経営者の連帯保証は相続される──会社の借金と経営者保証ガイドラインの入口

この記事の要点 会社の借金そのものは会社の債務であり、社長が亡くなっても相続人には引き継がれない ただし社長が個人として結んでいた連帯保証(経営者保証)は相続の対象になり、相続分に応じて分割して引き継がれるのが原則 継続的な融資をまとめて保証する「個人根保証契約」は、保証人の死亡によって元本が確定する(民法465条の4)=亡くなった後の新たな借入まで保証が広がることはない 対処の選択肢として相続放棄・限定承認があり、期限は原則3か月。どれを選ぶべきかは個別の事情による 金融機関との交渉や保証債務の整理方針は弁護士の領域。「経営者保証に関するガイドライン」という枠組みの存在も知っておきたい 会社を経営していた家族が亡くなったとき、遺された方が最も不安に感じることのひとつが「会社の借金はどうなるのか」という問題です。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

借りている家(借家権)も相続される──賃貸住宅の相続と大家さんへの連絡

この記事の要点 賃貸住宅を借りていた人が亡くなっても、借りる権利(借家権)は大家さんの承諾なく相続人にそのまま引き継がれる 内縁関係で同居していた人も、一定の条件のもとで住み続けられる場合がある 滞納していた家賃は「負の相続財産」として相続人が引き継ぐ 亡くなった方が持ち家ではなく賃貸住宅(アパート・マンション)に住んでいた場合、その部屋を借りる権利はどうなるのでしょうか。「借りていた家だから、契約は自動的に終わるのでは」と思われる方も多いのですが、実際はそうではありません。 ...

2026年8月23日 · ひぐらしさとし

ゴルフ会員権・リゾート会員権の相続──引き継ぐ?退会する?

この記事の要点 ゴルフ会員権・リゾート会員権は原則として相続財産に含まれるが、多くのクラブの会則では死亡により会員資格が当然に消滅すると定められており、相続人が引き継ぐには改めて名義書換の手続きが必要になることが多い 引き継がず退会する場合は預託金の返還を請求できることがあるが、据置期間の定めやクラブの経営状況によって、すぐに全額が戻るとは限らない リゾート会員権のうち、施設の不動産について共有持分を持つタイプのものは、相続登記の対象にもなる 会則の内容はクラブ・施設ごとに異なるため、まずは運営会社に会則と亡くなった方の会員資格の状況を確認するのが出発点 ゴルフ会員権やリゾートクラブの会員権は、預貯金や不動産のように扱いが一律に決まっているわけではありません。結論から言うと、会員権を相続財産としてどう扱うかは、クラブ・施設ごとの会則(規約)次第という部分が大きく、まずは亡くなった方が持っていた会員権の種類と、そのクラブの会則を確認することが最初の一歩になります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

遺品整理はいつから?──相続放棄を考えているなら「処分」に要注意

この記事の要点 相続放棄を考えているなら、遺品を勝手に処分すると「相続を認めた」とみなされ、放棄できなくなるおそれがある(法定単純承認) 経済的価値のない形見を分ける程度は一般的に問題にならないとされるが、高価な遺品の処分・換金は避ける 賃貸物件の明け渡しを急かされても、遺品はまず保管し、処分は先延ばしにする 遺品整理業者と契約する場合、契約の当事者や作業範囲を慎重に見極める必要がある 個別の判断が難しい場合は、遺品を処分する前にお近くの司法書士にご相談ください 親が亡くなり、賃貸アパートの明け渡しや実家の片付けに追われる中で、「遺品整理は早く終わらせたい」と考えるのは自然なことです。しかし、相続放棄を検討している場合、遺品の扱い方を誤ると、放棄そのものができなくなることがあります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

準確定申告とは──誰が、どこの税務署へ出すのか(亡くなった方の所得税・詳細は税理士へ)

この記事の要点 準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告のことです 申告する義務を負うのは相続人で、包括受遺者(遺言で遺産の全部または割合で財産を受け取る人)も同じ立場に立ちます 相続人が2人以上いるときは、付表を添えて全員が連署した1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各別に出すこともできます 提出先は「被相続人の死亡当時の納税地」を所轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではありません 相続放棄をした人は、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされるため、相続人としての申告義務を負いません 申告が必要かどうかの判断・税額の計算・申告書の作成は税理士の専門分野です。具体的な内容は税理士にご相談ください 結論から言うと、準確定申告で最初につまずきやすいのは「4か月」という期限そのものよりも、誰が申告する立場なのかとどこの税務署に出すのかという2点です。とくに提出先は、相続人が住んでいる場所の税務署ではなく、亡くなった方が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署になります。ここを取り違えると、期限を意識していても手続きが空回りしてしまいます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし

「時」「とき」「場合」の使い分け──漢字とひらがなで意味が変わる条文の読み方【相続の条文で解説】

この記事の要点 法令では、漢字の「時」はその出来事が起きた時点(タイミング)を、ひらがなの「とき」は「もし〜なら」という仮定の条件を表すように書き分けられている 「場合」も仮定の条件を表す言葉で、条件が二重になるときは、**大きい条件に「場合」、小さい条件に「とき」**を使うのが一般的な書き方とされる ただしこれは法令を作るときの用語法の慣行であり、使い分けそのものを定めた法令があるわけではない 条文を読んでいると、漢字の「時」とひらがなの「とき」の両方が出てきます。同じ文の中に両方が並んでいることさえあります。これは誤記でも気まぐれでもなく、法令では意味によって書き分けられています。結論から言うと、漢字の「時」は時点、ひらがなの「とき」は条件です。本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月3日 · ひぐらしさとし

死亡後の手続きスケジュール全体像──7日・14日・3か月・4か月・10か月で何をすべきか

この記事の要点 死亡後の手続きには、7日・14日・3か月・4か月・10か月と、期限が段階的にやってきます 準確定申告・相続税申告は税理士、年金関係の届出は年金事務所・社会保険労務士が窓口で、相続登記(3年以内・義務化)は司法書士の業務範囲です 「未支給年金」「葬祭費」など請求しないと受け取れないお金は、ここで挙げる期限とは別枠で動いています 何から手をつければよいか迷ったら、まず全体の時系列をつかみ、期限が近いものから順に確認するのが次の一歩です 身内が亡くなると、悲しみに向き合う間もなく、さまざまな届出や手続きに追われることになります。しかも、それぞれに「いつまでに」という期限がついており、その長さはバラバラです。短いものは死亡から7日、長いものは10か月、不動産があればさらに3年という期限まで存在します。 ...

2026年8月2日 · ひぐらしさとし

リゾートマンション・別荘を相続したら──「いらない不動産」に残された現実的な選択肢

この記事の要点 リゾートマンションや別荘は、使わなくても管理費・修繕積立金・固定資産税が毎年かかり続けるため、「もらっても困る不動産」になりやすい それでも相続登記は義務で、取得を知った日から3年以内に申請しないと過料の対象になり得る(不動産登記法第76条の2、第164条第1項) 亡くなった方が管理費を滞納していた場合、その支払義務は原則として相続人に引き継がれる。売買などで部屋を取得した人にも請求できる仕組みがある(建物の区分所有等に関する法律第8条) 「いらない土地を国に引き取ってもらう制度」は土地だけの制度で、建物であるリゾートマンションは対象にならない リゾートマンションや別荘を相続することになったとき、多くの方が最初に直面するのは「使う予定がないのに、費用だけが出ていく」という現実です。結論から言えば、受け取らないという判断(相続放棄)をしない限り、名義を引き継いだ人が、手放すまで費用を負担する立場になります。そして相続登記は義務であり、「使わないから放っておく」という選択は、法律上は用意されていません。 ...

2026年7月29日 · ひぐらしさとし

相続放棄の基本|3か月の期限はいつから?手続きの流れと注意点

この記事の要点 相続放棄とは、家庭裁判所に申し出て「はじめから相続人でなかったこと」にする手続きです。借金などのマイナスの財産を引き継がずに済みます。 期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。亡くなった日そのものからではありません。 他の相続人に「放棄します」と口で伝えるだけ、遺産分割で何も受け取らないだけでは、法律上の相続放棄にはなりません。 放棄を考えているなら、遺産(預金の引き出しや不動産・車の名義変更など)に手を付けないことが大切です。 まずは相続財産の全体像を早めに把握し、迷ったらお近くの司法書士にご相談ください。 「相続放棄」とは、家庭裁判所でする手続きのこと 結論から言うと、相続放棄は「家庭裁判所に申し出る(申述する)」正式な手続きです(民法938条)。これをすると、その人ははじめから相続人ではなかったものとして扱われます(民法939条)。プラスの財産(預金や不動産)もマイナスの財産(借金や連帯保証など)も、いっさい引き継ぎません。 ...

2026年7月11日 · ひぐらしさとし

相続放棄をしても生命保険金は受け取れる?──受取人が指定された保険金・死亡退職金は『相続財産』ではない

この記事の要点 受取人が指定された生命保険金・死亡退職金は相続財産ではないため、相続放棄をしても受け取れる ただし相続税の計算では「みなし相続財産」として課税対象になり、放棄した人は非課税枠(500万円×法定相続人の数)を使えない 死亡退職金は会社の退職金規程によって扱いが変わるため、まず規程の確認から 「亡くなった父に借金があったので、相続放棄をしようと思う。でも、自分が受取人になっている父の生命保険金は、放棄したら受け取れなくなるのだろうか?」──相続放棄を考えるとき、とても多い疑問です。 ...

2026年6月23日 · ひぐらしさとし