この記事の要点

  • ネットやAIで調べた内容は、相談で伝えてかまわない。調べた先の名前と日付をメモにして持っていくと、話が進みやすくなる
  • 相続や登記の制度は変わることがあるため、その情報がいつの時点のものかを確かめたい
  • ネットの一般論が自分の家に当てはまるとは限らない。当てはまるかどうかは、事実を聞き取ったうえで判断される

相談に行く前に、ネットの記事やAIのサービスで相続のことを調べる方は多いと思います。「素人が調べたことを話したら失礼では」「間違っていたら恥ずかしい」とためらう方もいるかもしれません。結論から言うと、調べた内容は伝えてかまいません。何を見て、どう受け止めたのかが分かると、疑問や不安がどこにあるのかを相談の場で確かめやすくなるからです。なお、この記事は執筆時点(2026年11月)の制度に基づく一般的な解説です。

調べた内容は「どこで・いつ」と一緒にメモする

持っていき方のコツは、調べた内容だけでなく、調べた先の名前(サイト名やページの題名、使ったサービスの名前)と、調べた日付を一緒にメモしておくことです。「〇〇というページに、相続登記は3年以内と書いてあった。10月に見た」といった程度で十分です。気になったページを印刷して持っていくのもよいでしょう。

どこで読んだかが分かると、その情報がどのような立場から書かれたものか、いつの時点のものかを、相談の場で一緒に確かめられます。困りごとの書き出し方は相続の相談、何から話せばいいか分からないときの整理のしかたで紹介しています。そのメモに「調べたこと」の欄を1つ足すイメージです。

なお、AIのサービスで調べるときは、家族の実名や住所、戸籍に書かれている内容などをそのまま入力するのは控えたほうが安心です。入力した内容がどのように扱われるかは、サービスによって異なります。「親が亡くなり、実家の名義が親のままになっている」のように、個人が特定されない形に置き換えて尋ねる工夫ができます。

その情報は「いつ」のものか

相続や登記の制度は、法改正で変わることがあります。たとえば、相続(相続人に対する遺贈を含みます)で不動産の所有権を取得した人に登記の申請を義務づける規定(不動産登記法76条の2)は2024年4月1日から、登記されている所有者の住所や氏名が変わったときに変更の登記の申請を義務づける規定(同法76条の5)は2026年4月1日から施行されています。それより前に書かれた記事は、当時の制度を前提にしているため、こうした義務に触れていないことがあります。

ネットの記事には、書かれた日や更新された日が表示されていないものもあります。AIの回答も、どの時点の情報をもとにしているかが示されないことがあります。日付が分からない情報は「古いかもしれない」という前提で受け止め、相談の場で今の制度と照らし合わせてもらうと安心です。2026年に変わった制度は2026年に変わった・変わる制度の総まとめで一覧にしています。

一般論が自分の家に当てはまるとは限らない

ネットやAIで得られるのは、多くの場合「よくある場合」を前提にした一般論です。同じ「親が亡くなった」という場面でも、遺言があるかどうか、相続人が誰で何人いるのか、不動産がどこにあり誰の名義になっているのかなどによって、必要な手続きや気をつける点は変わります。

そのため、「ネットにはこう書いてあったから、うちもこうなるはず」と決めてしまう前に、調べた内容は「確かめたいこと」として持っていくのがおすすめです。相談では、家族の状況や財産の状況を聞き取ったうえで、その一般論が当てはまるかどうかを相談先の専門職が判断します。調べた内容と違う説明を受けて戸惑ったときや、分からない言葉が出てきたときは、その場で聞き返してかまいません。聞き返し方のコツは相続の相談中に専門用語が分からないときで整理しています。

まとめ

相続の相談前にネットやAIで調べた内容は、遠慮なく伝えてかまいません。調べた先の名前と日付をメモしておくと、情報がいつの時点のものか、自分の家に当てはまるかを一緒に確かめやすくなります。制度は変わることがあり、一般論が自分の家にそのまま当てはまるとは限りません。調べたことは「確かめたいこと」として持って、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年11月・いずれも一次情報です)。

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