問題:

筆界特定制度に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地の所有権登記名義人等は、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定登記官に対し、筆界特定の申請をすることができる。

イ. 地方公共団体は、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等の全員の同意を得なければ、当該対象土地の筆界について、筆界特定の申請をすることができない。

ウ. 筆界特定登記官は、対象土地の筆界特定をしたときは、その結論及び理由の要旨を記載した筆界特定書を作成しなければならない。

エ. 筆界特定がされた場合には、当該筆界特定に係る筆界について、民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えを提起することはできない。

オ. 筆界特定登記官は、当該対象土地の筆界について筆界確定訴訟で既に確定判決がある場合には、その申請を却下しなければならない。

答え:

正しいものは、ア・ウ・オの3つである。

解説:

アは正しい。土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる(不動産登記法131条1項)。

イは誤り。地方公共団体は、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等のうち「いずれかの者」の同意を得たときは、当該対象土地の筆界について、筆界特定の申請をすることができる(同法131条2項)。全員の同意までは要求されておらず、「全員の同意を得なければ申請をすることができない」とする点が誤りである。

ウは正しい。筆界特定登記官は、対象土地の筆界特定をし、その結論及び理由の要旨を記載した筆界特定書を作成しなければならない(同法143条1項)。

エは誤り。筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起されたときは、裁判所は、当該訴訟において訴訟関係を明瞭にするため、登記官に対し筆界特定手続記録の送付を嘱託することができる旨が定められている(同法147条1項)。この規定は、筆界特定後に境界確定訴訟を提起すること自体を前提としており、筆界特定はあくまで行政庁による判断であって、裁判所の確定判決のような効力を持つものではない。「訴えを提起することはできない」とする点が誤りである。

オは正しい。筆界特定登記官は、対象土地の筆界について、既に民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定しているときは、理由を付した決定で、筆界特定の申請を却下しなければならない(同法132条1項6号)。なお、同号の括弧書きにより、訴えを不適法として却下した判決が確定しているにとどまる場合は、この却下事由には当たらない。

以上より、正しいものはア・ウ・オの3つである。


問題:

土地家屋調査士の使命及び職責に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

イ. 調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。

ウ. 土地家屋調査士法1条の使命規定は、令和元年法律第29号による改正によって新たに設けられたものであり、それ以前の同条には調査士の目的や使命に関する規定は一切存在しなかった。

エ. 土地家屋調査士法2条は、調査士が業務に関する法令及び実務に精通すべきことを定めるほか、依頼者の意向を業務上最優先すべき旨を明記している。

オ. 土地家屋調査士法1条は、調査士がその使命にかんがみ依頼者の意思の実現に努めるとともに、公共の福祉に反してはならない旨を明記している。

答え:

正しいものは、ア・イの2つである。

解説:

アは正しい。土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする(土地家屋調査士法1条)。

イは正しい。調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない(同法2条)。

ウは誤り。同法1条の使命規定は、令和元年法律第29号(司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律。令和2年8月1日施行)により、それまでの「目的規定」を「使命規定」に改める形で改正されたものである。改正前の1条にも調査士制度の目的を定める規定自体は存在しており、「規定が一切存在しなかった」とする点が誤りである。改正の前後で条文の位置づけ(目的規定→使命規定)が変わった点と、規定自体の有無とを混同しないよう注意を要する。

エは誤り。2条は品位の保持、業務に関する法令及び実務への精通、公正かつ誠実な業務遂行を定めるにとどまり、依頼者の意向を業務上最優先すべき旨は明記されていない。

オは誤り。1条はアのとおりの使命を定めるのみであり、依頼者の意思の実現や公共の福祉への言及は含まれていない。

以上より、正しいものはア・イの2つである。


問題:

民法における水流に関する相隣関係の規定について、次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。

イ. 水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。

ウ. 溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、自由にその水路又は幅員を変更することができる。

エ. 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができるが、この場合、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。

オ. 水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合において、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その対岸の土地の所有者の承諾を得なければ、堰を対岸に付着させて設けることができない。

答え:

正しいものは、ア・イ・エの3つである。

解説:

アは正しい。土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない(民法214条)。

イは正しい。水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる(民法215条)。なお、215条・216条の場合において費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う(民法217条)。

ウは誤り。溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない(民法219条1項)。両岸の土地が水流地の所有者に属するときに限り、その所有者は水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない(同条2項)。対岸が他人の所有に属する場合にまで自由な変更を認める点が誤りである。

エは正しい。高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない(民法220条)。

オは誤り。水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない(民法222条1項)。対岸の土地の所有者の「承諾」を要件とする規定はなく、償金支払義務があるのみである。「承諾を得なければ設けることができない」とする点が誤りである。

以上より、正しいものはア・イ・エの3つである。


問題:

閉合トラバースA→B→C→D→Aにおいて、各測線の観測結果に基づき緯距(ΔX)・経距(ΔY)を集計したところ、計算上の帰着点が出発点Aの真の座標からわずかにずれ、閉合誤差はX方向にEx=+0.080m、Y方向にEy=−0.060mであった(閉合誤差は「観測値から計算した帰着点の座標」から「Aの真の座標」を差し引いた値とする)。各測線の距離はAB=100.000m、BC=120.000m、CD=80.000m、DA=100.000m(全周長ΣL=400.000m)である。コンパス法則(閉合誤差を各測線の距離に比例して配分する方法)により補正するとき、測線BCに配分される補正量の組み合わせとして最も近いものはどれか。

ア. ΔX方向 −0.016m、ΔY方向 +0.012m

イ. ΔX方向 −0.020m、ΔY方向 +0.015m

ウ. ΔX方向 −0.024m、ΔY方向 +0.018m

エ. ΔX方向 −0.024m、ΔY方向 +0.020m

オ. ΔX方向 −0.030m、ΔY方向 +0.018m

答え:

ウ(ΔX方向 −0.024m、ΔY方向 +0.018m)

解説:

コンパス法則は、閉合誤差を各測線の実測距離の長さに比例して配分する調整方法である。測線iの距離を$L_i$、全周長を$\Sigma L$とすると、その測線に配分される補正量は次の式で求められる。

$$\Delta X_i^{補正} = -E_x \times \frac{L_i}{\Sigma L}, \qquad \Delta Y_i^{補正} = -E_y \times \frac{L_i}{\Sigma L}$$

本問ではΣL=400.000m、測線BCの距離は120.000mであるから、その配分比率は次のとおりである。

$$\frac{L_{BC}}{\Sigma L} = \frac{120.000}{400.000} = 0.30$$

これをもとに、測線BCへの補正量を求めると、

$$\Delta X_{BC}^{補正} = -0.080 \times 0.30 = -0.024\ \text{m}$$

$$\Delta Y_{BC}^{補正} = -(-0.060) \times 0.30 = +0.018\ \text{m}$$

したがって、測線BCへの補正量はΔX方向−0.024m、ΔY方向+0.018mであり、正解はウである(PowerShellにより4測線分の補正量を独立に算出し、その総和がそれぞれ−Ex=−0.080m、−Ey=+0.060mに一致することを検算済み。AB・DA=各−0.020m/+0.015m、BC=−0.024m/+0.018m、CD=−0.016m/+0.012m)。

アの−0.016m/+0.012mは、測線CD(距離80.000m、比率0.20)に配分される補正量であり、BCの値と取り違えた誤りである。

イの−0.020m/+0.015mは、測線AB又はDA(距離100.000m、比率0.25)に配分される補正量であり、これもBCの値との取り違えである。

エの+0.020mは、全周長を誤って360.000mとして比率計算をした場合に近い値である(120.000÷360.000×0.060=0.020)。コンパス法則では全測線の距離を漏れなく正確に合算してΣLを求める必要があり、集計を誤ると配分比率全体がずれる。

オの−0.030mは、全周長を誤って320.000mとして比率計算をした場合に近い値である(120.000÷320.000×0.080=0.030)。全周長の集計もれ(測線を1本数え落とすなど)によって生じやすい誤りである。

なお、土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められており、本問のような比例配分の計算は電卓で正確に処理できるが、ΣLの集計もれや符号(補正量は誤差と逆符号になる)の取り違えには注意を要する。


問題:

地積測量図及び各階平面図の記載事項に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 地積測量図には、国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号を記録しなければならない。

イ. 地積測量図には、測量の年月日を記録することを要しない。

ウ. 近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、地積測量図に平面直角座標系の番号若しくは記号又は基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録することを要しない。

エ. 各階平面図には、各階ごとの建物の周囲の長さを記録することを要しない。

オ. 各階平面図は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならないが、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

答え:

正しいものは、ア・オの2つである。

解説:

アは正しい。地積測量図には、国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号を記録しなければならない(不動産登記規則77条1項7号)。

イは誤り。地積測量図には、測量の年月日を記録しなければならない(同条1項10号)。「記録することを要しない」とする点が誤りである。

ウは誤り。近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、平面直角座標系の番号又は記号及び基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値(同条1項7号・8号)に「代えて」、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない(同条2項)。特別の事情がある場合に代替の記録事項自体が一切不要になるわけではなく、「記録することを要しない」とする点が誤りである。

エは誤り。各階平面図には、縮尺、各階の別、各階の平面の形状、一階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない(不動産登記規則83条1項)。周囲の長さも必須の記載事項であり、「記録することを要しない」とする点が誤りである。

オは正しい。各階平面図は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない(同条2項)。

以上より、正しいものはア・オの2つである。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示) 筆界特定制度(申請権者・筆界特定書・訴訟との関係・却下事由) 不動産登記法131条1項・2項、132条1項6号、143条1項、147条1項
第2問 土地家屋調査士法 調査士の使命及び職責、令和元年改正の位置づけ 土地家屋調査士法1条・2条
第3問 民法(相隣関係) 水流に関する相隣関係規定 民法214条・215条・219条・220条・222条
第4問 測量計算 コンパス法則による閉合トラバースの誤差配分
第5問 作図・書式 地積測量図・各階平面図の記載事項 不動産登記規則77条1項7号・10号・2項、83条1項・2項