問題:

建物の表示に関する登記の登記事項に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物が区分建物である場合、当該建物の登記事項として登記される建物の所在は、当該区分建物自体の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番ではなく、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番である。

イ. 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積のほか、当該一棟の建物の名称があるときはその名称も、同一の号の登記事項として記録される。

ウ. 建物の名称があるときはその名称を登記事項とする旨の規定が置かれているのに対し、土地についてはこれに対応する「土地の名称」を登記事項とする規定は置かれていない。

エ. 敷地権とは、区分所有法第2条第6項に規定する敷地利用権であって登記されたもののうち、区分所有法第22条第1項本文(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないものをいい、建物又は附属建物が区分建物である場合において敷地権があるときは、その敷地権が登記事項とされている。

オ. 建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項並びに附属建物及び区分建物が属する一棟の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、いずれも法律ではなく法務省令で定めるとされている。

答え:

誤っているものは、イの1つである。

解説:

建物の表示に関する登記の登記事項は、不動産登記法44条1項が1号から9号までに掲げている。同項は、土地・建物に共通する登記事項を定める27条各号に掲げるもののほか、1号に建物の所在、2号に家屋番号、3号に建物の種類・構造及び床面積、4号に建物の名称、5号に附属建物の表示、6号に共用部分又は団地共用部分である旨、7号に区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積、8号に当該一棟の建物の名称、9号に敷地権を、それぞれ掲げている。7号と8号が別の号に分けて規定されている点、そして9号の敷地権の定義が区分所有法の規定を引用する形で条文上正確に定められている点が、本問の急所である。

アは正しい。44条1項1号は、建物の所在について「建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)」と定めている。区分建物(マンションの一室等)は、それ自体が独立した土地の地番の上に存在するわけではなく、一棟の建物の一部として存在するから、登記事項として公示される所在は、区分建物自体の所在ではなく、それが属する一棟の建物の所在によることとされている。

イは誤りである。44条1項7号は、「建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積」を登記事項として掲げるにとどまり、一棟の建物の名称は、これとは別に8号が「建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称」として独立の号で定めている。一棟の建物の構造及び床面積(7号)と、その名称(8号)とは、条文上別個の号に分けて規定されており、「同一の号の登記事項として記録される」とする点が誤りである。

ウは正しい。34条1項は、土地の表示に関する登記の登記事項として、1号に所在、2号に地番、3号に地目、4号に地積を掲げるにとどまり、建物についての4号(建物の名称)に対応するような「土地の名称」を登記事項とする規定は置かれていない。建物には名称(マンション名やビル名等)を公示する必要性があるのに対し、土地には所在・地番によって特定すれば足り、名称を独立の登記事項とする実益に乏しいことによる違いと理解できる。

エは正しい。44条1項9号は、「建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権」を登記事項として掲げている。専有部分とその敷地利用権とを分離して処分することができないこと自体は、区分所有法22条1項本文が定める実体法上の効力であり、敷地権の登記によって初めて分離処分が禁じられるわけではない。もっとも、同項ただし書は、規約に別段の定めがあるときはこの限りでないとしている。9号は、敷地権を「区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの」と限定しているから、規約に別段の定めがあって分離処分が許されている敷地利用権は、条文の文言上、9号にいう敷地権には当たらないことになる。また、同法23条本文は、22条1項本文(同条3項において準用する場合を含む。)の規定に違反する処分について、その無効を善意の相手方に主張することができないとしつつ、同条ただし書は、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後にその処分がされたときは、この限りでないと定めている。敷地権を登記事項としたのは、専有部分と敷地利用権との一体性を登記記録上公示し、分離処分の無効を善意の相手方に対しても主張し得るようにする点にその意義があると理解されている。

オは正しい。44条2項は、「前項第三号、第五号及び第七号の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める」と定めている。3号(建物本体の種類・構造・床面積)、5号(附属建物の種類・構造・床面積)、7号(区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積)のいずれについても、その細目は法律ではなく法務省令(不動産登記規則)に委任されている。建物の種類の区分(不動産登記規則113条)や床面積の算定方法(同規則115条)といった技術的細目を法律事項とせず省令に委ねる構造は、土地の地目・地積に関する34条2項の委任構造と共通する。


問題:

土地家屋調査士法に定める罰則に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士となる資格を有しない者が、日本土地家屋調査士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして土地家屋調査士名簿に登録させたときは、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。

イ. 正当な事由がないのに依頼を拒んだ調査士は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。

ウ. その業務に関して虚偽の調査又は測量をした調査士は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。

エ. 調査士でない者が土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を使用したときは、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。

オ. 調査士法人の代表者がその法人の業務に関して虚偽の調査又は測量をした場合には、両罰規定により、行為者のほか当該調査士法人にも罰金刑が科される。

答え:

正しいものは、ア・ウの2つである。

解説:

土地家屋調査士法の罰則規定は、資格詐称による不正登録(69条)、依頼拒否(70条、22条違反)、虚偽の調査又は測量(71条、23条違反)、秘密漏示(71条の2)、公共嘱託登記土地家屋調査士協会に関する罰則(72条)、非調査士等による業務(73条、68条1項違反)、紛らわしい名称の使用(74条、68条3項から5項までの違反)という順序で置かれ、最後に両罰規定(75条)が置かれている。罰則ごとに法定刑が異なること、そして75条の両罰規定の対象となる違反行為の範囲が条文上限定されていることが、本問の急所である。

アは正しい。69条は、「調査士となる資格を有しない者が、調査士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして土地家屋調査士名簿に登録させたときは、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と定めている。

イは誤りである。70条1項は、「第二十二条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する」と定めるにとどまり、拘禁刑の定めは置かれていない(調査士法人が41条1項において準用する22条の規定に違反した場合の社員又は使用人について定める同条2項、公共嘱託登記土地家屋調査士協会が65条において準用する22条の規定に違反した場合の理事又は職員について定める同条3項も、いずれも100万円以下の罰金のみである)。22条は、調査士が正当な事由がある場合でなければ依頼を拒むことができない旨を定める規定であるが、この違反に対する制裁は罰金刑のみであり、「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」とする点が誤りである。

ウは正しい。71条は、「第二十三条の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と定めている。23条は、調査士は、その業務に関して虚偽の調査又は測量をしてはならない旨を定める規定であり、71条はこの義務違反に対応する罰則として、調査士の業務の根幹に関わる違反行為であることから、69条・73条と同じ最も重い法定刑(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)を定めている。

エは誤りである。74条は、68条3項(調査士でない者による土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称の使用の禁止)から5項までのいずれかに違反した者について、「百万円以下の罰金に処する」と定めるにとどまり、拘禁刑の定めは置かれていない。名称使用の禁止違反は、69条・71条・73条のような業務の根幹に関わる違反とは法定刑の重さが異なり、「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」とする点が誤りである。

オは誤りである。75条は、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第七十条第二項若しくは第三項又は第七十二条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する」と定めている。両罰規定の対象となる違反行為は、70条2項若しくは3項又は72条から74条まで(72条・73条・74条)の違反行為に限定されており、69条、70条1項、71条及び71条の2の違反行為はその対象に含まれていない。虚偽の調査又は測量(71条)は両罰規定の対象外であるから、「両罰規定により、行為者のほか当該調査士法人にも罰金刑が科される」とする点は誤りである。

以上より、正しいものはア・ウの2つである。69条・71条・73条がいずれも1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金という同じ法定刑を定める一方、70条(依頼拒否)・74条(名称の不正使用)は拘禁刑の定めのない罰金刑のみであること(なお、秘密漏示〔71条の2〕及び協会の事務の取扱いに関する罰則〔72条〕は、いずれも6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であり、この2段階の中間に位置する)、そして75条の両罰規定の対象範囲が70条2項・3項及び72条から74条までに限定され、69条・70条1項・71条・71条の2には及ばないことは、条文の文言のとおりに正確に区別しておきたい。


問題:

境界標及び囲障に関する相隣関係についての次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。

イ. 相隣者の一人は、当事者間の協議が調わない場合に法定される囲障の材料より良好なものを用い、又はその高さを増して囲障を設けることができるが、これによって生ずる費用の増加額は自らが負担しなければならない。

ウ. 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定される。

エ. 一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、境界線上の工作物が相隣者の共有に属するものと推定する規定は適用されない。

オ. 高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁のうち、低い建物の高さを超える部分については、共有の推定を排除する規定が適用されるが、当該障壁が防火障壁であるときは、なお共有の推定が排除される。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説:

境界標及び囲障に関する相隣関係の規定は、民法223条から230条までに置かれている。境界標の設置(223条)とその費用負担(224条)、囲障の設置(225条)とその費用負担(226条)、相隣者の一人による囲障の設置(227条)、これらの規定と異なる慣習の優先(228条)、境界線上の工作物の共有の推定(229条)、そしてこの推定が及ばない場合(230条)という順序で構成されている。229条の共有の推定と、230条がこれを及ぼさないとする場合の書き分けが、本問の急所である。

アは正しい。226条は、「前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する」と定めている。囲障の設置及び保存の費用は、原則として折半である。

イも正しい。227条は、「相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない」と定めている。協議が調わない場合に法定される板塀又は竹垣その他これらに類する材料・高さ2メートルという基準(225条2項)よりも良好な材料・高い囲障を望む相隣者は、単独でこれを設けることができるが、その分の追加費用は自己負担となる。226条の等しい割合による費用折半の原則に対する例外である。

ウも正しい。229条は、「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」と定めている。境界線上の工作物は、いずれの相隣者に属するものかが外形から判別しにくいことから、その帰属をめぐる紛争を避けるため、相隣者の共有に属するものと推定して判断の基準を与える規定である。もっとも、同条が定めているのは帰属の推定までであり、推定される共有の内容(共有物の分割請求の可否など、共有に関する一般の規定がそのまま及ぶかどうか)について同条は何も定めていないから、その先の権利関係までを当然の前提として読むことはできない。

エも正しい。230条1項は、「一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない」と定めている。建物の外壁の一部を成す障壁は、当該建物の所有者に単独で帰属するのが通常であり、これについてまで229条の共有の推定を及ぼすのは実態に合わないことによる。

オは誤りである。230条2項は、「高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが、低い建物の高さを超えるときは、その障壁のうち低い建物を超える部分についても、前項と同様とする。ただし、防火障壁については、この限りでない」と定めている。低い建物を超える部分について229条の共有の推定を及ぼさないとする1項と同様の扱いをするのが本文であるが、ただし書は、当該部分が防火障壁である場合には、この適用除外をしないとする趣旨である。すなわち、防火障壁については、なお229条の共有の推定が及ぶことになる。「防火障壁であるときは、なお共有の推定が排除される」とする点は、ただし書の趣旨を正反対に説明しており、誤りである。

以上より、正しいものはア・イ・ウ・エの4つである。229条の共有の推定が、一棟の建物の一部を成す障壁(230条1項)及び高い建物を隔てる障壁のうち低い建物を超える部分(230条2項本文)には及ばないこと、そして防火障壁についてはこの適用除外自体が及ばず、なお共有の推定が働くこと(230条2項ただし書)を、条文の文言のとおりに正確に区別しておきたい。


問題:

地図の訂正の申出に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができる。

イ. 地図の訂正の申出は、書面を登記所の窓口に提出する方法によってのみすることができ、電子情報処理組織を使用する方法によることはできない。

ウ. 地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画又は位置若しくは形状に誤りがあることを理由に訂正の申出をするときは、その誤りがあることを証する情報のほか、土地所在図又は地積測量図を提供しなければならない。

エ. 登記官は、地図の訂正の申出に係る事項を調査した結果、地図又は地図に準ずる図面を訂正する必要があると認めるときは、当該地図又は地図に準ずる図面を訂正しなければならない。

オ. 登記官は、地図又は地図に準ずる図面に誤りがあると認めるときであっても、訂正の申出がない限り、職権でその訂正をすることはできない。

答え:

誤っているものは、イ・オの2つである。

解説:

地図の訂正の申出に関する規定は、不動産登記規則16条に置かれている。同条は、申出をすることができる者(1項)、申出情報の内容(3項)、申出の方法(4項)、添付情報(5項)、登記官による調査と訂正の要否の判断(12項)、申出の却下(13項)、そして申出とは別に登記官が自ら誤りに気付いた場合の職権による訂正(15項)という順序で構成されている。訂正の端緒が申出であるか職権であるかにかかわらず訂正がされ得るという仕組みを正確に理解することが、本問の急所である。

アは正しい。同条1項は、「地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができる」と定めている。分筆の登記等における一般承継人による申請(不動産登記法30条)と同様、表題部所有者又は所有権の登記名義人本人だけでなく、その相続人その他の一般承継人も申出をすることができる。

イは誤りである。同条4項は、訂正の申出の方法として、1号に「法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して地図訂正申出情報を登記所に提供する方法」、2号に「地図訂正申出情報を記載した書面(地図訂正申出情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を登記所に提出する方法」を掲げ、このいずれかの方法によりしなければならないと定めている。書面の提出による方法に限られるものではなく、電子情報処理組織を使用する方法(オンライン申出)によることも条文上認められているから、「書面を登記所の窓口に提出する方法によってのみすることができ」るとする点は誤りである。なお、実際のオンライン申出の運用は、当該土地の登記記録の地積に錯誤があり地積に関する更正の登記の申請と併せてしなければならない申出(同条2項)について、登記・供託オンライン申請システムを用いた地積更正登記の申請と同時に行われるものに限られている(法務省「地図等の訂正の電子申出(オンライン申出)について」)。

ウは正しい。同条5項は、申出をする場合に地図訂正申出情報と併せて提供しなければならない情報として、1号に「地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画若しくは位置若しくは形状又は地番に誤りがあることを証する情報」を、2号に「地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画又は位置若しくは形状に誤りがあるときは、土地所在図又は地積測量図」を掲げている。誤りがあることを証する情報は誤りの内容を問わず提供を要するのに対し、土地所在図又は地積測量図は、区画又は位置若しくは形状に誤りがある場合に提供を要するものであり、地番のみの誤りを理由とする申出では要求されない点は、条文の文言どおりに区別しておきたい。訂正の当否を登記官が判断するための資料として、これらの図面の提供が求められる。

エも正しい。同条12項は、「登記官は、申出に係る事項を調査した結果、地図又は地図に準ずる図面を訂正する必要があると認めるときは、地図又は地図に準ずる図面を訂正しなければならない」と定めている。調査の結果、訂正の必要があると認められた以上、登記官に訂正をするかどうかの裁量はなく、訂正をしなければならない。

オは誤りである。同条15項は、「登記官は、地図等に誤りがあると認めるときは、職権で、その訂正をすることができる」と定めている。申出による訂正の手続(1項から12項まで)とは別に、登記官が実地調査や既に登記所に備え付けている土地所在図・地積測量図等に基づいて自ら誤りに気付いた場合には、申出を待つことなく職権で訂正をすることができる。「訂正の申出がない限り、職権でその訂正をすることはできない」とする点は誤りである。

以上より、誤っているものはイ・オの2つである。地図の訂正の申出の方法が書面に限られないこと、及び登記官による職権訂正が申出の有無にかかわらず認められていることは、いずれも条文の文言のとおりに正確に押さえておきたい。


問題:

建物の滅失の登記及び建物の表示に関する変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

イ. 建物の種類、構造若しくは床面積又は建物の名称について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から3か月以内に、建物の表示に関する変更の登記を申請しなければならない。

ウ. イの登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から1か月以内に、建物の表示に関する変更の登記を申請しなければならない。

エ. 建物のうち附属建物のみが滅失し、主である建物が存続する場合には、建物の滅失の登記ではなく、建物の滅失の登記に準じて登記記録を閉鎖する処理がされる。

オ. 建物の滅失の登記又は建物の表示に関する変更の登記の申請をすべき義務がある者が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられることがある。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

建物の物理的状況に変化が生じた場合の表示に関する登記は、建物全体が消滅する場合の滅失の登記(不動産登記法57条)と、建物の一部の状況(種類・構造・床面積・名称等)が変わるにとどまる場合の表示に関する変更の登記(同法51条)とに分かれる。いずれも申請義務が課され、その違反には過料の制裁が予定されている点は共通するが、対象となる事象が建物全体の消滅であるか、建物の一部の状況の変化にとどまるかによって、適用される条文が異なる。この振り分けを正確に理解することが本問の急所である。

アは正しい。57条は、「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない」と定めている。共用部分である旨の登記がある建物には表題部所有者も所有権の登記名義人も存在しないため(58条4項による職権抹消)、この場合の申請人は「所有者」とされている。

イは誤りである。51条1項は、「第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない」と定めている。建物の種類、構造及び床面積(44条1項3号)並びに建物の名称(同項4号)は、いずれも同項各号から除外される2号(家屋番号)・6号(共用部分又は団地共用部分である旨)に当たらないから、これらの変更は51条1項の変更の登記の対象となる。申請期間は1か月以内であり、「3か月以内」とする点が誤りである。表題登記の申請義務(36条・47条1項)や滅失の登記の申請義務(57条)と同じく、表示に関する登記の申請義務の期間は1か月以内という枠組みで共通している。

ウは正しい。51条2項は、「前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない」と定めている。建物の状況が変化した時点ではまだ表題部所有者又は所有権の登記名義人となっていなかった者について、申請義務の起算点を、実際にその者が登記記録上の名義人となった日に置いたものである。

エは誤りである。附属建物は、それ自体が独立の登記記録に記録されるものではなく、その表示が主である建物の登記事項(44条1項5号)として同一の登記記録に記録される。建物図面及び各階平面図についても、「一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならない」とされている(不動産登記規則81条)。したがって、附属建物のみが滅失し、主である建物が存続する場合には、登記記録上の建物そのものが消滅したわけではないから、建物の滅失の登記(57条)の対象とはならない。この場合は、附属建物の表示(44条1項5号)についての変更が生じたにとどまるから、51条1項による建物の表示に関する変更の登記によって処理され、登記記録が閉鎖されることもない。「建物の滅失の登記に準じて登記記録を閉鎖する処理がされる」とする点は誤りである。

オは正しい。164条1項は、36条、37条1項若しくは2項、42条、47条1項(49条2項において準用する場合を含む。)、49条1項・3項若しくは4項、51条1項から4項まで、57条、58条6項若しくは7項、76条の2第1項若しくは2項又は76条の3第4項の規定による申請をすべき義務がある者が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定めている。建物の滅失の登記(57条)及び建物の表示に関する変更の登記(51条1項から4項まで)は、いずれもこの過料の対象となる申請義務に含まれている。

以上より、誤っているものはイ・エの2つである。建物の表示に関する変更の登記の申請期間が1か月以内であること、及び附属建物のみの滅失が建物の滅失の登記ではなく建物の表示に関する変更の登記によって処理され、登記記録の閉鎖を伴わないことは、条文の文言及びその構造から正確に区別しておきたい。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 不動産登記法(表示の要件・手続) 建物の表示に関する登記の登記事項(区分建物の所在の特則、一棟の建物の構造及び床面積と名称の号の書き分け、土地の登記事項との対比、敷地権の定義、種類・構造・床面積の細目の法務省令への委任) 不動産登記法44条1項1号〜9号・2項、34条1項
第2問 土地家屋調査士法(罰則) 資格詐称による不正登録・虚偽の調査又は測量・非調査士等の業務の罰則(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)、依頼拒否・紛らわしい名称の使用の罰則(100万円以下の罰金のみ)、両罰規定の対象範囲の限定 土地家屋調査士法69条、70条、71条、73条、74条、75条
第3問 民法(相隣関係) 囲障の設置及び保存の費用負担(等しい割合)、相隣者の一人による良好な材料・高さの囲障の設置と費用増加額の自己負担、境界線上の工作物の共有の推定、一棟の建物の一部を成す障壁及び高い建物を隔てる障壁の低い部分への推定の不適用、防火障壁についての推定の存続 民法226条、227条、229条、230条1項・2項
第4問 不動産登記法・地図関連制度 地図の訂正の申出(申出権者、申出方法がオンラインでも可能であること、添付情報〔土地所在図・地積測量図を要する場合の限定〕、登記官の調査と訂正義務、職権による訂正) 不動産登記規則16条1項・4項・5項・12項・15項
第5問 不動産登記法(表示の要件・手続) 建物の滅失の登記(申請期間・申請人)と建物の表示に関する変更の登記(申請期間・登記事項変更後の名義取得者の申請義務)の振り分け、附属建物のみの滅失の処理、申請義務違反に対する過料 不動産登記法57条、51条1項・2項、164条1項