問題:

建物の表題部の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 不動産登記法第44条第1項各号(第2号及び第6号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から1月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

イ. 建物の表題部の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から1月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

ウ. 建物が区分建物である場合において、当該建物が属する一棟の建物の構造及び床面積に関する変更の登記は、当該登記に係る区分建物と同じ一棟の建物に属する他の区分建物についてされた変更の登記としての効力を有し、この場合において、登記官は、職権で、当該一棟の建物に属する他の区分建物について、当該登記事項に関する変更の登記をしなければならない。

エ. 表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となったことにより当該表題登記がある建物が区分建物になった場合において、当該表題登記がある建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該新築に係る区分建物の所有者に代わって、当該新築に係る区分建物についての表題登記を申請しなければならない。

オ. いずれも表題登記がある二以上の建物(区分建物を除く。)が増築その他の工事により相互に接続して区分建物になった場合における当該表題登記がある二以上の建物についての表題部の変更の登記の申請は、一括してしなければならない。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。

解説:

建物の表題部の変更の登記は、不動産登記法51条が一般規定を置き、52条が「区分建物となったことによる」特則を置くという二段構えになっている。土地の表題部の変更の登記(37条)が地目又は地積の変更を対象とするのに対し、建物側は44条1項の登記事項を広く対象とする点が異なる。

アは正しい。51条1項は、44条1項各号(2号及び6号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から1月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならないと定めている。除外されている2号は家屋番号、6号は建物が共用部分又は団地共用部分である旨であり、いずれも51条1項の変更の登記という形で当事者が申請するのになじまない登記事項である。家屋番号は、登記所が法務省令で定めるところにより一個の建物ごとに付すものであって(45条)、当事者の申請によって変更するものではない。共用部分である旨の登記及び団地共用部分である旨の登記については、58条が登記事項や申請することができる者を別に定めており、その手続によることになる。申請義務違反に過料の定めがあること(164条1項)も、土地の場合と同じ建て付けである。

イも正しい。51条2項は、1項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から1月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならないと定めている。起算点が「変更があった日」ではなく「更正の登記又は所有権の登記があった日」に置き換わる点が、この項の要点である。同様の構造は、共用部分である旨の登記等がされた場合の所有者(同条3項)、共用部分である旨の登記等がある建物について変更後に所有権を取得した者(同条4項)にも置かれており、いずれも自らが申請すべき立場に立った時点を起算点としている。

ウも正しい。51条5項は、建物が区分建物である場合において、44条1項1号(区分建物である建物に係るものに限る。)又は7号から9号までに掲げる登記事項(9号に掲げる登記事項にあっては、法務省令で定めるものに限る。)に関する変更の登記は、当該登記に係る区分建物と同じ一棟の建物に属する他の区分建物についてされた変更の登記としての効力を有すると定める。7号は一棟の建物の構造及び床面積であるから、本肢はこれに当たる。そして同条6項は、この場合において、登記官は、職権で、当該一棟の建物に属する他の区分建物について、当該登記事項に関する変更の登記をしなければならないと定めており、「することができる」ではなく職権による登記が義務付けられている。一棟の建物に関する事項は本来すべての区分建物に共通するため、一部の申請の効力を全体に及ぼしたうえで登記記録上の表示も職権でそろえるという仕組みである。なお、この5項・6項は、建物が区分建物である場合における表題部の更正の登記についても準用されている(53条2項)。

エは誤りである。本肢の場面は、52条1項が「表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となったことにより当該表題登記がある建物が区分建物になった場合」として規律する場面であり、同項は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請は、当該新築に係る区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならないと定める。そのうえで同条2項は、「前項の場合において、当該表題登記がある建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該新築に係る区分建物の所有者に代わって、当該新築に係る区分建物についての表題登記を申請することができる」と定めている。条文は「申請することができる」であって、代わって申請することが認められているにとどまり、これを義務付けてはいない。本肢は、この任意の権限を「申請しなければならない」と義務に置き換えている点で誤りである。

なお、代わっての申請が認められる方向は一方向ではない。52条2項が既存建物の側の者に新築区分建物の表題登記を代わって申請することを認めるのに対し、同じ場面を新築区分建物の側から規律する規定が48条3項・4項に置かれている。48条3項は、表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならないとし、同条4項は、この場合において、当該区分建物の所有者は、当該表題登記がある建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記を申請することができると定めている。すなわち、既存建物の側の者が新築区分建物の表題登記を代わって申請すること(52条2項)と、新築区分建物の所有者が既存建物の表題部の変更の登記を代わって申請すること(48条4項)の双方が認められており、いずれも「申請することができる」という任意の規定である。48条1項・2項(一棟の建物が新築された場合等における区分建物どうしの表題登記の併せての申請と、他の区分建物の所有者に代わっての申請)とあわせて、どの条文が誰に代わることを認めているのか、またそれが義務なのか権限なのかを条文の文言で確認しておきたい。

オは正しい。52条3項は、いずれも表題登記がある二以上の建物(区分建物を除く。)が増築その他の工事により相互に接続して区分建物になった場合における当該表題登記がある二以上の建物についての表題部の変更の登記の申請は、一括してしなければならないと定めている。この場合には、同条4項により、表題登記がある一の建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人が、表題登記がある他の建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該他の建物について表題部の変更の登記を申請することができる。1項・2項が「既存建物+新築区分建物」の組合せであるのに対し、3項・4項は「既存建物どうしが接続した」場合であり、前者では併せて申請、後者では一括して申請という語が使い分けられている。


問題:

土地家屋調査士法人の解散、継続及び合併に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士法人は、定款に定める理由の発生、総社員の同意、他の土地家屋調査士法人との合併、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判、土地家屋調査士法第43条第1項第3号の規定による解散の処分及び社員の欠亡によって解散する。

イ. 土地家屋調査士法人は、他の土地家屋調査士法人との合併によって解散した場合を除き、解散の日から2週間以内に、その旨を、主たる事務所の所在地の土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会に届け出なければならない。

ウ. 土地家屋調査士法人の清算人は、土地家屋調査士でなければならない。

エ. 土地家屋調査士法人の解散及び清算は、法務大臣の監督に属し、法務大臣は、職権で、いつでもその監督に必要な検査をすることができる。

オ. 合併をする土地家屋調査士法人の債権者は、当該土地家屋調査士法人に対し、合併について異議を述べることができ、合併をする土地家屋調査士法人が官報に公告すべき「債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨」の当該期間は、2週間を下ることができない。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウの3つである。

解説:

土地家屋調査士法人(以下「調査士法人」という。)の解散から清算・合併までは、土地家屋調査士法(以下「調査士法」という。)第5章の後半(38条から41条まで)に置かれている。設立・社員の資格・業務の範囲といった入口の規定(26条以下)と対比して、出口の規定として押さえておきたい部分である。調査士法人の解散及び清算については、会社法の持分会社に関する規定が広く準用されており(41条3項)、条文の骨格を持分会社になぞらえて理解すると整理しやすい。

アは正しい。調査士法39条1項は、調査士法人の解散事由として、1号に定款に定める理由の発生、2号に総社員の同意、3号に他の調査士法人との合併、4号に破産手続開始の決定、5号に解散を命ずる裁判、6号に43条1項3号の規定による解散の処分、7号に社員の欠亡を掲げている。6号にいう43条1項3号の処分とは、調査士法人がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときに法務大臣がすることができる懲戒処分のうち、解散の処分をいう(同項は1号に戒告、2号に2年以内の業務の全部又は一部の停止、3号に解散を掲げる)。社員の脱退事由(38条:調査士の登録の取消し、定款に定める理由の発生、総社員の同意、28条2項各号のいずれかに該当することとなったこと、除名)とは別の条文であり、混同しないようにしたい。

イも正しい。同条2項は、調査士法人は、前項3号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から2週間以内に、その旨を、主たる事務所の所在地の調査士会及び調査士会連合会に届け出なければならないと定めている。1項3号は合併であるから、合併による解散の場合には本項の届出は不要である。合併の場合には別に、合併の日から2週間以内に、登記事項証明書(合併により設立する調査士法人にあっては、登記事項証明書及び定款の写し)を添えて届け出るべきものとされており(40条3項)、届出そのものが不要になるわけではない点に注意したい。

ウも正しい。同条3項は、調査士法人の清算人は、調査士でなければならないと定めている。調査士法人の業務が調査士の業務であることに対応した規律である。関連して、39条の2は、清算人は、社員の死亡により39条1項7号(社員の欠亡)に該当するに至った場合に限り、当該社員の相続人の同意を得て、新たに社員を加入させて調査士法人を継続することができると定めている。継続が認められるのは社員の欠亡のうち死亡による場合に限られ、他の解散事由には及ばない。

エは誤りである。39条の3第1項は、「調査士法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する」と定めており、監督の主体は法務大臣ではない。同条2項は、裁判所が職権でいつでもその監督に必要な検査をすることができるとし、同条3項は、監督する裁判所が法務大臣に対し意見を求め又は調査を嘱託することができるとし、同条4項は、法務大臣がその裁判所に対し意見を述べることができるとする。法務大臣は監督者ではなく、裁判所の監督に関与する立場として位置付けられている。この事件の管轄は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所に属する(39条の4)。調査士法人に対する懲戒の主体が法務大臣であること(43条1項)と対比して押さえたい。

オも誤りである。40条の2第1項は、合併をする調査士法人の債権者が合併について異議を述べることができるとし、同条2項は、合併をする旨(1号)、合併により消滅する調査士法人及び合併後存続する調査士法人又は合併により設立する調査士法人の名称及び主たる事務所の所在地(2号)、債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨(3号)を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別にこれを催告しなければならないと定めたうえ、そのただし書で「第三号の期間は、一箇月を下ることができない」としている。2週間ではない。なお、官報のほか定款の定めに従って日刊新聞紙又は電子公告の方法により公告をするときは、各別の催告を要しない(同条3項)。期間内に異議を述べなかった債権者は合併を承認したものとみなされ(同条4項)、異議を述べた債権者に対しては、弁済、相当の担保の提供又は信託会社等への相当の財産の信託をしなければならないが、当該合併をしても当該債権者を害するおそれがないときはこの限りでない(同条5項)。合併そのものは、総社員の同意があるときにすることができ、合併後存続する調査士法人又は合併により設立する調査士法人が、その主たる事務所の所在地において登記することによって効力を生じ(40条1項・2項)、消滅する調査士法人の権利義務は承継される(同条4項)。


問題:

継続的給付を受けるための設備の設置権等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。

イ. 他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならないが、あらかじめ通知することが困難なときは、設備の設置又は使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。

ウ. 他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害に対して償金を支払わなければならず、この償金は、一括して支払わなければならない。

エ. 他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならず、また、その利益を受ける割合に応じて、その設備の設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。

オ. 分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができ、この場合には、その土地の損害に対する償金を支払うことを要しない。

答え:

誤っているものは、イ・ウの2つである。

解説:

継続的給付を受けるための設備の設置権等は、令和3年法律第24号により新設され、令和5年4月1日から施行された規定である(民法213条の2・213条の3)。従来は明文がなく、実務では民法209条・210条・220条・221条や下水道法11条等の類推適用によって他の土地の使用が認められてきたが、どの規定を類推適用すべきかは必ずしも定まっていなかった(法務省民事局参事官室・民事第二課「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案の補足説明」(令和2年1月)も、これらの規定の類推適用により他の土地の使用を認めるケースが多数あるとしつつ、「類推適用される規定は必ずしも定まっていない」と整理していた)。この不明確さを、相隣関係の規定として正面から手当てしたものである。

アは正しい。213条の2第1項は、土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができると定めている。「他の土地に設備を設置する」類型と「他人が所有する設備を使用する」類型の二つが並んでおり、以下の各項もこの二類型を書き分けている。設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備のために損害が最も少ないものを選ばなければならない(同条2項)。

イは誤りである。同条3項は、1項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならないと定めるにとどまり、あらかじめ通知することが困難なときに事後の通知で足りるとする例外は置かれていない。事後の通知で足りるとするただし書があるのは隣地使用権の側であり、209条3項ただし書が「あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる」と定めている。もっとも、213条の2第4項は、設備の設置・使用のために他の土地等を使用することができるとしたうえで、この使用について209条1項ただし書及び2項から4項までの規定を準用している。準用される範囲に209条3項が含まれる以上、この工事等のための土地の使用に関する通知については、あらかじめ通知することが困難なときは事後の通知で足りるという同項ただし書の例外が働くことになる。「設備の設置・使用そのものについての通知(213条の2第3項)」と「そのための土地の使用についての通知(同条4項による209条3項の準用)」を区別することが本肢の要点である。なお、209条3項が通知すべき事項として「目的、日時、場所及び方法」を挙げるのに対し、213条の2第3項は「目的、場所及び方法」であって日時が含まれていない点も、条文の文言として確認しておきたい。

ウも誤りである。同条5項は、1項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(4項において準用する209条4項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならないと定めたうえ、そのただし書で「一年ごとにその償金を支払うことができる」としている。すなわち、1年ごとの分割払が明文で認められており、一括払に限られるとする本肢は誤りである。ここでいう損害は、設備の設置により土地が継続的に利用を制約されることによる損害であり、設置工事のために一時的に土地を使用したことによる損害(4項が準用する209条4項の償金)とは区別される。後者については、5項ただし書のような1年ごとの分割払を認める定めは置かれていない。もっとも、この二つの償金を区別すること自体は5項の括弧書きから導かれるものであって、4項が準用する209条4項の償金の支払方法まで条文が定めているわけではない。

エは正しい。同条6項は、他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならないと定め、同条7項は、その者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならないと定めている。使用開始時の損害の填補(6項)と、継続的な維持管理費用の分担(7項)とが別に定められている点が特徴である。6項の償金については、5項ただし書のような分割払の定めは置かれていない。

オも正しい。213条の3第1項前段は、分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができると定め、同項後段は、この場合においては前条5項の規定は適用しないと定めている。適用が排除されるのは5項の償金(他の土地に設備を設置する場合の土地の損害に対する償金)であって、6項・7項が排除されるわけではない。この構造は、分割によって生じた袋地について他の分割者の所有地のみに通行権を認め、償金を要しないとする213条1項と同じ発想である。同条2項により、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合についても準用される。


問題:

基本測量の測量標に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 国土地理院の長は、基本測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、遅滞なく、その種類及び所在地その他国土交通省令で定める事項を関係都道府県知事に通知するとともに、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

イ. 市町村長は、基本測量の永久標識又は一時標識について、滅失、破損その他異状があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。

ウ. 何人も、国土地理院の長の承諾を得ないで、基本測量の測量標を移転し、汚損し、その他その効用を害する行為をしてはならない。ただし、当該測量標の敷地の所有者については、この限りでない。

エ. 基本測量の永久標識又は一時標識の汚損その他その効用を害するおそれがある行為を当該永久標識若しくは一時標識の敷地又はその付近でしようとする者は、理由を記載した書面をもって、国土地理院の長に当該永久標識又は一時標識の移転を請求することができ、この請求に基づく移転に要した費用は、国が負担する。

オ. 国土地理院の長は、基本測量の仮設標識の移転の請求があった場合において、その請求に理由があると認めたときは、当該仮設標識を移転しなければならない。

答え:

誤っているものは、イ・ウ・エの3つである。

解説:

測量標に関する規定は、測量法第2章「基本測量」のうち21条から25条までに置かれている。測量標が永久標識・一時標識・仮設標識の3種に区分されること(10条1項)を前提に、設置等の通知(21条・23条)、保全義務(22条)、移転の請求(24条・25条)が並ぶ構造である。誰が誰に通知するのか、誰の承諾が必要か、費用は誰の負担かという三点が繰り返し問われる。

アは正しい。21条1項は、国土地理院の長は、基本測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、遅滞なく、その種類及び所在地その他国土交通省令で定める事項を関係都道府県知事に通知するとともに、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならないと定めている。同条2項により、通知を受けた都道府県知事は、遅滞なく、その旨を関係市町村長(特別区の区長を含む。)に通知しなければならない。国土地理院の長から都道府県知事へ、都道府県知事から市町村長へという順に下りていく流れである。

イは誤りである。同条3項は、市町村長は、基本測量の永久標識又は一時標識について、滅失、破損その他異状があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を国土地理院の長に通知しなければならないと定めている。通知先は都道府県知事ではなく国土地理院の長であり、1項・2項の下り方向の流れとは異なり、異状の発見については市町村長から国土地理院の長へ直接上がる建て付けになっている。設置時と異状発見時とで経路が異なる点が本条の出題の中心である。

ウも誤りである。22条は、「何人も、国土地理院の長の承諾を得ないで、基本測量の測量標を移転し、汚損し、その他その効用を害する行為をしてはならない」と定めるのみであり、測量標の敷地の所有者を除外するただし書は置かれていない。「何人も」とされている以上、敷地の所有者であっても承諾なしに測量標の効用を害する行為をすることはできない。だからこそ、敷地又はその付近でそのような行為をしようとする者のために、24条が移転の請求という手続を用意しているのであり、敷地の所有者もこの手続によることになる。また、22条(39条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処するとされており(61条)、測量法の罰則の中で最も重い部類に属する。保全義務が罰則によって担保されている点も押さえておきたい。

エも誤りである。24条1項は、基本測量の永久標識又は一時標識の汚損その他その効用を害するおそれがある行為を当該永久標識若しくは一時標識の敷地又はその付近でしようとする者は、理由を記載した書面をもって、国土地理院の長に当該永久標識又は一時標識の移転を請求することができると定める。もっとも同条4項は、「前項の規定による永久標識又は一時標識の移転に要した費用は、移転を請求した者が負担しなければならない」と定めており、国の負担ではない。自己の都合で標識を動かす以上、その費用も請求者が負うという整理である。なお、この請求(国又は都道府県が行うものを除く。)は、当該永久標識又は一時標識の所在地の都道府県知事を経由して行わなければならず、都道府県知事は、当該請求に係る事項に関する意見を付して国土地理院の長に送付するものとされている(同条2項)。国土地理院の長は、請求に理由があると認めるときは標識を移転し、理由がないと認めるときはその旨を請求した者に通知しなければならない(同条3項)。

オは正しい。25条は、国土地理院の長は、基本測量の仮設標識の移転の請求があった場合において、その請求に理由があると認めたときは、当該仮設標識を移転しなければならないと定めている。仮設標識については、24条のような書面による請求・都道府県知事の経由・費用の負担といった手続的な規律が置かれておらず、条文の分量が大きく異なる。永久標識・一時標識と仮設標識とで規律の密度が違うのは、仮設標識が標旗及び仮杭(10条1項3号)という測量作業のために一時的に設けられるものにとどまることによるものと考えられる。あわせて、23条1項が、国土地理院の長が永久標識又は一時標識を移転し、撤去し、又は廃棄したときの通知先として、関係都道府県知事に加えて「その敷地の所有者又は占有者」を挙げていること(設置時の21条1項には敷地の所有者等への通知が定められていないこと)も、対比して確認しておきたい。


問題:

地図の記録事項及び地図等の訂正に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 地図には、地番区域の名称、地図の番号、縮尺、国土調査法施行令第2条第1項第1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号、図郭線及びその座標値、各土地の区画及び地番、基本三角点等の位置、精度区分、隣接図郭との関係並びに作成年月日を記録するものとされ、電磁的記録に記録する地図にあっては、これらのほか、各筆界点の座標値を記録するものとされている。

イ. 地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができる。地図に準ずる図面に表示された土地の位置、形状又は地番に誤りがあるときも、同様である。

ウ. 地図の訂正の申出をする場合において、当該土地の登記記録の地積に錯誤があるときは、その申出は、地積に関する更正の登記の申請と併せてしなければならない。

エ. 登記官は、地図の訂正の申出に係る事項を調査した結果、地図又は地図に準ずる図面に誤りがあると認められないときは、理由を付した決定で、その申出を却下しなければならないが、地図又は地図に準ずる図面を訂正することによって申出に係る土地以外の土地の区画又は位置若しくは形状を訂正すべきこととなるときは、当該他の土地についても職権による訂正をすれば足りるから、その申出を却下することはできない。

オ. 登記官は、地図等に誤りがあると認めるときであっても、表題部所有者又は所有権の登記名義人等からの訂正の申出がない限り、その訂正をすることができない。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウの3つである。

解説:

登記所に備え付ける地図及び地図に準ずる図面については、備付けと作成の基準を不動産登記法14条が定め、その具体化を不動産登記規則が担っている。規則10条が地図の作成基準(縮尺・基本三角点等・誤差の限度)を、規則13条が地図の記録事項を、規則16条が地図等の訂正を定めるという役割分担である。

アは正しい。規則13条1項は、地図に記録すべき事項として、1号に地番区域の名称、2号に地図の番号(当該地図が複数の図郭にまたがって作成されている場合には、当該各図郭の番号)、3号に縮尺、4号に国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号、5号に図郭線及びその座標値、6号に各土地の区画及び地番、7号に基本三角点等の位置、8号に精度区分、9号に隣接図郭との関係、10号に作成年月日を掲げている。同条2項は、電磁的記録に記録する地図にあっては、前項各号に掲げるもののほか、各筆界点の座標値を記録するものとすると定める。建物所在図の記録事項(規則14条)が5項目にとどまることと分量が大きく異なる点も対比しておきたい。なお、登記官は、地図に記録された土地の登記記録の表題部には地図の番号を、建物所在図に記録された建物の登記記録の表題部には建物所在図の番号を記録しなければならない(規則15条)。

イも正しい。規則16条1項前段は、地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができると定め、同項後段は、地図に準ずる図面に表示された土地の位置、形状又は地番に誤りがあるときも同様であるとしている。ここでいうのは「申請」ではなく「申出」であり、地図の訂正は登記の申請とは別の手続として組み立てられている。誤りの対象が、地図については「区画又は地番」、地図に準ずる図面については「位置、形状又は地番」と書き分けられている点も、条文の文言として確認しておきたい。

ウも正しい。同条2項は、1項の申出をする場合において、当該土地の登記記録の地積に錯誤があるときは、同項の申出は、地積に関する更正の登記の申請と併せてしなければならないと定めている。地図上の区画を訂正した結果として登記記録の地積との間に不整合が生じる場面を想定した規律であり、図面と登記記録の整合を一体で確保する趣旨と解される。申出に際しては、誤りがあることを証する情報のほか、区画又は位置若しくは形状に誤りがあるときは土地所在図又は地積測量図を提供しなければならない(同条5項1号・2号)。

エは誤りである。同条13項は、登記官が理由を付した決定で申出を却下しなければならない場合を1号から6号まで列挙しており、5号に「申出に係る事項を調査した結果、地図又は地図に準ずる図面に誤りがあると認められないとき」を、6号に「地図又は地図に準ずる図面を訂正することによって申出に係る土地以外の土地の区画又は位置若しくは形状を訂正すべきこととなるとき」を掲げている。6号もまた却下事由であって、他の土地について職権訂正をすれば足りるとする扱いは条文上認められていない。本肢は、却下事由として並列に規定されている二つのうち一方だけを却下事由と扱っている点で誤りである。このほかの却下事由は、管轄違い(1号)、申出の権限を有しない者の申出(2号)、地図訂正申出情報又はその提供の方法が方式に適合しないとき(3号)、併せて提供すべき情報が提供されないとき(4号)である。

オも誤りである。同条15項は、「登記官は、地図等に誤りがあると認めるときは、職権で、その訂正をすることができる」と定めている。申出がなければ訂正することができないわけではない。同条12項が、申出に係る事項を調査した結果、地図又は地図に準ずる図面を訂正する必要があると認めるときは訂正しなければならないとして申出に基づく訂正を義務付けているのに対し、15項は職権による訂正を「することができる」としており、義務と権限の書き分けがされている。地図等が土地の現況を公示する資料である以上、その正確性の確保が申出のあった場合に限られないのは当然であるが、条文としても申出手続と職権訂正の双方が用意されている点を押さえておきたい。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の表題部の変更の登記の申請義務者・申請期間(1月)と除外される登記事項(家屋番号・共用部分である旨)、変更後に表題部所有者等となった者の起算点、区分建物における一棟の建物に関する登記事項の変更の登記の効力と登記官の職権登記の義務、区分建物となったことによる表題部の変更の登記(併せて申請の義務と、52条2項・48条4項による双方向の代わっての申請が「申請することができる」という任意の規定であること)、既存建物どうしが接続した場合の一括申請 不動産登記法51条1項〜6項、52条1項〜4項、53条2項(44条1項1号〜9号、45条、48条1項〜4項、58条、164条1項)
第2問 土地家屋調査士法(調査士法人) 解散事由7類型と懲戒としての解散の処分、合併による解散を除く解散の届出(2週間・調査士会及び連合会)、清算人は調査士に限られること、社員の死亡による欠亡の場合に限られる法人の継続、解散及び清算が裁判所の監督に属すること、合併における債権者の異議手続と1箇月を下ることができない公告期間 土地家屋調査士法38条、39条1項1号〜7号・2項・3項、39条の2、39条の3第1項〜4項、39条の4、40条1項〜4項、40条の2第1項〜5項、43条1項1号〜3号(41条3項)
第3問 民法(相隣関係) 継続的給付を受けるための設備の設置権・他人の設備の使用権の要件、事前通知の義務(事後通知の例外がないこと)と隣地使用権における209条3項ただし書との区別、設備設置に伴う償金と1年ごとの分割払、設備使用開始時の償金と維持費用の分担、分割によって生じた土地における他の分割者の所有地への設置と償金の不適用 民法213条の2第1項〜7項、213条の3第1項・2項(209条1項〜4項、213条1項、令和3年法律第24号、令和5年4月1日施行)
第4問 測量法(基本測量の測量標) 永久標識・一時標識の設置の通知と公表、都道府県知事から市町村長への通知、市町村長による異状発見の通知先(国土地理院の長)、測量標の保全義務が「何人も」を名宛人とし敷地所有者の例外がないこと、移転の請求の方式・都道府県知事の経由・移転費用の請求者負担、仮設標識の移転 測量法21条1項〜3項、22条、23条1項・2項、24条1項〜4項、25条(10条1項、61条)
第5問 不動産登記規則(地図等) 地図の記録事項10項目と電磁的記録における各筆界点の座標値、地図等の訂正の申出の申出権者と対象(地図=区画又は地番/地図に準ずる図面=位置、形状又は地番)、地積の錯誤がある場合の更正の登記の申請との併合、却下事由6類型(他の土地の区画等を訂正すべきこととなるときを含む)、登記官の職権による訂正 不動産登記規則13条1項1号〜10号・2項、15条、16条1項〜3項・5項・12項・13項1号〜6号・15項(不動産登記法14条、不動産登記規則10条、14条)