この記事の要点

  • 相続登記で提出した戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書などの原本は、原本還付(げんぽんかんぷ)という手続きをとれば、登記完了後に返してもらえる
  • 具体的には、原本のコピーを添えて、そのコピーに「原本と相違ありません」と記して申請人が記名・押印しておく、という一手間が必要
  • ただし、その登記のためだけに作った委任状などは、原則として返してもらえない

「相続登記のために集めた戸籍一式を法務局に出したら、そのまま取られてしまうのだろうか」——よくあるご心配です。結論から言うと、原本還付という手続きをとれば、提出した原本は登記が終わったあとに返してもらえます。戸籍は銀行の相続手続きなど他の場面でも使うことが多いので、実務ではほぼ必ずこの手続きを使います。

「原本と相違ない」の一手間

登記の添付書類は、原本を提出するのが原則です。そのうえで原本を返してほしいときは、原本のコピー(写し)を用意し、そのコピーに「原本と相違ありません」と書いて、申請人が記名・押印して一緒に提出します。法務局は登記の記録としてコピーのほうを保管し、原本は登記完了後に返してくれる、という仕組みです(不動産登記規則55条)。戸籍や遺産分割協議書、印鑑証明書などが、この方法で戻ってくる代表的な書類です。

返してもらえない書類もある

一方で、その登記のためだけに作成された書類は、原本還付の対象になりません。典型例が、司法書士などに登記を依頼するときの委任状です。これは「その申請のためだけの書面」なので、コピーを添えても原本は戻らないのが原則です。何が返って何が返らないかは書類の性質で決まるため、迷ったら提出前に確認しておくと安心です。

なお、戸籍を何通も集める負担そのものを軽くしたい場合は、法定相続情報一覧図を使うと、戸籍の束の代わりに一覧図の写しで手続きを進められる場面があります。原本還付と合わせて知っておくと、戸籍のやりくりがぐっと楽になります。

これは執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。コピーの取り方や記載の要否は登記の種類や法務局の運用で細かく異なることがあり、不備があると補正(直しの指示)の対象になることもあります。

まとめ

原本還付は、「原本のコピーに原本と相違ない旨を書き添えて出す」という一手間で、戸籍や協議書といった大切な原本を手元に取り戻すための仕組みです。ただし委任状のようにその登記専用の書類は返らないなど、線引きには注意が要ります。相続登記の書類の準備で迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年07月・いずれも一次情報です)。

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