この記事の要点
- 登記が終わると複数の書類が返ってくるが、なかでも「登記識別情報通知」と「登記完了証」は役割がまったく違う
- 登記識別情報通知は昔の「権利証」にあたるもので、新しく名義人になった人だけに通知される12桁の符号
- 登記完了証は「登記が終わりました」というお知らせで、権利を証明する書類ではない
不動産の登記(名義の書き換えなど)が完了すると、法務局からいくつかの書類が返ってきます。このとき混同されやすいのが「登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)」と「登記完了証(とうきかんりょうしょう)」です。結論から言えば、大切に保管すべきは登記識別情報通知のほうで、登記完了証は手続きが終わったことのお知らせにあたります。
登記識別情報通知とは
登記識別情報とは、アラビア数字などを組み合わせた12桁の符号(パスワードのようなもの)です。かつての紙の「権利証(登記済証)」に代わるもので、オンラインでの登記申請が広まるなかで使われるようになりました。新しく所有者や抵当権者になった人に対して通知され、符号の部分は目隠しシール(古い様式)や折り込み・封緘(新しい様式)で見えないように隠されています。この符号自体が本人確認の鍵になるため、隠されている部分を不用意に開けたり、他人に見せたりコピーを渡したりしないよう注意が必要です。
不動産を売るときや、住宅ローン完済後の抵当権抹消などで次の登記をするときに必要になるのは、この登記識別情報のほうです。
登記完了証とは
一方の登記完了証は、「申請したとおり登記が完了しました」という通知です。申請した人に交付・送付されますが、権利そのものを証明する書類ではありません。そのため、次の登記の際に提出する必要はありません。
窓口でよくあるのが、登記完了証を「これが権利証だ」と思い込んで大切に保管し、肝心の登記識別情報通知の符号のほうを見当たらなくしてしまう、というケースです。不動産の売買の決済などで慌てないよう、どちらがどの役割かを押さえておくと安心です。
なお、すでにお持ちの昔の紙の権利証(登記済証)は現在も有効で、無理に登記識別情報へ切り替える手続きは不要です。これは執筆時点(2026年7月)の制度に基づく一般的な解説です。
まとめ
登記識別情報通知は今の「権利証」にあたる大切な書類、登記完了証は完了のお知らせ──この役割の違いを押さえておくと、書類の保管や次の手続きで迷いにくくなります。ご自身の書類がどれにあたるか判断に迷うときや、符号が見当たらないときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年7月・いずれも一次情報です)。
- 不動産登記法 第21条(登記識別情報の通知)・第22条・第2条第14号(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
- 不動産登記規則 第61条(登記識別情報の定め方)・第181条(登記完了証)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
- 法務省「登記識別情報通知書の様式の変更等について」(目隠しシールから折り込み・封緘への変更): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00206.html
- 福島地方法務局「登記識別情報って何?」(登記識別情報=12桁の符号): https://houmukyoku.moj.go.jp/fukushima/table/QandA/all/sikibetu.html