この記事の要点

  • 登録免許税の納め方には、現金納付・収入印紙・電子納付があり、法律にはこのほかに「納付受託者」に納付を委託する方法(クレジットカード納付など)も置かれている
  • 法律上の原則は現金納付で、収入印紙による納付は税額が3万円以下の場合など一定の場合に認められた方法として定められている
  • 申請書につづる収入印紙には、割印や消印をしないよう法務局の記載例が案内している

登記の名義変更をするときには、登録免許税という国の税金がかかります。窓口では収入印紙を貼って納める場面をよく見かけるため、「登録免許税は印紙で納めるもの」と思われがちですが、条文のつくりは逆です。結論から言うと、法律上の原則は現金で納めることで、収入印紙による納付は一定の場合に認められた方法として定められています。

現金納付──条文上の原則

登録免許税法21条は、登記を受ける人が税額に相当する登録免許税を国に納付し、その領収証書を登記の申請書に貼り付けて登記所に提出しなければならない、と定めています。金融機関などで納付書を使って納め、受け取った領収証書を申請書と一緒に提出する、という流れです。これが条文上の原則の姿です。

収入印紙──「3万円以下の場合その他政令で定める場合」

同法22条は、税額が3万円以下である場合その他政令で定める場合には、税額に相当する金額の印紙を申請書に貼り付けて納付することができる、としています。ここでいう政令が登録免許税法施行令29条で、次の三つが挙げられています。

  1. 登記所の近くに収納機関(日本銀行やその代理店)がないため現金納付が難しいと法務局長等が認めて公示した場合
  2. 税額のうち3万円未満の端数の部分を納める場合
  3. そのほか、印紙で納めることについて特別の事情があると登記機関が認めた場合

実際の窓口では収入印紙による納付が広く行われており、法務局が公開している申請書の記載例も、現金納付の場合と収入印紙の場合を並べて案内しています。もっとも、税額が大きい場合にどう取り扱われるかは3の判断にかかわる部分があり、登記所や時期によって案内が異なることもあります。金額が大きいときは、あらかじめ申請先の登記所に確認しておくのが安全です。なお、登録免許税がいくらになるかは、多くの場合固定資産税評価額をもとに計算されます。

電子納付──オンライン申請の場合

オンラインで申請するときは、同法24条の2により、電子情報処理組織を使用する方法など財務省令で定める方法で納めることができます。登記・供託オンライン申請システムの案内によれば、インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATMを利用して納付する形で、申請後に収納機関番号・納付番号・確認番号・納付期限といった納付情報が発行されます。納付の確認までに時間がかかることがあり、その間に納付をやり直すと二重に納めてしまうおそれがある点も、同システムが注意事項として挙げています。

クレジットカードで納められる?──所管する官庁によって違う

登録免許税法には、ここまでの三つのほかに、24条の3・24条の4という規定も置かれています。登記等を受ける人が「納付受託者」に登録免許税の納付を委託できるというしくみで、納付受託者は、その登記等を所管する省庁の長が指定した事業者です。指定を受けた事業者が、納税者に代わって立替払いをする形になります。

この規定にもとづくクレジットカード納付は、特許庁が所管する登録免許税(特許権等の移転登録など)で令和6年(2024年)1月から運用が始まっています。一方、法務局が所管する不動産や会社の登記については、登記・供託オンライン申請システムが電子納付として案内しているのはインターネットバンキング・モバイルバンキング・ATMで、クレジットカードによる納付は案内されていません。納付受託者の指定は所管する省庁ごとに行われるため、同じ登録免許税でも、実際に使える納め方は手続きによって違ってきます。

貼った印紙に消印や割印をしない

見落とされやすいのが、印紙の扱いです。法務局の登記申請書の記載例には、登録免許税を現金で納付する場合はその領収証書を貼り付けた用紙を、収入印紙で納付する場合は収入印紙に割印や消印はしないで貼り付けた用紙を、それぞれ申請書と一括してつづり、つづり目に契印をするよう案内する注意書きが置かれています。契約書に貼る印紙税の印紙は自分で消印をするため、同じ感覚で消してしまう取り違えが起こりがちですが、登記申請の印紙は案内どおり消さずに提出します。

消印については、条文にもう一つ別の場面が出てきます。登録免許税法31条3項は、申請の取下げがあった場合に、申請書に貼り付けられた領収証書または印紙で使用済みの旨の記載または消印がされたものを、取下げの日から1年以内に再び使いたいという申出があったときは、登記機関が再使用できる証明をすることができる、と定めています。ここで問題になっている消印は、申請が処理される流れの中で生じた状態を指すもので、申請人が貼り付けの段階で自分で消すこととは場面が異なります。貼るときには消さない、という記載例の案内に従っておくのが確実です。

納めすぎたとき・登記に至らなかったとき

納めた登録免許税は、登記ができなかったからといって窓口でそのまま返ってくるわけではありません。同法31条1項は、申請が却下された場合、申請の取下げがあった場合、過大に納付して登記を受けた場合について、登記機関が税額などを納税地の所轄税務署長に通知しなければならないと定めており、還付はこの通知を経て進みます。取下げのときに再使用証明を受けるか、還付に回すかで、その後の段取りが変わります。

なお、これは執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

登録免許税は、条文上は現金納付が原則で、収入印紙による納付は税額3万円以下の場合など一定の場合に認められた方法です。オンライン申請では電子納付という選択肢もあります。そして、申請書につづる収入印紙には割印も消印もしない──これは法務局の記載例が明示している点です。納め方や金額の見当がつかない、印紙をどう貼ればよいか分からないというときは、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年8月・いずれも一次情報です)。

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