この記事の要点

  • 分筆=1筆の土地を登記簿上、複数の土地に分ける登記。合筆=複数の土地を登記簿上、1筆にまとめる登記
  • 合筆には条件があり、地目や所有者が違う土地、抵当権などが付いている土地は原則として合筆できない(不動産登記法41条)
  • 分筆をするには測量が前提になり、登記の申請にあわせて地積測量図を提出する必要がある
  • 分筆・合筆の登記手続きを代理して行うのは、実務上、土地家屋調査士。司法書士はこの手続きの代理を行わない
  • 分筆・合筆は土地家屋調査士へ、名義変更など権利部の登記やその他の不動産登記のご相談はお近くの司法書士へ

「1筆の土地を2つに分けて、子どもたちにそれぞれ相続させたい」「隣り合う2筆の土地をまとめて1つの敷地として使いたい」――相続や土地活用の場面で、こうした希望を実現するために登場するのが「分筆(ぶんぴつ)」と「合筆(ごうひつ)」という登記です。どちらも名前は似ていますが、やることは正反対です。

分筆・合筆とは何か

登記簿上、土地を数える単位を「筆(ひつ)」と呼びます。登記事項証明書(登記簿)の1件が、1筆の土地に対応していると考えるとイメージしやすいでしょう。

  • 分筆の登記:1筆の土地を、登記簿上、複数の土地に分ける登記
  • 合筆の登記:複数の筆の土地を、登記簿上、1筆の土地にまとめる登記

たとえば、広い1筆の土地の一部だけを売却したい、あるいは相続人ごとに土地を分けて取得したいというときには、まずその土地を分筆して、それぞれ独立した土地として登記できるようにする必要があります。遺産分割の方法の一つである「現物分割」(相続財産をそのままの形で分けて取得する方法)で、1つの土地を複数の相続人がそれぞれ取得する場合にも、分筆が使われることがあります。遺産分割の考え方全体については、「遺産の『分け方』には4つの型があります」の記事でも整理していますので、あわせてご覧ください。

逆に、隣接する土地を購入して一体的に利用したい、複数の筆に分かれている自宅の敷地をまとめて管理・売却しやすくしたい、というときに使われるのが合筆です。

なお、分筆・合筆の登記を申請できるのは、その土地の表題部所有者(まだ所有権の登記がない土地の所有者)または所有権の登記名義人に限られます(不動産登記法39条1項)。

分筆には測量と地積測量図が必要

分筆をするには、まず分筆後のそれぞれの土地の境界(筆界)と面積(地積)を確定させる測量が前提になります。分筆の登記を申請する際には、分筆後の土地の地積測量図を提出しなければならないと定められており(不動産登記令別表八の項)、この地積測量図には、分筆前の土地の形状や分筆線の位置、分筆後の各土地に付ける符号などを記載することになっています(不動産登記規則78条)。

ここで注意しておきたいのが、そもそも登記簿に記載されている地積(面積)が、実際に測量した面積と食い違っていることがあるという点です。この食い違いと、それを直す「地積更正登記」については、「登記簿の面積と実測が違う──『縄伸び・縄縮み』と地積更正登記」の記事で詳しく取り上げています。分筆しようとしている土地に、まだ地積測量図が備え付けられていない場合には、実測した面積が登記簿上の地積と異なっていることに気づく場面もあるため、分筆を検討する前に先にこちらの記事を読んでおくと理解がスムーズです。

合筆にできない土地がある──不動産登記法41条の制限

合筆は、分筆と違って自由にできるわけではありません。不動産登記法41条は、次のいずれかにあたる土地の合筆を禁止しています。

  1. 互いに接していない土地同士の合筆
  2. 地目(宅地・田・畑など、登記簿上の土地の種類)が違う土地、または地番区域(地番を振る単位となる区画)が違う土地同士の合筆
  3. 表題部所有者または所有権の登記名義人が違う(=所有者が違う)土地同士の合筆
  4. 共有名義になっていて、共有者の持分の割合が違う土地同士の合筆
  5. 所有権の登記がある土地と、所有権の登記がない土地との合筆
  6. 抵当権など、所有権以外の権利に関する登記がある土地の合筆(法務省令で定める一定の例外を除く)

たとえば、宅地と農地のように地目が違う土地は合筆できませんし、片方の土地にだけ抵当権が付いている場合も、原則として合筆はできません。ただし6.については、双方の土地に付いている抵当権の内容(登記の目的、申請の受付日・受付番号、登記原因とその日付)がまったく同一であるなど、不動産登記規則105条が定める一定の場合には、例外的に合筆が認められることもあります。

私道のように、隣接する宅地とは別の地番になっている土地もあります。地番が違うこと自体は合筆の妨げにはなりませんが、地目や所有者、持分の割合、抵当権の有無といった条件がすべて一致していなければ合筆はできません。私道の持分が相続登記から漏れがちな事情については、「私道の相続登記を忘れずに」の記事で取り上げています。

分筆・合筆の登記は土地家屋調査士の仕事

分筆・合筆の登記手続きは、実務上、土地家屋調査士が代理して行います。司法書士はこの手続きの代理を行いません。 不動産の表示に関する登記(土地の所在・地番・地目・地積などの登記)に必要な調査・測量や、その登記の申請手続きの代理は、土地家屋調査士法により土地家屋調査士の業務と定められており(土地家屋調査士法3条1項1号・2号)、土地家屋調査士でない者は、この調査・測量や、調査・測量を必要とする登記の申請手続きの代理を業として行うことができません(同法68条1項)。

先ほど触れたとおり、分筆・合筆の登記を申請できるのはその土地の所有者(表題部所有者または所有権の登記名義人)自身です。もっとも、分筆では現地の測量や筆界の確認、地積測量図の作成といった専門的な作業が必要になります。合筆でも、地目・所有者・持分の割合・抵当権の有無といった条件が、先に見た合筆の制限(不動産登記法41条)に触れないかを、登記記録や公図で事前に確認しておく必要があります。そのため、いずれも土地家屋調査士に依頼して手続きを進めてもらうのが一般的です。

これに対して司法書士が主に担当するのは、所有権や抵当権など「権利に関する登記」(登記簿の甲区・乙区)です。分筆・合筆のような「表示に関する登記」は、実務上、土地家屋調査士が担当する分野です。

まとめ

分筆は1筆の土地を複数に分け、合筆は複数の土地を1筆にまとめる登記です。分筆には測量と地積測量図の提出が前提になり、合筆には不動産登記法41条による制限があるため、地目や所有者、抵当権の有無などの条件が一致していないとできません。分筆・合筆の登記手続きは、実務上、土地家屋調査士が担います。名義変更など権利部の登記や、そのほかの不動産登記に関するご相談は、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 分筆・合筆の登記にはどのくらい費用がかかりますか? 測量や境界確認の要否・規模によって大きく変わるため、依頼する土地家屋調査士の見積もりで確認するのが確実です。なお、所有権の登記がある土地の分筆・合筆には、登録免許税法上、分筆後・合筆後の不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります(所有権の登記がない土地にはこの登録免許税はかかりません)。これとは別に、測量・登記手続きにかかる土地家屋調査士への費用が必要になります。

Q. 分筆・合筆をしないまま放置すると、どんなリスクがありますか? 分筆・合筆そのものには、期限つきの申請義務は定められていません。ただし、たとえば相続で複数の相続人がそれぞれ土地の一部を取得したい場合に分筆をしないままだと、その土地は相続人全員の共有のままになり、後々の管理や処分で全員の合意が必要になる、といった不便が生じることがあります。土地の状況によって影響は異なるため、心当たりがある場合は早めに土地家屋調査士や司法書士に相談しておくと安心です。

Q. 分筆・合筆の手続きは自分でできますか?どこに相談すればいいですか? 制度上、申請できるのは土地の所有者自身です。ただし、分筆では測量や筆界の確認、地積測量図の作成に専門的な知識が必要で、合筆でも登記記録上の条件が合筆の制限に触れないかを確認する必要があるため、実務上は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。分筆・合筆の相談先は土地家屋調査士になります。登記や名義に関するそのほかのご相談は、お近くの司法書士にご相談ください。

【さらに深掘り】筆界確認と地積測量図作成の実務

ご注意 以下は執筆時点(2026年09月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

筆界確認の一般的な流れ

分筆登記を申請するには、前提として、分筆しようとする土地とその周囲の土地との境(筆界)がどこにあるかを、関係者の間で確認しておく必要があります。実務では、依頼を受けた土地家屋調査士が次のような手順で進めるのが一般的です。

  1. 登記所(法務局)に備え付けられている地積測量図・公図・登記記録を調査し、既存の資料から筆界の位置を推定する
  2. 現地で測量を行い、境界標(杭など)が残っているかどうかを確認する
  3. 隣接する土地の所有者に立会いを依頼し、現地で筆界の位置を確認してもらう
  4. 双方が同じ位置を筆界と認識できたら、筆界確認書(境界確認書などの名称で呼ばれることもあります)に署名・押印してもらう

隣接地が個人所有の宅地であれば比較的スムーズに進むことが多い一方、次のような事情があると、確認に要する期間が延びる傾向があります(どの程度延びるかは個別の状況によります)。

  • 隣接地の所有者が遠方に住んでいる、相続の発生により所有者の把握に時間がかかる、所在が分からないなど
  • 隣接地が道路・水路など国や自治体が管理する土地(官有地)で、官民境界の確定手続きを別途進める必要がある場合

なお、相続などで所有者が転々とし、隣接地の所有者を把握しにくい事案が増えていることを背景に、隣接地所有者から求める筆界確認情報の範囲を合理的な範囲に絞り込む運用の見直しがされています。根拠は、令和4年4月14日付け法務省民二第535号通達「表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いについて」(法務省民事局長から法務局長・地方法務局長宛て)です。取扱いの詳細は、同日付け法務省民二第536号依命通知の別添「表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針」によるものとされています。この運用の見直しは、令和4年10月3日から全国すべての法務局で実施されています。

この通達は、土地の表題登記・地積に関する変更または更正の登記・分筆の登記をあわせて「筆界関係登記」と呼んだうえで、次の2点を示しています。

  1. 現地復元性を有する登記所備付地図または地積測量図等の図面が存在する場合には、原則として筆界確認情報の提供等を求めない
  2. 提供等を求める必要がある場合であっても、求める筆界確認情報は、登記官が筆界の調査・認定をするために必要な最小限の範囲のものに限る

分筆の登記は、この「筆界関係登記」に含まれます。そのため、先ほど挙げた隣接地所有者の立会いと筆界確認書の取りまとめが、どの分筆でも必ず必要になるわけではありません。もっとも、これは登記官による筆界認定の運用の問題であり、対象地について法務局にどのような資料が備わっているかによって取扱いは変わります。自分の土地で使えるかどうかは、土地家屋調査士または管轄の法務局に確認してください。

この運用見直しは、地積更正登記の側から「登記簿の面積と実測が違う」の記事でも取り上げていますので、あわせてご覧ください。

地積測量図の記載事項と実務上の注意点

分筆登記の申請にあわせて提出する地積測量図には、不動産登記規則が定める事項を記載する必要があります。本文で触れた分筆前の土地の形状や分筆線の位置、分筆後の各土地に付ける符号(同規則78条)のほか、地番区域の名称・方位・縮尺・地番(隣接地の地番を含む)・地積とその求積方法・筆界点間の距離・筆界点の座標値・境界標の表示・測量の年月日などが、同規則77条1項で記録すべき事項と定められています(各記載事項の細かな区分・要件は個別の案件ごとに担当の土地家屋調査士が確認します)。

実務上とくに作業量に差が出やすいのは、対象の土地に既に地積測量図が備え付けられているかどうかという点です。

  • 既に法務局に地積測量図が備え付けられている土地であれば、その測量図に記載された筆界点の位置を現地で復元する作業が中心になり、比較的短い期間で分筆の測量まで進められることが多いとされます
  • 地積測量図が備え付けられていない土地(過去に分筆や地積更正の履歴がない土地など)や、座標値の記載がない古い様式の地積測量図しか残っていない土地では、隣接地すべてとの筆界確認を一から行う必要があり、期間・費用ともに増える傾向があります
  • 地積測量図が備え付けられていても、現地に境界標(杭など)が残っていない場合は、復元測量に加えて追加の確認作業が必要になることがあります

どの程度の期間・費用がかかるかは対象地の状況によって大きく異なるため、個別の見通しは依頼する土地家屋調査士に確認するのが確実です。

合筆登記と筆界特定制度との関係

分筆が新たに筆界を作り出す手続きであるのに対し、合筆は既存の登記記録上の土地をまとめるだけの手続きです。合筆登記の要件は、本文で紹介した不動産登記法41条が定める形式的な要件(地目・地番区域・所有者・持分割合・抵当権の有無など)が中心であり、合筆単独の申請であれば、新たに筆界を確定させる測量や、これに伴う筆界確認書の取得は原則として不要とされています。

これに対して、分筆と合筆をあわせて行う場合(隣接する土地の一部を組み替えて登記し直すようなケースなど)は、分筆にあたる部分について、通常の分筆登記と同様に筆界確認や地積測量図の提出が必要になります。合筆の部分だけを見て「筆界確認は不要」と判断せず、案件全体としてどの手続きが組み合わさっているかを確認する必要があります。

なお、隣接する土地の所有者との間で筆界の位置について合意ができない(争いがある)場合には、法務局に対して筆界特定の申請を行い、筆界特定登記官が民間の専門家(筆界調査委員)の意見を踏まえて筆界を特定する「筆界特定制度」(不動産登記法123条以下)を利用する選択肢があります。筆界特定はあくまで筆界の位置を特定する制度であり、所有権がどこまで及ぶか(所有権界)を確定させる制度ではない点には注意が必要です。合筆登記そのものには新たに筆界を確定させる場面が基本的にないため、筆界特定制度が問題になるのは、主に分筆登記や地積更正登記の前提となる筆界確認で合意が得られない場合や、境界をめぐる紛争が生じている場面です。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年09月・いずれも一次情報です)。

  • 不動産登記法(平成16年法律第123号)(e-Gov法令検索)── 39条1項(分筆又は合筆の登記は表題部所有者または所有権の登記名義人以外の者は申請できない)、41条(合筆の登記の制限=1号〜6号)、123条(筆界特定の章の定義=筆界・筆界特定)、125条(筆界特定登記官)、127条(筆界調査委員)、143条(筆界調査委員の意見を踏まえた筆界特定)
  • 不動産登記令(平成16年政令第379号)(e-Gov法令検索)── 別表八の項(分筆の登記の添付情報=分筆後の土地の地積測量図)、九の項(合筆の登記)
  • 不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)(e-Gov法令検索)── 77条1項(地積測量図の記録事項=地番区域の名称・方位・縮尺・地番・地積及びその求積方法・筆界点間の距離・筆界点の座標値・境界標の表示・測量の年月日など)、78条(分筆の登記の場合の地積測量図=分筆前の土地を図示し、分筆線を明らかにして分筆後の各土地を表示し符号を付す)、105条(合筆の登記の制限の特例=法41条6号の例外となる4種類の登記。2号が、登記の目的・申請の受付の年月日および受付番号・登記原因およびその日付が同一の担保権の登記)
  • 土地家屋調査士法(昭和25年法律第228号)(e-Gov法令検索)── 3条1項1号・2号(不動産の表示に関する登記に必要な土地・家屋の調査および測量、登記の申請手続についての代理)、68条1項(非調査士等の取締り)
  • 司法書士法(昭和25年法律第197号)(e-Gov法令検索)── 3条1項1号(登記又は供託に関する手続についての代理)、3条8項(1項に規定する業務であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものは、行うことができない)
  • 登録免許税法(昭和42年法律第35号)(e-Gov法令検索)── 別表第一第一号(十三)(所有権の登記のある不動産の表示の変更の登記。イ=土地の分筆による登記事項の変更の登記は分筆後の不動産の個数1個につき1,000円、ロ=土地の合筆による登記事項の変更の登記は合筆後の不動産の個数1個につき1,000円)
  • 法務省「隣の土地の所有者が分からなくてお困りの方へ(分筆や地積更正の登記のとき)」 ── 令和4年4月14日付け法務省民二第535号通達「表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いについて」(通達本文PDF)および同日付け法務省民二第536号依命通知・別添「表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針」(依命通知PDF)。令和4年10月3日から全国すべての法務局で運用開始

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