問題:
土地の合筆の登記の制限に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 相互に接続していない土地の合筆の登記をすることはできない。
イ. 地目又は地番区域が相互に異なる土地であっても、地積が同一であれば、合筆の登記をすることができる。
ウ. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が持分を異にする土地であっても、合筆の登記をすることができる。
エ. 所有権の登記がある土地と所有権の登記がない土地との合筆の登記をすることはできない。
オ. 承役地についてする地役権の登記がある土地の合筆の登記は、当該地役権の登記が合筆前の一方の土地のみにある場合であっても、することができる。
答え:
誤っているものは、イ・ウの2つである。
解説:
合筆の登記の制限は、不動産登記法41条が1号から6号までの禁止事由を列挙する形で定めている。分筆の登記が原則として自由にできるのに対し、合筆の登記は登記記録が一つに統合される結果、権利関係が複雑な土地を合体させると登記の公示機能が損なわれるおそれがあるため、一定の場合に制限が課されている。合筆は「できることが原則、禁止事由に当たれば例外的にできない」という建て付けであることを意識して各号を押さえておきたい。なお、41条6号は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除き、合筆の登記をすることができないと定めており、この法務省令に当たる不動産登記規則105条が、承役地の地役権の登記や一定の担保権・信託の登記等を具体的に列挙する建て付けになっている。
アは正しい。41条1号は、相互に接続していない土地の合筆の登記をすることはできないと定めている。合筆はもともと一筆であった、又は一筆として扱うことが自然な隣接地どうしを統合する制度であるから、物理的に接していない土地を合体させることは想定されていない。
イは誤りである。41条2号は、地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記をすることはできないと定めている。地積が同一かどうかは合筆の可否を左右する要素として条文に規定されておらず、地目又は地番区域のいずれか一方でも異なれば、地積の異同にかかわらず合筆の登記をすることはできない。本肢は、地積が同一であることを理由に合筆ができるとしている点で誤りである。
ウも誤りである。41条4号は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記をすることはできないと定めている。3号が表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆を禁じるのに対し、4号は、これらの者が同一人(又は同一の共有者の組合せ)であっても、各人の持分の割合が異なる場合には合筆ができないとする点に特徴がある。持分の異なる土地を合筆すると、合筆後の土地について各人の持分をどう定めるかが一義的に定まらなくなるためである。
エは正しい。41条5号は、所有権の登記がある土地と所有権の登記がない土地の合筆の登記をすることはできないと定めている。登記記録の権利部の有無という登記記録の構造上の違いがある土地どうしを一つの登記記録に統合することはできない、という規律である。
オは正しい。41条6号は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地の合筆の登記は、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除き、することができないと定めている。この法務省令に当たる不動産登記規則105条1号は、「承役地についてする地役権の登記」を、合筆後の登記記録に登記することができる権利の登記の一つとして掲げている。同条2号の担保権の登記が「登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの」に限られているのと異なり、1号の地役権の登記には、合筆前の各土地で登記の内容が同一であることや、双方の土地に地役権の登記があることといった要件は付されていない。したがって、承役地についてする地役権の登記が合筆前の一方の土地のみにある場合であっても、合筆の登記をすることができる。この場合、登記官は、合筆後の土地の登記記録に当該地役権の登記を移記し(既に合筆後の土地となる側の登記記録にある場合はその登記に)、地役権設定の範囲及び地役権図面番号を記録する(不動産登記規則107条2項・3項)。承役地の地役権は土地の一部のみを範囲として存続しうる権利であり、合筆後の登記記録に範囲を明示すれば公示上の支障が生じないため、合筆の制限から除外されている。
なお、不動産登記規則105条にはこのほか、担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの(2号)、信託の登記であって不動産登記法97条1項各号に掲げる登記事項が同一のもの(3号)、鉱害賠償登録に関する登記であって登録番号が同一のもの(4号)が掲げられている。これらの権利に関する登記がある土地についても、要件を満たせば41条6号の除外に該当し、合筆の登記をすることができる。2号から4号までがいずれも登記事項の同一性を要件としているのは、合筆後の土地の登記記録に一つの権利の登記としてまとめて表示することができない権利関係を、あらかじめ除いておく趣旨によるものと説明される(これに対し1号の地役権の登記に同一性の要件が付されていないことは、オで述べたとおりである)。
問題:
土地家屋調査士に対する懲戒に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士に対する懲戒処分の種類は、戒告、2年以内の業務の停止及び業務の禁止の3種類である。
イ. 土地家屋調査士に対する懲戒処分は、法務大臣が行う。
ウ. 土地家屋調査士に対する懲戒の事由があったときから7年を経過したときは、懲戒の処分をすることができない。
エ. 法務大臣は、土地家屋調査士に対して懲戒処分をしようとするときは、行政手続法の規定による聴聞を行わなければならない。
オ. 法務大臣は、土地家屋調査士に対して懲戒処分をしたときは、その旨を関係都道府県知事に通知すれば足り、これを公告することを要しない。
答え:
誤っているものは、オの1つである。
解説:
土地家屋調査士に対する懲戒は、土地家屋調査士法42条に定められている。土地家屋調査士法人に対する懲戒(43条1項)が戒告・2年以内の業務の全部又は一部の停止・解散の3種類であるのと対をなす規定であり、個人に対する懲戒の種類が「業務の停止」ではなく「業務の禁止」という資格そのものを失わせる重い処分で締めくくられている点に違いがある。
アは正しい。42条は、土地家屋調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該土地家屋調査士に対し、戒告(1号)、2年以内の業務の停止(2号)又は業務の禁止(3号)の処分をすることができると定めている。調査士法人に対する懲戒の3号が「解散」であるのに対し、個人に対する懲戒の3号は「業務の禁止」であり、資格を存続させたまま処分を終えるか、資格自体を失わせるかという違いがある。
イも正しい。42条の柱書のとおり、懲戒処分を行う権限は法務大臣に属する。なお、懲戒権者は、令和元年法律第29号による改正前は「その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長」であったが、同改正により法務大臣に改められ、令和2年8月1日から施行されている。改正前の記述が残る教材もあるため、現行法の懲戒権者が法務大臣である点は押さえておきたい。
ウも正しい。除斥期間を定めるのは45条の2であり、懲戒の事由があったときから7年を経過したときは、42条又は43条1項の規定による処分の手続を開始することができないと定めている。この規定は、上記の令和元年法律第29号による改正で新設されたもので(令和2年8月1日施行)、同改正前の土地家屋調査士法には除斥期間の定めがなかった。懲戒事由の発生から長期間が経過した後に処分の手続を開始することによる法的安定性への配慮であり、除斥期間の性質を持つ。
エも正しい。44条3項は、法務大臣は、42条1号(戒告)若しくは2号(2年以内の業務の停止)又は43条1項1号若しくは2号に掲げる処分をしようとするときは、行政手続法13条1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならないと定めている。42条3号の業務の禁止が44条3項に挙げられていないのは、業務の禁止が名宛人の資格・地位を直接にはく奪するに等しい処分として、行政手続法13条1項1号の規定によりもともと聴聞の対象となることを前提としているためであると解される(44条4項が、業務の禁止の処分についても聴聞の期日を前提とした通知期限を定めていることも、この理解と整合する)。結局、土地家屋調査士に対する懲戒処分はいずれも聴聞を経て行われることになる。名宛人となる土地家屋調査士に、処分前に自己の主張及び証拠を提出する機会が保障される。
オは誤りである。46条は、法務大臣は、42条又は43条1項の規定により処分をしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもって公告しなければならないと定めている(この公告の主体も、令和元年法律第29号による改正で法務局又は地方法務局の長から法務大臣に改められている)。土地家屋調査士法には、懲戒処分を関係都道府県知事に通知すれば足りるとする規定は置かれておらず、官報による公告が必要である。懲戒処分は、当該土地家屋調査士に業務を依頼しようとする者や取引の相手方にとっても重要な情報であり、単に監督機関の内部で通知が完結するのではなく、対外的な公示によって周知される仕組みが採られている。
問題:
隣地使用権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者が民法第209条第1項の規定により隣地を使用することができる目的として同項各号に掲げられているのは、境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕、境界標の調査又は境界に関する測量、及び同法第233条第3項の規定による竹木の枝の切取りの3つである。
イ. 隣地を使用するには、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地を現に使用している者に通知しなければならず、いかなる場合も例外は認められない。
ウ. 隣地の使用に際し、住家については、その居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。
エ. 隣地を使用する者は、使用の日時、場所及び方法について、隣地の所有者及び隣地使用者のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
オ. 隣地の使用により隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けた場合、その償金を請求することができるのは隣地の所有者に限られ、隣地使用者は請求することができない。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
隣地使用権は、令和3年法律第24号による改正で全面的に条文が整理され、令和5年4月1日から施行された民法209条に定められている。改正前は「必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる」という請求権構成であったのに対し、改正後は「隣地を使用することができる」という直接の使用権構成に改められた。隣地所有者の承諾を得たり、承諾に代わる判決を得たりしなくても、1項各号の目的のため必要な範囲内であれば隣地を使用する権利そのものが認められる点が、実務上の大きな変化である。もっとも、これは隣地所有者が現実に立入りを拒んでいる場面で実力により使用を強行してよいという意味ではない。隣地所有者や隣地使用者が任意に応じないときは、なお使用の妨害の停止等を求める裁判手続によることになると解されており、住家への立入りについては1項ただし書により居住者の承諾が別途必要である。この点は、権利として認められることと、その権利を相手方の意思に反して実現する手段とを区別して理解しておきたい。
アは正しい。209条1項は、土地の所有者は、①境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕、②境界標の調査又は境界に関する測量、③233条3項の規定による竹木の枝の切取りのため必要な範囲内で、隣地を使用することができると定めている。③は、催告をしても竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき等に土地の所有者自らが越境した枝を切り取ることができるとする233条3項の自力救済的な規定を受け、その切取りのために隣地を使用する必要がある場面を想定したものである。
イは誤りである。209条3項は、隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならないと定める一方、そのただし書で「あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる」という例外を置いている。いかなる場合も例外が認められないとする本肢は誤りである。この事後通知の例外は、他人が所有する設備の使用等について定める213条の2第4項によって準用されており、そちらの理解にもつながる基礎知識である。
ウは正しい。209条1項ただし書は、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることができないと定めている。工作物の築造等のための隣地使用は権利として認められる一方、私生活の平穏に対する配慮から、住家への立入りには居住者の承諾という一段高いハードルが課されている。
エは正しい。209条2項は、前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(同項が「隣地使用者」と定義する)のために損害が最も少ないものを選ばなければならないと定めている。使用権が認められることの裏返しとして、隣地側の負担を最小限にとどめるべき義務が課されている。
オは誤りである。209条4項は、第1項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができると定めている。償金請求権の主体は隣地の所有者に限られず、隣地を現に使用している者(賃借人等)も含まれる。隣地の所有者に限られるとする本肢は誤りである。
問題:
測量法における測量成果の複製・使用及び罰則に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 基本測量の測量成果である地図その他の図表、成果表、写真又は成果を記録した文書を、測量の用に供し、刊行し、又は電磁的方法であって国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとるために複製しようとする者は、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならない。
イ. 基本測量の測量成果を使用して基本測量以外の測量を実施しようとする者は、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならない。
ウ. 公共測量の測量成果の複製及び使用については、測量法30条の規定が準用されており、複製をしようとする者及び使用をしようとする者は、いずれも当該測量成果を得た測量計画機関の承認を得なければならない。
エ. 測量法の規定に違反して基本測量の測量成果の複製又は使用をした者は、64条により30万円以下の罰金に処せられるが、公共測量の測量成果の複製又は使用に関する規定に違反した者について、測量法に罰則規定は置かれていない。
オ. 基本測量及び公共測量のいずれにも該当しない測量を実施しようとする者は、あらかじめ、国土交通大臣の承認を得なければならない。
答え:
正しいものは、ア・イ・エの3つである。
解説:
測量法は、基本測量の測量成果について複製を29条が、使用を30条が、公共測量の測量成果について複製を43条が、使用を44条が、それぞれ独立に規定している。基本測量・公共測量のいずれにも該当しない測量については、承認制度ではなく46条の届出制度が適用される。測量成果の複製・使用に関する罰則は64条が定めているが、その対象は29条の違反(同条2号)及び30条1項の違反(同条3号)に限られ(同条1号は測量標の使用に関する26条違反を対象とするもの)、43条・44条の違反には罰則規定が置かれていない。複製(成果そのものを写し取る行為)と使用(成果を用いて別の測量を実施する行為)が別個の行為として規律されている点、基本測量と公共測量とで承認権者が異なる点、そして承認制度と届出制度の適用場面の違いを正確に押さえておきたい。
アは正しい。29条は、基本測量の測量成果のうち地図その他の図表、成果表、写真又は成果を記録した文書(電磁的記録を含む)を、測量の用に供し、刊行し、又は電磁的方法であって国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとるために複製しようとする者は、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならないと定めている。
イも正しい。30条1項は、基本測量の測量成果を使用して基本測量以外の測量を実施しようとする者は、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならないと定めている。29条が測量成果そのものの「複製」を規律するのに対し、30条は測量成果を「使用」して別の測量を実施する行為を規律しており、両者は対象となる行為の性質が異なる。
ウは誤りである。公共測量の測量成果についても、複製は43条、使用は44条がそれぞれ独立に規定しており、いずれも承認権者を「当該測量成果を得た測量計画機関」としている点は正しいが、これらは30条の規定を準用したものではない。29条・30条(基本測量)と43条・44条(公共測量)は、複製・使用のそれぞれについて並行して置かれた別個の規定であり、準用関係にはない。
エは正しい。64条は、29条の規定に違反した者(2号)及び30条1項の規定に違反した者(3号)を30万円以下の罰金に処すると定めている。一方、公共測量の測量成果の複製(43条)及び使用(44条)に関する規定違反については、測量法に罰則規定は置かれていない。基本測量の測量成果に関する規律のみが刑事罰の対象とされている点に注意を要する。
オは誤りである。基本測量及び公共測量のいずれにも該当しない測量を実施しようとする者について、46条1項が定めるのは、あらかじめ国土交通大臣にその旨を「届け出」なければならないという届出制であって、承認を得る必要はない。承認制度(29条・30条・43条・44条)と届出制度(46条)は、対象となる測量の性質に応じて使い分けられている。なお、この届出があった測量のうち、国土交通大臣が公共性を有すると認めて指定するものについては、国土地理院の長が測量成果又は測量記録の閲覧やその写しの提出を求めることができる(47条1項)が、実施者は正当な理由があるときはこれを拒むことができる(47条2項)。
問題:
表示に関する登記と登記識別情報に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 登記識別情報は、権利に関する登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合に、登記官から当該申請人に通知される情報である。
イ. 表題登記や表題部の変更の登記など、表示に関する登記がされた場合には、登記識別情報は通知されない。
ウ. 土地の分筆の登記がされた場合、分筆後の各土地について、新たに登記識別情報が通知される。
エ. 権利に関する登記の申請において登記識別情報を提供することができない場合には、登記官が登記義務者に対して申請の内容の真偽を確認する事前通知の制度が用意されている。
オ. 表題部所有者が所有権の保存の登記を申請する場合には、当該申請の際に従前の登記識別情報を提供する必要はないが、当該登記によって新たに登記識別情報が通知される。
答え:
正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。
解説:
登記識別情報の制度は、不動産登記法21条を中心に置かれており、その名宛人が「権利に関する登記」によって登記名義人となる者に限られる点が、表示に関する登記との根本的な違いである。表示に関する登記は不動産の物理的状況を公示するものであって、そこに権利の登記名義人という概念が現れない場面が多いため、両者の関係を整理しておく必要がある。
アは正しい。21条本文は、登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該申請人に対し、登記識別情報を通知しなければならないと定めている。所有権の保存、移転、抵当権の設定等、申請人が新たに登記名義人となる権利に関する登記の場面が対象である。
イも正しい。21条が対象とするのは権利に関する登記であり、表題登記や表題部の変更の登記のように登記名義人という概念を伴わない表示に関する登記は、そもそも登記識別情報の通知の対象とならない。表題部所有者は「登記名義人」とは扱われない点も、この整理の前提である。
ウは誤りである。分筆の登記は表示に関する登記であって、権利に関する登記ではない。分筆によって土地の個数が増えても、それに伴って新たな登記名義人が生ずるわけではないから、分筆後の各土地について登記識別情報が通知されることはない。
エは正しい。登記識別情報を提供することができない場合に備え、登記官が登記義務者に対し、登記の申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときはその旨の申出をすべき旨を通知し、一定の期間内に申出がなければ登記をしないものとする事前通知の制度が用意されている。登記識別情報という本人確認手段に代わる仕組みとして機能している。
オも正しい。表題部所有者が所有権の保存の登記を申請する場合、それ以前にはその者を登記名義人とする権利の登記自体が存在しないから、提供すべき従前の登記識別情報というものが観念できず、その提供は不要である(登記識別情報の提供を求める22条は、登記権利者と登記義務者との共同申請等、登記名義人が申請する場合を対象とする規定である)。一方で、所有権の保存の登記は権利に関する登記であり、これによって申請人が新たに登記名義人となるから、21条の適用を受け、新たに登記識別情報が通知される。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 合筆の登記の制限(41条1号〜6号)のうち、土地の非接続、地目・地番区域の相違、表題部所有者等の持分の相違、所有権の登記の有無の相違、承役地の地役権の登記に関する不動産登記規則上の例外 | 不動産登記法41条1号・2号・4号・5号・6号、不動産登記規則105条1号(2号〜4号)・107条2項・3項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法(懲戒) | 個人に対する懲戒処分の種類(戒告・2年以内の業務停止・業務禁止)と懲戒権者、懲戒事由発生からの除斥期間(7年)、聴聞の実施、官報による公告 | 土地家屋調査士法42条1号〜3号・44条3項・45条の2・46条(行政手続法13条1項1号) |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 隣地使用権の目的3類型、事前通知義務と事後通知の例外、住家への立入りに関する居住者の承諾、損害最少化の選択義務、隣地使用者を含む償金請求権の主体 | 民法209条1項〜4項(233条3項、213条の2第4項) |
| 第4問 | 測量法(測量成果の複製・使用) | 基本測量の測量成果の複製(29条)と使用(30条)の区別、公共測量の複製(43条)・使用(44条)が30条の準用ではなく独立の規定であること、罰則の対象が29条・30条1項違反に限られること(64条)、基本測量・公共測量以外の測量に関する届出制(46条)との相違 | 測量法29条・30条・43条・44条・64条(46条・47条) |
| 第5問 | 不動産登記法(登記識別情報) | 登記識別情報の通知の対象が権利に関する登記の登記名義人に限られること、表示に関する登記には通知されないこと、事前通知制度、所有権保存登記における提供不要と新規通知 | 不動産登記法21条(23条) |