この記事の要点
- 法定相続情報一覧図は、保管の申出をした日の翌年から起算して5年間、登記所(法務局)に保管される
- 保管期間内であれば、当初の申出書に申出人として名前を記載した人が、無料で写しの再交付を受けられる
- 5年を過ぎると再交付ができなくなるため、複数の手続きにまたがって使う予定がある案件ほど、期限を意識した管理が必要になる
法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚にまとめて法務局の認証を受ける書類で、相続登記や預貯金の解約など複数の手続きに使い回せる点が便利です。ただしこの一覧図、登記所に「ずっと」保管されているわけではありません。保管期間には期限があります。
保管の申出をした日の翌年から起算して5年間というのが、法務局が案内している保管期間です。この5年という期間は、登記所が備える「法定相続情報一覧図つづり込み帳」の保存期間が「作成の年の翌年から五年間」と定められていること(不動産登記規則28条の2第6号)に対応するもので、法務局の案内でも「5年間(申出日の翌年から起算)保存されます」と説明されています。この5年間のうちであれば、一覧図の写しを紛失した場合や、後から追加で通数が必要になった場合に、無料で再交付を受けることができます。制度そのものの利用(一覧図の作成・当初の交付)が無料であるのと同じく、期間内の再交付にも手数料はかかりません。
誰が、どこに再交付を申し出られるかについては、規則に明文があります。再交付の申出は「第一項の申出をした者がその申出に係る登記所の登記官に対し」するものと規定されており(不動産登記規則247条7項)、①申し出られるのは当初の申出をした人(申出書に「申出人」として名前を記載した人)に限られること、②申出先も当初の申出をした登記所に限られること、の二つがここから読み取れます。別の登記所には申し出られない点は、特に見落としやすいところです。
ここから実務上出てくるのが、相続人が複数いる案件で、申出人ではない相続人が写しを必要とする場合の扱いです。この場合、その相続人が自分の名前で再交付を申し出ることはできないため、当初の申出人の代理人という形で申し出る(=当初の申出人からの委任状を用意する)ことになります。委任状が要ると規則に直接書かれているわけではなく、再交付を申し出られる人を当初の申出人に限った規定から出てくる帰結、という関係です。なお、他の相続人が自分を申出人としてあらためて保管の申出をする方法も考えられますが、その場合は戸籍等の書類を一式そろえ直すことになります。
この制度の全体像は法定相続情報証明制度をやさしく解説──戸籍の束を1枚の図にまとめる手続きで、一覧図の書式や記載例は法定相続情報一覧図の作り方──書式・記載例・やり直しになりやすい例で、それぞれ解説しています。
案件管理の視点で見ると、この5年という期限は、相続登記の3年や相続放棄の3か月ほど頻繁に話題になるものではありませんが、実務上は無視できません。相続登記は先に済ませたが、預貯金の解約や相続税の申告、他の不動産の名義変更などが後から出てきて、一覧図の写しが追加で必要になるケースは珍しくないからです。保管期間内であれば無料の再交付で足りますが、5年を過ぎてしまうと、この方法は使えなくなり、あらためて戸籍等一式を集め直して一覧図を作り直すところから始めることになります。案件が長引きそうなときや、複数の相続手続きを段階的に進める予定のときは、いつ申出をしたか、あと何年で保管期間が切れるかを、他の期限と並べて管理しておくと安心です。
執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。
まとめ
法定相続情報一覧図は、申出の翌年から起算して5年間、登記所に保管され、その間は申出人が無料で写しの再交付を受けられます。5年を過ぎると再交付はできず、戸籍の再収集からやり直しになるため、複数の手続きにまたがって使う予定がある場合は、保管期間も他の相続手続きの期限とあわせて管理しておくことをおすすめします。ご自身の案件で保管期間や再交付の要否に迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年8月・いずれも一次情報です)。
- 不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)第28条の2・第247条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
- 法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html
- 法務局「『法定相続情報証明制度』について」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html