問題:

分筆の登記及び合筆の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

イ. 登記官は、分筆の登記の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が地番区域を異にするに至ったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、その土地の分筆の登記をすることができる。

ウ. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記は、することができない。

エ. 承役地についてする地役権の登記がある土地の合筆の登記は、他の合筆の登記の制限に該当しない場合であっても、することができない。

オ. 抵当権の登記がある土地相互の合筆の登記は、それらの抵当権の登記について、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、することができる。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

分筆及び合筆の登記は、申請適格(不動産登記法39条1項)、登記官の職権発動(同条2項・3項)、合筆の制限(同法41条各号)、そして41条6号のかっこ書を受けた不動産登記規則105条の例外という四つの層で構成されている。本問は、この層ごとに条文の文言を切り分けられるかを問うものである。

アは正しい。不動産登記法39条1項は「分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定めている。分筆と合筆を通じて申請適格が同一に定められている点を確認しておきたい。

イは誤りである。同条2項は「登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない」と定めている。ここでは「異議がないときに限り」という要件は置かれておらず、また「しなければならない」と義務の形で書かれている。異議がないことを条件とし、かつ「することができる」とされているのは同条3項、すなわち「登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる」という場面である。本記述は、2項の場面に3項の要件と効果を持ち込んだ点で条文と合わない。この二つの項の差については、2項が登記記録と土地の現況との不一致を正す場面であるのに対し、3項は地図の作成という目的のために職権を発動する場面である、という対比で説明されることがある。もっとも、この理由付けは条文の文言と場面の違いから整理したものであって、立法資料上の趣旨として確認できたものではない。試験対策としては、2項と3項とで「異議がないときに限り」という要件の有無と、文末の書き分け(「しなければならない」/「することができる」)が異なることを、条文の文言そのものとして押さえておくのが確実である。

ウは正しい。同法41条4号は「表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記」を、することができない合筆の登記として掲げている。名義人が同一であっても持分が異なれば合筆できない点が本号の眼目である。なお同条3号は名義人が相互に異なる場合を、5号は所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地とを合筆する場合を、それぞれ掲げている。

エは誤りである。同法41条6号は「所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記」と定めており、かっこ書で法務省令に例外を委ねている。これを受けた不動産登記規則105条は、1号で「承役地についてする地役権の登記」を掲げている。したがって、承役地についてする地役権の登記があることだけを理由に合筆の登記が制限されるわけではない。「することができない」とする点が誤りである。

オは正しい。不動産登記規則105条2号は「担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの」を、合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記として掲げている。抵当権は担保権であるから、これら四つの要素がすべて同一である場合には、41条6号のかっこ書により合筆の制限にかからない。要素のうち一つでも異なれば合筆はできないことになる。

以上より、誤っているものはイ・エの2つである。規則105条は、1号(承役地についてする地役権の登記)、2号(登記の目的・受付の年月日・受付番号・登記原因及びその日付が同一の担保権の登記)、3号(不動産登記法97条1項各号に掲げる登記事項が同一の信託の登記)、4号(登録番号が同一の鉱害賠償登録に関する登記)の四つを掲げている。1号が同一性を求めていないのに対し、2号から4号までは、それぞれ何が同一であることを求めるかが異なっている。号の並びとともに、同一性を求めている号かどうか、求めているとして何の同一性かを、セットで記憶しておきたい。


問題:

土地家屋調査士及び調査士法人に対する懲戒に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 調査士が土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反したときに法務大臣がすることができる処分は、戒告、2年以内の業務の停止及び業務の禁止である。

イ. 調査士法人が土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反したときに法務大臣がすることができる処分は、戒告、2年以内の業務の全部又は一部の停止及び解散である。

ウ. 調査士又は調査士法人に土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反する事実があると思料するときに、法務大臣に対し当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができるのは、当該調査士又は当該調査士法人が所属する調査士会の会員に限られる。

エ. 法務大臣は、調査士に対し戒告の処分をしようとするときは、行政手続法13条1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

オ. 懲戒処分に係る聴聞の期日における審理は、当該調査士又は当該調査士法人から請求があったときであっても、公開により行うことを要しない。

答え:

正しいものは、ア・イ・エの3つである。

解説:

懲戒の規定は、処分の種類(土地家屋調査士法42条・43条1項)、端緒と手続(同法44条)、登録との関係(同法45条)、公告(同法46条)という順で並んでいる。本問は、調査士に対する処分と調査士法人に対する処分の書き分け、及び44条が定める手続の細目を条文で確認するものである。

アは正しい。同法42条は「調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士に対し、次に掲げる処分をすることができる」として、1号に戒告、2号に「二年以内の業務の停止」、3号に「業務の禁止」を掲げている。処分権者が法務大臣である点、業務の停止の上限が2年である点を押さえておきたい。

イは正しい。同法43条1項は、調査士法人に対する処分として、1号に戒告、2号に「二年以内の業務の全部又は一部の停止」、3号に「解散」を掲げている。調査士個人の場合の2号が「業務の停止」であるのに対し、法人の場合は「業務の全部又は一部の停止」とされ、3号が「業務の禁止」ではなく「解散」とされている点が書き分けの要である。なお同条2項は「前項の規定による処分の手続に付された調査士法人は、清算が結了した後においても、この章の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなす」と定めており、清算結了によって懲戒手続が空振りに終わらないようにしている。

ウは誤りである。同法44条1項は「何人も、調査士又は調査士法人にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる」と定めており、通知をすることができる者を調査士会の会員に限っていない。「何人も」とされている点が本項の特徴であり、これを限定する記述は条文と合わない。あわせて同条2項は「前項の規定による通知があつたときは、法務大臣は、通知された事実について必要な調査をしなければならない」と定めており、通知を受けた法務大臣には調査義務が生ずる。

エは正しい。同法44条3項は「法務大臣は、第四十二条第一号若しくは第二号又は前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる処分をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない」と定めている。42条1号は戒告であるから、戒告の処分についても聴聞が必要となる。行政手続法の一般的な区分によれば、より軽い不利益処分については弁明の機会の付与にとどまることがあり得るところ、土地家屋調査士法はこれを排して聴聞を要求している。この上乗せの構造が本項の意味である。

オは誤りである。同法44条5項は「前項の聴聞の期日における審理は、当該調査士又は当該調査士法人から請求があつたときは、公開により行わなければならない」と定めている。公開とするかどうかは処分を受ける側の請求にかかっており、請求があれば公開が義務となる。「公開により行うことを要しない」とする点が誤りである。なお同条4項は、聴聞に係る行政手続法15条1項の通知について「聴聞の期日の一週間前までにしなければならない」と定めている。

以上より、正しいものはア・イ・エの3つである。あわせて、同法45条1項は、法務大臣が調査士に対し42条各号の処分をしようとする場合に、行政手続法15条1項の通知を発送し又は同条4項前段の措置をとった後直ちに調査士会連合会に通告しなければならないとし、同条2項は、通告を受けた連合会が、処分の手続が結了した旨の通知を受けるまでは当該調査士について土地家屋調査士法15条1項1号又は16条1項各号の規定による登録の取消しをすることができないと定めている。懲戒手続の進行中に登録の取消しによって手続を免れることがないようにする趣旨と読める。また同法46条は、42条又は43条1項の処分をしたときは遅滞なくその旨を官報をもって公告しなければならないと定めている。


問題:

相隣関係に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量のため必要な範囲内で隣地を使用することができるが、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。

イ. 隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならず、あらかじめ通知することが困難なときであっても、使用を開始する前に通知をしなければならない。

ウ. 境界線を越える枝を有する竹木が数人の共有に属するときは、土地の所有者は各共有者に対してその枝の切除を求めることができるが、共有者の一人が単独でその枝を切り取ることはできない。

エ. 境界標の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担するが、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。

オ. 他の土地に設備を設置しなければ電気の供給を受けることができない土地の所有者が、継続的給付を受けるため必要な範囲内で他の土地に設備を設置する場合には、その土地の損害に対して償金を支払わなければならないが、この償金は1年ごとに支払うことができる。

答え:

誤っているものは、イ・ウの2つである。

解説:

相隣関係のうち、隣地の使用(民法209条)、継続的給付を受けるための設備の設置権等(同法213条の2)、竹木の枝の切除(同法233条)は、いずれも令和3年法律第24号による改正が及んだ規定であり、これらの規定は令和5年4月1日から施行されている。境界標に関する223条・224条は改正の対象外であり、条文の姿は従前のままである。本問は、改正後の条文の文言を正確にたどれるかを問うものである。

アは正しい。民法209条1項は、土地の所有者が「次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる」とし、2号に「境界標の調査又は境界に関する測量」を掲げている。同項ただし書は「住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない」と定める。承諾を要する主体が所有者ではなく「居住者」とされている点にも注意したい。この点について、法制審議会民法・不動産登記法部会の部会資料46は、住家への立入りには隣人の平穏な生活やプライバシーの保護の観点から必ず隣人の承諾が必要であり判決をもってこの承諾に代えることはできないとする見解が多数説であるとしたうえで、改正では現行法の規律を基本的に維持することを提案する、という整理を示している(一定の場合に承諾に代わる判決を認めてよいとする見解もあることが、同部会資料18に記されている)。要綱案のたたき台の段階で住家への立入りに関する表現が改められ、現在の「居住者の承諾」という文言になった(同部会資料51)。もっとも、改正後の209条1項ただし書は「住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない」と定めるにとどまり、承諾に代わる判決の可否について明文の規律を置いてはいない。ここで挙げたのは立案の過程で示された整理であって、条文がこの点を決着させたものとして読むべきものではない。誰の生活の平穏を守るための規定かという観点から、承諾の主体を押さえておきたい。なお1号は「境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕」、3号は「第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り」である。

イは誤りである。民法209条3項は「第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない」と定めるが、ただし書で「あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる」としている。したがって、事前通知が困難な場合には事後の通知で足りる。ただし書を落として事前通知を絶対の要件とする点が誤りである。なお同条2項は「使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者……のために損害が最も少ないものを選ばなければならない」とし、同条4項は隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときの償金請求を定めている。

ウは誤りである。民法233条1項は、土地の所有者が竹木の所有者に境界線を越える枝を切除させることができる旨を定め、同条2項は「前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる」と定めている。共有者の一人が単独でその枝を切り取ることができるのであって、「切り取ることはできない」とする点が誤りである。改正前は、共有されている竹木の枝の切除について、共有物の物理的変更であるから共有物の変更として共有者全員の同意が必要と解することも可能である一方、保存行為と見る余地もあり、共有物の管理に関する事項に当たると整理することも可能である、とされていた(法制審議会民法・不動産登記法部会・部会資料18)。令和3年改正は、この点を竹木の共有者の権限の規律として端的に整理し、各共有者が単独で越境した枝を切り取ることができることを明文で定めたものである(同部会資料51)。誰の側の権限を定めた規律かをつかんでおくと、本記述のような入れ替えに気付きやすい。あわせて同条3項は、土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる場合として、1号(竹木の所有者に催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しないとき)、2号(竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき)、3号(急迫の事情があるとき)の三つを掲げている。枝については原則として切除させることを求め、例外的に自ら切り取ることができるという構造であるのに対し、根については同条4項が「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」と端的に定めている。枝と根の扱いの違いは頻出である。

エは正しい。民法224条は「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する」と定め、ただし書で「測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する」としている。設置・保存の費用は等分、測量の費用は面積按分という分け方である。なお同法223条は「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる」と定めている。

オは正しい。民法213条の2第1項は、土地の所有者が、他の土地に設備を設置し又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときに、必要な範囲内でこれをすることができる旨を定めている。同条5項は「第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない」とし、ただし書で「一年ごとにその償金を支払うことができる」としている。これに対し、他人が所有する設備を使用する場合の償金を定める同条6項は「その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない」とするにとどまり、1年ごとの分割払を認める文言を置いていない。この差については、立案の過程で、設備を設置する場合に支払うべき償金が二つに分けて説明されていた。すなわち、他の土地を使用することによって一時的に生ずる損害に対する償金は一時金として支払われるべきものであるのに対し、設備の設置によってその土地を継続的に使用することができなくなることによって生ずる損害に対する償金は、公道に至るための通行権の規律(民法212条ただし書)と同様に1年ごとの定期払の方法を認めることが適切であると考えられる、という整理が示されている(法制審議会民法・不動産登記法部会・部会資料51)。他方、他人が所有する設備を使用する場合については、一時的に生ずる損害に対する償金と、同条7項が定める設置・改築・修繕及び維持に要する費用の負担とに整理されている。6項に5項ただし書に当たる定期払の規律が置かれていないことは、この整理と整合するが、そこから何らかの結論を導くのではなく、定期払を認める文言が5項にのみ置かれているという条文の姿を、そのまま押さえておけばよい。設備の設置と設備の使用とで償金の規律が異なる点を、条文の項ごとに整理しておきたい。

以上より、誤っているものはイ・ウの2つである。改正後の相隣関係の規定は、ただし書や項の後段に例外が置かれていることが多い。本文だけを覚えると、本問のイやウのように「例外を落とした記述」「例外を反対向きにした記述」を見抜けなくなる。


問題:

平面直角座標系における筆界点A、B、C及びDの座標値が、次のとおり与えられている。

A(X=100.000m、Y=100.000m)

B(X=180.000m、Y=160.000m)

C(X=140.000m、Y=185.000m)

D(X=190.000m、Y=85.000m)

直線ABと直線CDとの交点Eの座標値として、最も近いものはどれか。

ア. X=132.000m、Y=124.000m

イ. X=140.000m、Y=130.000m

ウ. X=152.500m、Y=132.500m

エ. X=160.000m、Y=145.000m

オ. X=177.500m、Y=110.000m

答え:

エ(X=160.000m、Y=145.000m)

解説:

二直線の交点は、一方の直線を起点と方向で表し、その媒介変数を外積によって求めることで計算できる。ここでは直線ABを点Aから点Bへ向かう方向で表し、その媒介変数をtとして交点Eを求める。

まず、それぞれの直線の方向を表す座標差を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{AB}&=180.000-100.000=80.000\\ \Delta Y_{AB}&=160.000-100.000=60.000\\[4pt] \Delta X_{CD}&=190.000-140.000=50.000\\ \Delta Y_{CD}&=85.000-185.000=-100.000 \end{aligned} $$

次に、起点Aから点Cへの座標差を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{AC}&=140.000-100.000=40.000\\ \Delta Y_{AC}&=185.000-100.000=85.000 \end{aligned} $$

交点Eは、媒介変数tを用いて次のように表される。

$$ \begin{aligned} X_E&=X_A+t\,\Delta X_{AB}\\ Y_E&=Y_A+t\,\Delta Y_{AB} \end{aligned} $$

このtは、外積を分子・分母にとった次の商として求められる。まず分母を計算する。

$$ \begin{aligned} &\Delta X_{AB}\,\Delta Y_{CD}-\Delta Y_{AB}\,\Delta X_{CD}\\ &=80.000\times(-100.000)\\ &\quad-60.000\times 50.000\\ &=-8000.000-3000.000\\ &=-11000.000 \end{aligned} $$

続いて分子を計算する。

$$ \begin{aligned} &\Delta X_{AC}\,\Delta Y_{CD}-\Delta Y_{AC}\,\Delta X_{CD}\\ &=40.000\times(-100.000)\\ &\quad-85.000\times 50.000\\ &=-4000.000-4250.000\\ &=-8250.000 \end{aligned} $$

したがって、媒介変数tは次のとおりとなる。

$$ \begin{aligned} t&=\frac{-8250.000}{-11000.000}=0.750 \end{aligned} $$

このtを起点Aの座標に展開する。

$$ \begin{aligned} X_E&=100.000+0.750\times 80.000\\ &=100.000+60.000=160.000\\[4pt] Y_E&=100.000+0.750\times 60.000\\ &=100.000+45.000=145.000 \end{aligned} $$

よって、交点EはX=160.000m、Y=145.000mとなる。

検算として、今度は直線CDの側を起点と方向で表し、点Cからの媒介変数sを同じ方法で求めてみる。まず分母を計算する。

$$ \begin{aligned} &\Delta X_{CD}\,\Delta Y_{AB}-\Delta Y_{CD}\,\Delta X_{AB}\\ &=50.000\times 60.000\\ &\quad-(-100.000)\times 80.000\\ &=3000.000+8000.000\\ &=11000.000 \end{aligned} $$

次に分子を計算する。点Cから点Aへの座標差は、ΔX=−40.000、ΔY=−85.000である。

$$ \begin{aligned} &(-40.000)\times 60.000\\ &\quad-(-85.000)\times 80.000\\ &=-2400.000+6800.000\\ &=4400.000 \end{aligned} $$

したがって、媒介変数sは次のとおりとなる。

$$ \begin{aligned} s&=\frac{4400.000}{11000.000}=0.400 \end{aligned} $$

これを点Cの座標に展開する。

$$ \begin{aligned} X_E&=140.000+0.400\times 50.000\\ &=140.000+20.000=160.000\\[4pt] Y_E&=185.000+0.400\times(-100.000)\\ &=185.000-40.000=145.000 \end{aligned} $$

二つの経路で同じ座標値が得られたので、計算は一致している。さらに、求めた交点Eが両直線上にあることを、外積が0となることによっても確かめられる。点Aから点Eへの座標差はΔX=60.000、ΔY=45.000である。

$$ \begin{aligned} &60.000\times 60.000-45.000\times 80.000\\ &=3600.000-3600.000=0.000 \end{aligned} $$

点Cから点Eへの座標差はΔX=20.000、ΔY=−40.000である。

$$ \begin{aligned} &20.000\times(-100.000)\\ &\quad-(-40.000)\times 50.000\\ &=-2000.000+2000.000=0.000 \end{aligned} $$

いずれも0となり、Eが直線AB上にも直線CD上にもあることが確認できる。あわせてt=0.750、s=0.400はいずれも0と1の間の値であるから、Eは線分AB上にも線分CD上にもある。

誤答肢は、いずれも媒介変数の扱いを誤ったときに現れる値である。アは、直線CDについて求めた媒介変数s=0.400を、そのまま点Aと直線ABの方向に用いたときの点である。イは、交点を線分ABの中点と誤認したとき(t=0.500)の点である。ウは、4点の座標値をそれぞれ平均したときの点である。オは、直線ABについて求めた媒介変数t=0.750を、そのまま点Cと直線CDの方向に用いたときの点である。二つの直線それぞれに固有の媒介変数があり、一方で求めた値を他方に持ち込むと交点にならないことを、選択肢の側から確認しておきたい。

土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められているため、外積の計算そのものは負担にならない。差がつくのは、分子と分母にどの座標差の組を置くかを取り違えないこと、そして求めた媒介変数をどちらの直線の起点と方向に展開するかを誤らないことである。本問の数値と有効桁は試験の答案作成を前提に設定したものであり、実務における測量方法や許容誤差の判断を示すものではない。


問題:

地積測量図、建物図面及び各階平面図の記録事項等に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 地積測量図には、測量の年月日を記録しなければならない。

イ. 地積測量図には、地番区域の名称、方位及び縮尺を記録しなければならないが、隣接地の地番を記録することは要しない。

ウ. 近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、平面直角座標系の番号又は記号及び基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値に代えて、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない。

エ. 建物図面は500分の1、各階平面図は250分の1の縮尺により作成しなければならないが、いずれも建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

オ. 各階平面図には、縮尺、各階の別、各階の平面の形状及び一階の位置のほか、方位を記録しなければならない。

答え:

誤っているものは、イ・オの2つである。

解説:

図面の記録事項は、地積測量図が不動産登記規則77条、建物図面が同規則82条、各階平面図が同規則83条にそれぞれ定められている。本問は、条文が列挙する項目を過不足なく再現できるかを問うものである。

アは正しい。同規則77条1項は、地積測量図に記録しなければならない事項として、1号(地番区域の名称)、2号(方位)、3号(縮尺)、4号(地番。隣接地の地番を含む)、5号(地積及びその求積方法)、6号(筆界点間の距離)、7号(国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号)、8号(基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値)、9号(境界標があるときは、当該境界標の表示)、10号(測量の年月日)の10項目を掲げている。測量の年月日は10号の記録事項である。

イは誤りである。地番区域の名称・方位・縮尺がそれぞれ77条1項1号から3号までの記録事項であることは正しいが、同項4号は「地番(隣接地の地番を含む。)」と定めており、隣接地の地番も記録事項に含まれている。「記録することは要しない」とする点が誤りである。かっこ書によって記録事項の範囲が広げられている典型例であり、見落としやすい。

ウは正しい。同規則77条2項は「近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、前項第七号及び第八号に掲げる事項に代えて、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない」と定めている。代えて記録するのは1項7号(平面直角座標系の番号又は記号)と8号(基本三角点等に基づく座標値)であり、他の号はそのまま記録することを要する。なお、ここでいう基本三角点等の定義は同規則10条3項に置かれており、測量法2章の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法19条2項の規定により認証され若しくは同条5項の規定により指定された基準点、又はこれらと同等以上の精度を有すると認められる基準点の総称である。また9号の境界標の表示の記録方法については、同規則77条3項が、境界標の存する筆界点に符号を付し適宜の箇所にその符号及び境界標の種類を記録する方法その他これに準ずる方法によるものとしている。

エは正しい。同規則82条3項は「建物図面は、五百分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない」と定め、同規則83条2項は各階平面図について同じ構造で「二百五十分の一の縮尺」と定めている。なお地積測量図の縮尺は同規則77条4項が250分の1と定めており、こちらは「作成するものとする」という書き方である。建物図面と各階平面図で縮尺が異なること、そしてただし書によっていずれも例外が認められることを押さえておきたい。

オは誤りである。同規則83条1項は「各階平面図には、縮尺、各階の別、各階の平面の形状、一階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない」と定めており、方位はこの列挙に含まれていない。方位が記録事項とされているのは建物図面のほうであって、同規則82条2項は「建物図面には、方位、縮尺、敷地の地番及びその形状、隣接地の地番並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない」と定めている。「各階平面図に方位を記録しなければならない」とする点が誤りである。なお、本記述が誤りとなるのは、83条1項が記録を義務付ける事項として方位を掲げていないという限りにおいてであり、条文はそれ以上のことを定めていない。

以上より、誤っているものはイ・オの2つである。建物図面と各階平面図は隣り合う条文でありながら記録事項が重ならない部分がある。建物図面については、同規則82条1項が「建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならない」と、何を明確にするための図面かを明文で定めており、2項が掲げる記録事項にも、方位・敷地の地番及びその形状・隣接地の地番という、敷地と外部との関係を示す項目が含まれている。これに対し、各階平面図については、83条に82条1項に相当する規定が置かれておらず、1項がいきなり記録事項の列挙から始まる。もっとも、その列挙が、各階の別・各階の平面の形状・1階の位置・各階ごとの建物の周囲の長さ・床面積及びその求積方法という、建物そのものの各階の形とその面積に関わる項目で占められていることは、条文の文言から読み取れる。趣旨規定の有無に非対称がある点も含めて両条を並べておくと、方位のような一項目の有無を問う出題に対応しやすい。

出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 分筆・合筆の登記の申請適格、職権分筆の義務と地図作成のための職権分合筆の要件の違い、合筆の制限と法務省令による例外 不動産登記法39条1項〜3項、41条3号〜6号、不動産登記規則105条1号〜4号
第2問 土地家屋調査士法 調査士と調査士法人に対する懲戒処分の種類の書き分け、懲戒手続の端緒(何人も)、戒告についての聴聞、聴聞の公開請求 土地家屋調査士法42条1号〜3号、43条1項・2項、44条1項〜5項、45条1項・2項、46条
第3問 民法(相隣関係) 隣地使用の目的と住家への立入り、事前通知の原則とその例外、共有竹木の枝の切取り、境界標の費用負担、継続的給付を受けるための設備設置に伴う償金 民法209条1項〜4項、213条の2第1項・5項・6項、223条、224条、233条1項〜4項
第4問 測量計算 二直線の交点の座標計算(外積による媒介変数の算出、逆方向からの検算、外積0による共線性の確認)
第5問 作図・書式(不動産登記規則) 地積測量図の記録事項と基本三角点等に基づく測量ができない場合の代替、建物図面と各階平面図の記録事項及び縮尺の相違 不動産登記規則77条1項1号〜10号・2項〜4項、82条1項〜3項、83条1項・2項、10条3項