問題:

建物の分割の登記、建物の区分の登記及び建物の合併の登記に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 不動産登記法54条1項は、建物の分割、区分又は合併の登記について、表題部所有者又は所有権の登記名義人が一月以内に申請しなければならない旨を定めており、その申請を怠ったときは同法164条1項の過料の対象となる。

イ. 共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、所有者以外の者は、申請することができない。

ウ. A及びBが共有する甲建物(持分各2分の1)と、A及びBが共有する乙建物(Aの持分3分の2、Bの持分3分の1)とは、表題部所有者がいずれもA及びBで同一であるから、甲建物を乙建物の附属建物とする建物の合併の登記をすることができる。

エ. 所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物とは、前者の表題部所有者と後者の所有権の登記名義人が同一人であれば、建物の合併の登記をすることができる。

オ. 抵当権の登記がある建物どうしの建物の合併の登記は、それらの抵当権の登記の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、することができる。

答え:

正しいものは、イ・オの2つである。

解説:

ア 誤り。不動産登記法54条1項は、「次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。」として、建物の分割の登記(1号)、建物の区分の登記(2号)、建物の合併の登記(3号)の申請人を限定する規定であり、申請期間は定めていない。また、同法164条1項が過料の対象として掲げる申請義務の規定は、36条、37条1項若しくは2項、42条、47条1項(49条2項において準用する場合を含む。)、49条1項・3項・4項、51条1項から4項まで、57条、58条6項若しくは7項、76条の2第1項若しくは2項、76条の3第4項であり、54条は掲げられていない。合体による登記等(49条1項・164条1項)や建物の滅失の登記(57条・164条1項)に申請義務があることと区別して押さえる。

イ 正しい。同法54条2項は、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、所有者以外の者は、申請することができない。」と定めている。共用部分である旨の登記がある建物の分割・区分については、1項の「表題部所有者又は所有権の登記名義人」ではなく「所有者」が申請人となる点が出題の急所である。

ウ 誤り。同法56条3号は、「表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする建物の合併の登記」はすることができないと定めている。共有者の顔ぶれが同じでも、持分の割合が異なれば、同号により合併の登記はできない。なお、甲建物を乙建物の附属建物とする建物の合併の登記は同法54条1項3号に定義されており、不動産登記規則132条1項はこれを「附属合併」と呼び、同条にその表題部の記録方法が定められている。

エ 誤り。同法56条4号は、「所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物との建物の合併の登記」はすることができないと定めており、名義人の同一性を問わない。名義人が相互に異なる場合は別に同条2号で制限されている。

オ 正しい。同法56条5号は、「所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物(権利に関する登記であって、合併後の建物の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある建物を除く。)の建物の合併の登記」を制限している。これを受けた不動産登記規則131条1号は、「担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの」を合併後の建物の登記記録に登記することができる権利に関する登記として定めている(同条2号は、不動産登記法97条1項各号に掲げる登記事項が同一の信託の登記)。したがって、記述の要件を満たす抵当権の登記であれば、不動産登記法56条5号によって合併の登記が妨げられることはない。受付番号まで同一であることが必要であり、同一の債権を担保するというだけでは足りない点に注意したい。


問題:

筆界特定の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 筆界調査委員は、法務局又は地方法務局の長が、必要な専門的知識及び経験を有する者のうちから任命し、その任期は2年であるが、再任されることができる。

イ. 対象土地の所有権の登記名義人の四親等内の親族であった者は、現に親族でなくなっていても、当該対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を行うべき筆界調査委員に指定することができない。

ウ. 筆界調査委員は、事実の調査に当たっては、対象土地の筆界と併せて所有権の境界も明らかにするよう努めなければならない。

エ. 筆界特定登記官は、筆界特定の申請人及び関係人に対し、対象土地の筆界について意見を述べ、又は資料を提出する機会を期日を定めて与えるかどうかを、事案に応じて裁量により決することができる。

オ. 筆界特定がされた後、当該筆界特定に係る筆界について筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。

答え:

誤っているものは、ウ・エの2つである。

解説:

ア 正しい。不動産登記法127条2項は、筆界調査委員は「前項の職務を行うのに必要な専門的知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命する」と定め、同条3項は「任期は、二年とする」、同条4項は「再任されることができる」と定めている。なお、同条5項により筆界調査委員は非常勤である。

イ 正しい。同法134条2項は、筆界調査委員に指定することができない者として、対象土地又は関係土地の所有権の登記名義人等(1号)のほか、「前号に掲げる者の配偶者又は四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。)」(2号)を掲げている。括弧書により、過去に親族であった者も除外される。

ウ 誤り。同法135条2項は、「筆界調査委員は、前項の事実の調査に当たっては、筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない。」と定めている。同法123条2号は、筆界特定を「筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)」と定義し、同条1号は、筆界を「当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線」と定義している。記述のように所有権の境界を併せて明らかにするよう努めるべきとする規定は置かれておらず、135条2項はむしろ筆界特定が所有権の境界の特定を目的としないことへの留意を求めている。

エ 誤り。同法140条1項は、筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、公告をした時から筆界特定をするまでの間に、筆界特定の申請人及び関係人に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、対象土地の筆界について、意見を述べ、又は資料(電磁的記録を含む。)を提出する機会を「与えなければならない」と定めている。意見聴取等の期日を設けることは義務であり、裁量ではない。なお、同条3項により筆界調査委員はこの期日に立ち会うものとされ、同法142条により、筆界調査委員はこの期日の後、事実の調査を終了したときに遅滞なく意見を提出しなければならない。

オ 正しい。同法148条は、「筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。」と定めている。筆界特定と筆界確定訴訟の確定判決とが抵触する場合、その抵触する範囲では確定判決が優先する。


問題:

民法210条から213条までに定める公道に至るための他の土地の通行権に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときは、その土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

イ. 民法210条の規定による通行権を有する者は、通行の場所及び方法として、自己にとって最も便利なものを選ぶことができる。

ウ. 共有地の分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができ、この場合においては、償金を支払うことを要しない。

エ. 土地の所有者がその土地の一部を譲り渡したことによって公道に通じない土地が生じた場合には、民法213条1項は準用されず、公道に通じない土地の所有者は、同法210条により、周囲の土地のうち損害が最も少ない土地を通行することができる。

オ. 民法210条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができるが、通路の開設のために生じた損害に対する償金は、1年ごとに支払う方法によることができない。

答え:

正しいものは、ア・ウ・オの3つである。

解説:

ア 正しい。民法210条2項は、「池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。」と定めている。同条1項の「他の土地に囲まれて公道に通じない土地」(いわゆる袋地)に限らず、2項の場合(いわゆる準袋地)にも通行権が認められる。

イ 誤り。同法211条1項は、「前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。」と定めている。通行権者の必要性と、通行される土地の損害の最小化の双方を満たす必要があり、通行権者の便宜だけで選ぶことはできない。

ウ 正しい。同法213条1項は、「分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。」と定めている。

エ 誤り。同法213条2項は、「前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。」と定めている。一部譲渡によって公道に通じない土地が生じたときも、通行できるのは譲渡の当事者の所有地(残余地又は譲渡地)に限られ、償金も不要となる。

オ 正しい。同法211条2項は、「前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。」と定めている。また、同法212条は、通行権者は「その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。」と定めている。1年ごとの支払が認められるのは通行による継続的な損害に対する償金であり、通路開設のために生じた損害に対する償金は除かれている。


問題:

不動産登記法14条1項の地図の記録事項等に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 各筆界点の座標値は、地図が電磁的記録に記録されているか否かにかかわらず、地図の記録事項とされている。

イ. 不動産登記規則13条1項は、地図の記録事項として、各土地の区画及び地番とともに、各土地の地目を掲げている。

ウ. 地図の記録事項である「精度区分」とは、国土調査法施行令別表第四に掲げる精度区分をいう。

エ. 登記官は、地図に記録された土地の登記記録の表題部に地図の番号を記録しなければならず、当該地図が複数の図郭にまたがって作成されている場合には、当該土地が属する図郭の番号を記録する。

オ. 不動産登記法は、地図に準ずる図面についても、地図と同じく、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものと定めている。

答え:

誤っているものは、ア・イ・オの3つである。

解説:

ア 誤り。不動産登記規則13条2項は、「電磁的記録に記録する地図にあっては、前項各号に掲げるもののほか、各筆界点の座標値を記録するものとする。」と定めている。各筆界点の座標値は、電磁的記録に記録する地図について加わる記録事項である。

イ 誤り。同規則13条1項が掲げる地図の記録事項は、①地番区域の名称、②地図の番号(複数の図郭にまたがって作成されている場合には各図郭の番号)、③縮尺、④国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号、⑤図郭線及びその座標値、⑥各土地の区画及び地番、⑦基本三角点等の位置、⑧精度区分、⑨隣接図郭との関係、⑩作成年月日の10項目であり、地目は掲げられていない。地目は土地の登記記録の登記事項(不動産登記法34条1項3号)として押さえる。

ウ 正しい。不動産登記規則10条4項1号は、地図を作成するための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度(市街地地域)について、「国土調査法施行令(昭和二十七年政令第五十九号)別表第四に掲げる精度区分(以下「精度区分」という。)」と定義しており、同規則13条1項8号の「精度区分」はこれを指す。

エ 正しい。同規則15条は、「登記官は、地図に記録された土地の登記記録の表題部には第十三条第一項第二号の地図の番号(同号括弧書きに規定する場合には、当該土地が属する図郭の番号)を記録し」なければならないと定めている。同条は、建物所在図に記録された建物の登記記録の表題部にも、同規則14条2号の建物所在図の番号を記録すべきことを定めている。

オ 誤り。不動産登記法14条2項は、地図について「一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。」と定めるのに対し、同条5項は、地図に準ずる図面について「一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。」と定めており、表示すべき内容の書き分けがされている。地図に準ずる図面は、地図が備え付けられるまでの間、これに代えて備え付けることができる図面である(同条4項)。


問題:

建物の認定、家屋番号並びに建物の種類及び床面積の定め方に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、「準則」とは不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)をいう。

ア. 不動産登記規則111条は、建物の要件として屋根及び周壁を有することを求めているから、周壁のない野球場の観覧席は、屋根を有する部分であっても、建物として取り扱われることはない。

イ. 家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるのが原則であるが、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により定める。

ウ. 建物の主な用途が二以上の場合には、そのうち主たる一の用途により建物の種類を定める。

エ. 天井の高さ1.5メートル未満の地階は、階数に算入せず、床面積にも算入しない。

オ. 区分建物の床面積は、区分建物以外の建物と同様に、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により定める。

答え:

正しいものは、イ・エの2つである。

解説:

ア 誤り。不動産登記規則111条は、「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」と定めており、「又はこれらに類するもの」を含む。準則77条は、建物の認定に当たっては例示から類推し、利用状況等を勘案して判定するものとし、建物として取り扱うものの例として「野球場又は競馬場の観覧席。ただし、屋根を有する部分に限る。」(同条(1)イ)、「停車場の乗降場又は荷物積卸場。ただし、上屋を有する部分に限る。」(同条(1)ア)を挙げている。なお、観覧席の床面積は屋根の設備のある部分の面積により計算する(準則82条(3))。

イ 正しい。同規則112条1項は、「家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとする。ただし、二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するとき、その他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により、これを定めるものとする。」と定めている。なお、同条2項により、附属建物には符号を付す。

ウ 誤り。同規則113条2項は、「建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする。」と定めている。同条1項は、建物の種類を主な用途により居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらに該当しない建物はこれに準じて定めるとしている。

エ 正しい。準則81条4項は、「天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階等(特殊階)は、階数に算入しないものとする。」と定め、準則82条(1)は、「天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階(特殊階)は、床面積に算入しない。」と定めている。ただし、準則82条(1)ただし書により、1室の一部が天井の高さ1.5メートル未満であっても、その部分は当該1室の面積に算入する。

オ 誤り。同規則115条は、「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。」と定めている。区分建物は内側線(いわゆる内法)で囲まれた部分により床面積を定める。


出題分野の振り分け

問 分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記・建物) 建物の分割・区分・合併の登記の申請人の限定と申請義務の有無、共用部分である旨の登記がある建物の分割・区分の申請人、合併の登記の制限(持分の相違・所有権の登記の有無の相違・権利に関する登記がある場合の特例) 不動産登記法54条1項・2項、56条2号〜5号、164条1項、不動産登記規則131条・132条
第2問 筆界特定制度 筆界調査委員の任命・任期・再任、筆界調査委員の指定の欠格(親族であった者を含む)、事実の調査における留意事項(所有権の境界の特定を目的としない)、意見聴取等の期日を設ける義務、筆界確定訴訟の確定判決との関係 不動産登記法127条2項〜5項、134条2項、135条2項、140条1項・3項、142条、148条
第3問 民法(相隣関係・公道に至るための他の土地の通行権) 準袋地(池沼・河川・水路・海、崖による著しい高低差)、通行の場所及び方法の選択基準、分割・一部譲渡による袋地と無償通行、通路の開設と償金の支払方法 民法210条1項・2項、211条1項・2項、212条、213条1項・2項
第4問 地図関連制度(地図の記録事項) 地図の記録事項10項目と地目が含まれないこと、電磁的記録に記録する地図の筆界点座標値、精度区分の意味、登記記録の表題部への地図の番号の記録、地図と地図に準ずる図面の表示内容の書き分け 不動産登記法14条2項・4項・5項、不動産登記規則10条4項1号、13条1項・2項、15条
第5問 不動産登記規則(建物の認定・家屋番号・種類・床面積) 建物の要件と観覧席・乗降場の取扱い、家屋番号の定め方、主な用途が二以上の場合の種類、特殊階の階数・床面積の不算入、区分建物の床面積(内側線) 不動産登記規則111条〜113条、115条、準則77条・81条4項・82条(1)(3)