夫・妻が亡くなった後、自宅にはいつまで住める?──配偶者短期居住権の「6か月」の数え方

この記事の要点 亡くなった方の自宅に無償で住んでいた配偶者は、一定の期間、無償で住み続けられます(配偶者短期居住権・民法1037条1項) 遺産分割で自宅の行き先を決める場合は「分割で行き先が決まった日」と「相続開始から6か月を経過する日」のいずれか遅い日まで。それ以外の場合は、自宅を取得した人から終了の申入れがあった日から6か月を経過する日まで 6か月は、初日(亡くなった日や申入れの日)を数に入れず、6か月後の初日と同じ日付の日が終わるまで、と数えるのが原則です(民法140条・143条2項) 結論から言うと、「いつまで住めるか」は遺産分割(遺産の分け方の話し合いなど)で自宅の行き先を決める必要があるかどうかで変わります。なお、本記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月22日 · ひぐらしさとし

遺体が見つからなくても戸籍に「死亡」と載る?──認定死亡のしくみと、失踪宣告との違い

この記事の要点 水難・火災その他の事変で亡くなった人がいる場合、取り調べをした官庁・公署が市町村長に死亡の報告をし、その報告に基づいて戸籍に死亡が記載される(戸籍法89条・15条)。一般に「認定死亡」と呼ばれる 失踪宣告は、家庭裁判所が利害関係人の請求で行うもので、法律上「死亡したものとみなす」(民法30条・31条)。認定死亡は、官公署の報告に基づく戸籍の記載であり、しくみも効果も異なる 相続人確定では、どちらも戸籍に記載された死亡の日(失踪宣告では死亡とみなされる時)が基準になる。特に失踪宣告は、宣告の日ではなく期間満了時・危難が去った時に死亡とみなされる点に注意する 報告によって戸籍に死亡が記載されるしくみ 結論から言うと、ご遺体が見つからない場合でも、戸籍に死亡が記載されることがあります。その根拠となるのが戸籍法89条です。 ...

2026年9月22日 · ひぐらしさとし

成年後見を受けると資格や仕事を失う?──『欠格条項』はどう変わったか

この記事の要点 かつては「成年被後見人・被保佐人」であることそのものを理由に、医師や会社役員など多くの資格・職業から一律に排除する規定(欠格条項)が数多くの法律にありました 令和元年(2019年)6月14日公布の法律により、こうした一律の欠格条項は多数の法律から削除され、法律によっては、代わりに「心身の故障により業務を適正に行うことができない者」かどうかを個別に審査する規定が置かれました。見直しの対象となった法律では、「後見を受けているかどうか」という身分だけで一律に排除する仕組みは、基本的になくなっています 会社の取締役については、これとは別の会社法改正により、成年後見人・保佐人の同意を得て本人に代わって就任を承諾する手続き(会社法331条の2)が新設されています 「後見を受けると、今の仕事や資格を失ってしまうのでは」——成年後見の利用をためらう理由として、こうした心配の声を聞くことがあります。かつてはその心配にも根拠がありました。しかし今は、法律の見直しにより状況が変わっています。本記事は、執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月21日 · ひぐらしさとし

「仮処分」とは|仮差押えとの違いと、占有移転禁止の仮処分の仕組み

この記事の要点 仮差押えは「金銭の支払を目的とする債権」を保全する手続きです(民事保全法20条1項)。これに対して仮処分は、物の引渡しや地位の確認など、お金の支払そのもの以外をめぐる場面で使われるのが典型です(同法1条・23条) 仮処分には「係争物に関する仮処分」(23条1項)と「仮の地位を定める仮処分」(23条2項)の2種類があり、要件が異なります 建物の明渡しなどの訴訟前によく使われる「占有移転禁止の仮処分」を執行しておくと、訴訟の途中で占有者が入れ替わっても、改めて訴えを起こし直さずに、執行文の付与を受けて明渡しの強制執行に進めます(同法62条) 執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月21日 · ひぐらしさとし

「公布」と「施行」の違い──法律が『できた日』と『効き始める日』は別【相続登記の条文で解説】

この記事の要点 公布は「法律ができたことを国民に知らせる」こと、施行は「その法律が実際に効き始める」こと。二つの日付は一致しないのが普通です 施行日がいつかは、条文本体ではなく末尾の附則に書かれています。「政令で定める日」と書かれていれば、法律だけ読んでも日付は分かりません 相続登記の義務化は、公布が令和3年(2021年)4月28日、施行が令和6年(2024年)4月1日。3年近いずれがありました ※本記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

実印や権利証を盗まれたら──法務局の「不正登記防止申出」でできること・できないこと

この記事の要点 実印・印鑑証明書・登記識別情報(権利証)を盗まれたなど、自分の不動産に身に覚えのない登記をされそうなときは、法務局(登記所)に「不正登記防止申出(ふせいとうきぼうししんで)」をすることができる 申出をしても登記が自動的に止まるわけではない。申出の日から3か月以内にその不動産の登記の申請があったときに、法務局から申出人へ知らせが届き、登記官が申出を相当と認めていた場合には本人確認の調査の対象になる、という仕組み 申出は、原則として本人が法務局の窓口に出頭して行う。印鑑証明書などの添付に加えて、盗難届を出すなど「原因そのものへの手当て」をしているかも確認される 「実印と印鑑証明書が入ったケースごと盗まれた」「権利証の置き場所を他人に知られてしまった」——こうしたとき、真っ先に心配になるのが、知らない間に不動産の名義を書き換えられてしまわないか、ということです。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

司法書士に依頼するとき「重要な事項の説明」で何を聞かれる?──受任前に確認しておきたいこと

この記事の要点 司法書士は依頼を引き受けるにあたり、報酬・費用の金額や算定方法、事件の処理の方法などを依頼者に説明することが職業上のルールで求められている 説明を聞くだけでなく、わからない専門用語やあいまいな点はその場で聞き返してよい 説明を受けた内容は口頭だけで終わらせず、書面(委任契約書など)で手元に残しておくと後で見返せて安心 相続や不動産の名義変更などで司法書士に依頼をすることが決まると、業務を引き受ける前の段階で、報酬や手続きの内容について説明を受ける場面があります。この記事では、この説明で何が伝えられるのか、依頼者としてどう受け止めればよいのかを整理します。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし

相続税は金銭一括納付が原則──延納・物納という2つの例外のしくみ

この記事の要点 相続税は、申告書を提出した人が申告期限までに金銭で一括して納めるのが原則(相続税法33条・国税通則法34条) 一括納付が難しい一定の事情があるときに限り、分割で納める「延納」が認められる(同法38条) 延納によっても金銭で納めることが難しいときに限り、不動産などの財産そのもので納める「物納」が認められる(同法41条) 本文 相続税と聞くと「現金で払うもの」というイメージを持たれる方が多いと思いますが、これは制度上の原則です。相続税法33条は、申告書を提出した人はその相続税を、申告期限(10か月)までに納付しなければならないと定めており、国税は金銭で一括して納めるのが原則とされています(国税通則法34条、国税庁タックスアンサーNo.4211)。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし

家庭裁判所の審判はいつ「確定」する?──即時抗告の2週間と、登記で使う確定証明書

この記事の要点 家庭裁判所の審判は、審判書を受け取った日にすぐ確定するわけではありません。即時抗告ができる審判は、確定しなければ効力を生じないとされています(家事事件手続法74条2項ただし書) 即時抗告は「2週間の不変期間」内にしなければならず、その期間は、即時抗告をする人が審判の告知を受ける者であるときは、その人が告知を受けた日から進行します(同法86条1項・2項)。告知を受けた日が相続人ごとに違えば、期間が終わる日も人ごとにずれます 遺産分割の審判で不動産を取得した相続人が単独で相続登記を申請するときは、審判書に家庭裁判所の確定証明書を添えて使います なお、この記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

戸籍の「再製」とは?──作り直された戸籍に、前の記載が載らないことがある理由

この記事の要点 戸籍の「再製」には、滅失したとき・滅失のおそれがあるときの再製(戸籍法11条)と、本人の申出による再製(同法11条の2)の2種類がある 申出による再製では、訂正された事項の記載のない戸籍が作られるため、再製後の戸籍を見ても、そこに何が記載され、どう訂正されたのかは読み取れない 相続人を確定するときは、戸籍事項欄の再製の記載(戸籍法施行規則34条6号)を確認し、その戸籍だけで完結しない前提で出生まで遡る 「再製」は戸籍を作り直す手続き──2つの種類がある 戸籍の「再製」とは、すでにある戸籍を作り直す手続きのことです。戸籍法は、次の2つの場面を定めています。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし