この記事の要点

  • 「相続放棄申述受理通知書」は、放棄の申述が受理されたときに家庭裁判所から申述人に届く書面です。「相続放棄申述受理証明書」は、必要なときに家庭裁判所へ申請して交付を受ける書面です
  • 受理証明書は、放棄した本人のほか、利害関係を示した他の相続人や債権者なども申請でき、手数料は申述人1人の証明書1通につき収入印紙150円です
  • 相続登記では、放棄した人がいる場合に家庭裁判所から受理証明書を入手するよう法務局の案内でも説明されているため、証明書を用意しておくのが確実です

相続放棄が終わると、手元に届くのは「通知書」です。「証明書」は、自分から申請しない限り届きません。名前が似ていますが、届き方も、取れる人も異なります。ここでは、手続きの順番に沿って二つの書面を整理します。

なお、この記事は執筆時点(2026年09月)の制度に基づく一般的な解説です。

手続きの順番

相続放棄の手続きは、おおむね次の順番で進みます(全体の流れは相続放棄の基本をご覧ください)。

  1. 申述:家庭裁判所に申述書を提出します(民法938条)
  2. 照会書への回答:放棄の意思などを確認する書面(照会書)が届くことがあり、これに回答します
  3. 受理:家庭裁判所が受理すると、申述書にその旨が記載され、その時に効力が生じます(家事事件手続法201条7項)
  4. 通知:受理されたことが、裁判所書記官から申述人に通知されます(家事事件手続規則106条2項)。これが受理通知書です
  5. 証明書の申請:登記などで必要な場合に、受理証明書を申請します

受理通知書は「届く」書面

受理通知書は、申請しなくても受理後に届きます。受理証明書を申請するときは申請書に事件番号を書きますが、事件番号や受理年月日がわからない場合は、先に「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」をするよう案内している家庭裁判所もあります。後の手続きを進めやすくするため、通知書は大切に保管しておきましょう。

受理証明書は「申請して取る」書面

受理証明書は、放棄を受理した家庭裁判所に申請して交付を受けます。

  • 申請できる人:放棄した本人のほか、利害関係を示した人も申請できます(家事事件手続法47条)。他の相続人は戸籍、債権者は契約書など、利害関係を示す資料が必要です
  • 本人以外が申請する場合:裁判官の許可が必要なため申請当日には交付できない、と案内している家庭裁判所があります(東京家庭裁判所)
  • 放棄した人どうしの場合:すでに放棄した人は、同じ相続で放棄した他の親族の分の証明書を原則として申請できない、と案内している家庭裁判所があります(大阪家庭裁判所)。その理由として、放棄した人はその相続について初めから相続人とならなかったものとみなされ(民法939条)、相続人としての利害関係が認められなくなることが挙げられており、それぞれが自分の分を申請する必要があるとされています。ただし、同じ案内では、相続関係以外の利害関係がある場合は発行できる場合もある、とも説明されています
  • 手数料:申述人1人の証明書1通につき、収入印紙150円です。郵送で受け取る場合は、返信用の封筒と切手も同封します(切手の額は裁判所ごとの案内に従います)

添付する書類は、申請する人の立場や裁判所によって異なります。申請先の家庭裁判所の案内を確認してください。

使われる場面

  • 他の相続人が相続登記をするとき:放棄した人を除いた相続人で登記を申請する場合、受理証明書が添付書類として用いられます(相続放棄の『3ヶ月』はいつから?でも触れています)。法務局の相続登記の案内(東京ブロック管内法務局・地方法務局「相続登記ガイドブック」)も、相続放棄をする人がいる場合は家庭裁判所から受理証明書を入手するよう説明しており、通知書ではなく証明書を取得しておくのが確実です
  • 債権者に放棄を示すとき:放棄したことを示す資料として使われます。債権者が利害関係人として自ら証明書を申請することもあります

提出先がいくつあるかによって、必要な通数も変わります。どの手続きに何通必要かを先に書き出してから申請すると、申請のやり直しを防げます。

まとめ

受理通知書は、放棄が受理されると家庭裁判所から届く書面です。受理証明書は、本人や利害関係人が申請して取る書面で、1通150円がかかります。相続登記などでは証明書が添付書類として用いられるため、通知書を保管したうえで、必要な通数を見込んで申請するのが基本です。

どの書面を何通用意すればよいかは、手続きの内容によって変わります。お近くの司法書士(相続人の間などで争いがある場合は弁護士)にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年09月・いずれも一次情報です)。

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