問題: 建物の分割の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物の分割の登記は、主である建物とその附属建物として1個の建物として登記されているものを、それぞれ別個の登記記録の建物とする登記である。

イ. 建物の分割の登記をするためには、分割後の各建物についてそれぞれ建物としての要件(外気分断性、定着性及び用途上の独立性)を満たしていることを要せず、単に登記記録を分ければ足りる。

ウ. 建物の分割の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が単独で申請することができる。

エ. 建物の分割の登記がされたときは、分割前の登記記録は閉鎖され、分割後の各建物についてそれぞれ新たな登記記録が作成される。

オ. 建物の分割の登記の申請情報と併せて提供する図面は、地積測量図である。

答え: 誤っているものは、イ・オの2つである。

解説: 建物の分割の登記は、主である建物とその附属建物として1個の建物にまとめて登記されているものを、それぞれ別個の登記記録の建物に分ける登記です(不動産登記法54条1項1号。建物の合併の登記の反対の関係にあります)。アは正しい記述です。

イは誤りです。建物の分割の登記は単なる登記記録上の操作ではなく、分割後の各建物がそれぞれ建物としての認定要件(外気分断性・定着性・用途上の独立性)を満たしていることが前提となります。附属建物が独立した建物としての実体を備えていなければ、分割の登記をすることはできません。

建物の分割の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法54条1項。表示に関する登記に共通する単独申請主義)。ウは正しい記述です。

エも正しい記述です。建物の分割の登記がされると、分割前の1個の建物としての登記記録は閉鎖され、分割後の各建物についてそれぞれ新たな登記記録が作成されます。分筆の登記や合体による登記等の場合の登記記録の処理と同様の考え方によります。

オは誤りです。地積測量図は土地の分筆の登記等に添付する図面であり、建物に関する登記(分割・区分・合併・表題登記等)に添付するのは建物図面及び各階平面図です。「建物の登記に地積測量図」とする点が誤りです。

以上より、誤っているものはイ・オの2つです。


問題: 土地家屋調査士の登録及び所属する土地家屋調査士会の変更に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士は、その氏名又は住所について登録を受けた事項に変更を生じたときは、遅滞なく、その旨を日本土地家屋調査士会連合会に届け出なければならない。

イ. アの届出は、当該調査士が所属する土地家屋調査士会を経由してしなければならない。

ウ. 土地家屋調査士がその事務所を、所属する土地家屋調査士会の区域外に移転したときは、移転後の事務所の所在地を管轄する土地家屋調査士会に新たに入会の手続をとる必要はない。

エ. 所属する土地家屋調査士会の変更の登録の申請をした調査士は、当該申請に基づく変更の登録の時に、従前所属していた土地家屋調査士会を退会する。

オ. 調査士は、所属する土地家屋調査士会の変更の登録の申請をするときは、現に所属する土地家屋調査士会にその旨を届け出ることを要しない。

答え: 誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説: 調査士は、土地家屋調査士名簿に登録を受けた事項に変更(所属する土地家屋調査士会の変更を除く。)が生じたときは、遅滞なく、その旨を日本土地家屋調査士会連合会に届け出なければなりません(土地家屋調査士法14条)。アは正しい記述です。

この届出は、所属する土地家屋調査士会を経由してしなければなりません(同法14条)。イも正しい記述です。

ウは誤りです。調査士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとするときは、その管轄区域内に設立された土地家屋調査士会を経由して、所属する調査士会の変更の登録の申請をしなければならず(土地家屋調査士法13条1項)、この申請と同時に、申請を経由すべき調査士会に入会する手続をとらなければなりません(同法52条1項)。入会の手続をとっていないときは、変更の登録は拒否されます(同法13条3項)。「入会の手続をとる必要はない」とする点が誤りです。

エは正しい記述です。所属する調査士会の変更の登録の申請をした調査士は、当該申請に基づく変更の登録の時に、従前所属していた調査士会を退会します(同法52条3項)。あわせて、入会の手続をとった者は、当該変更の登録の時に、移転先の調査士会の会員となります(同法52条2項)。

オは誤りです。調査士は、所属する調査士会の変更の登録の申請をするときは、現に所属する調査士会にその旨を届け出なければなりません(土地家屋調査士法13条2項)。「届け出ることを要しない」とする点が誤りです。

以上より、誤っているものはウ・オの2つです。


問題: 境界線付近の掘削の制限に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには、境界線から2メートル以上の距離を保たなければならない。

イ. 池、穴蔵又はし尿だめを掘るには、境界線から1メートル以上の距離を保たなければならない。

ウ. 導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、常に境界線から1メートル以上の距離を保たなければならない。

エ. 境界線の付近において前記の掘削の工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない。

オ. 境界線付近の掘削に関する距離の規定と異なる慣習があるときは、常にその慣習が優先する。

答え: 誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説: 民法237条1項は、境界線付近における掘削工事について、井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から2メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには1メートル以上の距離を保たなければならないと定めています。ア・イはいずれもこの規定どおりの記述であり、正しい記述です。

ウは誤りです。同条2項は、導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、その深さの2分の1以上の距離を保たなければならないが、1メートルを超えることを要しないと定めています。距離は掘削の深さに応じて算出される可変的なものであり、「常に1メートル以上」とする点が誤りです。

エは正しい記述です。民法238条は、境界線の付近において前条の工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならないと定めています(「土地の崩壊」ではなく「土砂の崩壊」である点も、条文の文言として押さえておきましょう)。

オは誤りです。民法236条は、前二条(234条・235条=境界線付近の建築・目隠し)の規定と異なる慣習があるときはその慣習に従うと定めるものであり、条文の文言上、「異なる慣習に従う」旨が明文で置かれている範囲はこの2か条です。掘削の制限を定める237条・238条には、これと同じ形の明文は置かれていません。したがって、少なくとも掘削の距離制限についてまで「常にその慣習が優先する」と言い切ることはできず、この点で誤りです(237条・238条について慣習がどこまで考慮され得るかは、本肢の正誤とは別の解釈問題です。本肢は、236条の明文の範囲を超えて「常に」と一般化している点が誤りとなります)。

なお、令和3年の民法改正(令和3年法律第24号、令和5年4月1日施行)は、相隣関係の規定のうち隣地使用権(209条)、継続的給付を受けるための設備の設置権等(213条の2・213条の3)、越境した竹木の枝の切除(233条)を見直したものであり、本問で扱う境界線付近の掘削の制限(237条・238条)や慣習に関する規定(236条)自体は改正されていません。学習に当たっては、改正された論点との混同に注意してください。

以上より、誤っているものはウ・オの2つです。


問題: 平面直角座標系上の境界点A、Bの座標が次のとおりであるとき、直線ABを延長した先に、AP:PB=3:1(外分)となるように定める新点Pの座標として最も近いものはどれか。ただし、座標の単位はメートルとする。

$$ A(100.000,\ 100.000),\quad B(180.000,\ 140.000) $$

ア. P(200.000, 150.000)

イ. P(210.000, 155.000)

ウ. P(220.000, 160.000)

エ. P(230.000, 165.000)

オ. P(240.000, 170.000)

答え: ウ(P(220.000, 160.000))

解説: 2点A、Bを結ぶ直線をm:n(m>n)の比で外分する点Pの座標は、次の式で求められます。

$$ P\left(\frac{mX_B-nX_A}{m-n},\ \frac{mY_B-nY_A}{m-n}\right) $$

本問ではAP:PB=3:1(外分)なのでm=3、n=1です。X座標・Y座標それぞれについて計算します。

$$ X_P=\frac{3\times180.000-1\times100.000}{3-1}=\frac{540.000-100.000}{2}=\frac{440.000}{2}=220.000 $$

$$ Y_P=\frac{3\times140.000-1\times100.000}{3-1}=\frac{420.000-100.000}{2}=\frac{320.000}{2}=160.000 $$

したがって、P(220.000, 160.000)となります。

検算として、AからBへのベクトルは$(80.000,\ 40.000)$であり、外分比3:1(m>nでBの外側にPがある場合)のとき、AP=$\frac{m}{m-n}$倍のABベクトルに等しくなります。$\frac{m}{m-n}=\frac{3}{2}=1.5$なので、AP=$1.5\times(80.000,\ 40.000)=(120.000,\ 60.000)$、P=A+AP=$(100.000+120.000,\ 100.000+60.000)=(220.000,\ 160.000)$となり、一致します。

したがって、最も近いものはウのP(220.000, 160.000)です。なお、外分点の計算は、既存の境界線を延長した先に新たな境界点を設ける場合など、実務上の座標計算でも用いられる考え方です。関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)を用いて分数計算を丁寧に処理すれば、確実に得点できます。


問題: 地図の訂正の申出に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その訂正の申出をすることができる。

イ. 地図の訂正の申出をすることができる者は、当該地図に記録されている土地の所有権の登記名義人に限られる。

ウ. 登記官は、地図に誤りがあると認めるときは、申出がなくても、職権で地図を訂正することができる。

エ. 地図の訂正の申出をするには、必ず土地家屋調査士が代理人としてこれを行わなければならない。

オ. 地図の訂正がされた場合には、訂正前の地図の内容を事後に確認する方法はない。

答え: 誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説: 地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができます(不動産登記規則16条1項)。アは正しい記述です。誰でも申出ができるわけではなく、申出をすることができる者が規則で定められている点に注意してください。

イは誤りです。地図の訂正の申出をすることができる者は、所有権の登記名義人に限られません。表題部所有者のほか、これらの相続人その他の一般承継人も申出をすることができます(不動産登記規則16条1項)。「所有権の登記名義人に限られる」とする点が誤りです。

ウは正しい記述です。地図の訂正は申出によるものだけでなく、登記官は、地図等に誤りがあると認めるときは、職権で、その訂正をすることができます(不動産登記規則16条15項)。

エは誤りです。地図の訂正の申出は本人が行うこともでき、土地家屋調査士による代理が必須というわけではありません。「必ず土地家屋調査士が代理人としてこれを行わなければならない」とする点が誤りです。

オも誤りです。「確認する方法はない」というのは、およそいかなる方法によっても確認できないという全面的な否定であり、このような無条件の断定はそれ自体成り立ちにくいものです。地図及び地図に準ずる図面は、閉鎖したものを含めて永久に保存するものとされているほか(不動産登記規則28条2号)、地図等については、何人も登記官に対し手数料を納付してその写しの交付又は閲覧を請求することができます(不動産登記法120条1項・2項)。少なくとも「一切確認する方法がない」とまでは言えず、この全面否定の点で誤りです。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つです。


出題分野の振り分け

科目 論点
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の分割の登記(建物としての要件・単独申請・添付図面)
第2問 土地家屋調査士法 登録事項の変更の届出・所属する調査士会の変更(入会・退会)
第3問 民法(相隣関係) 境界線付近の掘削の制限(民法237条・238条・236条の適用範囲)
第4問 測量計算 外分点の座標計算
第5問 不動産登記法(作図・書式) 地図の訂正の申出(申出人・職権訂正・代理の要否)