問題:

代理に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア.代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

イ.無権代理の相手方が本人に対し相当の期間を定めて追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をした場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認をしたものとみなされる。

ウ.無権代理人が本人を単独で相続した場合には、本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位を生じ、当該無権代理行為は当然に有効となる。

エ.本人が第三者に対してある者に代理権を与えた旨を表示したときは、その代理権の範囲内においてその者が第三者との間でした行為について、本人は責任を負うことがある。

オ.制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。

答え:

誤っているものは、イの1個である。

解説:

代理は、無権代理(追認・催告・無権代理人の責任・相続)と表見代理(民法109条・110条・112条)が頻出論点である。

ア(正しい)。代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない(民法113条1項)。

イ(誤り)。無権代理の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができるが、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる(民法114条)。追認をしたものとみなされるとする点が誤りである。

ウ(正しい)。判例は、無権代理人が本人を単独で相続した場合には、本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位を生じ、無権代理行為は当然に有効となるとする(最判昭和40年6月18日民集19巻4号986頁)。

エ(正しい)。本人が第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示したときは、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、本人はその責任を負う(代理権授与の表示による表見代理、民法109条1項本文)。

オ(正しい)。制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない(民法102条本文)。代理行為の効果は本人に帰属し、代理人自身が不利益を受けるわけではないためである。


問題:

抵当権の設定の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア.抵当権の設定の登記の登記原因及びその日付は、被担保債権の発生原因及びその日付と、抵当権設定契約及びその日付とを記載する(例「年月日金銭消費貸借年月日設定」)。

イ.抵当権の設定の登記においては、債権額並びに債務者の氏名又は名称及び住所は、必ず登記しなければならない登記事項である。

ウ.利息に関する定めは抵当権の効力要件であり、これを登記しなければ抵当権の効力自体が生じない。

エ.同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権を設定し、その登記を一の申請情報により申請する場合、共同担保目録は登記官が作成するため、申請人がこれを作成して提供する必要はない。

オ.抵当権の設定の登記は、登記権利者である抵当権者と登記義務者である設定者とが共同して申請するのが原則である。

答え:

誤っているものは、ウの1個である。

解説:

抵当権の設定の登記は、登記原因(債権の発生原因+設定契約)、必要的登記事項と任意的登記事項の区別、共同担保目録、共同申請の原則が問われる。

ア(正しい)。抵当権の設定の登記の登記原因及びその日付は、被担保債権の発生原因及びその日付と、抵当権設定契約及びその日付とを併せて記載する。金銭消費貸借に基づく貸金債権を担保する場合は「年月日金銭消費貸借年月日設定」となる。

イ(正しい)。債権額並びに債務者の氏名又は名称及び住所は、抵当権の設定の登記において必ず登記しなければならない登記事項(必要的登記事項)である(不動産登記法83条1項1号・2号)。

ウ(誤り)。利息に関する定めは、定めがあるときに登記することができる任意的登記事項である(不動産登記法88条1項1号)。利息の定めは抵当権の効力要件ではなく、登記しなければ抵当権の効力自体が生じないというものではない。効力要件であるとする点が誤りである。

エ(正しい)。同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権を設定し、その登記を一の申請情報により申請する場合、共同担保目録は登記官が作成するため、申請人がこれを作成して提供する必要はない(不動産登記規則166条)。

オ(正しい)。抵当権の設定の登記は、登記権利者(抵当権者)と登記義務者(設定者)とが共同して申請するのが原則である(不動産登記法60条)。


問題:

株式会社の解散及び清算に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア.株式会社は、株主総会の特別決議によって解散することができる。

イ.株式会社が解散したときは、合併により消滅する場合及び破産手続開始の決定により解散した場合を除き、清算をしなければならない。

ウ.定款で清算人となる者を定めず、かつ、株主総会の決議によって清算人を選任しなかったときは、取締役が清算人となる。

エ.清算株式会社は、取締役会を置くことができない。

オ.清算人は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成して、これを取締役会に提出し、その承認を受けなければならない。

答え:

誤っているものは、オの1個である。

解説:

解散事由、清算の要否、清算人の就任、清算株式会社の機関が問われる。

ア(正しい)。株式会社は、株主総会の決議によって解散することができ(会社法471条3号)、当該決議は特別決議による(同法309条2項11号)。

イ(正しい)。株式会社が解散したときは、合併により消滅する場合及び破産手続開始の決定により解散した場合(破産手続が終了していない場合)を除き、清算をしなければならない(会社法475条1号)。

ウ(正しい)。定款で清算人となる者を定めず、かつ、株主総会の決議によって清算人を選任しなかったときは、取締役が清算人となる(会社法478条1項1号)。

エ(正しい)。清算株式会社には取締役会等に関する規定が適用されず、取締役会を置くことはできない(会社法477条参照)。解散により取締役は退任し、清算人が清算事務を執行する。

オ(誤り)。清算人は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成しなければならず、これらを株主総会に提出し、又は提供して、その承認を受けなければならない(会社法492条1項・3項)。取締役会に提出して承認を受けるとする点が誤りである(清算株式会社に取締役会は存在しない)。


問題:

不動産に対する強制執行に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア.不動産に対する強制執行は、強制競売又は強制管理の方法により行い、これらの方法は併用することができる。

イ.執行裁判所が強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言する。

ウ.差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずるが、差押えの登記がその送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。

エ.差押えは、債務者が通常の用法に従って不動産を使用し、又は収益することを妨げない。

オ.強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合であっても、裁判所書記官が配当要求の終期を定める必要はない。

答え:

誤っているものは、オの1個である。

解説:

不動産執行の方法、開始決定と差押えの宣言、差押えの効力発生時期、債務者の使用収益、配当要求の終期が問われる。

ア(正しい)。不動産に対する強制執行は、強制競売又は強制管理の方法により行い、これらの方法は併用することができる(民事執行法43条1項)。

イ(正しい)。執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言する(民事執行法45条1項)。

ウ(正しい)。差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる(民事執行法46条1項)。送達と登記のいずれか早い時点で効力が生じることになる。

エ(正しい)。差押えは、債務者が通常の用法に従って不動産を使用し、又は収益することを妨げない(民事執行法46条2項)。差押えは処分を制限するものであり、通常の使用収益までは制限しない。

オ(誤り)。裁判所書記官は、強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じたときは、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない(民事執行法49条1項)。配当要求の終期を定める必要はないとする点が誤りである。


問題:

供託物の払渡しに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア.弁済者は、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、供託物を取り戻すことができる。

イ.弁済供託の被供託者は、供託所に対して供託を受諾する旨を表示することにより、供託物の還付を受けることができる。

ウ.供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、供託者は、供託物を取り戻すことができない。

エ.供託物取戻請求権は、消滅時効にかかることはなく、供託者はいつでもこれを行使することができる。

オ.供託者が供託物を取り戻すには、被供託者の承諾を得なければならない。

答え:

誤っているものは、エ・オの2個である。

解説:

供託物の払渡しは、被供託者が請求する「還付」と供託者が請求する「取戻し」に分かれ、取戻請求権の要件・制限・消滅時効が問われる。

ア(正しい)。弁済者は、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、供託物を取り戻すことができる(民法496条1項前段)。

イ(正しい)。弁済供託の被供託者は、供託所に対して供託を受諾する旨を表示することにより、供託物の還付を受けることができる。還付請求は、供託物の引渡しを受けるべき者がする払渡しである。

ウ(正しい)。供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、供託者は、供託物を取り戻すことができない(民法496条2項)。取戻しを認めると、いったん消滅した担保権の復活を認めることになり、利害関係人に不測の損害を及ぼすためである。

エ(誤り)。供託物取戻請求権も債権であり、消滅時効にかかる。判例は、供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となった債務をめぐる紛争の解決等により供託者が免責の利益を受ける必要が消滅した時から進行するとした(最大判昭和45年7月15日民集24巻7号771頁)。消滅時効にかからないとする点が誤りである。

オ(誤り)。供託者は、民法496条1項の要件を満たす限り、単独で供託物の取戻しを請求することができ、被供託者の承諾を要しない。被供託者の承諾を得なければならないとする点が誤りである。


出題分野の振り分け

出題分野
第1問 民法(代理・無権代理・表見代理)
第2問 不動産登記法(抵当権の設定の登記)
第3問 会社法・商業登記法(株式会社の解散及び清算)
第4問 民事執行法(不動産に対する強制執行)
第5問 供託法(供託物の払渡し)