問題: 建物の合併の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物の合併の登記は、数個の建物を登記記録上1個の建物とする登記であり、増築等により数個の建物が構造上1個の建物となった場合の合体の登記とは異なる。

イ. 共有持分を異にする建物については、建物の合併の登記をすることができない。

ウ. 所有権の登記がある建物と、表題登記のみがされ所有権の登記がない建物とは、建物の合併の登記をすることができない。

エ. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物であっても、その名義人全員が合併に同意すれば、直ちに建物の合併の登記をすることができる。

オ. 抵当権の登記がある建物は、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一である担保権の登記がある場合を除き、原則として建物の合併の登記をすることができない。

答え: 誤っているものは、エの1つである。

解説: 建物の合併の登記は、既に登記されている数個の建物を登記記録上1個の建物(主である建物とその附属建物、又は1個の建物)にまとめる表示に関する登記です。物理的に別棟のまま登記記録上だけを1個に扱う点で、増築等で物理的・構造的に1個の建物になった場合の合体の登記(不動産登記法49条の場面)とは制度が異なります。アは正しい記述です。

建物の合併の登記の制限は不動産登記法56条が定めており、合筆の登記の制限(41条)と類似の発想で、権利関係が食い違う建物同士の合併を認めません。すなわち、共有持分を異にする建物(イ)、所有権の登記がある建物と所有権の登記がない建物(ウ)、表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物は、いずれも合併の登記をすることができません。したがってイ・ウは正しく、エは誤りです。名義人が異なる以上、当事者が合併に同意していても、そのままでは合併の登記はできません(先に持分移転等で名義を揃える必要があります)。

オも正しい記述です。所有権等以外の権利に関する登記(抵当権等)がある建物は原則として合併できませんが、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一の担保権の登記がある場合など、権利内容が一致しているときは例外的に合併が認められます(不動産登記法56条5号・不動産登記規則131条)。

以上より、誤っているのはエの1つです。


問題: 土地家屋調査士の登録及びその取消しに関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士となる資格を有する者が調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会に備える土地家屋調査士名簿に登録を受けなければならない。

イ. 調査士名簿の登録の取消しは、懲戒処分の一種として、法務大臣がこれを行う。

ウ. 調査士が死亡したとき、又は業務を廃止したときは、その登録は取り消される。

エ. 調査士が心身の故障により業務を行うことができないときは、その登録を取り消すことができる。

オ. いったん登録を取り消された者は、その取消しの理由を問わず、以後二度と調査士の登録を受けることができない。

答え: 正しいものは、ア・ウ・エの3つである。

解説: 調査士は、連合会に備える土地家屋調査士名簿に登録を受けることによって調査士となります(登録が資格の得喪要件です)。登録の申請は所属することとなる調査士会を経由して連合会に対して行い、登録・登録の取消しといった名簿の管理は連合会が行います。アは正しい記述です。

イは誤りです。登録の取消しは、名簿を管理する連合会が行う手続であり、懲戒処分とは別の制度です。戒告・2年以内の業務の停止・業務の禁止という懲戒処分は、法務大臣が行います(令和元年改正・令和2年8月1日施行により、懲戒権者は法務局長等から法務大臣に一元化されました)。「登録の取消し」と「懲戒」を混同させる点が誤りです。

登録の取消しには、必要的な取消し(連合会が必ず取り消さなければならない場合)と、任意的な取消し(取り消すことができる場合)があります。調査士の死亡・業務の廃止・欠格事由への該当などは必要的取消しの事由であり(土地家屋調査士法15条)、ウは正しい記述です。他方、心身の故障により業務を行うことができないときなどは任意的取消しの事由であり(土地家屋調査士法16条)、エも正しい記述です。

オは誤りです。登録が取り消されても、それだけで一律に将来の登録が閉ざされるわけではありません。単なる業務廃止の届出による取消しであれば、再び資格要件を満たして登録を受けることができます。将来の登録を制限するのは、欠格事由に該当する場合や、業務の禁止の懲戒処分を受けて一定期間が経過していない場合など、別途定められた欠格の枠組みによります。

以上より、正しいものはア・ウ・エの3つです。


問題: 地役権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 地役権は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する権利である。

イ. 地役権は、要役地の所有権に従たるものとしてその所有権とともに移転し、要役地から分離して譲渡することはできない。

ウ. 土地の共有者の一人は、その持分について、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができる。

エ. 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの(継続かつ表現のもの)に限り、時効によって取得することができる。

オ. 承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、その承役地の上に存する地役権は、これによって消滅する。

答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。

解説: 地役権は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する権利です(民法280条)。通行地役権・引水地役権・観望地役権などが典型で、常に要役地と承役地という二つの土地の関係で成立します。アは正しい記述です。

地役権には付従性があり、要役地の所有権に従たるものとしてその所有権とともに移転し、要役地から分離して譲渡したり、他の権利の目的としたりすることはできません(民法281条)。イは正しい記述です。

ウは誤りです。地役権には不可分性があり、土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができません(民法282条)。要役地・承役地が分割され、又はその一部が譲渡されても、地役権は原則として各部分のために、又は各部分について存続します。「消滅させることができる」とする点が誤りです。

地役権のうち時効によって取得できるのは、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの(継続かつ表現のもの)に限られます(民法283条)。エはこの条文の文言どおりの記述であり、正しい記述です。なお、通行地役権については、承役地の上に要役地の所有者によって通路が開設されていることが「継続」の要件として求められると解されています。この開設要件については学説上これを緩和すべきとする見解もありますが、なお要役地所有者による開設を要するとの理解が一般的です。

オは正しい記述です。承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、その承役地の上に存する地役権は、これによって消滅します(民法289条)。承役地が地役権の負担のない土地として時効取得されることに対応した規律です。

以上より、正しいものはア・イ・エ・オの4つです。


問題: 平面直角座標系上に、境界点A・B・C・D・Eをこの順に直線で結んだ五角形の土地がある。各点の座標値が次のとおりであるとき、この土地の面積として最も近いものはどれか。ただし、座標の単位はメートルとする。

$$ A(100.00,\ 100.00),\quad B(160.00,\ 120.00),\quad C(180.00,\ 180.00),\quad D(120.00,\ 210.00),\quad E(80.00,\ 160.00) $$

ア. 6800.00 m²

イ. 6850.00 m²

ウ. 6900.00 m²

エ. 6950.00 m²

オ. 7000.00 m²

答え: ウ(6900.00 m²)

解説: 座標が与えられた多角形の面積は、座標法(いわゆるシューレースの公式)で求めます。頂点を順に $(x_1,y_1),\ (x_2,y_2),\ \dots,\ (x_n,y_n)$ とし、$(x_{n+1},y_{n+1})=(x_1,y_1)$ とみなすと、面積 $S$ は次式で表されます。

$$ S=\frac{1}{2}\left|\sum_{i=1}^{n}\left(x_i,y_{i+1}-x_{i+1},y_i\right)\right| $$

各辺について $x_i y_{i+1}-x_{i+1}y_i$ を計算します。

$$ \begin{aligned} A\to B&:\ 100\times120-160\times100=12000-16000=-4000\ B\to C&:\ 160\times180-180\times120=28800-21600=+7200\ C\to D&:\ 180\times210-120\times180=37800-21600=+16200\ D\to E&:\ 120\times160-80\times210=19200-16800=+2400\ E\to A&:\ 80\times100-100\times160=8000-16000=-8000 \end{aligned} $$

総和は

$$ -4000+7200+16200+2400-8000=13800 $$

となり、この値(倍面積)を2で割ると面積が得られます。

$$ S=\frac{1}{2}\times|13800|=6900.00\ \text{m}^2 $$

したがって、最も近いものはウの6900.00 m²です。

なお、座標法は座標値さえ正確であれば頂点数によらず機械的に計算でき、三斜法やヘロンの公式のように三角形へ分割する必要がありません。本試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)を使用できますので、符号を含めた各項の計算を丁寧に積み上げれば確実に得点できます。


問題: 土地の分筆の登記の申請情報と併せて提供する地積測量図に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地の分筆の登記を申請するときは、分筆後の土地の地積測量図を提供しなければならない。

イ. 地積測量図の縮尺は、250分の1を原則とする。

ウ. 地積測量図には、各筆界点間の距離を記録しなければならない。

エ. 地積測量図には、原則として、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録する。

オ. 分筆後の各土地の地積は、分筆前の地積測量図の地積をそのまま用いれば足り、分筆後に改めて求積する必要はない。

答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説: 分筆の登記は、一筆の土地を二筆以上に分ける表示に関する登記であり、その申請には地積測量図を添付情報として提供しなければなりません。アは正しい記述です。

地積測量図の縮尺は250分の1を原則とし、土地が広大であるなど土地の状況により相当でない場合には他の縮尺によることができます(不動産登記規則77条4項)。建物図面の縮尺500分の1と取り違えさせる出題が頻出ですが、地積測量図は250分の1が原則です。イは正しい記述です。

地積測量図には、地番区域の名称・方位・縮尺のほか、各筆界点間の距離、地積及びその求積方法、そして原則として基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録します(不動産登記規則77条)。ウ・エはいずれも正しい記述です(基本三角点等がない場合には、近傍の恒久的な地物に基づく座標値によることが認められています)。

オは誤りです。分筆後は、原則として分筆後の各土地について求積を行い、それぞれの地積を明らかにする必要があります。分筆前の地積をそのまま流用してよいわけではなく、「改めて求積する必要はない」とする点が誤りです。

以上より、正しいものはア・イ・ウ・エの4つです。


出題分野の振り分け

科目 論点
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の合併の登記の制限(合体との区別・不動産登記法56条)
第2問 土地家屋調査士法 調査士の登録の取消し(必要的取消し・任意的取消し・懲戒との区別)
第3問 民法(物権) 地役権(定義・付従性・不可分性・時効取得・承役地時効取得による消滅)
第4問 測量計算 座標法(シューレースの公式)による五角形の面積計算
第5問 不動産登記法(作図・書式) 分筆の登記における地積測量図(縮尺・記録事項・分筆後の求積)