問題:

区分建物の表示に関する登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 建物が区分建物であるときは、その区分建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積が、建物の表示に関する登記の登記事項となる。

イ. 区分建物に敷地権があるときは、その敷地権も、建物の表示に関する登記の登記事項となる。

ウ. 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。

エ. 新築された一棟の建物に属する区分建物についての表題登記の申請は、当該一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

オ. 区分建物の表題登記は、各区分建物の所有者がそれぞれ自己の区分建物についてのみ申請することができ、他の区分建物の所有者に代わって申請することはできない。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説:

アは正しい。建物の表示に関する登記の登記事項は不動産登記法44条1項に列挙されており、建物が区分建物であるときは、その区分建物又は附属建物が属する「一棟の建物の構造及び床面積」が登記事項となる(同項7号)。区分建物では、専有部分だけでなく、その入れ物である一棟の建物の物理的状況も公示される点が非区分建物との大きな違いである。なお同項8号は一棟の建物の名称、6号は共用部分又は団地共用部分である旨を登記事項としている。

イは正しい。敷地権とは、登記された区分建物の敷地利用権のうち、専有部分と分離して処分できないものをいう。区分建物に敷地権があるときは、その敷地権も表示に関する登記の登記事項となる(不動産登記法44条1項9号)。敷地権が登記されると、区分建物の登記記録の表題部(敷地権の表示)に記録され、敷地についての権利変動は原則として区分建物の登記に一元化される。

ウは正しい。区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない(建物の区分所有等に関する法律22条1項=分離処分の禁止)。この分離処分禁止と、それを公示する敷地権の登記があいまって、専有部分と敷地利用権の一体性が確保されている。「規約に別段の定めがあるとき」は分離処分が可能となる例外である点も押さえておきたい。

エは正しい。新築された一棟の建物に属する区分建物についての表題登記の申請は、当該一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない(不動産登記法48条1項=一括申請)。一棟の建物と各区分建物の登記記録は相互に関連するため、ばらばらに登記させず同時に申請させる趣旨である。

オは誤り。不動産登記法48条は、区分建物の表題登記について一括申請を義務づけるとともに、区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わってその区分建物についての表題登記を申請することができるとしている(代位申請)。したがって「他の区分建物の所有者に代わって申請することはできない」とする点が誤りである。一括申請の実効性を確保するための代位が認められている。

以上より、正しいものはア・イ・ウ・エの4つである。


問題:

土地家屋調査士及び土地家屋調査士法人(以下「調査士」「調査士法人」という。)に対する懲戒に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 法務大臣は、調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、当該調査士に対し、戒告、二年以内の業務の停止又は業務の禁止の処分をすることができる。

イ. 調査士法人に対する懲戒処分には、戒告及び二年以内の業務の全部又は一部の停止のほか、解散が含まれる。

ウ. 調査士に対する懲戒の手続は、当該調査士の所属する土地家屋調査士会の会長がその事実を法務大臣に請求した場合に限り、開始することができる。

エ. 解散の処分を受けた調査士法人は、その清算が結了したときは、懲戒の手続との関係においても消滅したものとして扱われ、以後その手続を続行することはできない。

オ. 業務の禁止の処分を受けた者は、その処分の日から三年を経過しない間は、調査士の登録を受けることができない。

答え:

正しいものは、ア・イ・オの3つである。

解説:

アは正しい。調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士に対し、①戒告、②二年以内の業務の停止、③業務の禁止の処分をすることができる(土地家屋調査士法42条)。かつては法務局又は地方法務局の長が懲戒権者であったが、令和元年法律第29号(令和2年8月1日施行)により、懲戒権者は法務大臣に一元化された。

イは正しい。調査士法人がこの法律等に違反したときは、法務大臣は、当該調査士法人に対し、①戒告、②二年以内の業務の全部又は一部の停止、③解散の処分をすることができる(土地家屋調査士法43条1項)。個人の調査士に対する処分(42条)とは異なり、法人については「業務の全部又は一部の停止」とされ、また最も重い処分として「解散」が定められている点が特徴である。

ウは誤り。何人も、調査士又は調査士法人にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる(土地家屋調査士法44条)。懲戒の端緒は「何人も」の申出により開かれるのであって、所属会の会長の請求を要件とするものではない。処分権者も法務大臣であるから、本記述は主体・要件の両面で誤りである。

エは誤り。解散の処分(43条1項3号)の手続に付された調査士法人は、清算が結了した後においても、懲戒に関する規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなされる(土地家屋調査士法43条2項)。清算結了により手続から逃れられるとすると懲戒制度が潜脱されるため、手続結了までは存続擬制がされる。したがって「手続を続行できない」とする点が誤りである。

オは正しい。業務の禁止の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者は、調査士の欠格事由に該当し、調査士の登録を受けることができない(土地家屋調査士法5条)。一度業務の禁止処分を受けても、三年の経過により欠格事由が消滅する点(時限性)を押さえておきたい。

以上より、正しいものはア・イ・オの3つである。


問題:

公道に至るための他の土地の通行権(いわゆる囲繞地通行権)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

イ. 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、公道に至るための他の土地の通行権が認められる。

ウ. 通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならず、通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。

エ. 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のほか、これに隣接する第三者の所有地をも選択して通行することができる。

オ. 分割によって生じた袋地の所有者が他の分割者の所有地を通行する場合には、その通行によって他の分割者の土地に生じた損害に対し、償金を支払わなければならない。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウの3つである。

解説:

アは正しい。他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行することができる(民法210条1項)。この通行権は袋地所有者の土地所有権に当然に付随する法定の権利であり、囲繞地所有者との合意を要しない。

イは正しい。池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、囲繞地通行権が認められる(民法210条2項)。物理的に囲まれていなくても、これらの事情により公道に通じない準袋地についても通行権を認める趣旨である。

ウは正しい。通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。また、通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる(民法211条)。なお、通行の態様として自動車による通行を前提とする通行権が認められるかについては、判例は、自動車通行を認める必要性、周辺土地の状況、自動車通行を前提とする通行権が認められることにより他の土地に及ぼす影響等の諸事情を総合考慮して判断すべきとしている(最判平成18年3月16日民集60巻3号735頁)。囲繞地通行権の内容が一律ではなく、事案ごとの利益衡量によって定まることを示した判例として押さえておきたい。

エは誤り。分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、「他の分割者の所有地のみ」を通行することができる(民法213条1項前段)。袋地を生じさせた分割という原因を作った当事者間で通行の負担を処理させる趣旨であり、無関係な第三者の土地を選択して通行することはできない。したがって「隣接する第三者の所有地をも選択して通行することができる」とする点が誤りである。

オは誤り。民法213条1項後段は、分割によって生じた袋地の所有者が他の分割者の所有地を通行する場合には、「償金を支払うことを要しない」と定めている。一般の囲繞地通行権(210条)では通行地の損害に対し償金を支払わなければならない(212条本文)のに対し、分割による袋地の場合は当事者間で負担を完結させるため償金が不要とされる点が対比のポイントである。したがって「償金を支払わなければならない」とする点が誤りである。

なお、この分割による無償通行権(213条)については、通行の対象である残余地がその後第三者に譲渡された(特定承継が生じた)場合に通行権が存続するかをめぐって議論がある。判例は、この通行権を袋地に付着した物権的な権利であり残余地に付着した物権的な負担であると解し、残余地が特定承継されても消滅しないとする(最判平成2年11月20日民集44巻8号1037頁)。もっとも学説には、無償の通行負担が事情を知らない残余地の取得者にも当然に及ぶのは取引の安全を害するとして、承継を否定し、又は承継人には償金を要すると解すべきとする批判説もある。試験対策としては、判例である存続肯定(物権的負担)説を軸に押さえたうえで、これに対する批判説の存在という対立軸も理解しておけば足りる。

以上より、正しいものはア・イ・ウの3つである。


問題:

平面直角座標系における次の4点を順に結んだ四角形ABCDの土地について、座標法(倍横距法)により面積を求めた場合、その値に最も近いものはどれか。なお、単位はメートルとする。

$$A(1050.00,\ 2020.00),\quad B(1120.00,\ 2050.00),\quad C(1100.00,\ 2130.00),\quad D(1030.00,\ 2095.00)$$

ア. 5,850.00 m²

イ. 6,075.00 m²

ウ. 6,300.00 m²

エ. 12,150.00 m²

オ. 3,037.50 m²

答え:

イ(6,075.00 m²)

解説:

座標法(倍横距法、いわゆるシューレースの公式)では、各点の $X$ 座標に「一つ後の点の $Y$ 座標から一つ前の点の $Y$ 座標を引いた差」を乗じて総和をとり、その絶対値の 2 分の 1 が面積となる。

$$2A = \left| \sum_{i} X_i ,(Y_{i+1} - Y_{i-1}) \right|$$

各点の寄与を計算すると次のとおりである(前後の点は循環し、A の前は D、D の後は A とする)。

点A:$1050.00 \times (Y_B - Y_D) = 1050.00 \times (2050.00 - 2095.00) = 1050.00 \times (-45.00) = -47{,}250.00$

点B:$1120.00 \times (Y_C - Y_A) = 1120.00 \times (2130.00 - 2020.00) = 1120.00 \times 110.00 = +123{,}200.00$

点C:$1100.00 \times (Y_D - Y_B) = 1100.00 \times (2095.00 - 2050.00) = 1100.00 \times 45.00 = +49{,}500.00$

点D:$1030.00 \times (Y_A - Y_C) = 1030.00 \times (2020.00 - 2130.00) = 1030.00 \times (-110.00) = -113{,}300.00$

総和は $-47{,}250.00 + 123{,}200.00 + 49{,}500.00 - 113{,}300.00 = 12{,}150.00$(これが倍面積 $2A$)。

したがって面積は $A = 12{,}150.00 \div 2 = 6{,}075.00$ m²。正解はイである。

エの 12,150.00 m² は倍面積 $2A$ をそのまま面積としてしまった誤り、オの 3,037.50 m² は面積をさらに半分にしてしまった誤りである。倍面積を 2 で割る一手を忘れないこと。土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)を持ち込めるため、座標値をそのまま計算に用いてよい。検算として、対角線 AC で 2 つの三角形に分けてそれぞれの面積を座標法で求め、合算して同じ値になるかを確認するとよい。


問題:

地積測量図に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 地積測量図には、地積及びその求積方法を記録しなければならない。

イ. 地積測量図には、筆界点間の距離を記録しなければならない。

ウ. 地積測量図には、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録するのが原則であるが、基本三角点等がない場合その他これによることができない特別の事情がある場合には、近傍の恒久的な地物に基づく座標値を記録することができる。

エ. 地積測量図は、原則として二百五十分の一の縮尺により作成するものとするが、土地の状況その他の事情により適当でないときは、この限りでない。

オ. 地積測量図の縮尺は、五百分の一を原則とし、これは建物図面の縮尺と共通である。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説:

アは正しい。地積測量図には、地積及びその求積方法を記録しなければならない(不動産登記規則77条1項5号)。求積方法としては座標法や三斜法があり、実務では基本三角点等に基づく座標値を用いた座標法(倍横距法)が一般的である。

イは正しい。地積測量図には、筆界点間の距離を記録しなければならない(不動産登記規則77条1項6号)。隣接する筆界点をつなぐ距離を記載することで、図面上で土地の形状と各辺の長さが確認できる。

ウは正しい。地積測量図には、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録するのが原則である(不動産登記規則77条1項8号)。もっとも、基本三角点等がない場合その他これによることができない特別の事情がある場合には、近傍の恒久的な地物に基づく座標値をもって代えることができる(同条2項)。世界測地系による座標値を原則としつつ、現地の事情に応じた代替措置を認めている。

エは正しい。地積測量図は、二百五十分の一の縮尺により作成するものとする。ただし、土地の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない(不動産登記規則77条4項)。原則250分の1で、広大地などでは他の縮尺も許容される。

オは誤り。前記エのとおり、地積測量図の縮尺は二百五十分の一が原則である(不動産登記規則77条4項)。五百分の一は建物図面の縮尺(不動産登記規則82条3項)であって、地積測量図の縮尺ではない。地積測量図(250分の1)・建物図面(500分の1)・各階平面図(250分の1)の縮尺は取り違えやすいので、対比して覚えておきたい。したがって本記述は誤りである。

以上より、正しいものはア・イ・ウ・エの4つである。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文・判例
第1問 不動産登記法(表示) 区分建物の表示登記事項・敷地権・分離処分の禁止・一括申請と代位 不動産登記法44条1項6〜9号・48条、区分所有法22条
第2問 土地家屋調査士法 調査士・調査士法人に対する懲戒(処分権者・処分の種類・手続・欠格) 土地家屋調査士法42条・43条・44条・5条
第3問 民法(相隣関係) 囲繞地通行権・準袋地・通路の場所方法・分割による袋地と償金(無償通行権の特定承継の学説対立) 民法210条〜213条、最判平成18年3月16日民集60巻3号735頁、最判平成2年11月20日民集44巻8号1037頁
第4問 測量計算 座標法(倍横距法・シューレースの公式)による四角形の面積計算
第5問 作図・書式 地積測量図の記録事項(地積・求積方法・筆界点間距離・座標値)と縮尺 不動産登記規則77条1項5号・6号・8号、2項、4項、82条3項