問題:

土地の分筆又は合筆の登記に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 分筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

イ. 一筆の土地の一部が別の地目となった場合であっても、分筆の登記の申請がないときは、登記官は、職権でその土地の分筆の登記をすることができない。

ウ. 登記官は、不動産登記法第14条第1項の地図を作成するため必要があると認めるときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。

エ. 抵当権の登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて、抵当権の登記名義人が当該抵当権を分筆後の一方の土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、登記官は、その承諾に係る土地について当該抵当権が消滅した旨を登記しなければならない(当該抵当権を目的とする第三者の権利に関する登記はないものとする)。

オ. 分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図は、分筆後の土地ごとに作成しなければならない。

答え: 正しいものは、ア・ウ・エの3つである。

解説: 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない(不動産登記法39条1項)。申請人が表題部所有者又は所有権の登記名義人に限定されるのは、分筆・合筆が土地の物理的な状況に変化がないまま登記記録上の土地の個数(筆)を組み替える登記であり、その土地について登記上の所有者とされている者の意思に基づかせる必要があるからである。アは正しい。なお、表題部所有者又は所有権の登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、その一般承継人が申請することができる(同法30条)。

イについて、登記官は、分筆の登記の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記を「しなければならない」(同法39条2項)。一筆の土地の中に二つの地目が併存したり、一筆の土地が二つの地番区域にまたがったりする状態は、一筆一地目・一筆一地番区域の原則に反するため、登記官に職権分筆の義務が課されているのである。「職権で分筆の登記をすることができない」とするイは誤りである。

ウについて、登記官は、分筆又は合筆の登記の申請がない場合であっても、同法14条1項の地図を作成するため必要があると認めるときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記を「することができる」(同法39条3項)。ウは正しい。同条2項と3項の相違点は、次の3点として整理しておきたい。第一に、2項は「分筆」のみを対象とするのに対し、3項は「分筆又は合筆」の双方を対象とする。第二に、2項は「しなければならない」という義務規定であるのに対し、3項は「することができる」という裁量規定である。第三に、3項には「表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り」という要件が付されているが、2項にはこの要件がない。

エについて、登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない(同法40条)。この規定は「分筆に伴う権利の消滅の登記」と呼ばれ、分筆後の土地の一部について抵当権等を消滅させる場合に、別途抹消の登記を申請することなく、分筆の登記の申請と一体で処理することを可能にするものである。エは正しい。なお、当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記(例えば抵当権を目的とする転抵当の登記)がある場合には、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限られる(同条かっこ書)。

オについて、土地所在図及び地積測量図は、一筆の土地ごとに作成しなければならないのが原則であるが(不動産登記規則75条1項)、分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図は、「分筆前の土地ごと」に作成するものとされている(同条2項)。この地積測量図には、分筆前の土地を図示し、分筆線を明らかにして分筆後の各土地を表示し、これに符号を付さなければならない(同規則78条)。分筆前の一筆の土地の全体を一枚の図面に表し、その中に分筆線を引いて分筆後の各土地を示す、という作成方法である。「分筆後の土地ごとに作成しなければならない」とするオは誤りである。


問題:

土地家屋調査士(以下「調査士」という。)の義務に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 調査士は、法務省令の定める基準に従い、事務所を設けなければならず、二以上の事務所を設けることができない。

イ. 調査士は、法務省令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備えなければならないが、関係書類の保存については、法律上の義務を負わない。

ウ. 調査士は、その業務に関して虚偽の調査又は測量をしてはならない。

エ. 調査士は、その所属する調査士会の会則を守らなければならないが、調査士会連合会の会則については、これを守る義務を負わない。

オ. 調査士は、その業務を行う地域における土地の筆界を明らかにするための方法に関する慣習その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない。

答え: 誤っているものは、イ・エの2つである。

解説: 調査士は、法務省令の定める基準に従い、事務所を設けなければならない(土地家屋調査士法20条)。この法務省令の定める基準として、土地家屋調査士法施行規則18条は、調査士は二以上の事務所を設けることができない旨を定めている。したがって、アは正しい。事務所の設置が義務付けられ、かつ一箇所に限定されるのは、調査士が業務を行う拠点を明確にし、依頼者や監督官庁との関係でその責任の所在を明らかにするためである。

イについて、調査士は、法務省令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備え、「且つ、関係書類を保存」しなければならない(同法21条)。帳簿の備付けと関係書類の保存は、いずれも法律上の義務として並列的に定められており、関係書類の保存について義務を負わないとするイは誤りである。なお、法務省令の定めとして、調査士は、調査士会連合会の定める様式により事件簿を調製しなければならず、事件簿はその閉鎖後7年間保存しなければならない(同法施行規則28条1項・2項)。

ウについて、調査士は、その業務に関して虚偽の調査又は測量をしてはならない(同法23条)。ウは正しい。調査士の業務は、不動産の表示に関する登記に必要な土地又は家屋に関する調査又は測量を中核とし、その成果は登記記録や地図・図面という公的な情報の基礎となるものであるから、虚偽の調査・測量の禁止は調査士の職責の根幹をなす規定である。

エについて、調査士は、その所属する調査士会「及び調査士会連合会」の会則を守らなければならない(同法24条)。会則遵守義務の対象は、所属する調査士会の会則にとどまらず、調査士会連合会の会則にも及ぶ。調査士会連合会の会則を守る義務を負わないとするエは誤りである。

オについて、調査士は、その所属する調査士会及び調査士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならず(同法25条1項)、また、その業務を行う地域における土地の筆界を明らかにするための方法に関する慣習その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない(同条2項)。オは同条2項の規定どおりであり、正しい。なお、同条1項・2項はいずれも「努めなければならない」と定める努力義務であり、研修を受けることそのものが法律上の作為義務として課されているわけではない点には注意を要する。

これらの義務は、いずれも調査士法本則が定める調査士の義務であり、調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣による懲戒処分(同法42条)の対象となり得る。もっとも、25条のように「努めなければならない」と定める努力義務の違反が懲戒処分の対象となるかどうかについては、条文上明らかではない。


問題:

所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地が数人の共有に属する場合において、共有者の一部を知ることができないときは、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その共有者の共有持分を対象として、所有者不明土地管理命令をすることができる。

イ. 所有者不明土地管理人が、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地を売却するには、裁判所の許可を得なければならず、その許可を得ないでした売却については、その無効を善意の第三者に対しても対抗することができる。

ウ. 所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。

エ. 所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地管理命令の請求をした利害関係人の負担とする。

オ. 管理不全土地管理人が、管理不全土地管理命令の対象とされた土地を処分するには、裁判所の許可を得なければならないが、裁判所がその許可をするに当たって、当該土地の所有者の同意を得る必要はない。

答え: 正しいものは、ア・ウの2つである。

解説: 所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令は、令和3年法律第24号(民法等の一部を改正する法律)により新設され、令和5年4月1日から施行されている制度である。所有者不明土地の管理の合理化と、管理不全の土地による周辺への悪影響の防止を目的とする。

アについて、裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の「共有持分」)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができる(民法264条の2第1項)。共有者の一部が不明である場合には、土地全体ではなく、その不明な共有者の共有持分を対象として管理命令をすることができる。アは正しい。なお、裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該命令において所有者不明土地管理人を選任しなければならず(同条4項)、管理命令の効力は、対象とされた土地にある動産(対象土地の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)にも及ぶ(同条2項)。

イについて、所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地等の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する(同法264条の3第1項)。そして、所有者不明土地管理人が、保存行為及び所有者不明土地等の性質を変えない範囲内においてその利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない(同条2項本文)。対象土地の売却は処分行為であり、この許可を要する。もっとも、同項ただし書は、「この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない」と定めている。したがって、許可を得ないでした売却の無効を善意の第三者に対しても対抗することができるとするイは誤りである。取引の安全のために、許可の欠缺を知らない第三者を保護する趣旨である。

ウについて、所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする(同法264条の4)。管理処分権が管理人に専属することに対応して、訴訟の当事者適格も管理人に帰属させたものである。ウは正しい。

エについて、所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができ(同法264条の7第1項)、所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地等の「所有者」(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする(同条2項)。管理命令の請求をした利害関係人の負担とするエは誤りである。

オについて、管理不全土地管理命令は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときに、利害関係人の請求により、裁判所がする処分である(同法264条の9第1項)。所有者不明土地管理命令と異なり、所有者が判明しており所在も明らかである土地についても発することができる点が特徴である。管理不全土地管理人が、保存行為及び性質を変えない範囲内の利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには裁判所の許可を得なければならないが(同法264条の10第2項本文)、管理不全土地管理命令の対象とされた土地の「処分」についてこの許可をするには、その「所有者の同意」がなければならない(同条3項)。管理不全土地管理命令は所有者から所有権を奪うものではなく、対象土地の処分は所有者の権利に重大な影響を及ぼすため、その意思を尊重する必要があるからである。所有者の同意を得る必要はないとするオは誤りである。

なお、管理不全土地管理人の許可の欠缺を対抗することができない第三者は「善意でかつ過失がない第三者」とされており(同条2項ただし書)、所有者不明土地管理人の場合の「善意の第三者」(同法264条の3第2項ただし書)と要件が異なる点も、併せて押さえておきたい。

建物についても、所有者不明建物管理命令(同法264条の8)及び管理不全建物管理命令(同法264条の14)の制度が設けられており、建物についての管理命令の効力は、建物にある動産のほか、当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利であって所有権を除くもの)にも及ぶ(同法264条の8第2項、264条の14第2項)。


問題:

測量法に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地の測量は、他の法律に特別の定めがある場合を除いて、測量法の定めるところによる。

イ. 測量法において「測量記録」とは、当該測量において最終の目的として得た結果をいい、「測量成果」とは、測量記録を得る過程において得た作業記録をいう。

ウ. 測量法において「測量標」とは、永久標識、一時標識及び仮設標識をいい、このうち標杭は仮設標識に当たる。

エ. 基本測量の測量標には、基本測量の測量標であること及び国土地理院の名称を表示しなければならない。

オ. 基本測量以外の測量を実施しようとする者は、国土地理院の長の承認を得て、基本測量の測量標を使用することができる。

答え: 誤っているものは、イ・ウの2つである。

解説: 測量法は、国若しくは公共団体が費用の全部若しくは一部を負担し、若しくは補助して実施する土地の測量又はこれらの測量の結果を利用する土地の測量について、その実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、並びに測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、業務の規制等により、測量業の適正な運営とその健全な発達を図り、もって各種測量の調整及び測量制度の改善発達に資することを目的とする法律である(測量法1条)。

アについて、土地の測量は、他の法律に特別の定めがある場合を除いて、測量法の定めるところによる(同法2条)。測量法が土地の測量に関する一般法としての地位にあることを示す規定であり、アは正しい。

イについて、測量法において「測量成果」とは、当該測量において最終の目的として得た結果をいい、「測量記録」とは、測量成果を得る過程において得た作業記録をいう(同法9条)。イは「測量成果」と「測量記録」の定義を入れ替えており、誤りである。測量成果は測量の最終目的物(例えば、基本測量の成果である基準点の成果表や地図)であり、測量記録はそれに至る過程で得られる観測記録・計算記録等であるという区別は、測量成果の公表・閲覧・複製・使用に関する各規定の理解の前提となる重要な定義である。

ウについて、測量法において「測量標」とは、永久標識、一時標識及び仮設標識をいう(同法10条1項)。永久標識は、三角点標石、図根点標石、方位標石、水準点標石、磁気点標石、基線尺検定標石、基線標石及びこれらの標石の代わりに設置する恒久的な標識(験潮儀及び験潮場を含む。)をいい(同項1号)、一時標識は、測標及び「標杭」をいい(同項2号)、仮設標識は、標旗及び「仮杭」をいう(同項3号)。標杭は一時標識に当たり、仮設標識に当たるのは仮杭であるから、ウは誤りである。「標杭」と「仮杭」は一字違いで所属する区分が異なるため、正確に区別して記憶しておく必要がある。なお、測量標の形状は国土交通省令で定められる(同条2項)。

エについて、基本測量の測量標には、基本測量の測量標であること及び国土地理院の名称を表示しなければならない(同法10条3項)。エは正しい。基本測量の測量標には、測量標の保全や移転に関する規律が適用されるため、それが基本測量の測量標であることを外部から識別できるようにしておく必要があるのである。

オについて、基本測量以外の測量を実施しようとする者は、国土地理院の長の承認を得て、基本測量の測量標を使用することができる(同法26条)。オは正しい。基本測量の測量標は国土地理院が設置・管理するものであるから、これを公共測量その他の測量に使用する際には、国土地理院の長の承認を要するものとされている。

なお、基本測量の実施に関しては、国土地理院の長は、基本測量を実施しようとするときは、あらかじめその地域、期間その他必要な事項を関係「都道府県知事」に通知しなければならず(同法14条1項)、基本測量の実施を終わったときも、その旨を関係都道府県知事に通知しなければならない(同条2項)。通知を受けた都道府県知事は、遅滞なく、これを公示しなければならない(同条3項)。通知の相手方は都道府県知事であって市町村長ではなく、公示をするのも都道府県知事である点を確認しておきたい。もっとも、同条については、令和8年法律第27号(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)により、都道府県知事への通知及び都道府県知事による公示という仕組みを、国土地理院の長が自ら公示するものへと改める改正がされている。その施行日は令和8年12月3日であり、令和8年4月1日の時点では施行されていない。


問題:

建物の分割、区分又は合併の登記に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 建物の分割の登記とは、表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。

イ. 抵当権の登記がある建物について建物の合併の登記をする場合において、当該合併の登記の申請情報と併せて、抵当権の登記名義人が合併後の建物について当該抵当権を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、登記官は、不動産登記法第40条の規定の準用により、当該抵当権が消滅した旨を登記しなければならない。

ウ. 共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記は、当該建物の表題部所有者以外の者は、申請することができない。

エ. 抵当権の登記がある建物について建物の区分の登記をする場合において、当該区分の登記の申請情報と併せて、抵当権の登記名義人が当該抵当権を区分後のいずれかの建物について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、登記官は、その承諾に係る建物について当該抵当権が消滅した旨を登記しなければならない(当該抵当権を目的とする第三者の権利に関する登記はないものとする)。

オ. 建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請する場合において提供する建物図面及び各階平面図には、分割後又は区分後の各建物を表示し、これに符号を付さなければならない。

答え: 正しいものは、ア・エ・オの3つである。

解説: 不動産登記法54条1項は、建物の分割の登記、建物の区分の登記及び建物の合併の登記の三つを定義したうえで、これらの登記は表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請することができないと定める。建物の分割の登記とは、表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいい(同項1号)、建物の区分の登記とは、表題登記がある建物又は附属建物の部分であって区分建物に該当するものを登記記録上区分建物とする登記をいい(同項2号)、建物の合併の登記とは、表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう(同項3号)。アは同項1号の定義どおりであり、正しい。これらはいずれも、建物の物理的な状況に変化がないまま登記記録上の建物の個数を組み替える登記であり、二以上の建物が物理的に一個の建物となる「合体」(同法49条)とは区別される。

イについて、同法54条3項は、同法40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)の規定を、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物についての「建物の分割の登記又は建物の区分の登記」をするときについて準用している。建物の合併の登記は準用の対象とされていない。そもそも、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物の合併の登記は、合併後の建物の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定める権利に関する登記がある場合を除き、することができない(同法56条5号)。したがって、建物の合併の登記について同法40条の準用により抵当権が消滅した旨の登記がされるとするイは誤りである。

ウについて、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、「所有者」以外の者は、申請することができない(同法54条2項)。共用部分である旨の登記をするときは、登記官は、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならないため(同法58条4項)、共用部分である旨の登記がある建物には表題部所有者も所有権の登記名義人も存在しない。そこで、同法54条2項は、申請人を「表題部所有者又は所有権の登記名義人」ではなく「所有者」と定めているのである。「表題部所有者以外の者は、申請することができない」とするウは誤りである。なお、共用部分である旨の登記がある建物の合併の登記は、することができない(同法56条1号)。

エについて、上記のとおり、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物についての建物の区分の登記をするときは、同法40条の規定が準用される(同法54条3項)。したがって、区分の登記の申請情報と併せて、抵当権の登記名義人が当該抵当権を区分後のいずれかの建物について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、登記官は、その承諾に係る建物について当該抵当権が消滅した旨を登記しなければならない。エは正しい。当該抵当権を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合には、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限られる点は、土地の分筆の場合と同様である。

オについて、建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請する場合において提供する建物図面及び各階平面図には、分割後又は区分後の各建物を表示し、これに符号を付さなければならない(不動産登記規則84条)。オは正しい。分割後又は区分後の各建物を表示して符号を付するという点で、土地の分筆の登記における地積測量図の作成方法(同規則78条)と共通する規律である。なお、同規則78条が分筆前の土地を図示し分筆線を明らかにすべき旨を定めているのに対し、同規則84条にはこれに対応する定めは置かれていない。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記・土地) 分筆又は合筆の登記の申請人の限定、一筆の一部が別地目・別地番区域となった場合の職権分筆(義務)と地図作成のための職権分筆・合筆(裁量・異議がないときに限る)の対比、分筆に伴う権利の消滅の登記(承諾を証する情報・第三者の承諾)、分筆後の土地の地積測量図が分筆前の土地ごとに作成されること 不動産登記法39条1項〜3項、40条(30条)、不動産登記規則75条1項・2項、78条
第2問 土地家屋調査士法(調査士の義務) 事務所の設置義務と二以上の事務所の禁止、帳簿の備付けと関係書類の保存の双方が義務であること、虚偽の調査・測量の禁止、会則遵守義務が調査士会及び調査士会連合会の双方の会則に及ぶこと、研修等の努力義務 土地家屋調査士法20条、21条、23条、24条、25条1項・2項(42条)、土地家屋調査士法施行規則18条、28条1項・2項
第3問 民法(所有者不明土地管理命令・管理不全土地管理命令) 共有持分を対象とする所有者不明土地管理命令、管理人の権限と裁判所の許可・善意の第三者への対抗不能、訴えの当事者、費用及び報酬の負担者(所有者)、管理不全土地の処分の許可に所有者の同意を要すること、善意の第三者(所有者不明)と善意無過失の第三者(管理不全)の要件の相違、建物管理命令の効力が敷地利用権に及ぶこと 民法264条の2第1項・2項・4項、264条の3第1項・2項、264条の4、264条の7第1項・2項、264条の8第2項、264条の9第1項、264条の10第2項・3項、264条の14第2項(令和3年法律第24号・令和5年4月1日施行)
第4問 測量法(総則・測量標) 他の法律との関係(測量法の一般法性)、測量成果と測量記録の定義の区別、測量標の3区分(永久標識・一時標識・仮設標識)と標杭・仮杭の所属、基本測量の測量標への表示義務、基本測量の測量標の使用の承認権者、基本測量の実施の通知先(都道府県知事)と公示 測量法1条、2条、9条、10条1項1号〜3号・2項・3項、14条1項〜3項、26条
第5問 不動産登記法(表示に関する登記・建物) 建物の分割・区分・合併の登記の定義と申請人の限定、合体(49条)との区別、40条の準用が分割・区分の登記に限られ合併の登記に及ばないこと、共用部分である旨の登記がある建物の分割・区分の登記の申請人が「所有者」とされる理由(58条4項の職権抹消)、分割・区分の登記の建物図面等における符号の付記 不動産登記法54条1項1号〜3号・2項・3項、40条、56条1号・5号、58条4項(49条)、不動産登記規則84条(78条)