問題:
表題登記の申請義務に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 新たに生じた土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない。
イ. 表題登記がない土地の所有権を取得した者も、アと同様に、その所有権の取得の日から1か月以内に表題登記を申請する義務を負う。
ウ. 新築した建物(区分建物を除く。)の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない。
エ. 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。
オ. 表題登記の申請義務を負う者が正当な理由なくその申請を怠ったときは、登記官がその者に対し10万円以下の過料を科す。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。
解説:
表題登記の申請義務は、土地について不動産登記法36条、建物について同法47条が定める。いずれも「所有権の取得の日から一月以内」という期間の定めが共通しており、この1か月という起算点付きの期間制限が、表示に関する登記の申請義務の基本形である。義務違反の効果(過料)は誰が科すのかという点、そして義務者本人が申請しない間に相続その他の一般承継が生じた場合にどうなるかという点まで押さえておく必要がある。
アは正しい。36条は、「新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」と定めている。公有水面埋立てなどにより新たに生じた土地の所有権を取得した場合が典型である。
イも正しい。36条は「新たに生じた土地」と「表題登記がない土地」を同一の条文・同一の期間で並列に規律しており、既存の未登記の土地の所有権を取得した場合も、新たに生じた土地の場合と区別なく1か月以内の申請義務を負う。
ウも正しい。47条1項は、「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」と定めている。土地(36条)・建物(47条1項)のいずれも、義務者は「所有権を取得した者」であり、期間は1か月以内という枠組みが共通している。
エも正しい。47条2項は、「区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる」と定めている。区分建物を新築した者が表題登記を申請しないまま死亡した場合に、相続人その他の一般承継人が、被承継人(死亡した新築者)を表題部所有者とする表題登記を申請できることを認める特則である。なお、一般承継人による申請の一般規定である30条は、「表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合」に一般承継があったときの規定であり、「表題部所有者」とは所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に所有者として記録されている者をいう(2条10号)から、まだ表題登記がされていない建物については、表題部所有者も所有権の登記名義人も存在せず、そもそも30条が前提とするこの場面に当たらない。表題登記の段階で被承継人名義の申請を認めているのは、区分建物についての47条2項という特則である点を、30条と区別して押さえておきたい。
オは誤りである。164条1項は、36条、37条第1項若しくは第2項、42条、47条第1項(49条2項において準用する場合を含む。)、49条1項・3項若しくは4項、51条1項から4項まで、57条、58条6項若しくは7項、76条の2第1項若しくは2項又は76条の3第4項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定めている。しかし、この過料を科すのは登記官ではなく裁判所である(非訟事件手続法に基づく過料の裁判の手続による)。登記官には過料を科す権限は与えられておらず、「登記官がその者に対し…過料を科す」とする点が誤りである。
以上より、正しいものはア・イ・ウ・エの4つである。義務者・起算点・期間(1か月)という表題登記の申請義務の骨格(36条・47条1項)に加え、区分建物の新築者に一般承継があった場合に被承継人を表題部所有者とする表題登記を認める47条2項(表題部所有者の存在を前提とする30条とは別の特則である)、そして過料を科すのが登記官ではなく裁判所であるという164条の運用主体は、いずれも条文の文言のとおりに正確に区別しておきたい。
問題:
土地家屋調査士の登録に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士となる資格を有する者が土地家屋調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会に備える土地家屋調査士名簿に登録を受けなければならない。
イ. 登録の申請は、当該申請者が事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された土地家屋調査士会を経由してしなければならない。
ウ. 日本土地家屋調査士会連合会は、登録の申請をした者が土地家屋調査士法5条各号に掲げる欠格事由のいずれかに該当するときは、登録を拒否しなければならない。
エ. 日本土地家屋調査士会連合会は、登録の申請をした者が心身の故障により土地家屋調査士の業務を行うことができないと認めるときであっても、登録を拒否することはできない。
オ. 登録の拒否の処分に不服がある者は、法務大臣に対して審査請求をすることができる。
答え:
誤っているものは、エの1つである。
解説:
土地家屋調査士の登録に関する規定は、資格(4条)・欠格事由(5条)に続けて、名簿の登録(8条)・登録の申請(9条)・登録の拒否(10条)・登録に関する通知(11条)・登録を拒否された場合の審査請求(12条)という順序で置かれている。日本土地家屋調査士会連合会(以下「連合会」という。)が土地家屋調査士名簿を備え、これに登録することによって土地家屋調査士としての地位が発生するという仕組みになっている。登録拒否事由(10条1項各号)は、①52条1項の入会手続をとらないとき(1号)、②心身の故障により調査士の業務を行うことができないとき(2号)、③調査士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他調査士の職責に照らし調査士としての適格性を欠くとき(3号)の3類型があり、これに加えて柱書は「調査士となる資格を有せず」(5条の欠格事由に該当する場合を含む)ときも登録拒否事由としている。10条1項柱書は「……と認めたときは、その登録を拒否しなければならない」と定めており、資格を欠く場合はもとより、各号に該当すると認めたときも、拒否するかどうかを連合会が選べるわけではない点が最大の急所である。もっとも、これは「該当すると認めたとき」の効果として拒否が義務付けられているという意味であって、各号の要件に当たるかどうかの認定まで一義的に決まるという趣旨ではない。とりわけ3号は「信用又は品位を害するおそれがあるとき」「調査士としての適格性を欠くとき」という評価を伴う文言であり、その当てはめには判断の幅がある(本問で問われているのは資格の有無と2号までであり、3号の当てはめは問われていない)。また、2号又は3号を理由に拒否しようとするときは、登録審査会の議決に基づかなければならず(10条1項後段)、あらかじめ申請者に弁明の機会を与えなければならない(同条2項)という手続的な保障が置かれている。
アは正しい。8条1項は、調査士となる資格を有する者が調査士となるには、連合会に備える土地家屋調査士名簿に、氏名・生年月日・事務所の所在地・所属する土地家屋調査士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければならないと定めている。登録を受けて初めて土地家屋調査士としての地位を取得するのであって、資格を有するだけでは足りない。
イも正しい。9条1項は、登録を受けようとする者は、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会を経由して、連合会に登録申請書を提出しなければならないと定めている。調査士会を経由させることで、当該調査士会において申請者の適格性について把握する機会を確保する仕組みになっている。
ウも正しい。10条1項柱書は、登録の申請をした者が調査士となる資格を有せず、又は同項各号のいずれかに該当すると認めたときは、連合会はその登録を拒否しなければならないと定めている。5条各号(拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者、未成年者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者等の欠格事由)に掲げる欠格事由のいずれかに該当する者は「調査士となる資格を有」しないから、登録を拒否しなければならない。欠格事由に該当する場合、連合会に裁量の余地はなく、必ず登録を拒否しなければならない覊束行為である。なお、5条1号の刑の種類は、拘禁刑の創設(令和4年法律第67号による刑法改正)に伴い、令和4年法律第68号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)によって「禁錮以上の刑」から「拘禁刑以上の刑」に改められた(令和7年6月1日施行)。
エは誤りである。10条1項2号は、登録の申請をした者が「心身の故障により調査士の業務を行うことができないとき」に該当すると認めたときは、連合会はその登録を拒否しなければならないと定めている(現行法に「法務省令で定めるもの」という限定の文言はない)。この場合、連合会は登録審査会の議決に基づき、かつ、あらかじめ申請者に弁明の機会を与えた上で登録を拒否しなければならず、拒否するかどうかについて連合会に自由な裁量があるわけではない。「登録を拒否することはできない」とする点が誤りである。
オは正しい。12条1項は、10条1項の規定により登録を拒否された者は、当該処分に不服があるときは、法務大臣に対して審査請求をすることができると定めている。登録事務を担うのが行政庁ではなく連合会という民間の法人であることから、その処分に対する不服申立ての受け皿として法務大臣への審査請求の道が用意されている。
以上より、誤っているものはエの1つである。欠格事由(5条各号)に該当する場合の登録拒否(10条1項柱書)と、心身の故障(2号)・信用品位(3号)を理由とする登録拒否とは、いずれも該当すると認めた以上は拒否しなければならない(拒否するか否かを連合会が選べるわけではない)点で共通する一方、後者には登録審査会の議決及び弁明機会という手続的な保障が課されているという両者の違いを、条文の文言のとおりに区別しておきたい。
問題:
境界標及び囲障の設置に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
イ. 境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担するのが原則であるが、測量の費用については、その土地の広狭に応じて分担する。
ウ. 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けなければならない。
エ. 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地がある場合において、囲障の設置につき当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。
オ. 境界標の設置及びその保存の費用に関する規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
答え:
正しいものは、ア・イ・エの3つである。
解説:
境界標及び囲障の設置に関する規定は、民法223条から228条までに置かれている。境界標の設置(223条)・その費用負担(224条)に続けて、囲障の設置(225条)・その費用負担(226条)、相隣者の一人による囲障設置の特則(227条)を定め、最後にこれら囲障関係の規定(225条から227条まで)と異なる慣習を優先させる規定(228条)が置かれるという構成になっている。境界標の設置(223条)・囲障の設置(225条1項)がいずれも「設けることができる」と定め、設置そのものを義務付ける規定にはなっていない点、そして228条が優先させる慣習の対象は囲障関係の規定(225条から227条まで)に限られ、境界標関係の規定(223条・224条)には及ばない点が急所である。
アは正しい。223条は、「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる」と定めている。
イも正しい。224条は、「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する」と定めている。設置・保存の費用は原則として折半であるが、測量費用だけは土地の広狭という実質的な基準に応じて負担割合が変わる点が例外として押さえどころである。
ウは誤りである。225条1項は、「二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる」と定めている。囲障の設置は権利として認められているのであって、常に設置を義務付けるものではない。「設けなければならない」とする点が誤りである。
エは正しい。225条2項は、「当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない」と定めている。協議が調わない場合に限り、材料及び高さ(2メートル)が法定される。
オは誤りである。228条は、「前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」と定めている。ここでいう「前三条」は225条(囲障の設置)・226条(囲障の設置及び保存の費用)・227条(相隣者の一人による囲障の設置)を指し、境界標に関する223条・224条は対象に含まれていない。したがって、境界標の設置及びその保存の費用に関する規定について異なる慣習があっても、228条によって当然に慣習が優先するわけではなく、「境界標の設置及びその保存の費用に関する規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」とする点が誤りである。
以上より、正しいものはア・イ・エの3つである。境界標(223条・224条)と囲障(225条〜227条)とで慣習優先の規定(228条)が及ぶ範囲が異なること、及び境界標・囲障のいずれについても条文が「設けることができる」と定め、「設けなければならない」とはしていないことは、いずれも条文の文言のとおりに正確に区別しておきたい。
問題:
測量法に定める測量の基準に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。
イ. 距離及び面積は、回転楕円体の表面上の値で表示する。
ウ. 測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする。
エ. 位置の表示に用いる地理学的経緯度は、世界測地系に従って測定しなければならない。
オ. 測量に用いる長さの単位は、メートルとする。
答え:
誤っているものは、オの1つである。
解説:
測量の基準に関する規定は、測量法11条に置かれている。同条1項は、基本測量及び公共測量が従うべき測量の基準として、位置の表示方法(1号)・距離及び面積の表示方法(2号)・測量の原点(3号)・原点数値の定め方(4号)を定め、2項は、1項1号の地理学的経緯度が世界測地系に従って測定されなければならないことを定めている。11条は測量法第1章「総則」第2節「測量の基準」に置かれ、基本測量・公共測量を通じて適用される規定である。なお、平成13年法律第53号(測量法及び水路業務法の一部を改正する法律・平成14年4月1日施行)による世界測地系の導入に際しては、旧11条1号(地球の形状及び大きさについてベッセルの算出した長半径・扁平度の値によるとする規定)が削除され、旧3号の「水平面上の値」が「回転楕円体の表面上の値」に改められて、現行の1号から4号までの並びとなった。もっとも、11条は改正の前後を通じて、長さの単位そのものを定める規定は置いていない。
アは正しい。11条1項1号は、「位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる」と定めている。地理学的経緯度による表示を原則としつつ、場合に応じて複数の座標系による表示を認めている。
イも正しい。同項2号は、「距離及び面積は、第三項に規定する回転楕円体の表面上の値で表示する」と定めている。3項は、2項にいう「世界測地系」を、長半径及び扁平率が政令で定める値であること・中心が地球の重心と一致すること・短軸が地球の自転軸と一致することという要件を満たす扁平な回転楕円体を想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準と定義しており、2号にいう回転楕円体はこの回転楕円体を指している。
ウも正しい。同項3号は、「測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする」と定めている。離島の測量その他特別の事情がある場合において国土地理院の長の承認を得たときは、この限りでない旨のただし書も置かれている。
エも正しい。11条2項は、「前項第一号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない」と定めている。1項1号の地理学的経緯度による表示は、この世界測地系に従った測定を前提とする。
オは誤りである。11条1項各号は、位置(1号)・距離及び面積(2号)・測量の原点(3号)・原点数値(4号)の4事項を定めるにとどまり、長さの単位そのものを定める規定は置かれていない。測量法全体を通じても「測量に用いる長さの単位は、メートルとする」という規定は存在せず、長さの計量単位をメートルとするのは測量法ではなく計量法(3条・別表第一)である。11条が定めるのはあくまで「測量の基準」であって、計量単位の定めではない点を混同させる肢である。
以上より、誤っているものはオの1つである。11条1項各号が位置・距離及び面積・測量の原点・原点数値の4事項に限られ、長さの単位を定める規定を含まないこと、及び距離・面積の基準が「水平面上の値」ではなく「回転楕円体の表面上の値」であること(平成13年改正・平成14年4月1日施行)は、条文の文言のとおりに正確に押さえておきたい。
問題:
土地所在図及び地積測量図に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地所在図には、方位、縮尺、土地の形状及び隣地の地番を記録しなければならない。
イ. 地積測量図には、地番区域の名称、方位、縮尺及び地番(隣接地の地番を含む。)のほか、地積及びその求積方法、筆界点間の距離等を記録しなければならない。
ウ. 分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図には、分筆前の土地を図示し、分筆線を明らかにして分筆後の各土地を表示し、これに符号を付さなければならない。
エ. 土地所在図は、近傍類似の土地についての不動産登記法14条1項の地図と同一の縮尺により作成するものとする。
オ. 土地所在図には、地積測量図と同様に、地番区域の名称を記録しなければならない。
答え:
誤っているものは、オの1つである。
解説:
土地所在図・地積測量図の記録事項は、不動産登記規則において別個の条文に分けて定められている。土地所在図の内容は76条、地積測量図の内容は77条に、それぞれ独立して規定されており、77条の規定が土地所在図に準用されているわけではない。さらに、分筆の登記を申請する場合に提供する分筆後の土地の地積測量図については、通常の地積測量図の記録事項(77条)に加えて、78条が「分筆前の土地を図示し、分筆線を明らかにして分筆後の各土地を表示し、これに符号を付さなければならない」という固有の記載事項を定めている。76条(土地所在図)・77条(地積測量図)・78条(分筆の登記の場合の地積測量図)という3つの条文の役割を混同しないことが急所である。
アは正しい。76条1項は、「土地所在図には、方位、縮尺、土地の形状及び隣地の地番を記録しなければならない」と定めている。土地所在図の記録事項は、方位・縮尺・土地の形状・隣地の地番の4項目である。
イも正しい。77条1項は、地積測量図に記録すべき事項として、地番区域の名称(1号)・方位(2号)・縮尺(3号)・地番(隣接地の地番を含む。4号)に加え、地積及びその求積方法(5号)・筆界点間の距離(6号)・平面直角座標系の番号又は記号(7号)・筆界点の座標値(8号)・境界標の表示(9号)・測量の年月日(10号)の10項目を定めている。
ウも正しい。78条は、「分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図には、分筆前の土地を図示し、分筆線を明らかにして分筆後の各土地を表示し、これに符号を付さなければならない」と定めている。この規定は、地積測量図一般の記録事項を定める77条とは別に置かれた、分筆の登記の場合に固有の記載事項である。
エも正しい。76条2項は、「土地所在図は、近傍類似の土地についての法第十四条第一項の地図と同一の縮尺により作成するものとする」と定めている。
オは誤りである。土地所在図の記録事項を定める76条1項に、「地番区域の名称」は掲げられていない。地番区域の名称は、77条1項1号が定める地積測量図の記録事項であって、土地所在図(76条)の記録事項ではない。「土地所在図には、地積測量図と同様に、地番区域の名称を記録しなければならない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはオの1つである。地番区域の名称が77条(地積測量図)の記録事項であって76条(土地所在図)の記録事項ではないこと、及び76条・77条・78条がそれぞれ独立した条文として役割分担していることは、条文の文言のとおりに正確に区別しておきたい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記・総則) | 土地・建物の表題登記の申請義務者と期間(1か月以内)、区分建物の新築者に一般承継があった場合の被承継人を表題部所有者とする表題登記(47条2項。表題部所有者の存在を前提とする30条との区別)、申請義務違反に対する過料の科刑主体が裁判所であること(登記官ではない) | 不動産登記法36条、47条1項・2項、30条、2条10号、164条1項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法(登録) | 登録の主体・申請経由先、資格を欠く場合及び5条各号の欠格事由に該当する場合に登録拒否が義務付けられること、心身の故障(10条1項2号)・信用品位(同項3号)を理由とする登録拒否も該当すると認めた以上は拒否しなければならず、かつ登録審査会の議決・弁明機会を要すること、登録拒否処分に対する法務大臣への審査請求 | 土地家屋調査士法5条、8条〜10条、12条 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 境界標の設置(223条)及びその費用負担(224条)、囲障の設置が「設けることができる」と定められ義務付けられていないこと(225条1項)、協議不調時の囲障の高さ(2メートル・225条2項)、慣習優先の対象が囲障関係の規定(225条〜227条)に限られ境界標関係の規定(223条・224条)には及ばないこと(228条) | 民法223条〜228条 |
| 第4問 | 測量法(測量の基準) | 位置の表示方法(地理学的経緯度及び平均海面からの高さを原則とする各種座標系)、距離及び面積が回転楕円体の表面上の値であること、測量の原点(日本経緯度原点及び日本水準原点)、地理学的経緯度が世界測地系に従うべきこと、11条が長さの単位を定める規定を置いていないこと(距離・面積の基準は平成13年法律第53号・平成14年4月1日施行により「水平面上の値」から「回転楕円体の表面上の値」に改められた) | 測量法11条1項・2項 |
| 第5問 | 不動産登記規則(土地所在図・地積測量図) | 土地所在図の記録事項(方位・縮尺・土地の形状・隣地の地番、76条)と地積測量図の記録事項(地番区域の名称等10項目、77条)の区別、分筆の登記の場合の地積測量図に固有の記載事項(78条)、地番区域の名称が77条の記録事項であって76条の記録事項ではないこと | 不動産登記規則76条、77条、78条(不動産登記法14条1項) |