家庭裁判所の審判はいつ「確定」する?──即時抗告の2週間と、登記で使う確定証明書

この記事の要点 家庭裁判所の審判は、審判書を受け取った日にすぐ確定するわけではありません。即時抗告ができる審判は、確定しなければ効力を生じないとされています(家事事件手続法74条2項ただし書) 即時抗告は「2週間の不変期間」内にしなければならず、その期間は、即時抗告をする人が審判の告知を受ける者であるときは、その人が告知を受けた日から進行します(同法86条1項・2項)。告知を受けた日が相続人ごとに違えば、期間が終わる日も人ごとにずれます 遺産分割の審判で不動産を取得した相続人が単独で相続登記を申請するときは、審判書に家庭裁判所の確定証明書を添えて使います なお、この記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

相続税の申告期限『10か月』──何を、いつまでに済ませておく必要があるか

この記事の要点 相続税の申告が必要になる場合、その申告・納付期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」(申告期限は相続税法27条1項、納付期限は同法33条) 10か月は申告書を作成するための期間ではなく、財産調査・遺産分割協議・申告書作成という性質の異なる工程を配分すべき期間 相続放棄(3か月)・準確定申告(4か月)と時期が重なるため、単独の期限として捉えず全体の時系列の中に位置づける必要がある 本文 相続税の申告が必要になる場合、その申告・納付期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています(申告期限は相続税法27条1項、納付期限は同法33条)。起算点が死亡日そのものではなく「相続の開始があったことを知った日」を基準にしている点は、相続放棄の3か月や準確定申告の4か月と共通する考え方です。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

遺贈の「放棄」に期限はある?──特定遺贈と包括遺贈で異なるルール

この記事の要点 特定の財産を譲る「特定遺贈」の放棄には、原則として期限がない(民法986条)。ただし利害関係人から相当の期間を定めた催告を受けた場合は、期間内に答えないと承認したものとみなされる(民法987条) 遺産の全部または割合で譲られる「包括遺贈」の受遺者は「相続人と同一の権利義務」を持つとされ(民法990条)、放棄には相続放棄と同じ3か月の熟慮期間・家庭裁判所への申述が必要になる 「遺贈だから期限なし」と思い込むと、包括遺贈のケースで3か月を過ぎてしまい、放棄したくてもできなくなる落とし穴がある 「遺言で財産を譲ると書かれていたが、事情があって受け取りたくない」というケースがあります。相続放棄には「3か月以内」という期限があることはよく知られていますが、遺贈の放棄にはどのようなルールがあるのでしょうか。実は、遺贈の種類によって扱いがまったく異なります。 ...

2026年9月10日 · ひぐらしさとし

相続登記の「3年」はいつから数える?──起算日がずれるケースを整理

この記事の要点 相続登記の申請義務の「3年」は、死亡日からではなく「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日」から数える(不動産登記法76条の2第1項) 遺言の存在を後から知った場合は、その遺言によって取得したと知った日が起算日になる 法定相続分どおりの相続登記をした後に、遺産分割協議で法定相続分を超える持分を取得した場合は、分割が成立した日から改めて3年のカウントが始まる(同条2項) 施行日(2024年4月1日)より前に開始していた相続にも義務は及び、この場合の起算日は「知った日」と施行日のいずれか遅い日になる(令和3年法律24号附則5条6項)。法務省は期限を令和9年(2027年)3月31日までと案内している 相続登記の申請義務化(2024年4月施行)については「3年以内に登記しないと過料の対象になる」という説明を目にする機会が増えました。ただ、この「3年」がいつから数え始まるのかは、実は一律ではありません。結論から言うと、起算日は死亡日ではなく「知った日」であり、しかも状況によって数え直しが生じる場合があります。 ...

2026年9月6日 · ひぐらしさとし

実家を取り壊したら1か月以内に「建物滅失登記」──相続した家を解体するときの期限

この記事の要点 登記されている建物を取り壊したときは、取り壊した日(滅失した日)から1か月以内に建物滅失登記を申請する義務がある 期限内に申請しないと過料の対象になり得る 未登記の建物には建物滅失登記そのものが不要で、自治体への届出だけで足りる場合がある 本文 相続した実家が古くなり、住む人もいないまま取り壊しを決めるケースは珍しくありません。ここで見落とされやすいのが、建物を取り壊したあとの「建物滅失登記」という手続きです。取り壊し工事そのものは業者が進めてくれますが、その後の登記手続きは所有者側で対応する必要があり、しかも期限が定められています。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

遺言執行者が引き受けるかどうか分からないとき──『相当の期間』を定めて返事を求める催告のしくみ

この記事の要点 遺言書に遺言執行者として名前が書かれていても、その人が引き受けるかどうかは本人の自由で、断ることもできる 返事がないまま止まってしまうときは、相続人などが「相当の期間」を定めて確答を求める催告ができ、期間内に返事がなければ承諾したものとみなされる 承諾したあとは「直ちに」任務を始め、「遅滞なく」相続人へ遺言の内容を通知する義務がある 遺言書に「遺言執行者に指定する」と名前が書かれていても、それだけで手続きが自動的に始まるわけではありません。遺言執行者に指定された人が実際に**引き受ける(就任を承諾する)**かどうかは、本人の意思次第です。承諾する義務はなく、断ることもできます。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金を放置すると「休眠預金」に?──10年ルールと相続手続きの段取り

この記事の要点 2009年1月1日以降の取引を最後に、10年以上「異動」のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあります 移管後も、取引のあった金融機関の窓口で払戻しを請求でき、相続人も請求できます(お金を受け取れなくなるわけではありません) ただし窓口での手続きに時間と書類が余計にかかるため、相続では早めに口座を洗い出し、解約まで進めておくのが段取りの基本です 亡くなった方の預金口座を長く放置していても、預金が没収されてしまうわけではありません。ただし、10年以上取引のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあり、払い戻すために窓口での手続きが必要になるなど、手間と時間が余計にかかるようになります。相続手続きの段取りとしては、口座を早めに洗い出して解約まで済ませておくことが大切です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

相続回復請求権の期限――「知った時から5年」「相続開始から20年」で消える権利

この記事の要点 「相続回復請求権」は、本当は相続人でない人(表見相続人)が財産を持ち去っている状態を、真正な相続人が正すための権利 期限は侵害の事実を知った時から5年、知らなくても相続開始の時から20年で時効消滅する(民法884条) 遺留分侵害額請求の「1年・10年」とは別の期限であり、混同すると手遅れになりやすい 「知らないうちに時効」が起こりうる権利です 相続回復請求権とは、相続人でない人(表見相続人)に対して、真正な相続人が相続財産の返還を求める権利です(民法884条)。共同相続人の一人が本来の持分を超えて財産を握っている場面をこの権利の問題として扱うかどうかは、後述のとおり考え方が分かれています。たとえば、疎遠になっていた親族が独断で被相続人の財産を管理・処分していた、あるいは自分が相続人であることを知らされないまま長期間が過ぎていた、といった場面で問題になり得ます。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

法定相続情報一覧図の保管期間は5年──写しの再交付が無料でできる期限を確認する

この記事の要点 法定相続情報一覧図は、保管の申出をした日の翌年から起算して5年間、登記所(法務局)に保管される 保管期間内であれば、当初の申出書に申出人として名前を記載した人が、無料で写しの再交付を受けられる 5年を過ぎると再交付ができなくなるため、複数の手続きにまたがって使う予定がある案件ほど、期限を意識した管理が必要になる 法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚にまとめて法務局の認証を受ける書類で、相続登記や預貯金の解約など複数の手続きに使い回せる点が便利です。ただしこの一覧図、登記所に「ずっと」保管されているわけではありません。保管期間には期限があります。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

準確定申告とは──誰が、どこの税務署へ出すのか(亡くなった方の所得税・詳細は税理士へ)

この記事の要点 準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告のことです 申告する義務を負うのは相続人で、包括受遺者(遺言で遺産の全部または割合で財産を受け取る人)も同じ立場に立ちます 相続人が2人以上いるときは、付表を添えて全員が連署した1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各別に出すこともできます 提出先は「被相続人の死亡当時の納税地」を所轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではありません 相続放棄をした人は、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされるため、相続人としての申告義務を負いません 申告が必要かどうかの判断・税額の計算・申告書の作成は税理士の専門分野です。具体的な内容は税理士にご相談ください 結論から言うと、準確定申告で最初につまずきやすいのは「4か月」という期限そのものよりも、誰が申告する立場なのかとどこの税務署に出すのかという2点です。とくに提出先は、相続人が住んでいる場所の税務署ではなく、亡くなった方が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署になります。ここを取り違えると、期限を意識していても手続きが空回りしてしまいます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし