この記事の要点

  • 遺留分侵害額請求の期限は、「相続の開始」と「遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと」の両方を知った時から1年です(民法1048条前段)
  • それを知らないままでも、相続開始の時から10年を経過すると同じく消滅します(民法1048条後段)
  • 期間は初日を数に入れず、1年後の応当する日の前日に満了します(民法140条・143条2項)

期限を過ぎると、請求できなくなります

遺留分(いりゅうぶん=一定の相続人に保障された最低限の取り分)が侵害されているとき、その分に相当するお金の支払いを請求できる権利があります(民法1046条1項)。2019年7月1日以降に開始した相続からは、財産そのものを取り戻す「遺留分減殺請求」ではなく、金銭の支払いを求める「遺留分侵害額請求」という形に改められました(制度の全体像はこちらの記事で整理しています)。

この権利には期限があります。民法1048条前段は、期間内に行使しないときは時効によって消滅すると定めています。まず「いつから数えるのか」を確定させることが出発点です。

起算日は「2つを知った時」

1年の起算点は、次の両方を知った時です。

  1. 相続が開始したこと(被相続人が亡くなったこと)
  2. 遺留分を侵害する贈与または遺贈(いぞう=遺言によって財産を譲ること)があったこと

亡くなったことは早くに知っていても、遺言書の内容を後から知ったという場合があります。条文は2つをあわせて「知った時」としているため、片方だけを知った時点では起算しません。一方、どちらも知らないまま時間が過ぎても、相続開始の時から10年を経過すれば同様に消滅します。この10年は、知っているかどうかとは無関係に進みます。

満了日の数え方

期間の数え方は民法の一般ルールに従います。初日は数に入れず(民法140条)、翌日から起算して、最後の年の起算日に応当する日の前日に満了します(民法143条2項)。

たとえば2026年7月10日に上記の2つを知った場合、起算日は7月11日、満了日は2027年7月10日です。結果として「知った日の1年後の同じ日」が期限になる、と覚えておくと数え違いを避けられます。なお、期限内に請求したことを後から示せるよう、書面で意思表示を残しておく例が実務にあります。

この記事は執筆時点(2026年7月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

遺留分侵害額請求の期限は、2つを知った時から1年、知らなくても相続開始から10年。初日は数えず、1年後の同じ日が満了日になります。管理の要は、遺言書の内容を知った日を書き留めておくことです。相続にはほかにも期限のある手続きがあるため、全体の順序も早めに把握しておくと安心です。

請求の進め方や金額の計算、相手方との話し合いについては、まずはお近くの弁護士にご相談ください。相続人の範囲や必要書類など、手続きの入口の整理についてはお近くの司法書士でも相談できます。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年7月・いずれも一次情報です)。

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