この記事の要点
- 登記が終わった後に返ってくる書類は、法務局の窓口で受け取るほかに、郵送で送ってもらうこともできる
- 郵送を希望するときは、申請の時点で申し出ておくのが条文の建て付け。登記識別情報の書面と登記完了証は「送付を求める旨」と「送付先」を申請情報の内容にしておく必要がある
- 登記識別情報を記載した書面は本人限定受取郵便など慎重な方法で送られ、郵送にかかる費用(郵便切手)は申請した人が負担する
不動産の登記が終わると、法務局から書類が返ってきます。遠方の法務局に申請したときなどに「受け取りのためにもう一度出向かないといけないのか」と気になる方は多いのですが、結論から言えば、郵送で送ってもらうことができます。ただし、そのためには申請のときにあらかじめ申し出ておく必要があります。
返ってくる書類は主に3種類
書面で申請した場合、完了後に返ってくるのは、おおむね次の書類です。
- 登記識別情報を記載した書面(登記識別情報通知書) — 新しく名義人になった人に通知される、昔の権利証にあたる符号が書かれた書類
- 登記完了証 — 「申請したとおり登記が終わりました」というお知らせ
- 原本還付を求めた添付書類の原本 — 戸籍や遺産分割協議書など
この3つは性格が違い、登記識別情報通知と登記完了証の違いや、原本還付のしくみは、それぞれ別に押さえておくと混乱しません。そして郵送の申し出も、送られ方も、この3つで別々に定められています。
郵送を頼むタイミングは「申請のとき」
登記識別情報を記載した書面を郵送で受け取りたいときは、申請人が「送付を求める旨」と送付先の別を申請情報の内容とすることになっています(不動産登記規則63条3項)。登記完了証も同じく、送付を求める旨と送付先の住所を申請情報の内容としなければならないとされています(同規則182条2項)。原本還付を受ける書類についても、申請人の申出により送付の方法によることができ、その場合は送付先の住所を申し出ることとされています(同規則55条6項)。
つまり、登記識別情報を記載した書面と登記完了証については申請情報の内容とすることが条文上求められており、原本還付を受ける書類についても申請人の申出が前提とされています。いずれも、申請の段階で申し出ておくのが条文に沿った形です。申請後に「やはり郵送にしてほしい」と伝えられるかどうかは条文からは読み取れませんので、事前に申請先の法務局に確認しておくのが確実です。
送られ方は書類によって違う
登記識別情報を記載した書面は、その符号自体が次の登記の鍵になるため、送付方法が細かく決められています。申請人が個人で、その人の住所に宛てて送る場合は、名あて人本人にしか交付・配達されない本人限定受取郵便またはこれに準ずる方法によります(同規則63条4項1号)。法人の住所に宛てるときや外国に住所があるときは書留郵便等によるとされ(同項2号・3号)、司法書士などの資格者代理人が受け取る場合も、住所宛てか事務所宛てかで方法が分かれます(同条5項)。
これに対し、登記完了証と原本還付書類の送付は、書留郵便または引受けと配達の記録を行う信書便によるとされています(同規則55条7項、182条3項)。
郵送の費用は申請人が負担する
送付の方法による交付を求めるときは、送付に要する費用を納付しなければなりません。登記識別情報を記載した書面については、その納付は郵便切手等を申請書と併せて提出する方法によるとされています(同規則63条6項・7項)。登記完了証と原本還付書類についても、郵便切手等を提出する方法により納付するとされています(同規則55条8項、182条3項)。また、登記識別情報を記載した書面を速達で送ってほしいときは、その取扱いの料金にあたる郵便切手を提出すれば、その取扱いによることになります(同規則63条8項)。登記完了証と原本還付書類については、これに対応する規定は置かれていません。ただし、規定が置かれていないことから直ちに「速達では送ってもらえない」という結論が出るわけではありません。実際にどう取り扱われるかは、申請先の法務局にお尋ねください。返信用の切手を申請書に添えるという実務の作法は、これらの費用の規定にもとづくものです(封筒の要否や具体的な添え方は、申請先や事案によって異なることがあります)。
なお、オンラインで申請した場合は、登記識別情報も登記完了証も、法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して送信を受ける方法が原則です(同規則63条1項1号、182条1項1号)。
また、そもそも登記識別情報の通知自体を希望しないという申出をあらかじめしておくこともできます(不動産登記法21条ただし書)。この場合は通知書が発行されませんので、受け取り方を考える前に、それでよいかどうかを慎重に判断する必要があります。
窓口で受け取る場合の持ち物(本人確認書類や印鑑)、受け取らないまま長く置かれた書類の取扱いなどは、法務局や時期によって異なる場合があります。断定できる一律のきまりとしてお伝えできる情報が確認できませんでしたので、実際に受け取る前に申請先の法務局へお問い合わせください。
これは執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。
まとめ
登記の完了後に返ってくる書類は、窓口だけでなく郵送でも受け取れます。ただし郵送を希望するなら、申請の段階で「送ってください」という申し出と送付先を申請情報に含め、返信用の切手を添えておく必要があります。登記識別情報の書面は本人限定受取郵便などで送られ、登記完了証や原本還付書類は書留郵便等で送られるという違いも押さえておくと、受け取りの段取りで迷いません。ご自身の申請でどの書類がどう返ってくるのか判断に迷うときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年9月・いずれも一次情報です)。
- 不動産登記法 第21条(e-Gov法令検索。本文中の「登記識別情報の通知を希望しない旨の申出」がただし書の文言どおりであることを条文本文で確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
- 不動産登記規則 第55条・第63条・第182条(e-Gov法令検索。送付の申出〔55条6項・63条3項・182条2項〕、送付方法〔55条7項・63条4項・5項・182条3項〕、費用の納付〔55条8項・63条6項〜8項・182条3項〕、電子申請の通知・交付方法〔63条1項1号・182条1項1号〕を条文本文で確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018