遺産分割を「しばらくしない」と決められる?──不分割の約束は5年以内、終わりは相続開始から10年まで

この記事の要点 遺産分割は、遺言(相続開始から5年まで)、相続人どうしの契約(1回5年以内・更新可)、家庭裁判所の判断によって、一定の期間「しない」と決められる場合がある 相続人どうしの契約では、「5年」は1回に決められる期間の上限、「10年」は更新しても越えられない終わりの上限(相続開始から数える) 分割をしない間も、相続登記の申請義務の3年や、特別受益・寄与分に関わる相続開始から10年の期限は止まらない 遺産の分け方を決める話し合い(遺産分割)は、いつでもできるのが原則ですが、民法には、一定の期間「分けない」と決める方法が用意されています(民法908条)。ただし期間には上限があり、条文に出てくる「5年」と「10年」は、それぞれ別のものの上限です。※執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月28日 · ひぐらしさとし

限定承認をしたあとの期限──5日以内の官報公告と「2か月以上」の請求期間、清算の順番

この記事の要点 限定承認をした人は、限定承認をした後5日以内に、亡くなった方の債権者などに向けて官報で公告しなければならず、請求を申し出てもらう期間は2か月を下ることができません(民法927条1項・4項) 相続人が複数いる場合は、家庭裁判所が相続人の中から選ぶ「相続財産の清算人」が手続きを進め、この期限は「選任があった後10日以内」に読み替えられます(民法936条) 申出期間が終わるまでは支払いを拒むことができ、終わったあとは債権者に債権額の割合に応じて支払い、遺言でもらう人(受遺者)への支払いはその後です(民法928条・929条・931条) 限定承認は「申述して終わり」ではない 結論からいうと、限定承認は家庭裁判所に申述したところがゴールではなく、その先に数日単位の短い期限で始まる清算手続きが控えています。限定承認の仕組みや、相続人全員で3か月以内に申述するという要件そのものは限定承認の解説記事で整理していますので、ここでは「その後に来る期限」に絞ります。 ...

2026年10月24日 · ひぐらしさとし

相続放棄が受理されたら次の順位の人へ──誰が相続人になるか、その人の「3か月」はいつから数えるか

この記事の要点 先の順位の相続人が全員放棄すると、子→直系尊属(父母・祖父母など)→兄弟姉妹の順で、次の順位の人が相続人になります。放棄した人の子が代わりに相続人になることはありません 次の順位の人の「3か月」は、亡くなった日からではなく、先の順位の人の放棄によって自分が相続人になったことを知った時から数えるのが基本と考えられます(民法915条1項) 家庭裁判所からの受理の通知は、申述した人などに宛てたものです。次の順位の人に知らせるなら、先の順位の全員の受理を確かめたあとに、日付の残る形で伝えておくと、あとで確かめやすくなります 相続放棄が受理されると、放棄した人の手続きはひと区切りです。しかし、相続そのものは終わっていません。相続人が次の順位の人に移り、その人の期限がそこから動き出すことがあるからです。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

相続の相談はいつ行けばいい?──四十九日などの区切りの考え方と、早めに動いたほうがよい場合

この記事の要点 四十九日などの区切りは、宗教・宗派や地域、家庭によって考え方が異なる慣習で、法律が定める手続きの期限ではありません。相談に行く時期を法要の日取りに合わせる必要はありません 一方で、相続放棄・限定承認の3か月、準確定申告の4か月、相続税の申告の10か月、相続登記の申請の3年など、法律で期限が決まっている手続きがあります 借金がありそうなとき、相続人と連絡がつかないとき、不動産を売る予定があるときなどは、気持ちの整理を待たずに、期限が関係するかどうかだけでも早めに確かめておくと安心です 「四十九日が済んで、落ち着いてから相談しよう」と考える方もいるでしょう。結論からいえば、相談に行く時期は法要の区切りではなく、「期限のある手続きが関係しそうかどうか」で考えるのが基本です。 ...

2026年10月17日 · ひぐらしさとし

預金の残高証明書はいつ・誰が取る?──死亡日現在で請求する順番と相続放棄の3か月

この記事の要点 預金の残高証明書は、相続人が金融機関に「死亡日現在」の残高で請求するのが基本で、請求は死亡の連絡とセットになる(連絡と同時に口座の取引は原則制限される) 相続放棄・限定承認を選べる期間は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月。残高証明書はその判断材料なので、取引先の洗い出しが済んだら早めにまとめて請求する 誰が請求できるか・必要書類・手数料・発行までの日数は金融機関ごとに異なることがあるため、事前に確認する 結論から言うと、残高証明書は「遺産分割の話し合いの前」よりさらに早く、「相続するか放棄するかを決める前」に揃え始めたい書類です。この記事は、執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月16日 · ひぐらしさとし

相続人が一人だけのときの相続手続き──遺産分割協議が要らない分、何をどの順番で進めるか

この記事の要点 「相続人が一人」と言えるのは、亡くなった方の戸籍を出生から死亡までたどり(親や兄弟姉妹が相続人になる場合は親の戸籍なども)、ほかに相続人がいないと確かめてから。前の結婚で生まれた子・認知した子・養子が見つかれば、相続人が増えたり、相続人だと思っていた人が相続人でなくなったりする 遺言がなく相続人が一人なら遺産分割協議は不要。ただし相続放棄・限定承認の3か月、準確定申告の4か月、相続税申告の10か月、相続登記の3年という期限は、当てはまる場合にはそのまま残る 協議の成立を待つ必要がないため、相続すると決めたあとは、戸籍などがそろえば相続登記の準備を進められる 相続人が一人だけの場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議は必要ありません。そのぶん手続きは軽くなりますが、期限のある手続きがなくなるわけではありません。結論から言うと、①本当に一人かを戸籍で確かめる、②遺言の有無を確かめる、③財産と借金を調べ、3か月以内に相続するかどうかを決める、④税金の期限を確認する、⑤相続登記を申請する、という順番で進めるのが基本です。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

相続人が未成年のとき、相続放棄の「3か月」はいつから?──親(法定代理人)が知った時から数えるルール

この記事の要点 相続人が未成年者のとき、相続を承認するか放棄するかを決める「3か月」は、子ども本人ではなく法定代理人(通常は親権を行う親)が、子どものために相続の開始があったことを知った時から数えます(民法917条) 家庭裁判所への相続放棄の申述(しんじゅつ:家庭裁判所への申出)も、未成年者本人ではなく法定代理人が代理して行います 親と子どもがともに相続人で子どもだけが放棄する場合(親が先に申述している場合を除く)などは、その子どもについて特別代理人の選任が必要とされています 結論:数え始めの基準は「法定代理人が知った時」 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません(民法915条1項)。この3か月を「熟慮期間(じゅくりょきかん)」といいます。 ...

2026年10月8日 · ひぐらしさとし

家族が亡くなったら健康保険の届出は14日以内?──国保・後期高齢者医療・介護保険の手続きと保険証・資格確認書の扱い

この記事の要点 亡くなった方が国民健康保険に入っていた場合、世帯主が14日以内に市区町村へ資格喪失の届出をするのが基本です(国民健康保険法9条、同法施行規則12条・13条)。 後期高齢者医療と介護保険にも省令に「14日以内」の定めがありますが、亡くなった場合の運用は自治体ごとに違い、「死亡届で足りる」とする案内も、被保険者証などの返却を求める案内もあります。 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終わっており、手元に残っている可能性があるのは資格確認書などです。返却のしかたは自治体の案内に従います。会社の健康保険に入っていた場合は、窓口が市区町村ではありません。 本記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。期限や必要書類は、制度や自治体によって異なります。 ...

2026年10月4日 · ひぐらしさとし

相続放棄の受理通知書と受理証明書の違いは?──自動で届く書面と、申請して取る書面

この記事の要点 「相続放棄申述受理通知書」は、放棄の申述が受理されたときに家庭裁判所から申述人に届く書面です。「相続放棄申述受理証明書」は、必要なときに家庭裁判所へ申請して交付を受ける書面です 受理証明書は、放棄した本人のほか、利害関係を示した他の相続人や債権者なども申請でき、手数料は申述人1人の証明書1通につき収入印紙150円です 相続登記では、放棄した人がいる場合に家庭裁判所から受理証明書を入手するよう法務局の案内でも説明されているため、証明書を用意しておくのが確実です 相続放棄が終わると、手元に届くのは「通知書」です。「証明書」は、自分から申請しない限り届きません。名前が似ていますが、届き方も、取れる人も異なります。ここでは、手続きの順番に沿って二つの書面を整理します。 ...

2026年9月30日 · ひぐらしさとし

法務局に預けた遺言書は何年保管される?──原本は死亡から50年、画像などのデータは150年

この記事の要点 法務局に預けた遺言書の原本は遺言者の死亡の日から50年、遺言書の画像などを記録したデータは150年が経過した後に、廃棄・消去できると定められている その間、相続人などは遺言書情報証明書の交付や閲覧を請求でき、保管されているかどうかは遺言書保管事実証明書で確かめられる 保管期間が長いからといって、相続登記の申請義務(3年以内)などの期限が延びるわけではない 法務局(遺言書保管所)に預けた自筆証書遺言は、遺言者が亡くなったあとも長く残ります。法律と政令は、原本については遺言者の死亡の日から50年、画像などを記録したデータについては150年が経過した後は、廃棄・消去できると定めています。 ...

2026年9月26日 · ひぐらしさとし