問題:

登記の申請の却下に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 登記官は、申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないときは、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。

イ. 申請の不備が補正することができるものであっても、登記官は、当該申請を却下しなければならず、補正を認める余地はない。

ウ. 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が、登記官の調査の結果と合致しないときは、当該申請は却下事由に当たる。

エ. 建物の合併の登記の申請が不動産登記法56条各号に掲げる制限に該当する場合は、不動産登記法25条各号のいずれにも当たらないから、登記官は当該申請を却下することができない。

オ. 登録免許税を納付しないときは、却下事由には当たらず、登記官は納付を待って登記をすれば足りる。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

アは正しい。不動産登記法25条柱書は「登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない」と定め、同条1号に「申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき」を掲げている。却下が「理由を付した決定」という要式行為であること、および却下が登記官の裁量ではなく義務であることの双方を、柱書は示している。

イは誤りである。同条柱書には「ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない」というただし書が置かれている。補正することができる不備については、登記官が定めた相当の期間内に補正されれば却下されない。「補正を認める余地はない」とする点が条文に反する。

ウは正しい。同条11号は「表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき」を却下事由として掲げている。29条は表示に関する登記についての登記官の調査権限を定める規定であり、11号はその調査結果と申請内容の不一致を却下事由に取り込んだものである。表示に関する登記に固有の却下事由として、25条の中でも押さえておきたい号である。

エは誤りである。同条13号は「前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき」を却下事由とし、これを受けた不動産登記令20条3号は「申請が法第三十二条、第四十一条、第五十六条、第七十三条第二項若しくは第三項、第八十条第三項又は第九十二条の規定により登記することができないとき」を掲げている。建物の合併の登記の制限(不動産登記法56条)に該当する申請は、この令20条3号を経由して25条13号の却下事由に当たる。合筆の登記の制限(41条)、表題部所有者の変更等に関する登記手続(32条)も同じ経路で却下事由となる。25条の1号から12号までを見て「該当なし」と判断すると誤る典型例であり、13号と令20条をセットで確認しておきたい。

オは誤りである。同条12号は「登録免許税を納付しないとき」を明文で却下事由として掲げている。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。25条は、①柱書の要式性と補正のただし書、②1号から12号までの列挙、③13号と不動産登記令20条の連結、という三層で押さえると、表示に関する登記の場面でも判断を誤りにくい。


問題:

公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下「協会」という。)に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 協会は、その名称中に公共嘱託登記土地家屋調査士協会という文字を使用する一般社団法人であって、土地家屋調査士法63条1項各号に掲げる内容の定款の定めがあるものに限り、設立することができる。

イ. 協会の定款には、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有する調査士又は調査士法人が社員になろうとするときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができないものとする旨の定めがなければならない。

ウ. 土地家屋調査士法63条1項各号に掲げる内容の定款の定めは、社員総会の決議によって変更することができる。

エ. 協会は、官公署等の依頼を受けて業務を行うほか、個人からの依頼を受けて不動産の表示に関する登記に必要な調査又は測量を行うことを業とすることができる。

オ. 協会は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長及びその管轄区域内に設立された調査士会に届け出なければならない。

答え:

誤っているものは、ウ・エの2つである。

解説:

アは正しい。土地家屋調査士法63条1項は、その名称中に公共嘱託登記土地家屋調査士協会という文字を使用する一般社団法人は、社員である調査士及び調査士法人がその専門的能力を結合して官公署等による不動産の表示に関する登記に必要な調査若しくは測量又はその登記の嘱託若しくは申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とし、かつ、同項各号に掲げる内容の定款の定めがあるものに限り、設立することができると定めている。協会が一般社団法人という法人類型を前提としている点、および定款の内容が法定されている点が出発点となる。なお、条文が設立の要件として掲げているのは、この定款の定め(定款要件)だけではなく、社員である調査士及び調査士法人が専門的能力を結合して官公署等による表示に関する登記に必要な調査・測量等の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とすること(目的要件)を含めた二つである。本肢は要件のうち定款の定めのみを挙げたものであり、その限りで正しいが、目的要件も設立の要件であることを併せて押さえておきたい。

イは正しい。同項2号は「前号に規定する調査士又は調査士法人が社員になろうとするときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができないものとすること」を定款の必要的記載事項としている。なお同項1号は、社員が主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有する調査士又は調査士法人でなければならないものとすること、3号は、理事の員数の過半数は社員でなければならないものとすることを、それぞれ定めている。

ウは誤りである。同条2項は「前項に規定する定款の定めは、これを変更することができない」と定めている。1項各号の定款の定めは、協会という制度の枠組みそのものを形づくるものとして、変更が封じられている。社員総会の決議による変更ができるとする点が誤りである。

エは誤りである。同法64条1項は、協会の業務を「官公署等の依頼を受けて」3条1項1号から3号までに掲げる事務(同項2号及び3号に掲げる事務にあっては、同項1号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る。)およびこれらの事務に関する同項6号に掲げる事務を行うことと定めている。さらに68条2項は「協会は、その業務の範囲を超えて、第六十四条第一項に規定する事務を行うことを業とすることができない」と明文で定めている。依頼者が官公署等であることは協会の業務の範囲を画する要素であり、個人からの依頼を業として受けることはできない。

オは正しい。同法63条の2は、協会は成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長及びその管轄区域内に設立された調査士会に届け出なければならないと定めている。

あわせて確認しておきたい規定として、64条2項は、協会がその業務に係る64条1項の事務を、調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者に取り扱わせてはならないと定める。64条の2第1項は、協会の業務がその主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長の監督に属するとし、同条2項は、当該法務局又は地方法務局の長が、必要があると認めるときはいつでも業務及び財産の状況を検査し、又は監督上必要な命令をすることができるとしている。また65条は、22条(依頼に応ずる義務)の規定を協会の業務について準用し、43条1項・44条・46条の規定を協会に対する懲戒について準用したうえで、43条1項・44条1項から3項まで・46条中「法務大臣」とあるのを「第六十四条の二第一項に規定する法務局又は地方法務局の長」と読み替えるものとしている。協会に対する懲戒の主体が法務大臣ではない点は、調査士・調査士法人に対する懲戒(42条・43条)との対比で問われやすい。

以上より、誤っているものはウ・エの2つである。


問題:

共有物の分割に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるが、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げられない。この契約は更新することができるが、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。

イ. 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができ、裁判所は、共有物の現物を分割する方法又は共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部若しくは一部を取得させる方法により、共有物の分割を命ずることができる。

ウ. 境界標、囲障、障壁、溝及び堀で相隣者の共有に属するものについても、各共有者は、いつでもその分割を請求することができる。

エ. 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。

オ. 共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときであっても、当該持分については遺産の分割によるべきであり、民法258条の規定による分割をすることはできない。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

アは正しい。民法256条1項本文は各共有者がいつでも共有物の分割を請求することができるとし、同項ただし書は「五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない」と定める。同条2項本文はこの契約の更新を認めつつ、同項ただし書で「その期間は、更新の時から五年を超えることができない」としている。不分割特約の上限が最初の契約でも更新後でも五年である点が要点となる。

イは正しい。民法258条1項は、協議が調わないとき又は協議をすることができないときの裁判上の分割請求を定める。同条2項は、裁判所が命ずることのできる分割方法として、1号に「共有物の現物を分割する方法」、2号に「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法」を掲げている。令和3年法律第24号による改正で、2号の方法(いわゆる賠償分割)が条文上の分割方法として明記された。1号と2号のいずれの方法によるかについて、条文は順序を定めていない。立案過程の法制審議会では、賠償分割と現物分割の検討順序に先後関係をつけないものとし、現物の分割が困難かどうかは裁判所が判断をする際の考慮要素の一つとすることで足りると整理されていた(法制審議会民法・不動産登記法部会「部会資料37」)。この改正のうち共有制度の見直しに関する部分は、令和5年4月1日に施行されている。なお同条3項は、これらの方法により分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときに、裁判所が競売を命ずることができるとしている。

ウは誤りである。民法257条は「前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない」と定める。229条が定めるのは、境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀について相隣者の共有に属するものと推定する規律であり、257条はこれらの共有物を256条の分割請求の規定の適用対象から除いている。適用除外の理由は条文上明示されていないため、229条に規定する共有物には256条が適用されないという条文どうしの結びつきを、そのまま押さえておきたい。「いつでもその分割を請求することができる」とする点が誤りである。

エは正しい。民法258条4項は「裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる」と定めている。この規定も令和3年法律第24号による改正で置かれたものである。

オは誤りである。民法258条の2第1項は、共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で遺産の分割をすべきときは、258条による分割をすることができないと定める。もっとも同条2項本文は「共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる」としている。したがって、相続開始から十年を経過した場合には258条による分割の道が開かれており、常に遺産の分割によるべきであるとする点が誤りである。

もっとも同条2項ただし書は、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が258条による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでないとする。同条3項は、この異議の申出について、当該相続人が258条1項の請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から二箇月以内に当該裁判所にしなければならないと定めている。

以上より、誤っているものはウ・オの2つである。


問題:

平面直角座標系において、既知点A及び既知点Bの座標値が次のとおりであるとする。

A(X=1000.000m、Y=2000.000m)

B(X=1000.000m、Y=2200.000m)

新点Pについて、A点において観測した夾角∠PABが60°00′00″、B点において観測した夾角∠ABPが45°00′00″であった。新点PはA点及びB点を通る直線に対しX座標が大きい側にあるものとするとき、新点Pの座標値として最も近いものはどれか。なお、$\sin 45^\circ = 0.7071068$、$\sin 60^\circ = 0.8660254$、$\sin 75^\circ = 0.9659258$、$\cos 30^\circ = 0.8660254$、$\sin 30^\circ = 0.5000000$とする。

ア. X=1073.205m、Y=2126.795m

イ. X=1126.795m、Y=2073.205m

ウ. X=1155.291m、Y=2089.658m

エ. X=873.205m、Y=2073.205m

オ. X=1173.205m、Y=2100.000m

答え:

解説:

前方交会法は、二つの既知点から新点を視準して得た二つの夾角と既知点間の距離から、新点の座標値を求める方法である。手順は、①既知点間の方向角と距離を求める、②三角形の残る内角を求めて正弦定理で新点までの距離を求める、③新点方向の方向角を求めて放射計算により座標値を求める、の三段階になる。

第一に、A点からB点への座標差と距離を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{AB} &= 1000.000 - 1000.000 = 0.000 \\[4pt] \Delta Y_{AB} &= 2200.000 - 2000.000 = 200.000 \end{aligned} $$

$\Delta X_{AB} = 0$ かつ $\Delta Y_{AB} > 0$ であるから、A点からB点への方向角は $T_{AB} = 90^\circ$ であり、距離は $\overline{AB} = 200.000~\mathrm{m}$ である。

第二に、三角形ABPの内角の和から、P点における内角を求める。

$$ \begin{aligned} \angle APB &= 180^\circ - 60^\circ - 45^\circ \\[4pt] &= 75^\circ \end{aligned} $$

正弦定理により、A点から新点Pまでの距離を求める。∠ABPの対辺が $\overline{AP}$ である点に注意する。

$$ \begin{aligned} \overline{AP} &= \frac{\overline{AB} \cdot \sin \angle ABP}{\sin \angle APB} \\[4pt] &= \frac{200.000 \times 0.7071068}{0.9659258} \\[4pt] &= 146.410\,\mathrm{m} \end{aligned} $$

第三に、A点から新点Pへの方向角を求める。新点Pは直線ABに対しX座標が大きい側にあるから、$T_{AB} = 90^\circ$ から夾角60°を減じた向きとなる。

$$ \begin{aligned} T_{AP} &= 90^\circ 00' 00'' - 60^\circ 00' 00'' \\[4pt] &= 30^\circ 00' 00'' \end{aligned} $$

放射計算により新点Pの座標値を求める。

$$ \begin{aligned} X_P &= 1000.000 + 146.410 \times 0.8660254 \\[4pt] &= 1000.000 + 126.795 = 1126.795 \\[4pt] Y_P &= 2000.000 + 146.410 \times 0.5000000 \\[4pt] &= 2000.000 + 73.205 = 2073.205 \end{aligned} $$

よってP(X=1126.795m、Y=2073.205m)となり、イが正解である。

検算として、B点側から同じ点が求まるかを確かめる。正弦定理により $\overline{BP} = 200.000 \times 0.8660254 \div 0.9659258 = 179.315~\mathrm{m}$ である。B点からA点への方向角は $T_{BA} = 270^\circ$ であり、これに∠ABP=45°を加えると $T_{BP} = 315^\circ$ となる。

$$ \begin{aligned} X_P &= 1000.000 + 179.315 \times \cos 315^\circ \\[4pt] &= 1000.000 + 126.795 = 1126.795 \\[4pt] Y_P &= 2200.000 + 179.315 \times \sin 315^\circ \\[4pt] &= 2200.000 - 126.795 = 2073.205 \end{aligned} $$

両方向からの計算値が一致するので、答えの確からしさが確認できる。

他の選択肢が生ずる原因も押さえておきたい。アはΔXとΔYを入れ替えて計算した場合の値である。ウは正弦定理の辺と対角の対応を誤り、$\overline{AP}$ を求める際に∠PABの正弦($\sin 60^\circ$)を用いた場合の値であり、これは実際には $\overline{BP}$ の長さである。エは新点Pを直線ABの反対側に取り、$T_{AP} = 90^\circ + 60^\circ = 150^\circ$ として計算した場合の値である。オは $\overline{AP}$ を求めずに $\overline{AB} = 200.000~\mathrm{m}$ をそのまま放射計算に用いた場合の値である。

本試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・二台まで)を使用できるので、正弦定理の分数を一度に打ち込むことができる。もっとも、辺と対角の対応と、新点が直線のどちら側にあるかによる方向角の加減の向きは、電卓では補えない。図を描いて位置関係を確定してから計算に入る手順を固定しておきたい。


問題:

建物所在図に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとされ、建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとされている。

イ. 登記所には、建物所在図が備え付けられるまでの間、これに代えて、建物所在図に準ずる図面を備え付けることができる旨が、不動産登記法に定められている。

ウ. 建物所在図は、地図及び建物図面を用いて作成することができる。

エ. 建物所在図には、その作成年月日を記録しなければならないものとされている。

オ. 建物所在図には、精度区分及び各筆界点の座標値を記録するものとされている。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

アは正しい。不動産登記法14条1項は「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする」と定め、同条3項は「第一項の建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする」と定めている。同条2項が地図について「一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示する」としているのと対をなす規定である。

イは誤りである。同条4項は「第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる」と定めており、暫定的な代替図面が認められているのは地図についてである。同条5項も「前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする」として、対象を土地に限っている。同条には、建物所在図について、これに準ずる図面の備付けを認める規定は置かれていない。不動産登記規則にも、建物所在図に準ずる図面の備付けを定める規定は見当たらない。

ウは正しい。不動産登記規則11条1項は「建物所在図は、地図及び建物図面を用いて作成することができる」と定めている。同条2項は、新住宅市街地開発法等による不動産登記に関する政令6条2項(同令11条から13条までにおいて準用する場合を含む。)の建物の全部についての所在図その他これに準ずる図面について、建物所在図として備え付けることを不適当とする特別の事情がある場合を除き、これを建物所在図として備え付けるものとしている。

エは誤りである。不動産登記規則14条は、建物所在図の記録事項として、1号に地番区域の名称、2号に建物所在図の番号、3号に縮尺、4号に各建物の位置及び家屋番号(区分建物にあっては、当該区分建物が属する一棟の建物の位置)を掲げたうえ、5号で「第十一条第二項の建物所在図にあっては、その作成年月日」と定めている。作成年月日が記録事項とされているのは11条2項の建物所在図の場合であり、建物所在図一般について常に作成年月日の記録が求められるわけではない。地図の記録事項を定める13条1項が10号で「作成年月日」を限定なく掲げているのと対比される。

オは誤りである。精度区分及び各筆界点の座標値は、地図の記録事項である。不動産登記規則13条1項8号は精度区分を地図の記録事項として掲げ、同条2項は「電磁的記録に記録する地図にあっては、前項各号に掲げるもののほか、各筆界点の座標値を記録するものとする」と定めている。建物所在図の記録事項を定める14条には、これらは掲げられていない。地図が土地の区画を座標値で特定する図面であるのに対し、建物所在図は各建物の位置と家屋番号を示す図面であるという性格の違いが、記録事項の差に表れている。

なお、不動産登記規則12条1項は、登記官が新たな地図を備え付けた場合において従前の地図があるときは、その全部又は一部を閉鎖しなければならないと定め、同条4項は、前三項の規定を地図に準ずる図面及び建物所在図について準用している。閉鎖の規律は建物所在図にも及ぶ点は、イの結論と混同しないよう区別して整理したい。また不動産登記法14条6項は、地図及び建物所在図並びに地図に準ずる図面を電磁的記録に記録することができるとしている。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。


出題分野の振り分け

分野 論点 主な根拠条文
第1問 不動産登記法(総則) 登記の申請の却下 不動産登記法25条柱書・1号・11号・12号・13号、不動産登記令20条3号
第2問 土地家屋調査士法 公共嘱託登記土地家屋調査士協会 土地家屋調査士法63条1項・2項、63条の2、64条、64条の2、65条、68条2項
第3問 民法(物権) 共有物の分割 民法256条、257条、258条、258条の2
第4問 測量計算 前方交会法による新点の座標計算 正弦定理・放射計算
第5問 作図・書式 建物所在図 不動産登記法14条1項・3項・4項・5項・6項、不動産登記規則11条・12条・13条・14条