問題:
共用部分である旨の登記及び団地共用部分である旨の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
イ. 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、当該第三者の承諾も得たとき)でなければ、申請することができない。
ウ. 登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、当事者の申請によって、当該建物についての表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消する。
エ. 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について、当該旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から三箇月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
オ. 共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、不動産登記法第二十七条各号(第三号を除く。)及び第四十四条第一項各号(第六号を除く。)に掲げるもののほか、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨とする。
答え:
正しいものは、ア・イ・オの3つである。
解説:
アは正しい。共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない(不動産登記法58条2項)。共用部分化は当該建物の帰属を大きく変える処分であるため、申請適格者を現に権利を有する者に限定している。
イは正しい。共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分又は団地共用部分である建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記(抵当権の登記等)があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者の承諾を得たときに限る。)でなければ、申請することができない(不動産登記法58条3項)。共用部分化によって専有部分としての処分性が失われるため、既存の権利者の承諾を要件としている。
ウは誤り。登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、「職権で」、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない(不動産登記法58条4項)。「当事者の申請によって」抹消するとする点が誤りである。共用部分化した建物には独立の所有権や担保権を観念できなくなるため、登記官が職権で既存の登記を消していく仕組みになっている。
エは誤り。共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から「一月以内」に、当該建物の表題登記を申請しなければならない(不動産登記法58条6項)。「三箇月以内」とする点が誤りである。なお、この規約廃止後に当該建物の所有権を取得した者も、その所有権の取得の日から一月以内に表題登記を申請しなければならない(同条7項)。
オは正しい。共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、不動産登記法27条各号(3号を除く。)及び44条1項各号(6号を除く。)に掲げるもののほか、共用部分である旨の登記にあっては、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨を登記事項とする(不動産登記法58条1項1号)。なお団地共用部分である旨の登記にあっては、当該団地共用部分を共用すべき者の所有する建物(区分建物であるときは当該建物が属する一棟の建物)が登記事項となる(同項2号)。
以上より、正しいものはア・イ・オの3つである。
問題:
土地家屋調査士の業務のうち、民間紛争解決手続代理関係業務に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 調査士は、他人の依頼を受けて、土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続であって、当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理を業とすることができる。
イ. 前号(アの業務)についての相談も、調査士の業務である。
ウ. 民間紛争解決手続代理関係業務は、調査士であれば当然に行うことができる業務であり、別段の研修や認定を受ける必要はない。
エ. 筆界特定の手続についての代理業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる。
オ. 調査士は、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有する旨の法務大臣の認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
答え:
正しいものは、ア・イ・オの3つである。
解説:
アは正しい。調査士は、他人の依頼を受けて、土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続であって、当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理を業とすることができる(土地家屋調査士法3条1項7号)。いわゆる筆界に関するADR(裁判外紛争解決手続)における代理業務である。
イは正しい。前号(アの業務)に掲げる事務についての相談も、調査士の業務である(土地家屋調査士法3条1項8号)。代理業務とセットで相談業務も明文で認められている。
ウは誤り。3条1項7号及び8号に規定する業務(民間紛争解決手続代理関係業務)は、①民間紛争解決手続代理関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であって法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること、②その申請に基づき法務大臣が民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること、③調査士会の会員であること、のいずれにも該当する調査士に限り行うことができる(土地家屋調査士法3条2項)。いわゆる「ADR認定調査士」のみが行える業務であって、調査士であれば当然に行えるわけではない。
エは誤り。土地家屋調査士法3条2項後段は、「この場合において、同項第七号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる」と定めているのであって、これは3条1項7号の民間紛争解決手続代理業務についての制限である。筆界特定の手続についての代理業務(3条1項4号)にはこのような制限はなく、また4号・5号の筆界特定手続代理業務・書類作成業務は、7号・8号とは異なり、前記②のADR認定を要件とする「民間紛争解決手続代理関係業務」にも含まれていない。したがって「筆界特定の手続についての代理業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる」とする本記述は、制限の対象条項を取り違えている点で誤りである。
オは正しい。調査士は、3条2項2号の規定による認定(民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有する旨の法務大臣の認定)を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない(土地家屋調査士法3条5項)。
以上より、正しいものはア・イ・オの3つである。
問題:
境界線付近の建築等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
イ. アの規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができるが、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
ウ. 境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
エ. ウの距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から水平線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
オ. 境界線付近の建築の制限及び目隠し設置義務の各規定と異なる慣習があるときであっても、常に民法の規定が優先し、慣習に従うことはできない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウの3つである。
解説:
アは正しい。建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない(民法234条1項)。
イは正しい。前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる(民法234条2項)。境界線付近の建築紛争を早期に確定させる趣旨から、中止・変更請求権には期間制限が付されている。
ウは正しい。境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない(民法235条1項)。
エは誤り。前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から「垂直線」によって境界線に至るまでを測定して算出する(民法235条2項)。「水平線」とする点が誤りである。ここでの「垂直線」とは、窓・縁側の最も隣地に近い点から境界線に対して垂直に引いた線(垂線)を指し、その線に沿って境界線に至るまでの長さを測るという趣旨である。
オは誤り。境界線付近の建築の制限(234条)及び目隠し設置義務(235条)の各規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う(民法236条)。これらの規定は任意規定であり、地域の慣習が優先することが明文で認められている。「常に民法の規定が優先し、慣習に従うことはできない」とする点が誤りである。
以上より、正しいものはア・イ・ウの3つである。
問題:
平面直角座標系における次の2点A、Bを結ぶ線分ABを、Aを起点としてAP:PB=2:1に内分する点Pの座標として最も近いものはどれか。なお、単位はメートルとする。
$$A(1000.00,\ 3000.00),\quad B(1300.00,\ 3600.00)$$
ア. P(1100.00, 3200.00)
イ. P(1150.00, 3300.00)
ウ. P(1200.00, 3400.00)
エ. P(1600.00, 4200.00)
オ. P(1200.00, 3200.00)
答え:
ウ(P(1200.00, 3400.00))
解説:
線分ABをAP:PB=m:n(Aを起点)に内分する点Pの座標は、次の式で求められる。
$$P_X = \frac{n \cdot X_A + m \cdot X_B}{m+n}, \qquad P_Y = \frac{n \cdot Y_A + m \cdot Y_B}{m+n}$$
本問ではAP:PB=2:1であるから、m=2、n=1として計算する。
$$P_X = \frac{1 \times 1000.00 + 2 \times 1300.00}{2+1} = \frac{1000.00 + 2600.00}{3} = \frac{3600.00}{3} = 1200.00$$
$$P_Y = \frac{1 \times 3000.00 + 2 \times 3600.00}{2+1} = \frac{3000.00 + 7200.00}{3} = \frac{10200.00}{3} = 3400.00$$
したがってP(1200.00, 3400.00)であり、正解はウである。
アの(1100.00, 3200.00)は、m・nの当てはめを逆にし、AP:PB=1:2として計算してしまった誤りである。内分点の計算では、比の値をたすき掛けに当てはめる点に注意する。すなわち、起点Aから見て遠い側の線分PBの比の値(本問ではnに当たる「1」)をAの座標に乗じ、Aに近い側の線分APの比の値(本問ではmに当たる「2」)をBの座標に乗じる。この対応を取り違えると、本来の位置からずれた点を答えてしまう(本問ではアの誤答がこれに当たる)。
イの(1150.00, 3300.00)は、比を無視して単純にAとBの中点(1:1に内分する点)を求めてしまった誤りである。
エの(1600.00, 4200.00)は、内分点ではなく外分点の計算式($P_X = \dfrac{n \cdot X_A - m \cdot X_B}{n-m}$等)を用いてしまった誤りである。外分点はAB間ではなく、その延長線上に位置する点であり、本問のような内分の設問で外分の式を使うと、線分の外側の点を答えてしまうことになる。
オの(1200.00, 3200.00)は、X座標は正しく計算できているものの、Y座標をm:nの対応を取り違えて計算してしまった誤りである。
土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・二台まで)の持込みが認められているため、本問のような比例配分の計算は電卓で正確に処理できるが、m・nをどちらの座標に乗じるかという対応関係を図に描いて確認する習慣をつけておくと取り違えを防げる。
問題:
不動産登記法第14条に定める地図及び建物所在図並びに地図に準ずる図面に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。
イ. 地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。
ウ. 建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする。
エ. 登記所には、地図が備え付けられるまでの間であっても、これに代えて地図に準ずる図面を備え付けることは認められておらず、地図が整備されるまでは何らの図面も備え付けられない。
オ. 地図及び建物所在図並びに地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説:
アは正しい。登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする(不動産登記法14条1項)。
イは正しい。地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする(不動産登記法14条2項)。
ウは正しい。建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする(不動産登記法14条3項)。
エは誤り。不動産登記法14条1項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる(同条4項)。この地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとされている(同条5項)。実務上多くみられるいわゆる公図の多くはこの地図に準ずる図面に当たり、精度の点で14条1項の地図(不動産登記規則10条3項により、これを作成するための測量は基本三角点等を基礎として行うものとされる)とは性質が異なる。「地図が整備されるまでは何らの図面も備え付けられない」とする点が誤りである。
オは正しい。地図及び建物所在図並びに地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる(不動産登記法14条6項)。
以上より、正しいものはア・イ・ウ・オの4つである。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文・判例 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 共用部分・団地共用部分である旨の登記(登記事項・申請適格・職権抹消・規約廃止後の表題登記) | 不動産登記法58条1項〜7項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 民間紛争解決手続代理関係業務(ADR代理)の要件と、筆界特定手続代理業務との異同 | 土地家屋調査士法3条1項4号・7号・8号、2項、5項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 境界線付近の建築の制限・目隠し設置義務・異なる慣習の優先 | 民法234条・235条・236条 |
| 第4問 | 測量計算 | 線分の内分点の座標計算 | ― |
| 第5問 | 作図・書式 | 地図及び建物所在図・地図に準ずる図面の性質と記載事項 | 不動産登記法14条1項〜6項、不動産登記規則10条3項 |