問題:
河川区域内の土地の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項として不動産登記法第43条第1項各号に掲げられる土地は、河川法第6条第1項の河川区域内の土地、同条第2項の高規格堤防特別区域内の土地、同条第3項の樹林帯区域内の土地、同法第26条第4項の特定樹林帯区域内の土地及び同法第58条の2第2項の河川立体区域内の土地の5種類である。
イ. 土地の全部又は一部が河川区域内の土地等となったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記を登記所に申請しなければならない。
ウ. 土地の一部について河川区域内の土地等となった旨の登記又はその登記の抹消の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができる。
エ. 河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託することができる。
オ. 河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。
答え:
誤っているものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記法43条1項は、河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項について、27条各号及び34条1項各号に掲げるもののほか、1号に掲げる土地である旨及び2号から5号までに掲げる土地にあってはそれぞれその旨とすると定め、1号に河川法6条1項の河川区域内の土地、2号に同条2項の高規格堤防特別区域内の土地、3号に同条3項の樹林帯区域内の土地、4号に河川法26条4項の特定樹林帯区域内の土地、5号に同法58条の2第2項の河川立体区域内の土地を掲げている。
イ 誤りである。不動産登記法43条2項は、土地の全部又は一部が1項各号の区域内の土地となったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記を登記所に「嘱託」しなければならないと定めている。当事者による申請ではなく、河川管理者による嘱託である点が本条の要点である。なお、区域内の土地でなくなったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記の抹消を登記所に嘱託しなければならない(同条3項)。
ウ 正しい。同条4項は、土地の一部について前二項の規定により登記の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することが「できる」と定めている。義務ではなく裁量による嘱託である点に注意したい。
エ 誤りである。同条5項は、1項各号の河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託「しなければならない」と定めている。「することができる」という裁量ではなく、義務として滅失の登記の嘱託が課される。
オ 誤りである。同条6項は、1項各号の河川区域内の土地の「一部」が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の「地積に関する変更の登記」を登記所に嘱託しなければならないと定めている。土地の滅失の登記がされると、登記官は、当該土地の登記記録の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない(不動産登記規則109条)。これに対し6項が嘱託すべきものとして定めるのは地積に関する変更の登記であり、一部が滅失したにとどまる場合に登記記録が閉鎖されることはない。全部滅失(5項)と一部滅失(6項)とで嘱託すべき登記の種類が書き分けられている点が本条の出題の中心である。
問題:
土地家屋調査士法人の設立及び業務の範囲に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 調査士は、土地家屋調査士法第5章の定めるところにより、土地家屋調査士法人を設立することができる。
イ. 土地家屋調査士法人は、その名称中に「調査士法人」の文字を使用すれば足り、必ずしも「土地家屋調査士法人」という文字を使用する必要はない。
ウ. 土地家屋調査士法人の社員は調査士でなければならないが、現に業務の停止の処分を受けている調査士であっても、社員となることができる。
エ. 土地家屋調査士法人は、定款で定めることにより、土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第6号までに規定する業務以外の業務を行うことができる。
オ. 土地家屋調査士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
答え:
正しいものは、ア・エ・オの3つである。
解説:
ア 正しい。土地家屋調査士法26条は、調査士は、この章(第5章)の定めるところにより、土地家屋調査士法人(調査士の業務を行うことを目的として、調査士が設立した法人をいう。)を設立することができると定めている。
イ 誤りである。同法27条は、調査士法人は、その名称中に「土地家屋調査士法人」という文字を使用しなければならないと定めている。「調査士法人」という略した文字の使用では足りず、「土地家屋調査士法人」という文字を用いることが義務付けられている。
ウ 誤りである。同法28条1項は、調査士法人の社員は調査士でなければならないと定めたうえ、同条2項1号は、42条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者は社員となることができないと定めている(同項2号・3号にも欠格事由の定めがある)。業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過していない調査士が社員となることができるとする本肢は誤りである。
エ 正しい。同法29条1項は、調査士法人は、3条1項1号から6号までに規定する業務を行う「ほか」、定款で定めるところにより、法務省令で定める業務(1号)及び民間紛争解決手続代理関係業務(2号)を行うことができると定めている。つまり調査士法人は、3条1項1号から6号までの業務を当然に行えるのに加えて、定款で定めればこれら以外の業務(29条1項1号・2号所定のもの)も行うことができる仕組みであり、本肢はこの点を正しく述べたものである。なお、同条2項により、民間紛争解決手続代理関係業務を行うには、社員のうちに3条2項に規定する調査士(いわゆる認定調査士)がある調査士法人(調査士会の会員であるものに限る。)であることが要件となる。
オ 正しい。同法32条は、調査士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立すると定めている。
問題:
不動産に関する物権変動の対抗要件に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
イ. 不動産に関する物権の得喪及び変更は、当事者間では意思表示のみでその効力を生じ、登記をしなくても第三者に対抗することができる。
ウ. 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
エ. 取引行為によって平穏かつ公然と動産の占有を始めた者は、過失があっても、善意でありさえすれば、直ちにその動産について行使する権利を取得する。
オ. 表題部所有者の氏名や不動産の物理的状況を公示するにとどまる表示に関する登記も、不動産に関する物権変動を第三者に対抗するための登記に当たる。
答え:
正しいものは、ア・ウの2つである。
解説:
ア 正しい。民法176条は、物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずると定めている(意思主義)。
イ 誤りである。民法177条は、不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができないと定めている。当事者間では意思表示のみで物権変動の効力を生ずるとしても、これを第三者に対抗するためには登記が必要であり、登記なくして対抗できるとする本肢は誤りである。
ウ 正しい。民法178条は、動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができないと定めている。不動産については登記、動産については引渡しが、それぞれ物権変動の対抗要件とされている。
エ 誤りである。民法192条は、取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得すると定めている(即時取得)。善意であることに加えて無過失であることも要件とされており、過失があれば即時取得は成立しない。
オ 誤りである。不動産登記法は、登記を表示に関する登記と権利に関する登記とに分け(同法2条3号・4号)、前者の登記事項は不動産の物理的状況及び表題部所有者に関するもの(同法2条2号が引く27条1号・3号・4号、34条1項各号等)であるのに対し、後者は所有権・地上権・抵当権など同法3条各号に掲げる権利の保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅について登記するものと定めている(同法3条)。民法177条にいう対抗要件としての登記は、物権の得喪及び変更を公示するものであるから、このうち権利に関する登記を指す。これに対し、土地家屋調査士が中心的に担う表示に関する登記は、不動産の物理的状況や表題部所有者を公示するものであって、権利の得喪及び変更そのものを公示するものではなく、これによって物権変動を第三者に対抗することはできない。表示に関する登記と権利に関する登記の機能の違いを正しく理解しておく必要がある。
問題:
測量業者の登録に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 測量業を営もうとする者は、測量法の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならず、その登録の有効期間は5年である。
イ. 登録の有効期間の満了後引き続き測量業を営もうとする者は、更新の登録を受ける必要はなく、当初の登録がそのまま効力を有する。
ウ. 更新の登録を受けようとする者が登録の申請をした場合において、登録の有効期間の満了の日までにその申請に対する登録又は登録の拒否の処分がなされないときは、それらの処分があるまでは、なお従前の登録が効力を有するものとみなされる。
エ. 登録申請書には、商号又は名称及び営業所の名称及び所在地を記載しなければならないが、登録申請者が個人である場合には、その氏名を記載する必要はない。
オ. 登録申請書には、営業経歴書のほか、法人である場合は定款を添付しなければならないが、直前2年間の各事業年度における測量実施金額を記載した書面の添付は要しない。
答え:
正しいものは、ア・ウの2つである。
解説:
ア 正しい。測量法55条1項は、測量業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならないと定め、同条2項は、この登録の有効期間は5年とすると定めている。
イ 誤りである。同条3項は、登録の有効期間の満了後引き続き測量業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならないと定めている。更新の登録を受けなければ、有効期間の満了により登録の効力は失われる。
ウ 正しい。同条4項は、更新の登録を受けようとする者が55条の2第1項の規定による申請をした場合において、登録の有効期間の満了の日までに、55条の5第1項の規定による登録又は55条の6第1項の規定による登録の拒否の処分がなされないときは、それらの処分があるまでは、同条2項の規定にかかわらず、従前の登録はなお効力を有するものとみなすと定めている。更新の審査中に無登録状態が生じることを避けるための規定である。
エ 誤りである。55条の2第1項は、登録申請書の記載事項として、1号に商号又は名称、2号に営業所の名称及び所在地、3号に法人である場合における資本金又は出資の額及び役員の氏名、4号に個人である場合における氏名、5号に主として請け負う測量の種類及び測量業以外の営業又は事業を行っている場合における当該営業又は事業の種類を掲げている。個人である場合にはその氏名を記載しなければならず、記載を要しないとする本肢は誤りである。
オ 誤りである。55条の3第1項は、登録申請書に添付すべき書類として、1号に営業経歴書及び法人である場合の定款、2号に直前2年の各事業年度における測量実施金額を記載した書面、3号に直前1年の事業年度の財務に関する書類で国土交通省令で定めるもの、4号に使用人数並びに営業所ごとの測量士及び測量士補の人数を記載した書面等を掲げている。直前2年間の測量実施金額を記載した書面の添付も必要であり、これを要しないとする本肢は誤りである。
問題:
建物図面及び各階平面図に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 建物図面は、一個の建物ごとに作成し、その位置及び形状を明確にして、500分の1の縮尺により作成するものとする。
イ. 各階平面図は、各階ごとに、その階の形状及び床面積を明確にして作成するものとし、250分の1の縮尺により作成するものとする。
ウ. 各階平面図の縮尺は、建物図面の縮尺と同じく500分の1でなければならない。
エ. 建物図面は、一個の建物ごとにではなく、同一の敷地上にある複数の建物をまとめて一葉の図面に作成しなければならない。
オ. 建物図面及び各階平面図は、いずれも表示に関する登記の申請の際に提供すべき図面であり、その作成基準(縮尺等)が不動産登記規則に定められている。
答え:
正しいものは、ア・イ・オの3つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記規則81条は、建物図面及び各階平面図について、一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならないと定めている。また、同規則82条1項は、建物図面は建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならないと定め、同条2項は、方位・縮尺・敷地の地番及びその形状・隣接地の地番等を記録すべきことを定めている。そのうえで同条3項は、建物図面は500分の1の縮尺により作成しなければならないと定めている(ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない)。
イ 正しい。同規則83条1項は、各階平面図に、縮尺・各階の別・各階の平面の形状・一階の位置・各階ごとの建物の周囲の長さ・床面積及びその求積方法等を記録しなければならないと定め、同条2項は、250分の1の縮尺により作成しなければならないと定めている(こちらにも建物図面と同様のただし書きがある)。
ウ 誤りである。各階平面図の縮尺は250分の1(同規則83条2項)であり、建物図面の500分の1(同規則82条3項)とは異なる。両者は同一の建物について作成されるものであるが、規則82条と83条とで記録すべき事項(建物全体の敷地・一階の位置及び形状か、各階の形状・床面積か)が異なり、縮尺もそれぞれ別個に定められている。
エ 誤りである。不動産登記規則81条は、建物図面及び各階平面図は一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならないと定めている。同一の敷地上にある複数の建物をまとめて一葉の図面に作成することが義務付けられているのではなく、むしろ一個の建物ごとに作成することが義務付けられているのであって、本肢は規定の内容を逆に述べたものである。なお、土地の側でも、土地所在図及び地積測量図は一筆の土地ごとに作成しなければならないとされ(同規則75条1項)、分筆の登記を申請する場合に提供する分筆後の土地の地積測量図を分筆前の土地ごとに作成するものとする例外が置かれている(同条2項)。図面の作成単位が条文上明示されている点は、土地・建物に共通する。
オ 正しい。建物の表題登記を申請する場合の添付情報として建物図面及び各階平面図の提供が義務付けられていることは不動産登記令別表十二の項に定められており、その作成単位は不動産登記規則81条、内容・縮尺は同規則82条・83条に定められている。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 河川区域内の土地の登記事項となる5種類の土地区分、河川管理者による登記の嘱託(申請ではないこと)、一部についての分筆の登記の嘱託が裁量であること、全部滅失(滅失の登記・義務)と一部滅失(地積に関する変更の登記・義務)の書き分け | 不動産登記法43条1項1号〜5号・2項〜6項、不動産登記規則109条 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法(調査士法人) | 調査士法人の設立、名称使用の義務、社員の資格(業務停止処分中の者の除外)、業務の範囲(法定業務のほか、定款で定めれば29条1項各号の業務も行えること)、設立の登記による成立 | 土地家屋調査士法26条、27条、28条1項・2項、29条1項・2項、32条 |
| 第3問 | 民法(物権変動の対抗要件) | 物権変動の意思主義、不動産物権変動の対抗要件としての登記、動産物権譲渡の対抗要件としての引渡し、即時取得における善意無過失の要件、表示に関する登記が対抗要件としての登記に当たらないこと | 民法176条、177条、178条、192条、不動産登記法2条2号〜4号・3条 |
| 第4問 | 測量法(測量業者の登録) | 測量業者登録の有効期間(5年)と更新の登録、更新申請中の従前登録のみなし存続、登録申請書の記載事項(個人の場合の氏名)、登録申請書の添付書類(測量実施金額を記載した書面) | 測量法55条1項〜4項、55条の2第1項、55条の3第1項 |
| 第5問 | 不動産登記規則(建物図面及び各階平面図) | 建物図面・各階平面図の作成単位(一個の建物ごと)、建物図面の記載事項と縮尺(500分の1)、各階平面図の記載事項と縮尺(250分の1)、両図面の縮尺の相違、土地所在図・地積測量図の作成単位との対比、建物の表題登記における添付情報としての根拠 | 不動産登記令別表十二の項、不動産登記規則75条、81条、82条、83条 |