問題:

表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 表題部所有者の住所についての変更の登記は、当該表題部所有者が単独で申請することができる。

イ. 表題部所有者が死亡した場合、その相続人は、被相続人である表題部所有者の氏名についての更正の登記を単独で申請することができる。

ウ. 表題部所有者の氏名についての変更の登記は、単独で申請することができず、常に共有者全員が共同で申請しなければならない。

エ. 表題部所有者についての変更の登記又は更正の登記は、所有権の登記等の権利に関する登記とは異なり、原則として登録免許税が課されない。

オ. 表題部所有者についての変更の登記又は更正の登記がされた場合には、登記官は、当該登記に係る不動産の登記識別情報を新たに作成し、申請人に通知しなければならない。

答え: 正しいものは、ア・イ・エの3つである。

解説: 表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない(不動産登記法31条)。すなわち、この登記の申請人となることができるのは表題部所有者に限られ、他の者との共同申請は予定されていないから、表題部所有者は単独でこれを申請することができる。アは正しい。

イについて、表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人が当該表示に関する登記を申請することができる(同法30条)。したがって、表題部所有者が死亡した場合、その相続人は、被相続人である表題部所有者の氏名についての更正の登記を単独で申請することができ、正しい。なお、同法30条による一般承継人の申請は、表題部所有者が申請人となることができる場合に、その者に代わって申請することを認めるものであり、同法31条が排除する「表題部所有者以外の者」による申請には当たらないと解される。

ウについて、上記のとおり同法31条は申請人を表題部所有者に限る趣旨の規定であって、共有者全員による共同申請を要件とするものではない。「常に共有者全員が共同で申請しなければならない」とする記述は誤りである。

エについて、表示に関する登記は、権利の得喪を公示する権利に関する登記とは性質を異にし、登録免許税法上、原則として登録免許税を課されない。登録免許税法は、課税の対象となる登記を別表第一に列挙する方式を採っており、不動産の登記について定める同表第一号には、表示に関する登記は原則として掲げられていない。表題部所有者についての変更の登記又は更正の登記も表示に関する登記の一種であるから、登録免許税は課されない。正しい。なお、表示に関する登記であっても、土地の分筆又は建物の分割若しくは区分による登記には、分筆後又は分割後若しくは区分後の不動産1個につき1,000円の登録免許税が課される(同号(十三))。「原則として」課されないと述べたのはこのためである。

オについて、登記識別情報は、権利に関する登記をした場合に、その登記名義人に対して通知されるものであり(不動産登記法21条)、表示に関する登記には通知されない。表題部所有者についての変更の登記又は更正の登記は表示に関する登記であるから、登記識別情報が通知されるとする記述は誤りである。

なお、本問で扱った表題部所有者の氏名等についての変更の登記(同法31条)には、申請義務は定められていない。これに対し、権利部の「所有権の登記名義人」の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に変更の登記を申請しなければならず(同法76条の5)、正当な理由なくこれを怠ったときは5万円以下の過料に処せられる(同法164条2項)。この住所等変更登記の申請義務は、令和3年法律第24号(民法等の一部を改正する法律)による新設規定で、令和8年(2026年)4月1日から施行されている。表題部所有者についての変更の登記と混同しないよう注意したい。


問題:

土地家屋調査士の資格及び欠格事由に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士試験に合格した者は、土地家屋調査士となる資格を有する。

イ. 未成年者は、土地家屋調査士となる資格を有しない。

ウ. 破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得た後であっても、土地家屋調査士となる資格を有しない。

エ. 弁護士となる資格を有する者は、当然に土地家屋調査士となる資格を有する。

オ. 土地家屋調査士となる資格を有する者であっても、欠格事由に該当する者は、土地家屋調査士となることができない。

答え: 正しいものは、ア・イ・オの3つである。

解説: 土地家屋調査士試験に合格した者は、土地家屋調査士となる資格を有する(土地家屋調査士法4条1号)。アは正しい。

土地家屋調査士法5条は、土地家屋調査士となる資格を有しない者(欠格事由)を列挙しており、未成年者はこれに該当する(同条2号)。イは正しい。

ウについて、欠格事由とされているのは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」であり(同条3号)、復権を得た後は欠格事由に該当しなくなる。したがって、「復権を得た後であっても資格を有しない」とする記述は誤りである。

エについて、土地家屋調査士法4条は、①土地家屋調査士試験に合格した者(1号)と、②法務局又は地方法務局において不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算して10年以上になる者であって、法務大臣がその業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めたもの(2号)を挙げるのみであり、他の資格(弁護士等)を有することのみを理由に当然に土地家屋調査士となる資格が付与される旨の規定はない。誤りである。

オについて、土地家屋調査士法5条は「次に掲げる者は、調査士となる資格を有しない。」と定める構造になっており、4条各号のいずれかに該当して資格を有するはずの者であっても、5条の欠格事由に該当すれば土地家屋調査士となることができない。オは正しい。


問題:

境界線付近の建築の制限に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならないのが原則である。

イ. 境界線から50センチメートル未満の距離で建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、当該建築の着手の時期にかかわらず、常にその建築の中止又は変更を求めることができる。

ウ. 民法234条及び235条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

エ. 境界線付近の建築の制限は、建築基準法上の防火地域又は準防火地域内における外壁が耐火構造の建築物に関する特則の有無にかかわらず、常に建築基準法の規定に優先して適用される。

オ. 境界線から50センチメートル未満の距離で建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、隣地の所有者は損害賠償の請求をすることができない。

答え: 正しいものは、ア・ウの2つである。

解説: 建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならないのが原則である(民法234条1項)。アは正しい。

イについて、同条1項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができるが、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる(同条2項)。したがって、「建築の着手の時期にかかわらず、常に」中止・変更を求めることができるとする記述は誤りである。

ウについて、民法234条及び235条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う(同法236条)。正しい。

エについて、建築基準法には、防火地域又は準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについて、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨の特則があり(同法63条。判決当時は65条)、判例(最判平成元年9月19日民集43巻8号955頁)は、この特則所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の適用が排除されるとしている。もっとも、これはあくまで建築基準法上の当該特則の要件を満たす場合に限られる話であり、「常に建築基準法の規定が優先して適用される」という一般化はできない。誤りである。

オについて、境界線付近の建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、中止又は変更の請求ができなくなるにとどまり、損害賠償の請求はなお可能である(民法234条2項ただし書)。「損害賠償の請求をすることができない」とする記述は誤りである。


問題:

測量士及び測量士補の資格並びに登録に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 測量士試験に合格した者は、測量士となる資格を有する。

イ. 測量士補試験に合格した者は、測量士補となる資格を有する。

ウ. 測量士となる資格を有する者が測量士になろうとするときは、国土地理院の長に対し、その資格を証する書類を添えて、測量士名簿に登録の申請をしなければならない。

エ. 測量士又は測量士補の登録を受けた者が測量法の規定に違反し罰金以上の刑に処せられたときは、その登録は消除される。

オ. 測量士又は測量士補の登録に関して必要な手続は、政令で定める。

答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説: 国土地理院の長が行う測量士試験に合格した者は測量士となる資格を有し(測量法50条5号)、同じく国土地理院の長が行う測量士補試験に合格した者は測量士補となる資格を有する(同法51条4号)。ア・イは正しい。

測量士又は測量士補となる資格を有する者が測量士又は測量士補になろうとするときは、国土地理院の長に対してその資格を証する書類を添えて、測量士名簿又は測量士補名簿に登録の申請をしなければならない(同法49条1項)。これらの名簿は、国土交通省ではなく国土地理院に備えられる(同条2項)。そして、技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は、この規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない(同法48条1項)。ウは正しい。

エについて、国土地理院の長は、測量士又は測量士補の登録を受けた者が、①死亡したとき、②測量法の規定に違反し罰金以上の刑に処せられたとき、③測量士又は測量士補となる資格を有しないことが判明したときは、その登録を消除しなければならない(同法52条)。エは正しい。

オについて、測量法に定めるもののほか、測量士又は測量士補の登録に関して必要な手続及び測量士又は測量士補の試験科目その他試験に関して必要な事項は、政令ではなく国土交通省令で定めるものとされている(同法54条)。「政令で定める」とする記述は誤りである。


問題:

土地の滅失の登記に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない。

イ. 一筆の土地の一部が海没した場合には、当該土地について土地の滅失の登記を申請しなければならない。

ウ. 表題部所有者が死亡している場合、その相続人は、当該土地の滅失の登記を単独で申請することができる。

エ. 土地の滅失の登記が申請されないまま1年を経過したときは、当該土地についての表示に関する登記は法律上当然に効力を失う。

オ. 所有権の登記がある土地について滅失の登記がされたときは、当該土地の登記記録は閉鎖される。

答え: 正しいものは、ア・ウ・オの3つである。

解説: 土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない(不動産登記法42条)。建物の滅失の登記についての同法57条と対をなす規定であり、アは正しい。

イについて、土地の滅失の登記は、当該土地の登記記録を閉鎖する登記であるから、一筆の土地の全部が失われた場合にするものと解されている。一筆の土地の一部のみが海没等により滅失した場合は、残余の部分が土地として存続しており、登記記録を閉鎖すべき場合には当たらないから、滅失の登記ではなく、減少した面積を反映する地積に関する変更の登記(不動産登記法37条1項)を申請するものとされている(一筆の土地の一部が滅失した場合を地積の変更の登記によって処理することは実務上の取扱いであり、これを直接定めた条文はない)。「滅失の登記を申請しなければならない」とする記述は誤りである。

ウについて、表題部所有者が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、その者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人が当該表示に関する登記を申請することができる(不動産登記法30条)。土地の滅失の登記は、同法42条により表題部所有者が申請人となることができる登記であるから、表題部所有者が死亡している場合には、その相続人が単独で申請することができる。正しい。

エについて、申請義務を怠った場合に登記の効力そのものが法律上当然に失われる旨の規定は存在しない。同法42条の申請義務に違反した場合は、正当な理由がないのに申請を怠ったものとして10万円以下の過料に処せられうるにとどまる(同法164条1項)。エは誤りである。

オについて、登記官は、土地の滅失の登記をするときは、当該土地の登記記録の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない(不動産登記規則109条)。土地の滅失の登記は、このように当該土地の登記記録全体を閉鎖する登記であり、閉鎖されるかどうかが所有権の登記の有無によって変わるものではない。したがって、所有権の登記がある土地について滅失の登記がされたときも、当該土地の登記記録は閉鎖される。正しい。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 表題部所有者の氏名等についての変更の登記又は更正の登記の単独申請、一般承継人による申請、登録免許税の原則不課税、登記識別情報が表示に関する登記には通知されないこと、令和8年4月1日施行の住所等変更登記の申請義務との対比 不動産登記法31条、30条、21条、76条の5、164条2項(登録免許税法別表第一)
第2問 土地家屋調査士法(資格及び欠格事由) 土地家屋調査士試験合格による資格取得、欠格事由(未成年者等)、復権による欠格事由の解消、他資格保有による当然の資格付与の不存在 土地家屋調査士法4条1号・2号、5条2号・3号
第3問 民法(相隣関係) 境界線付近の建築の制限(50センチメートルの距離保持)、中止・変更請求権の期間制限と損害賠償請求権の存続、異なる慣習の優先、建築基準法上の特則との関係 民法234条1項・2項、236条、建築基準法63条
第4問 測量法(測量士・測量士補の資格及び登録) 測量士・測量士補試験合格による資格取得、国土地理院の長に対する登録の申請と名簿の備置き、登録の消除事由、登録手続の委任先(国土交通省令) 測量法48条1項、49条、50条5号、51条4号、52条、54条
第5問 不動産登記法(表示に関する登記) 土地の滅失の登記の申請義務、一部滅失(一部海没)の場合は地積の変更の登記によること、相続人による単独申請、申請義務違反の効果(過料)、登記記録の閉鎖 不動産登記法42条、37条1項、30条、164条1項、不動産登記規則109条