この記事の要点

  • 亡くなった方が国民健康保険に入っていた場合、世帯主が14日以内に市区町村へ資格喪失の届出をするのが基本です(国民健康保険法9条、同法施行規則12条・13条)。
  • 後期高齢者医療と介護保険にも省令に「14日以内」の定めがありますが、亡くなった場合の運用は自治体ごとに違い、「死亡届で足りる」とする案内も、被保険者証などの返却を求める案内もあります。
  • 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終わっており、手元に残っている可能性があるのは資格確認書などです。返却のしかたは自治体の案内に従います。会社の健康保険に入っていた場合は、窓口が市区町村ではありません。

本記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。期限や必要書類は、制度や自治体によって異なります。

まず確認するのは「どの保険に入っていたか」

亡くなった方の医療や介護の保険は、年齢や働き方によって次のように分かれます。届出の相手も期限も、ここで変わります。

  • 国民健康保険……自営業・退職後の方など。窓口は市区町村。
  • 後期高齢者医療……75歳以上の方など。運営は都道府県ごとの広域連合です。具体的な手続きの窓口は、お住まいの市区町村の案内で確認してください。
  • 介護保険……65歳以上の方など。窓口は市区町村。
  • 会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)……窓口は市区町村ではなく、勤務先や保険者です。

死亡届そのものの出し方は、死亡届と死亡診断書のきほんで整理しています。ここでは、そのあとの「保険の資格喪失」に絞ります。

国民健康保険は「世帯主が14日以内」

国民健康保険法は、世帯主が、その世帯の被保険者が資格を喪失したときに、市町村へ届け出なければならないと定めています(9条1項・5項)。期限は同法施行規則が定めており、都道府県の区域内に住所を有しなくなったため、または同法6条各号(会社の健康保険に加入したときなど)に当たるようになったため資格を喪失した者があるときは、世帯主が14日以内に届書を市町村に提出する、とされています(施行規則12条・13条)。

資格を失う時期は、法律上は「住所を有しなくなった日の翌日」などからとされています(8条1項)。この条文(8条)にも、先ほどの施行規則12条・13条にも「死亡」という言葉は出てきませんが、都道府県の案内では、死亡の場合は死亡した日の翌日に資格を喪失すると説明されています。

自治体の案内でも、国民健康保険の脱退(資格喪失)の手続きは14日以内に市区町村の窓口へ、とされています。あわせて、世帯主が亡くなった場合は、残された家族の資格確認書の書き替え手続きが必要になる、と案内する自治体もあります。

なお、国民健康保険から支給される葬祭費は、自治体によっては、この資格喪失の手続きと一緒に案内されています。葬祭費と埋葬料の違いは葬祭費・埋葬料の記事にまとめています。

後期高齢者医療は、運用が自治体で分かれる

後期高齢者医療では、被保険者が資格喪失の届出をする義務が法律にあり(高齢者の医療の確保に関する法律54条1項)、省令には資格を喪失したときは14日以内に届書を広域連合に提出する、という定めがあります(同法施行規則26条)。条文上、この届出をするのは被保険者本人で、世帯主は本人に代わって届出をすることが「できる」とされています(同法54条2項)。資格を失う時期は、条文では「住所を有しなくなった日」などの翌日からとされており(同法53条1項)、国民健康保険と同じく、ここにも「死亡」という言葉は出てきません。

一方、自治体の案内には、死亡届の提出により亡くなった事実が確認され次第、自動的に資格喪失の手続きが行われるので、家族による資格喪失の届出は不要とするものがあります。同じ制度でも、亡くなった場合に何を、いつまでに、どこへ出すのかは、お住まいの市区町村の案内で確認するのが確実です。

介護保険は、被保険者証の返却が中心

介護保険法は、被保険者が資格を喪失したときは、省令で定めるところにより、速やかに被保険者証を返還しなければならないと定めています(12条4項)。省令には、65歳以上の第1号被保険者など(被保険者証交付済被保険者)が資格を喪失したときは14日以内に届書を市町村へ提出する、という定めがあります(介護保険法施行規則32条。対象の定義は同規則28条2項)。

なお、介護保険法12条4項は、社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号、2026年6月25日公布)により、2027年4月1日から(同法附則1条本文)「速やかに、被保険者証の返還その他の厚生労働省令で定める措置をとらなければならない」という定めに改められる予定です。

自治体の案内を見ると、死亡届の提出後に資格喪失の届書の提出と被保険者証の返還を求めるもの、被保険者証や負担割合証などの返却をお願いするもの、というように扱いが分かれています。ここでも、実際の手続きは窓口の案内に従います。

保険証・資格確認書はどうする?

保険証の状況は、ここ数年で大きく変わりました。厚生労働省の案内(2026年10月3日確認)によると、従来の健康保険証は2024年12月2日以降新たに発行されておらず、有効期限は2025年12月1日で終了しています。有効期限切れの保険証を持参した場合の経過的な取扱いも、2026年7月31日で終了しました。現在は、マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)を基本とし、当分の間、マイナ保険証を持たない方などには資格確認書が無償で、申請によらず交付されています。

そのため、亡くなった方の手元に従来の健康保険証が残っていても、それは使えない状態であり、資格確認書が手元にないこともあります。

返却の扱いは自治体ごとに違います。たとえば次のような案内があります。

  • 国民健康保険について、亡くなった方の資格確認書を「お持ちの方」は持参するよう案内するもの
  • 亡くなった方の保険証や資格確認書を、葬祭費の申請時に回収するもの
  • 後期高齢者医療について、資格確認書の返却を求め、葬祭費の申請書類とあわせて郵送または窓口持参とするもの

また、国民健康保険について、資格を失ったあとに被保険者証で医療機関にかかると、あとで医療費の返還を求められる、と説明する案内もあります。亡くなったあとは、保険証や資格確認書を使わないようにします。

マイナンバーカードそのものの扱いなど、ここで触れていない点は、自治体の案内で確認してください。

勤務先の健康保険に入っていた場合

亡くなった方が会社員などで、協会けんぽや健康保険組合に入っていた場合は、ここまでの市区町村の手続きとは窓口が違います。勤務先(事業主)や加入していた保険者の案内を確認してください。家族として扶養に入っていた場合も、扶養していた方の勤務先や保険者への確認になります。

まとめ

  • 国民健康保険は、世帯主が14日以内に市区町村へ届け出るのが基本です。
  • 後期高齢者医療・介護保険は、省令に14日以内の定めがある一方、亡くなった場合の運用は自治体で異なります。住所地の市区町村の案内に従ってください。
  • 従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日で終わっており、医療の保険で返却するのは資格確認書など、お手元にあるものです。介護保険の被保険者証を含め、返却方法も自治体の案内に従います。
  • 手続きそのものは市区町村の窓口へ。保険料や給付の個別の判断、年金の手続きは、年金事務所や社会保険労務士へご相談ください。相続全般や不動産の名義変更(相続登記)は、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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