この記事の要点

  • 「更正登記」と「変更登記」はどちらも登記の内容を直す手続きだが、直す理由がまったく違う。登記した時点ですでに誤りや抜けがあった場合が更正登記、登記した後に事実が変わった場合が変更登記
  • 登記名義人の氏名・住所についての更正登記・変更登記は、どちらも登記名義人本人が単独で申請できる
  • 権利の内容にかかわる更正登記・変更登記は、利害関係を持つ第三者の承諾が取れるかどうかで、登記のされ方(付記登記か主登記か)が変わる

登記の内容を直す手続きというと、「更正登記」と「変更登記」のどちらの言葉を使えばよいのか迷う方は少なくありません。結論から言うと、この二つは法律上、直す理由によってはっきり区別されています。不動産登記法2条は、変更の登記を「登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記」(15号)、更正の登記を「登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記」(16号)と定義しています。

かみくだくと、登記した後に事実そのものが変わったなら変更登記、登記した時点ですでに誤り(錯誤)や書き漏らし(遺漏)があったなら更正登記です。たとえば、登記名義人が正しく登記された後に引っ越して住所が変わった場合は変更登記。これに対し、申請のときに住民票の写しを取り違えるなどして、はじめから誤った住所で登記してしまった場合は更正登記にあたります。窓口で判断に迷うときは「事実が後から変わったのか」「最初から間違っていたのか」という時系列で切り分けると整理しやすくなります。似た言葉に「補正」もありますが、これは申請書類の不備を直す別の手続きで、更正登記・変更登記とは区別されます(登記申請の『補正』とは?参照)。

登記名義人の氏名・名称や住所についての変更登記・更正登記は、どちらも登記名義人が単独で申請できます(不動産登記法64条1項)。抵当証券が発行されている場合の債務者の氏名・住所についても、債務者が単独で申請できると定められています(同条2項)。名前や住所の直しであれば、変更か更正かで申請人の立場が変わるわけではありません。

一方、債権額や利息といった権利の内容そのものにかかわる更正登記・変更登記は事情が異なります。不動産登記法66条は、権利の変更の登記または更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合、または利害関係を有する第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができると定めています。したがって、利害関係を有する第三者がいて、その承諾が得られない場合には、付記登記によることはできません。もっとも、そのときにどう登記されるかまでは条文に書かれておらず、一般には、新たな順位番号がつく主登記によってされるとされています。付記登記であれば元の登記の順位がそのまま維持されますが、主登記になると後順位の権利者との優先関係に影響することがあるため、承諾が取れるかどうかは実務上とても重要な分かれ目になります。

なお、誤りの原因が申請人側ではなく登記官自身の過誤にある場合は、また別の手順になります。登記官が権利に関する登記の錯誤・遺漏を発見したときは、まず登記権利者・登記義務者(または登記名義人)に通知し、その誤りが登記官の過誤によるものであれば、監督する法務局・地方法務局の長の許可を得たうえで職権で更正します(不動産登記法67条1項・2項)。ただし、この職権更正についても、登記上の利害関係を有する第三者がいる場合は、その第三者の承諾があるときに限られます(同条2項ただし書)。申請人が気づいて申請する更正登記とは別の入り口があるということです。

このように、更正登記と変更登記は似た言葉でありながら、直す理由・添付する証明資料・記録のされ方まで別物として扱われています。実際にどう記録されているかは登記簿(登記事項証明書)の見方で確認できます。これは執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

更正登記と変更登記は、どちらも登記の内容を直す点は同じでも、直す理由が「登記した時点からの誤り・遺漏」か「登記後に生じた事実の変化」かではっきり分かれます。氏名・住所の直しであればどちらも登記名義人が単独で申請できますが、権利の内容にかかわる直しは、利害関係人の承諾の有無で付記登記によれるかどうかが変わり、主登記によることになればその後の優先関係にも影響します。ご自身のケースがどちらにあたるか、添付する証明資料は何が必要かなど、判断に迷うときはお近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年9月・いずれも一次情報です)。

あわせて読みたい