問題: 抵当権に基づく物上代位に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 抵当権者は、抵当不動産の賃料債権に対しても物上代位権を行使することができる。

イ. 抵当権者が物上代位権を行使するには、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

ウ. 物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後は、抵当権者はもはや自ら当該債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。

エ. 抵当不動産の賃借人が当該不動産を転貸している場合、抵当権者は、原則として当然に転貸賃料債権に対して物上代位権を行使することができる。

オ. 抵当不動産が火災により焼失した場合、抵当権者は、設定者が取得する火災保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。

答え: 誤っているものは、ウ・エの2つである。

解説: 物上代位は、抵当権の効力が目的物の「売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」に及ぶ制度です(民法372条・304条1項本文)。

ア(正)。判例は、抵当不動産の賃料債権に対する物上代位を認めています(最判平成元年10月27日民集43巻9号1070頁)。

イ(正)。物上代位権の行使には、払渡し又は引渡しの前の差押えが必要です(民法304条1項ただし書)。これは第三債務者の二重弁済の危険を防ぐための要件です。

ウ(誤)。判例は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後であっても、抵当権者は自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使できるとしています(最判平成10年1月30日民集52巻1号1頁)。

エ(誤)。判例は、転貸賃料債権に対する物上代位は、原則として許されないとしています(最決平成12年4月14日民集54巻4号1552頁)。賃借人を所有者と同視することを相当とする特段の事情がある場合を除き、行使できません。

オ(正)。火災保険金請求権は「滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭」に当たり、物上代位の対象となります(民法304条1項本文)。


問題: 用益権の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 地上権の設定の登記においては、地上権の存続期間の定めがあるときは、これを登記することができる。

イ. 地上権の設定の登記においては、地代の定めの有無にかかわらず、地代を必ず登記しなければならない。

ウ. 地役権の設定の登記は承役地についてするが、要役地には地役権の登記はされない。

エ. 地役権の設定の登記の登記事項には、地役権設定の目的及び範囲が含まれる。

オ. 地役権の範囲が承役地の一部である場合には、地役権図面を提供しなければならない。

答え: 誤っているものは、イ・ウの2つである。

解説: ア(正)。地上権の存続期間の定めがあるときは登記事項となります(不動産登記法78条2号)。

イ(誤)。地代又はその支払時期は、「その定めがあるとき」に登記する任意的な登記事項です(不動産登記法78条3号)。定めがなければ登記する必要はなく、「必ず登記しなければならない」わけではありません。

ウ(誤)。登記官は、承役地に地役権の登記をしたときは、要役地について職権で地役権の登記をしなければなりません(不動産登記法80条4項)。要役地にも(職権で)地役権が登記されます。

エ(正)。地役権設定の目的及び範囲は、地役権の登記の登記事項です(不動産登記法80条1項2号。なお同項1号は要役地)。

オ(正)。地役権設定の範囲が承役地の一部であるときは、地役権図面の提供が必要です(不動産登記令別表35の項添付情報欄)。


問題: 株式会社の発起設立に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 発起設立においては、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける。

イ. 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。

ウ. 発起人による出資に係る金銭の払込みは、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

エ. 設立時取締役は、発起人の中から選任しなければならない。

オ. 設立時取締役は、その選任後、出資の履行が完了していることなど設立手続が法令・定款に違反していないことを調査しなければならない。

答え: 誤っているものは、エの1つである。

解説: ア(正)。発起設立は、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける設立方法です(会社法25条1項1号)。

イ(正)。各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません(会社法25条2項)。

ウ(正)。金銭の出資の払込みは、発起人が定めた払込取扱場所(銀行等)においてしなければなりません(会社法34条2項)。

エ(誤)。設立時取締役は発起人が選任しますが(会社法38条1項・40条1項)、選任される者が発起人である必要はありません。発起人以外の者を設立時取締役に選任することもできます。

オ(正)。設立時取締役は、選任後、出資の履行の完了その他設立手続が法令・定款に違反していないかを調査しなければなりません(会社法46条1項)。


問題: 補助参加に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 補助参加をするには、訴訟の結果について法律上の利害関係を有することが必要である。

イ. 補助参加の申出について当事者が異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で裁判をする。

ウ. 補助参加人の訴訟行為が被参加人の訴訟行為と抵触するときは、補助参加人の訴訟行為が優先してその効力を有する。

エ. 補助参加人は、被参加人の訴訟行為と抵触しない限り、上訴の提起をすることができる。

オ. 補助参加に係る訴訟の裁判は、一定の場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。

答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。

解説: ア(正)。補助参加は「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」がすることができ(民事訴訟法42条)、この利害関係は法律上の利害関係をいうと解されています。

イ(正)。当事者が異議を述べたときは、裁判所は補助参加の許否について決定で裁判をします(民事訴訟法44条1項)。

ウ(誤)。補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しません(民事訴訟法45条2項)。優先するのは被参加人の訴訟行為です。

エ(正)。補助参加人は、被参加人の訴訟行為と抵触しない限り、攻撃防御方法の提出・上訴の提起など一切の訴訟行為をすることができます(民事訴訟法45条1項)。

オ(正)。補助参加に係る訴訟の裁判は、一定の場合を除き、補助参加人に対しても効力(参加的効力)を有します(民事訴訟法46条)。


問題: 弁済供託に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだときは、弁済者は供託をすることができる。

イ. 債権者が弁済を受領することができないときは、弁済者は供託をすることができる。

ウ. 弁済者が過失なく債権者を確知することができないときは、弁済者は供託をすることができる。

エ. 受領拒否を理由とする弁済供託をするには、原則として、債務の本旨に従った現実の提供をして債権者が受領を拒んだことが必要である。

オ. 弁済供託の目的物は債務の本旨に従ったものである必要はなく、債務の一部のみの供託も常に有効である。

答え: 誤っているものは、オの1つである。

解説: 弁済供託は、弁済者が弁済の目的物を供託所に供託して債務を免れる制度です。

ア(正)。債権者が弁済の受領を拒んだときは供託できます(民法494条1項1号)。

イ(正)。債権者が弁済を受領することができないときも供託できます(民法494条1項2号)。

ウ(正)。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも供託できます(民法494条2項)。

エ(正)。受領拒否を理由とする弁済供託は、原則として、債務の本旨に従った現実の提供(民法493条本文)をして受領を拒まれたことが前提となります。

オ(誤)。弁済供託は債務の本旨に従ったものでなければならず、債務の一部のみの供託(一部供託)は原則として無効です。供託金額が債務全額に不足する場合、原則として供託の効力は生じません。


出題分野の振り分け

  • 第1問:民法(抵当権・物上代位)
  • 第2問:不動産登記法(用益権の登記)
  • 第3問:会社法(株式会社の発起設立)
  • 第4問:民事訴訟法(補助参加)
  • 第5問:民法・供託法(弁済供託)