この記事の要点

  • 貸したお金や未払い代金は、一定期間放っておくと「消滅時効」で相手に支払いを断られることがある
  • 多くの債権は、原則として「知った時から5年」または「行使できる時から10年」で時効になる(民法166条1項)
  • 時効は、相手の承認・裁判上の請求・催告といった方法で止められるが、口頭で催促しただけでは確実には止まらない

友人に貸したお金や、取引先の未払い代金――「そのうち払ってくれるだろう」と待っているうちに、法律上は回収しにくくなってしまうことがあります。これが「消滅時効(しょうめつじこう)」です。この記事では、時効の期間と、進行を止める方法の枠組みを一般向けに整理します。

これは執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。

貸したお金は原則5年で時効

2020年(令和2年)4月に施行された改正民法では、多くの債権(お金を請求する権利)は、①権利を行使できることを知った時から5年、②権利を行使できる時から10年、のいずれか早い方で時効になるとされています(民法166条1項)。友人への貸金や日常の売掛金など、返してもらう時期がわかっているお金は、通常この「5年」が目安になります。

かつては「飲食代は1年」「品物の代金は2年」といった短い時効が細かく定められていましたが、改正でこれらは廃止され、原則に一本化されました。ただし、2020年3月末までに発生した債権には古いルールが適用されることがあり、いつ発生したお金かで扱いが変わります。

時効は「止める」ことができる

時効は、期間が過ぎる前に手を打てば、進行を止めたり振り出しに戻したりできます。代表的なのは次の三つです。

  • 承認(民法152条)――相手が「たしかに借りている」と認めると、時効はそこから数え直しになります。一部だけ返す、借用書に一筆もらう、といった行為も承認にあたることがあります。
  • 裁判上の請求(民法147条)――訴訟や支払督促を起こすと、手続きの間は時効の完成が止まり、判決などで確定すれば数え直しになります。
  • 催告(民法150条)――内容証明郵便などで支払いを求める方法です。ただし催告だけでは6か月間、時効の完成を先延ばしにする効果しかなく、その間に訴訟などを起こさなければ時効は進んでしまいます。

注意したいのは、メールや口頭で「払って」と言っただけでは、確実に時効を止めたことにはならない点です。言った・言わないの証拠も残りにくいため、確実に止めたいときは内容証明を使い、期間内に法的手続きへつなげるのが安全です。

なお、認定を受けた司法書士が代理できるのは、請求額が140万円以下の場合です(司法書士法3条1項6号)。これを超える請求は弁護士が扱う範囲になります。

まとめ

貸したお金や未払い代金は、原則5年で消滅時効にかかり、放置すると回収が難しくなります。時効が近そうなときは、相手の承認を書面で残す、内容証明を送る、支払督促や訴訟を起こすといった手を、期間内に打つ必要があります。ご自身の債権が時効前かどうか、どの手続きが向くかは個別の事情によって変わりますので、まずはお近くの司法書士や法テラスにご相談ください(請求額が140万円を超える場合は弁護士へ)。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年7月・いずれも一次情報です)。

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