問題:
抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
イ.抵当権の効力は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
ウ.抵当不動産について所有権を取得した第三者は抵当権消滅請求をすることができるが、主たる債務者及び保証人は、抵当権消滅請求をすることができない。
エ.抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、抵当権を行使することができる。
オ.抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しては行使することができず、専ら目的不動産の交換価値の把握にとどまる。
答え:
誤っているものは、オの1個である。
解説:
抵当権は非占有担保であり、優先弁済権・効力の及ぶ範囲・物上代位が頻出論点となる。
ア(正しい)。抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(民法369条1項)。占有を移転しない非占有担保である点が特徴である。
イ(正しい)。抵当権の効力は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物(付加一体物)に及ぶ(民法370条本文)。土地と建物は別個の不動産であるから、土地の抵当権の効力は地上建物には及ばない。
ウ(正しい)。抵当不動産の第三取得者は抵当権消滅請求をすることができる(民法379条)が、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない(民法380条)。被担保債権を全額弁済すべき立場にあるためである。
エ(正しい)。抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、抵当権を行使することができる(民法375条1項本文)。後順位抵当権者等の利益を保護する趣旨である。
オ(誤り)。抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができる(物上代位、民法372条・304条1項本文)。判例は賃料債権に対する物上代位を認めており、ただしその払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(同条1項ただし書)。物上代位を一切否定する点が誤りである。
問題:
仮登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.仮登記は、登記すべき権利変動が既に生じているが登記申請に必要な情報を提供することができないとき、及び権利変動を生じさせる請求権を保全しようとするときにすることができる。
イ.仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき、又は仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記権利者が単独で申請することができる。
ウ.所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者があっても、その承諾を要しないで申請することができる。
エ.仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。
オ.仮登記に基づいて本登記をした場合、その本登記の順位は、仮登記の順位による。
答え:
誤っているものは、ウの1個である。
解説:
仮登記(不動産登記法105条以下)は、順位保全効と、単独申請が認められる場面、本登記の際の利害関係人の承諾が問われる。
ア(正しい)。仮登記は、登記すべき権利変動は生じているが登記申請に必要な情報を提供できないとき(1号仮登記)、及び権利変動を生じさせる請求権を保全しようとするとき(2号仮登記)にすることができる(不動産登記法105条1号・2号)。
イ(正しい)。仮登記は、原則として共同申請によるが、仮登記の登記義務者の承諾があるとき、又は仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記権利者が単独で申請することができる(不動産登記法107条1項)。
ウ(誤り)。所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる(不動産登記法109条1項)。本登記により当該第三者の登記が職権抹消され得るためである。承諾を要しないとする点が誤りである。
エ(正しい)。仮登記の抹消は、第60条(共同申請の原則)にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる(不動産登記法110条前段)。仮登記上の利害関係人も、仮登記名義人の承諾を得て単独で申請することができる(同条後段)。
オ(正しい)。仮登記に基づいて本登記をした場合、その本登記の順位は、仮登記の順位による(不動産登記法106条)。これが仮登記の順位保全効である。
問題:
募集株式の発行に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.公開会社における募集株式の発行は、株主に特に有利な金額で発行する場合を除き、取締役会の決議によって募集事項を定めることができる。
イ.非公開会社における募集株式の発行は、定款に別段の定めがない限り、取締役会の決議によって募集事項を定める。
ウ.募集株式の引受人は、払込期日を定めた場合にはその期日に、払込期間を定めた場合には出資の履行をした日に、それぞれ募集株式の株主となる。
エ.募集株式の発行による変更の登記の申請書には、払込みがあったことを証する書面を添付しなければならない。
オ.募集株式の発行により発行済株式の総数及び資本金の額が増加したときは、その変更の登記を、効力が生じた日から2週間以内に本店の所在地においてしなければならない。
答え:
誤っているものは、イの1個である。
解説:
募集株式の発行は、公開会社と非公開会社で募集事項の決定機関が異なる点が中心論点である。
ア(正しい)。公開会社では、募集株式の払込金額が引受人に特に有利な金額である場合(有利発行)を除き、取締役会の決議によって募集事項を定めることができる(会社法201条1項・199条2項)。
イ(誤り)。非公開会社における募集株式の発行は、原則として株主総会の特別決議によって募集事項を定める(会社法199条2項、309条2項5号)。取締役会設置会社であっても、非公開会社では原則として株主総会の決議を要する。定款に別段の定めがない限り取締役会で定めるとする点が誤りである。
ウ(正しい)。募集株式の引受人は、払込期日を定めたときはその期日に、払込期間を定めたときは出資の履行をした日に、それぞれ募集株式の株主となる(会社法209条1項1号・2号)。
エ(正しい)。募集株式の発行による変更の登記の申請書には、払込みがあったことを証する書面を添付しなければならない(商業登記法56条)。
オ(正しい)。募集株式の発行により発行済株式の総数及び資本金の額が増加したときは、効力が生じた日から2週間以内に本店の所在地において変更の登記をしなければならない(会社法915条1項)。
問題:
判決の既判力に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
イ.相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
ウ.判決理由中の判断には、原則として既判力は生じない。
エ.既判力の基準時(標準時)は、事実審の口頭弁論終結の時である。
オ.確定判決は、当事者のみを拘束し、口頭弁論終結後の承継人に対しては、その効力を有しない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・エの4個である。
解説:
既判力の客観的範囲(民事訴訟法114条)・基準時・主観的範囲(同法115条)が問われる。
ア(正しい)。確定判決は、主文に包含するもの、すなわち訴訟物たる権利関係の存否の判断に限り既判力を有する(民事訴訟法114条1項)。
イ(正しい)。相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する(民事訴訟法114条2項)。理由中の判断であっても例外的に既判力が認められる場面である。
ウ(正しい)。判決理由中の判断には、原則として既判力は生じない。前提となる法律関係や事実の認定に既判力が及ばないのが原則であり、相殺の抗弁(同条2項)が例外となる。
エ(正しい)。既判力の基準時(標準時)は、事実審の口頭弁論終結の時である。当事者はこの時点までに提出できた攻撃防御方法を、基準時後に蒸し返すことができない(基準時の遮断効)。
オ(誤り)。確定判決は、当事者のほか、口頭弁論終結後の承継人に対してもその効力を有する(民事訴訟法115条1項3号)。承継人に効力が及ばないとする点が誤りである。
問題:
弁済供託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.弁済者は、債権者が弁済の受領を拒み、若しくはこれを受領することができないとき、又は弁済者が過失なく債権者を確知することができないときは、弁済の目的物を供託することができる。
イ.受領拒否を理由とする弁済供託をするには、原則として、あらかじめ弁済の提供をしたことを要する。
ウ.弁済の目的物が供託に適しないとき等は、弁済者は、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託することができる。
エ.弁済者は、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、供託物を取り戻すことができる。
オ.弁済供託は、弁済者の住所地を管轄する供託所にしなければならない。
答え:
誤っているものは、オの1個である。
解説:
弁済供託(民法494条以下)は、供託原因・供託の前提としての弁済の提供・取戻請求権・管轄供託所が問われる。
ア(正しい)。債権者が弁済の受領を拒み(受領拒否)、若しくは受領することができず(受領不能)、又は弁済者が過失なく債権者を確知することができない(債権者不確知)ときは、弁済者は弁済の目的物を供託することができる(民法494条1項・2項)。
イ(正しい)。受領拒否を理由とする弁済供託をするには、原則として、あらかじめ弁済の提供をしたことを要する。弁済の提供をしてもなお受領を拒まれたことが供託の前提となる(民法492条・493条参照)。
ウ(正しい)。弁済の目的物が供託に適しないとき、滅失・損傷等のおそれがあるとき、又はその物の保存に過分の費用を要するとき等は、弁済者は、裁判所の許可を得てこれを競売に付し、その代金を供託することができる(自助売却、民法497条)。
エ(正しい)。弁済者は、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、供託物を取り戻すことができる(民法496条1項前段)。取り戻したときは、供託をしなかったものとみなされる(同項後段)。
オ(誤り)。弁済供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない(民法495条1項)。弁済者の住所地ではなく、債務の履行地が基準となる点が誤りである。