問題:
登記官による事実の調査に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 登記官は、表示に関する登記について第十八条の規定により申請があった場合及び前条の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
イ. 登記官による前記の調査は、当該不動産の所有権の登記名義人から特に依頼があった場合に限り、することができる。
ウ. 登記官は、前記の調査をする場合において、必要があると認めるときは、時間帯を問わず、当該不動産を検査し、又は当該不動産の所有者その他の関係者に対し質問をすることができる。
エ. 登記官は、前記の調査に際し、当該不動産の所有者その他の関係者に対し、文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示を求め、又は質問をすることができる。
オ. 登記官は、前記の調査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯しなければならないが、関係者から提示の請求があった場合であっても、これを提示する義務はない。
答え:
誤っているものは、イ・ウ・オの3つである。
解説:
登記官による事実の調査の権限は、不動産登記法29条に規定されている。
アは正しい。登記官は、表示に関する登記について第18条の規定により申請があった場合及び前条(28条)の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる(不動産登記法29条1項)。表示に関する登記が登記官の職権によっても行われ得ること(同法28条)を踏まえ、申請による場合と職権による場合の両方が調査権限の発動場面として定められている。
イは誤りである。29条1項の調査権限は、申請又は職権登記の場面において登記官が「必要があると認めるとき」に発動されるものであり、所有権の登記名義人からの依頼を要件とする規定はない。「特に依頼があった場合に限り」とする点が誤りである。
ウは誤りである。登記官は、前項の調査をする場合において、必要があると認めるときは、日出から日没までの間に限り、当該不動産を検査し、又は当該不動産の所有者その他の関係者に対し、文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示を求め、若しくは質問をすることができる(不動産登記法29条2項)。時間帯は「日出から日没までの間」に限定されており、「時間帯を問わず」とする点が誤りである。
エは正しい。前記のとおり、登記官は、調査に際し、当該不動産の所有者その他の関係者に対し、文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示を求め、又は質問をすることができる(同法29条2項)。
オは誤りである。29条2項の場合において、登記官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない(同項後段)。「提示する義務はない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはイ・ウ・オの3つである。29条2項の調査権限には、①時間帯の限定(日出から日没まで)、②身分証明書の携帯及び請求時の提示義務という、いずれも関係者の権利保護のための制約が付されている点を押さえておきたい。
問題:
土地家屋調査士の登録の手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 調査士となる資格を有する者が調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会に備える土地家屋調査士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する土地家屋調査士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければならない。
イ. 土地家屋調査士名簿の登録は、調査士会連合会ではなく、登録を受けようとする者が事務所を設けようとする地を管轄する土地家屋調査士会が行う。
ウ. 登録を受けようとする者は、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会を経由して、調査士会連合会に登録申請書を提出しなければならない。
エ. 登録申請書には、登録を受けるべき事項その他法務省令で定める事項を記載しなければならないが、調査士となる資格を有することを証する書類を添付することまでは要しない。
オ. 調査士会連合会が登録の申請を受けて登録を拒否したときは、その旨及びその理由を当該申請者に書面により通知しなければならないが、登録をしたときは、当該申請者に対して改めて通知をすることまでは要しない。
答え:
誤っているものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
調査士の登録の手続は、土地家屋調査士法8条・9条・11条に規定されている。
アは正しい。調査士となる資格を有する者が調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会(調査士会連合会)に備える土地家屋調査士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する土地家屋調査士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければならない(土地家屋調査士法8条1項)。
イは誤りである。土地家屋調査士名簿の登録は、調査士会連合会が行う(土地家屋調査士法8条2項)。登録の申請自体は事務所を設けようとする地を管轄する調査士会を経由してするものの(9条1項)、登録という行為の主体はあくまで調査士会連合会であって、地域の調査士会ではない。「調査士会連合会ではなく…土地家屋調査士会が行う」とする点が誤りである。
ウは正しい。前条(8条1項)の登録を受けようとする者は、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会を経由して、調査士会連合会に登録申請書を提出しなければならない(土地家屋調査士法9条1項)。
エは誤りである。前項の登録申請書には、前条第1項の規定により登録を受けるべき事項その他法務省令で定める事項を記載し、調査士となる資格を有することを証する書類を添付しなければならない(土地家屋調査士法9条2項)。「書類を添付することまでは要しない」とする点が誤りであり、資格を証する書類の添付は必須の要件である。
オは誤りである。調査士会連合会は、第9条第1項の規定による登録の申請を受けた場合において、登録をしたときはその旨を、登録を拒否したときはその旨及びその理由を当該申請者に書面により通知しなければならない(土地家屋調査士法11条)。登録を拒否した場合だけでなく、登録をした場合にも書面による通知が義務付けられており、「登録をしたときは…通知をすることまでは要しない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。なお、第10条第1項の規定により登録を拒否された者は、当該処分に不服があるときは、法務大臣に対して審査請求をすることができるほか、第9条第1項の規定による登録の申請をした者は、その申請の日から3月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、法務大臣に対して審査請求をすることができる(土地家屋調査士法12条1項・2項)。登録の実施主体(調査士会連合会)・申請の経由先(地域の調査士会)・通知義務(登録・拒否のいずれの場合も書面)・不服申立ての方法(法務大臣への審査請求)を、条文の順序に沿って整理しておきたい。
問題:
囲繞地通行権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(いわゆる袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行することができる。
イ. 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときは、袋地の所有者の囲繞地通行権に関する規定は適用されない。
ウ. 囲繞地の通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならず、通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
エ. 囲繞地の通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならないが、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、1年ごとにその償金を支払うことができる。
オ. 土地の分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができ、この場合、償金を支払うことを要しない。この規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合には準用されない。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
囲繞地通行権については、民法210条から213条までに規定がある。
アは正しい。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる(民法210条1項)。
イは誤りである。池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする(民法210条2項)。つまり、この場合にも210条1項と同様に囲繞地通行権が認められるのであって、「規定は適用されない」とする点が誤りである。
ウは正しい。前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない(民法211条1項)。また、前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる(同条2項)。
エは正しい。第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、1年ごとにその償金を支払うことができる(民法212条)。
オは誤りである。分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができ、この場合においては、償金を支払うことを要しない(民法213条1項)。そして、この規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する(同条2項)。「準用されない」とする点が誤りであり、分割の場合と土地の一部譲渡の場合とで、いずれも無償の囲繞地通行権が認められる点は共通している。
以上より、誤っているものはイ・オの2つである。210条(一般の囲繞地通行権・償金あり)と213条(分割又は土地の一部譲渡により袋地が生じた場合・償金なし)とで、償金の要否が異なる点、及び213条の無償の通行権が「他の分割者の所有地のみ」に限定される点(分割・譲渡に関与していない第三者の土地には及ばない)は、この分野の理解の急所である。
問題:
三角形の土地ABCについて、辺BC(=68.000m、頂点Aの対辺)を実測し、∠ABC=52°00′00″、∠ACB=71°00′00″を測定した。地形の状況により、頂点Aから辺BCへの垂線の長さを測定することができなかったため、正弦定理により辺CA(頂点Bの対辺)の長さを求めることとした。この辺CAの長さとして、最も近いものはどれか。
ア. 63.89 m
イ. 72.37 m
ウ. 76.66 m
エ. 76.87 m
オ. 153.82 m
答え:
ア(63.89 m)
解説:
正弦定理は、三角形の各辺の長さとその対角の正弦との比が一定であることを利用し、三角形の内角のうち2つと、いずれか1辺の長さが判明していれば、他の辺の長さを求めることができる公式である。三角形ABCの辺BC、CA、ABをそれぞれ頂点A、B、Cの対辺として$a,\ b,\ c$とし、各頂点の内角を$A,\ B,\ C$とすると、次の関係が成り立つ。
$$ \frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C} $$本問では、辺BC($=a$)$=68.000$m、$\angle B=52^{\circ}$、$\angle C=71^{\circ}$であるから、三角形の内角の和が180°であることより、
$$ \angle A = 180^{\circ}-52^{\circ}-71^{\circ}=57^{\circ} $$である。求める辺CAは頂点Bの対辺($=b$)であるから、正弦定理より、
$$ b = a\times\frac{\sin B}{\sin A}=68.000\times\frac{\sin 52^{\circ}}{\sin 57^{\circ}} $$$\sin 52^{\circ}\approx0.788011$、$\sin 57^{\circ}\approx0.838671$を用いて計算すると、
$$ b \approx 68.000\times\frac{0.788011}{0.838671}\approx 68.000\times0.939595\approx63.89\ \text{m} $$したがって、辺CAの長さは約63.89mであり、正解はアである(PowerShellによる実検算値:63.8924…m)。
イの72.37mは、正弦定理の比の対応を取り違え、$b=a\times\dfrac{\sin A}{\sin B}$として計算してしまった誤りである($68.000\times\sin57^{\circ}\div\sin52^{\circ}\approx72.37$)。どの辺がどの角の対辺であるかを正確に対応させる必要がある。
ウの76.66mは、求めるべき辺CA(頂点Bの対辺)ではなく、辺AB(頂点Cの対辺、$=c$)を求めてしまった誤りである($c=a\times\sin71^{\circ}\div\sin57^{\circ}\approx76.66$)。問題文がどの辺の長さを求めているかを、図に描いて確認する習慣をつけておきたい。
エの76.87mは、正弦ではなく余弦(cosine)を用いて計算してしまった誤りである($68.000\times\cos52^{\circ}\div\cos57^{\circ}\approx76.87$)。正弦定理は角の正弦の比を用いる公式であり、余弦を用いるのは余弦定理(辺長から角度を求める場合等)であるから、両者を混同しないよう注意を要する。
オの153.82mは、関数電卓の角度設定がラジアンモードのまま52°・57°を度数のまま入力し、ラジアンとして正弦を計算してしまった誤りである。角度設定(度数法・弧度法)の確認は、角度を扱う計算問題では毎回の必須作業である。
三辺の長さのみが判明している場合にはヘロンの公式(第90回)、二辺の長さとその挟角が判明している場合には二辺夾角法(第87回)が有効であるのに対し、本問のように2つの内角と1辺の長さが判明している場合には、正弦定理が有効な手段となる。土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められており、sinキーを用いて正確に計算できるが、比例式のどちらに掛け、どちらで割るかを図と対応させて確認する必要がある。
問題:
土地所在図の記載事項に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地所在図には、方位、縮尺、土地の形状及び隣地の地番を記録しなければならない。
イ. 土地所在図は、近傍類似の土地についての不動産登記法第14条第1項の地図と同一の縮尺により作成するものとされており、地積測量図のように二百五十分の一を原則とする独自の縮尺の定めはない。
ウ. 土地所在図には、隣地の地番を記録することを要しない。
エ. 土地所在図と地積測量図は、記録すべき事項がそれぞれ別に定められた別個の図面であり、必ず同一の図面上に一体として作成しなければならないという規律はない。
オ. 土地所在図の縮尺は、建物図面と同様に五百分の一を原則とする。
答え:
誤っているものは、ウ・オの2つである。
解説:
土地所在図の記録事項及び縮尺は、不動産登記規則76条に規定されている。
アは正しい。土地所在図には、方位、縮尺、土地の形状及び隣地の地番を記録しなければならない(不動産登記規則76条1項)。
イは正しい。土地所在図は、近傍類似の土地についての不動産登記法第14条第1項の地図と同一の縮尺により作成するものとする(不動産登記規則76条2項)。地積測量図が二百五十分の一の縮尺を原則とし(同規則77条4項)、建物図面が五百分の一の縮尺を原則とする(同規則82条3項)のとは異なり、土地所在図には独自の縮尺の原則がなく、その土地の近傍類似の土地についての14条地図と同一の縮尺によることとされている点が特徴である。
ウは誤りである。前記のとおり、隣地の地番も、土地所在図の記録事項である(不動産登記規則76条1項)。「記録することを要しない」とする点が誤りである。
エは正しい。土地所在図(不動産登記規則76条1項)と地積測量図(同規則77条1項)とは、記録すべき事項がそれぞれ別の条項に定められた別個の図面であり、両者を必ず同一の図面上に一体として作成しなければならないという規律はない。
オは誤りである。前記のとおり、土地所在図の縮尺は、近傍類似の土地についての14条地図と同一の縮尺によるものとされており(不動産登記規則76条2項)、建物図面のように五百分の一を原則とする独自の定めがあるわけではない。「建物図面と同様に五百分の一を原則とする」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはウ・オの2つである。地積測量図(二百五十分の一を原則)・建物図面(五百分の一を原則)・各階平面図(不動産登記規則83条2項により二百五十分の一を原則)がいずれも図面ごとに固有の原則的な縮尺を持つのに対し、土地所在図のみは独自の縮尺原則を持たず、近傍類似の土地についての14条地図の縮尺に合わせる仕組みになっている点は、他の図面との対比で問われやすい急所である。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 登記官による事実の調査(調査権限の発動場面・時間帯の限定・身分証明書の携帯及び提示義務) | 不動産登記法29条1項・2項、28条 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士の登録の手続(登録の実施主体・申請の経由先・添付書類・登録及び拒否の通知) | 土地家屋調査士法8条1項・2項、9条1項・2項、11条、12条1項・2項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 囲繞地通行権(通行権の発生原因・通行の場所及び方法・償金・分割及び土地の一部譲渡の場合の特則) | 民法210条1項・2項、211条1項・2項、212条、213条1項・2項 |
| 第4問 | 測量計算 | 正弦定理による辺長計算 | ― |
| 第5問 | 作図・書式 | 土地所在図の記載事項及び縮尺(他の図面との対比) | 不動産登記規則76条1項・2項、77条4項、82条3項、83条2項 |