作成するものとされている。本肢は、自らこれらの図面を作成することはできないとしている点で誤りである。
オ 正しい。不動産登記規則95条は、「登記官は、実地調査を行った場合には、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。」と定めている。準則62条2項は、この調書(実地調査書)は別記第58号様式又はこれに準ずる様式によるものとし、同条3項は、登記官は、実地調査をしたときは、実地調査書を申請書(電子申請にあっては、電子申請管理用紙)と共に保管するものとしている。なお、不動産登記規則93条本文は、「登記官は、表示に関する登記をする場合には、法第二十九条の規定により実地調査を行わなければならない。」と定めている。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 民法(総則・取得時効) | 所有権に基づいて占有する者と取得時効、占有の承継と10年の取得時効における善意・無過失の判定時点、公共用財産の黙示の公用廃止と取得時効(竣功認可未了の埋立地を含む)、土地賃借権の時効取得、表見相続人による時効取得と相続回復請求権の消滅時効 | 民法162条、163条、187条、884条、最判昭42.7.21、最判昭53.3.6、最判昭51.12.24、最判平17.12.16、最判昭43.10.8、最判令6.3.19 |
| 第2問 | 民法(物権・所有者不明土地管理命令等) | 共有持分を対象とする所有者不明土地管理命令、管理処分権の専属の有無と訴えの当事者、裁判所の許可を欠く行為と保護される第三者(善意/善意無過失)、管理不全土地の処分の許可と所有者の同意、所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ敷地に関する権利 | 民法264条の2、264条の3、264条の4、264条の8、264条の9、264条の10 |
| 第3問 | 民法(相続・遺贈) | 遺贈の放棄とその遡及効、受遺者の相続人による承認・放棄、受遺者の先死亡と「相続させる」旨の遺言の効力、相続財産に属しない権利の遺贈と遺贈義務者の取得義務、負担付遺贈に係る遺言の取消し | 民法986条、988条、989条1項、990条、994条、995条、996条、997条、1002条、1014条2項、1027条、最判平23.2.22 |
| 第4問 | 不動産登記法(土地の滅失の登記・河川区域内の土地) | 土地の滅失の登記の申請義務と過料、河川区域内の土地である旨の登記の嘱託(表題部所有者等の申請義務の不存在)、土地の一部についての嘱託と河川管理者による分筆の登記の嘱託(任意)、河川区域内の土地の一部滅失(地積に関する変更の登記)と全部滅失(滅失の登記)の書き分け | 不動産登記法27条、34条1項、42条、43条1項〜6項、164条1項 |
| 第5問 | 不動産登記規則・準則(建物の認定・床面積) | 建物として取り扱うもの(ガード下を利用した店舗・倉庫等)、建物として取り扱わないものの例示とただし書(固定している浮船・基脚等のある機械上の建造物)、吹抜の部分と上階の床面積、階段室・エレベーター室と屋外の階段、出窓の床面積算入の要件、煙突・ダストシュート | 不動産登記規則111条、115条、準則77条(1)ウ・(2)イ・ウ、82条(6)〜(8)・(10)・(11) |
| 第6問 | 筆界特定(事務・筆界特定登記官・筆界調査委員) | 筆界特定の事務をつかさどる機関(支局・出張所を含まない)と登記の事務との対比、二以上の管轄区域にまたがる場合の指定権者(読替えにより法務大臣又は法務局の長)、筆界特定登記官の指定、関係行政機関等への協力依頼の主体、筆界調査委員の解任、標準処理期間の設定と公表の義務 | 不動産登記法6条1項〜3項、124条、125条、127条2項、129条、130条、138条 |
| 第7問 | 土地家屋調査士法(調査士法人) | 設立の登記による成立、定款の定めを要しない業務(3条1項1号〜6号)と要する業務、業務の執行と代表(特定社員)、社員の競業の禁止と損害額の推定、強制執行不奏功の場合の社員の連帯責任と資力・執行容易の証明 | 土地家屋調査士法3条1項2号・2項、29条、31条1項、32条、35条、35条の2第1項・2項、35条の3、37条 |
| 第8問 | 不動産登記法・規則・準則(登記官の実地調査) | 申請義務がある事項で申請のないものの発見と申請の催告、実地調査の代行、立会いを求める相手方と事前の手配、登記官による図面の作成、実地調査書の作成と保管 | 不動産登記法28条、57条、不動産登記規則93条、95条、準則60条1項、61条1項〜5項、62条2項・3項、63条、64条 |