問題: 建物の滅失の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

イ. 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物が滅失したときは、その所有者が、滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

ウ. 主である建物はそのまま存在し、附属建物のみが滅失した場合には、当該附属建物についても、独立して建物の滅失の登記を申請しなければならない。

エ. 建物の滅失の登記を申請すべき者がその申請をしないときであっても、登記官が職権でこれをすることは一切認められていない。

オ. 建物の滅失の登記を申請する場合において、当該建物を目的とする抵当権の登記があるときは、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する情報を提供しなければならない。

答え: 誤っているものは、ウ・エ・オの3つである。

解説: 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければなりません(不動産登記法57条)。ア・イは、いずれも同条の文言どおりであり、正しい記述です。

ウは誤りです。主である建物がそのまま存在し、附属建物のみが滅失した場合は、建物そのものが滅失したわけではないため、独立した「建物の滅失の登記」の対象にはなりません。附属建物の表示は建物の表題部の登記事項の一つですから(不動産登記法44条1項5号)、附属建物のみが滅失した場合は、主である建物についての「表題部の変更の登記」を申請することになります(不動産登記法51条1項)。「建物の滅失の登記を申請しなければならない」とする点が誤りです。

エは誤りです。表示に関する登記は、登記官が職権ですることができます(不動産登記法28条)。建物の滅失の登記についてこの職権主義を排除する特段の定めはないため、申請義務者が申請をしないときは、登記官が職権で滅失の登記をすることも可能です。「一切認められていない」と言い切る点が誤りです。

オは誤りです。建物の滅失の登記は、当該建物が物理的に存在しなくなったことを登記記録に反映させる登記であり、建物を目的とする抵当権は建物の滅失により当然に消滅します。滅失の登記の申請にあたって、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する情報の提供は要求されていません。第三者の承諾を証する情報が要求されるのは、合体による登記等、別の権利関係の調整が必要となる特定の場面に限られます。

以上より、誤っているものはウ・エ・オの3つです。


問題: 土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 調査士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一個の調査士会を設立しなければならず、一つの法務局又は地方法務局の管轄区域内に二以上の調査士会を設立することはできない。

イ. 調査士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする法人であり、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の一部の規定が準用される。

ウ. 土地家屋調査士名簿は日本土地家屋調査士会連合会が備え、調査士の登録の事務も連合会が行う。

エ. 調査士たる資格を有する者が調査士会に入会する手続は、土地家屋調査士名簿の登録の申請とは別個に行うものであり、登録がされた後に遅滞なくその手続をとれば足りる。

オ. 事務所を移転して所属する調査士会を変更しようとする調査士が変更の登録の申請をした場合、当該調査士は、その申請をした時点で直ちに従前所属していた調査士会を退会し、変更の登録がされる前であっても新たに事務所を管轄する調査士会の会員となる。

答え: 誤っているものは、エ・オの2つである。

解説: 調査士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一個の調査士会を設立しなければなりません(土地家屋調査士法47条1項)。管轄区域ごとに一個と定められている以上、一つの管轄区域内に二以上の調査士会を設立することはできません。アは正しい記述です。

調査士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とし(同法47条2項)、法人とされ(同条3項)、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律4条・78条の規定が準用されます(同条4項)。イは正しい記述です。

土地家屋調査士名簿は日本土地家屋調査士会連合会が備え、調査士の登録の事務は連合会が行います(同法8条)。ウは正しい記述です。

エは誤りです。土地家屋調査士名簿の登録の申請又は変更の登録の申請をする者は、その申請と「同時に」、申請を経由すべき調査士会に入会する手続をとらなければなりません(同法52条1項)。登録の申請とは別個に、登録後遅滞なく手続をとれば足りるとする点が誤りです。

オも誤りです。入会の手続をとった者は、当該登録又は変更の登録の「時」に、当該調査士会の会員となります(同法52条2項)。また、変更の登録の申請をした調査士は、当該申請に基づく変更の登録の「時」に、従前所属していた調査士会を退会します(同条3項)。いずれも基準となるのは変更の登録の申請の時ではなく、変更の登録がされた時であり、「申請をした時点で直ちに」退会・入会するとする点、「変更の登録がされる前であっても」新たな調査士会の会員となるとする点が、いずれも誤りです。

以上より、誤っているものはエ・オの2つです。申請の時点と登録の時点を混同しないことが、この分野の理解の分かれ目になります。


問題: 隣地使用権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量のために必要な範囲内で、隣地を使用することができる。

イ. 隣地を使用するに当たり、当該隣地上にある住家に立ち入る必要がある場合には、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。

ウ. 隣地を使用するに当たっては、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならず、あらかじめ通知することが困難な場合であっても、この事前通知を省略することはできない。

エ. 隣地の使用によって隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その者は、償金を請求することができる。

オ. 越境した竹木の枝を自ら切り取るために隣地を使用することは、隣地使用権の目的として認められていない。

答え: 誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説: 民法209条は、令和3年法律第24号による相隣関係規定の見直しにより、令和5年4月1日から現在の内容に改正されています。同条1項は、土地の所有者が次に掲げる目的のため必要な範囲内で隣地を使用することができると定めており、その2号に「境界標の調査又は境界に関する測量」が掲げられています(民法209条1項2号)。アは正しい記述です。

同項ただし書は、住家については、その居住者の承諾がなければ立ち入ることができないと定めています(民法209条1項ただし書)。イは正しい記述です。

ウは誤りです。隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければなりませんが、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく通知することをもって足ります(民法209条3項)。事前通知には例外が認められており、「あらかじめ通知することが困難な場合であっても省略することはできない」とする点が誤りです。この事前通知の例外は、住家への立入りに関する居住者の承諾(イ)には認められていない点との対比で押さえておく必要があります。承諾に関するただし書には、通知の困難性のような例外規定は置かれていません。

隣地の使用によって隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができます(民法209条4項)。エは正しい記述です。

オは誤りです。同条1項3号は、民法233条3項の規定による枝の切取りのために必要な範囲内で隣地を使用することができると定めています(民法209条1項3号)。越境した竹木の枝を自ら切り取るための隣地使用は、隣地使用権の目的として明文で認められています。

以上より、誤っているものはウ・オの2つです。


問題: 三角形の土地ABCの三辺の長さが、AB=13.000m、BC=14.000m、CA=15.000mであるとき、この土地の地積(三角形の面積)として最も近いものはどれか。三辺の長さから面積を求める公式(ヘロンの公式)を用いて計算すること。

ア. 42.00㎡

イ. 71.00㎡

ウ. 84.00㎡

エ. 105.00㎡

オ. 168.00㎡

答え: ウ(84.00㎡)

解説: ヘロンの公式は、三角形の三辺の長さ $a,\ b,\ c$ が分かっているとき、これらの座標や角度を用いずに面積を求めることができる公式です。まず半周長 $s$ を求めます。

$$ s=\frac{a+b+c}{2}=\frac{13.000+14.000+15.000}{2}=21.000 $$

次に、$s$ から各辺の長さを差し引きます。

$$ s-a=21.000-13.000=8.000,\qquad s-b=21.000-14.000=7.000,\qquad s-c=21.000-15.000=6.000 $$

ヘロンの公式にあてはめます。

$$ S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}=\sqrt{21.000\times8.000\times7.000\times6.000}=\sqrt{7056.000}=84.000 $$

したがって、地積は84.00㎡であり、最も近いものはウです。

選択肢ア(42.00㎡)とオ(168.00㎡)は、正しい面積84.00㎡のちょうど半分・2倍にあたり、平方根を取る段階や最終的な数値処理を誤った場合に生じやすい典型的なミスに対応します。イ(71.00㎡)・エ(105.00㎡)は、$s$ や $s-a$、$s-b$、$s-c$ の計算過程で生じる四則演算のミスに対応する数値です。

境界点の座標が与えられている場合は座標法(シューレースの公式)を用いるのが原則ですが、辺長のみが判明していて座標が得られない場合には、ヘロンの公式による三辺法が有効な代替手段になります。三角形が座標法・辺長法のいずれで与えられても対応できるようにしておくことが、この分野の実力の分かれ目になります。


問題: 表題部の登記事項についてする変更の登記及び更正の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記を変更の登記といい、登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記を更正の登記という。

イ. 登記官は、表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記をするときは、変更前又は更正前の事項を抹消する記号を記録しなければならない。

ウ. 表題部所有者の氏名又は名称及び住所についてする変更の登記又は更正の登記は、表示に関する登記には含まれず、権利に関する登記として扱われる。

エ. 更正の登記は、登記事項が登記された当初から誤っていた場合にする登記であり、登記後に生じた事情の変化により登記事項と実体とが一致しなくなった場合にする登記ではない。

オ. 表題部の登記事項について更正の登記をする場合には、更正前の事項を抹消する記号を記録する代わりに、当該事項を登記記録から完全に削除しなければならない。

答え: 誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説: 不動産登記法は、登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記を「変更の登記」と定義し(不動産登記法2条15号)、登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記を「更正の登記」と定義しています(同条16号)。アは正しい記述です。

登記官は、表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記をするときは、変更前又は更正前の事項を抹消する記号を記録しなければなりません(不動産登記規則91条)。イは正しい記述です。

ウは誤りです。表題部所有者の氏名又は名称及び住所は、表題部所有者に関する登記事項であり、不動産の「表示に関する登記」に含まれます(不動産登記法2条3号・7号)。表題部所有者についての更正の登記も、表示に関する登記の一種として扱われます。「権利に関する登記として扱われる」とする点が誤りです。

エは正しい記述です。更正の登記は登記事項が登記された当初から誤っていた場合(錯誤又は遺漏があった場合)にする登記であるのに対し、変更の登記は登記後に生じた事情の変化により登記事項と実体とが一致しなくなった場合にする登記であり、両者は原因の生じた時点で区別されます(不動産登記法2条15号・16号)。

オは誤りです。表題部の登記事項について更正の登記をする場合、登記官は、更正前の事項を抹消する記号を記録しなければならないのであって(不動産登記規則91条)、当該事項を登記記録から完全に削除するものではありません。抹消する記号を記録する処理と完全な削除とは異なる概念であり、この点を混同している点が誤りです。

以上より、誤っているものはウ・オの2つです。変更の登記と更正の登記は、原因の生じた時点(事後的な事情変化か、当初からの誤りか)で区別する一方、記録の処理方法(抹消する記号の記録)は共通している点を押さえておく必要があります。


出題分野の振り分け

科目 論点
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の滅失の登記(不動産登記法57条・51条・28条)
第2問 土地家屋調査士法 調査士会・日本土地家屋調査士会連合会の入会制度(同法47条・52条・8条)
第3問 民法(相隣関係) 隣地使用権(民法209条・令和5年4月1日施行)
第4問 測量計算 ヘロンの公式(三辺法)による三角形の面積計算
第5問 不動産登記法(作図・書式) 表題部の変更の登記・更正の登記と抹消記号(不動産登記法2条・不動産登記規則91条)