ご家族が亡くなったとき、最初に行う役所の手続きが「死亡届」の提出です。結論から言うと、死亡届は「死亡の事実を知った日から7日以内」に提出しなければならず、提出の前に「死亡診断書のコピーを必ず取っておく」ことが、その後の手続きをスムーズに進めるポイントになります。

死亡後に必要になる手続きの全体像は、死亡後の手続きの全体像で整理しています。この記事では、そのスタート地点にあたる死亡届と死亡診断書に絞って解説します。

この記事の要点

  • 死亡届は「死亡の事実を知った日から7日以内」に提出する(戸籍法86条。国外で死亡した場合は知った日から3か月以内)
  • 死亡届の用紙は右半分が死亡診断書(死体検案書)になっており、医師に記入してもらってから提出する
  • 原本は役所に提出して手元に残らないため、提出前に複数枚コピーを取っておく(保険金請求・年金・葬祭費などで死亡の事実を証明する書類として求められることがある)
  • 死亡届の提出とあわせて火葬許可を申請することで、火葬許可証(死体火葬許可証)の交付を受けられ、火葬に進める
  • 死亡の事実が戸籍に反映されるまでには日数がかかる(一般に1〜2週間程度かかる場合がある)。戸籍への反映を待ってから、相続手続きが本格的に始まる

死亡届の期限は「知った日から7日以内」(戸籍法86条)

死亡届の期限は、戸籍法86条で「届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内」と定められています。国外で死亡した場合は、その事実を知った日から3か月以内です。

起算点が「亡くなった日」ではなく「死亡の事実を知った日」とされている点が特徴です。たとえば離れて暮らす親族の死亡を数日後に知った場合は、知った日から数えます。

また、同じ条文(86条2項)で、死亡届の届書には「診断書又は検案書」を添付しなければならないとされています。やむを得ない事由によって診断書・検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面をもってこれに代えることができます(同条3項)。実際の様式では、A3用紙の左半分が死亡届の記入欄、右半分が死亡診断書(死体検案書)になっており、右半分を医師に記入してもらったうえで、左半分を届出人が記入して1枚の書類として提出するのが通常です。

死亡届はどこに出す? 誰が出す?(戸籍法87条ほか)

提出先は、次のいずれかの市区町村役場です(戸籍法25条・88条)。

  • 亡くなった方の本籍地
  • 届出人の所在地
  • 死亡地

「届出人」(役所に対して死亡届を届け出る人)の範囲は、戸籍法87条に定められています。届出の義務を負うのは、①同居の親族、②その他の同居者、③家主・地主・家屋や土地の管理人で、条文はこの順序で挙げていますが、順序にかかわらず届出をすることができます。さらに、届出の義務は負わないものの届出をすることができる人として、同居していない親族や、後見人・保佐人・補助人・任意後見人・任意後見受任者が挙げられています(同条2項)。

実務では、葬儀社が用紙の準備や記入の案内など届出まわりのサポートをしてくれる慣行がありますが、届出人欄に記入・署名するのは、原則として戸籍法87条に定められた届出人ご本人です。届出人となる方が内容を確認したうえで手続きを進めましょう。

死亡診断書と死体検案書の違い

どちらも「亡くなったこと」を医学的に証明する書類で、死亡届の右半分がその記入欄になっています。違いは、どのような状況で医師が確認したかにあります。

  • 死亡診断書:診療を続けてきた病気やけがに関連して亡くなった場合などに、診療にあたっていた医師が作成するもの
  • 死体検案書:それ以外の場合に、医師がご遺体を検案(死後に診察・確認すること)して作成するもの

遺族の側で選ぶものではなく、状況に応じて医師(場合によっては警察を経由した検案)の判断で決まります。どちらであっても、死亡届に添付する書類としての役割は同じです。なお、作成にかかる文書料は医療機関などによって異なります。

提出前にコピーを取っておくべき理由

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、原本を役所に提出するため、手元には残りません。ここが最大の注意点です。

一方で、死亡後の各種手続きでは「死亡の事実を証明する書類」の提出を求められる場面が続きます。代表的なのは次のような手続きです。

  • 生命保険・医療保険の保険金・給付金の請求
  • 年金関係の手続き(未支給年金・遺族年金など)
  • 健康保険の葬祭費・埋葬料の申請
  • 勤務先での死亡退職の手続きや、携帯電話などの契約の解約

提出先によって、死亡診断書のコピーで足りる場合もあれば、戸籍(除籍)の証明書など別の書類を求められる場合もあります。ただ、コピーがあれば済む手続きも少なくないため、役所に提出する前に、死亡届・死亡診断書の両面を複数枚コピーしておく(またはスマートフォンなどで鮮明に撮影しておく)ことをおすすめします。提出後に内容を確認したくなった場合にも役立ちます。

なお、提出後に死亡診断書の内容が必要になった場合は、作成した医療機関に再発行を相談する方法などがありますが、時間も費用もかかります。先にコピーを取っておくのが確実です。

火葬許可証(死体火葬許可証)交付までの流れ

火葬を行うには、市区町村の許可(火葬許可証。自治体により「死体火葬許可証」「火葬許可証」など名称が異なります)が必要です。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 医師に死亡診断書(死体検案書)を作成してもらう
  2. 死亡届の左半分を届出人が記入する
  3. 死亡届の提出とあわせて、火葬許可申請書を市区町村の窓口に提出する
  4. 死亡届が受理されると、火葬許可証が交付される
  5. 火葬許可証を火葬場に提出して火葬を行う

多くの市区町村では、死亡届の窓口は夜間・休日も受付があります。火葬許可証の即時交付の可否や申請書の様式は自治体によって異なるため、提出先の市区町村の案内を確認してください。

死亡届が戸籍に反映されるまで──相続手続きの起点

死亡届が受理されると、その内容が戸籍に記載され、住民票にも死亡の記載がされます。ただし、届出のその日に戸籍が書き換わるわけではなく、一般に1〜2週間程度かかる場合があります。本籍地以外の役所に届け出た場合は、本籍地への送付を経るため、さらに日数がかかることもあります。

これが重要なのは、相続の手続きの多くが「死亡の記載のある戸籍(除籍)の証明書」を出発点にするからです。銀行口座の相続手続きも、不動産の相続登記も、亡くなった事実を戸籍で証明するところから始まります。死亡届を出した直後は戸籍の証明書がまだ取得できないことがあるため、急ぎの手続きがある場合は、本籍地の役所に反映時期を確認するとよいでしょう。

死亡届のあとに続く役所の手続きとしては、世帯主変更届葬祭費・埋葬料の申請があり、死亡届とあわせて「役所手続きの3点セット」として押さえておくと動きやすくなります。

まとめ

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出する、死後手続きの最初の一歩です(戸籍法86条)。届出人の範囲は戸籍法87条に定められており、提出先は本籍地・届出人の所在地・死亡地の市区町村です。用紙の右半分である死亡診断書(死体検案書)は、提出すると原本が手元に残らないため、提出前に複数枚コピーを取っておきましょう。保険金請求や年金、葬祭費などの手続きで役立ちます。

死亡届のあとには、戸籍への反映を待って、相続登記をはじめとする相続手続きが続きます。ご自身のケースで何から手を付けるべきか迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 死亡届の提出に費用はかかりますか?

死亡届の届出自体に手数料はかかりません。一方、死亡届の右半分にあたる死亡診断書(死体検案書)の作成には、医療機関などが定める文書料がかかり、金額は作成先によって異なります。火葬場の使用料など、火葬に関する費用は別途必要です。

Q. 7日の期限を過ぎてしまったらどうなりますか?

期限を過ぎても届出はできますし、しなければなりません。ただし、正当な理由がなく期間内に届出をしなかった場合には、5万円以下の過料(行政上の金銭的な制裁)の定めがあります(戸籍法137条)。過料になるかどうかはケースによりますが、気づいた時点でできるだけ早く届け出ましょう。

Q. 死亡届はどこに出せますか? 誰が出せますか?

提出先は、亡くなった方の本籍地、届出人の所在地、死亡地のいずれかの市区町村役場です(戸籍法25条・88条)。届出の義務を負うのは同居の親族などですが、同居していない親族や後見人・保佐人・補助人・任意後見人・任意後見受任者も届出ができます(戸籍法87条)。多くの役所では夜間・休日も受付があります。

【さらに深掘り】提出後の死亡届と相続手続きの起点

ご注意 以下は執筆時点(2026年8月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

提出した死亡届は「あとから自由に写しを取れる」書類ではない(戸籍法48条2項)

役所に提出した死亡届の届書について、あとから写しに相当するものを取る制度として「死亡届の記載事項証明書」があります。ただし、これは誰でも請求できるものではありません。戸籍法48条2項は、利害関係人は「特別の事由がある場合に限り」、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧や、その記載事項についての証明書を請求できると定めています。つまり届書は、誰でも自由に閲覧や証明書の交付を求められる書類としては扱われていません。

では、どのような場合が「特別の事由」にあたるのか。条文自体はその中身を定めておらず、確認できた範囲では、市区町村の窓口案内が具体例を挙げているにとどまります。たとえば大垣市の案内では、次の2つが例として挙げられています(あくまで一自治体の案内であり、運用は自治体により異なります)。

  • 郵政民営化前に契約した簡易生命保険の死亡保険金請求で、証書上の保険金額が100万円を超えるもの(請求できるのは保険金受取人である利害関係人)
  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族共済年金等の請求(請求できるのは受取人である利害関係人)

あわせて、利害関係人の範囲を「六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」と案内している自治体もあります。請求先は、死亡届を出した市区町村または本籍地の市区町村ですが、届書は一定期間の経過後に本籍地を管轄する法務局へ移されるのが通例で、その場合は法務局への請求になります(いつ移されるかを含め、請求先は事前に市区町村の窓口へ確認してください)。

もっとも、上の2つはあくまで案内に挙げられた例であって、「特別の事由」を限定的に列挙したものかどうかまでは確認できていません。個々のケースが「特別の事由」にあたるかどうかは、請求先の市区町村または法務局の判断になります。いずれにしても、一般の生命保険金の請求や携帯電話の解約のために、あとから記載事項証明書を当然に取れるとは限りません。本文で「提出前に複数枚コピーを取っておく」ことをおすすめしたのは、この不確かさが背景にあります。手元にコピーがあれば、コピーで足りる手続きにはそのまま使え、足りない手続きでも「どの書類が必要か」を確認する手がかりになります。

戸籍への反映を待つあいだにできる相続準備

本文のとおり、相続手続きの多くは「死亡の記載のある戸籍(除籍)の証明書」が出発点で、死亡届の受理から戸籍への反映までには日数がかかります。この待ち時間は、次のような準備にあてることができます。

  • 本籍地の把握:戸籍の証明書は本籍地で請求するのが基本です(広域交付制度もありますが、まずは本籍地の確認が出発点になります)。亡くなった方の本籍地がわからない場合は、過去の戸籍謄本や運転免許証取得時の記録など、手がかりになる書類を探しておきます
  • 財産の手がかり集め:預金通帳・キャッシュカード、保険証券、権利証(登記識別情報通知)、固定資産税の課税明細書、郵便物などを一か所に集めておくと、後の財産調査が格段に進めやすくなります。民法915条2項は、相続の承認・放棄をする前に相続財産の調査ができると定めており、この段階の情報収集はその入口にあたります
  • 相続人の見当付け:家族関係を書き出し、誰が相続人になりそうかの見取り図を作っておきます。確定には出生から死亡までの連続した戸籍の収集が必要ですが、見取り図があると収集の抜け漏れに気づきやすくなります
  • 遺言書の有無の確認:自宅や貸金庫などに遺言書が残されていないか、心当たりを確認しておきます

期限の面では、相続放棄などの熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月(民法915条1項。家庭裁判所への請求により伸長の余地あり)、相続による所有権移転の登記(相続登記)は「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内の申請義務(不動産登記法76条の2第1項)という枠組みがあります。特に借金の有無がわからないケースでは、3か月の熟慮期間を意識して、早めに財産の手がかり集めを始めることが大切です。

ただし、この3か月を「いつから数えるか」(起算点)は、判例・学説の蓄積がある論点で、個別の事情によって判断が分かれることがあります。すでに3か月が過ぎているように見える場合でも、そこで自己判断せず、お近くの司法書士にご相談ください。

死亡届は、それ自体は1枚の届出ですが、戸籍に死亡が記載されることで、その後のすべての相続手続きの土台ができあがります。届出をゴールではなく起点としてとらえ、待ち時間も準備にあてる──これが手続き全体を滞りなく進めるコツです。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年8月)。

※ 次の資料は一次情報ではなく、解説・案内などの二次資料ですが、内容確認の参考にしたため一次情報と区別して掲載しています。

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