問題:
登記官の職権による表示に関する登記に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。
イ. 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない。
ウ. 登記官は、表示に関する登記について申請又は嘱託がない場合には、職権でその登記をすることはできない。
エ. 土地の地目又は地積について変更があった場合、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、変更があった日から1か月以内に地目又は地積の変更の登記を申請しなければならない。
オ. 登記官が職権で表示に関する登記をした場合、当該登記に係る登記識別情報は通知されない。
答え: 誤っているものは、ウの1つである。
解説: 不動産登記法28条は、表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる旨を定めている。これは、表示に関する登記が現況を公示するという公益的性格を有し、権利に関する登記(申請主義が原則)とは異なる考え方に立つためである。したがってウは誤り。アは28条のとおり正しい。イは建物の表題登記の申請義務(47条1項)、エは土地の地目・地積の変更の登記の申請義務(37条1項)のとおりであり、いずれも正しい。オについて、登記識別情報は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合に登記官から申請人に通知される制度である(21条)。表示に関する登記は不動産の物理的な現況を表題部に記録するものであって、申請人が権利部に権利者として記録される場面ではないうえ、職権による登記では通知の相手方となる申請人自体が存在しない。いずれの点からも登記識別情報が通知されることはなく、オは正しい。なお、登記識別情報が通知されないのは職権であることだけが理由ではなく、申請によって表示に関する登記がされた場合も同様である点に注意したい。
問題:
土地家屋調査士の秘密保持義務に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士は、正当な事由がなければ、その業務上取り扱った事件について知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
イ. 土地家屋調査士でなくなった後は、業務上知り得た秘密を他に漏らしても、秘密保持義務違反とはならない。
ウ. 秘密保持義務に違反した土地家屋調査士は、懲戒処分の対象となるほか、刑事罰の対象ともなり得る。
エ. 土地家屋調査士法人の社員である土地家屋調査士は、当該法人が取り扱った事件については秘密保持義務を負わない。
オ. 秘密保持義務は、依頼者の同意があっても免除されることはなく、常に絶対的な義務である。
答え: 誤っているものは、イ、エ及びオの3つである。
解説: 土地家屋調査士法24条の2は、「調査士又は調査士であつた者」に対し、正当な事由がある場合でなければ業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない旨の秘密保持義務を課している(アは正しい)。同条は「調査士であつた者」も名宛人としており、この義務は土地家屋調査士でなくなった後も存続する。したがってイは誤り。秘密保持義務違反は、同法42条の懲戒処分(戒告・2年以内の業務停止・業務禁止)の対象となるほか、同法71条の2第1項により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる(同条2項により告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪)。したがって、刑事罰の対象ともなり得るとするウは正しい。土地家屋調査士法人の社員である土地家屋調査士も、法人の業務として取り扱った事件について知ることのできた秘密は「業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密」にほかならず、24条の2の秘密保持義務を負うから、エは誤り。秘密保持義務は、24条の2が「正当な事由がある場合でなければ」漏らしてはならないという形で定めていることから明らかなとおり、正当な事由がある場合には例外的に開示が許容される相対的な義務である。したがって、いかなる場合にも例外を認めない絶対的な義務であるとするオは、条文の構造に反し誤りである。なお、依頼者本人が開示に同意している場合をどう位置づけるかについては、これを「正当な事由」がある場合の一場面として説明する見方のほか、秘密の主体である本人が同意した以上そもそも保護すべき秘密に当たらないと説明する見方もあり、理論構成には議論がある。もっとも、いずれの説明によっても、依頼者の同意があってもなお一切の開示が許されないとはされていない点は共通しており、オが誤りであるという結論は変わらない。
問題:
民法上の相隣関係のうち、分割によって公道に通じない土地が生じた場合の通行権に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。
イ. 前記アの場合、通行する土地の所有者は、償金を支払うことを要しない。
ウ. 土地の所有者がその土地の一部を譲り渡したことにより、残余地が公道に通じない土地となった場合には、分割の場合の通行権に関する規定は準用されない。
エ. 分割による囲繞地通行権は、分割の当事者以外の第三者が所有する土地についても行使することができる。
オ. 分割による囲繞地通行権に関する規定は、共有地の分割によって公道に通じない土地が生じた場合に適用がある。
答え: 誤っているものは、ウ及びエの2つである。
解説: 民法213条1項は、分割によって公道に通じない土地(袋地)が生じたときは、その所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができ、この場合は償金を支払うことを要しない旨を定める(ア・イは正しい)。同条2項は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について同条1項を準用する旨を定めており、ウはこれに反し誤りである。213条の通行権は、分割又は一部譲渡によって袋地が生じたことについて責任のある「他の分割者」の所有地(2項の場合は譲渡人の残余地又は譲受人の土地)に限って認められる特則であり、それ以外の第三者の土地に及ぶものではないから、エも誤りである。オについて、共有地の分割は文言どおり213条1項にいう「分割」に当たるから、共有地を分割した結果として公道に通じない土地が生じた場合には同項の適用がある。同条2項が土地の一部譲渡の場合を別に準用の形で規定していることも、1項が共有物の分割を含む「分割」の場面を本則としていることと整合する。したがってオは正しい。なお、1項にいう「分割」がどこまでを含むか、とりわけ単独所有の土地を分筆したうえで一方を処分した場合を1項の「分割」で扱うか2項の一部譲渡で扱うかについては説明の分かれがあるが、共有物の分割が1項の適用場面に含まれる点は、いずれの説明でも異ならない。
問題:
測量法上の基本測量の測量成果の閲覧に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 国土地理院の長は、基本測量の測量成果を一般の閲覧に供しなければならない。
イ. 基本測量の測量成果の閲覧を求めることができるのは、当該測量に法律上の利害関係を有する者に限られる。
ウ. 国土交通大臣は、基本測量の測量成果のうち地図その他一般の利用に供することが必要と認められるものについては、これらを刊行し、又はその内容である情報を電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとらなければならない。
エ. 公共測量を実施した測量計画機関の測量成果についても、測量法上、一般の閲覧に関する規定が置かれている。
オ. 基本測量の測量成果について、その謄本若しくは抄本の交付又は電磁的記録の提供を請求する者であっても、手数料を納める必要はない。
答え: 誤っているものは、イ及びオの2つである。
解説: 測量法は、基本測量の測量成果及び測量記録について、国土地理院の長がこれを保管し一般の閲覧に供すべきこと(27条3項。ア)、及び国土交通大臣が地図その他一般の利用に供することが必要と認められるものを刊行し又はその内容である情報を電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとるべきこと(27条2項。ウ)を定めている。閲覧は「一般の閲覧」であり、また測量成果の謄本等の交付や電磁的記録の提供は「何人も」請求することができる(28条1項)。法律上の利害関係を有する者に限るとするイは誤りである。公共測量についても、測量計画機関から送付された測量成果の写しを国土地理院の長が保管し一般の閲覧に供する旨の規定が置かれており(42条1項)、エは正しい。基本測量の測量成果又は測量記録について謄本若しくは抄本の交付又は電磁的記録の提供を請求する者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならないとされており(28条2項)、手数料を納める必要がないとするオは誤りである。
問題:
敷地権付き区分建物の表示に関する登記事項等に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 区分建物が敷地権を有するときは、当該建物の表題部に、その敷地権の表示として、敷地権の目的たる土地の符号、敷地権の種類及び敷地権の割合を記録しなければならない。
イ. 敷地権付き区分建物について、建物のみを目的とする抵当権の設定の登記は、原則として認められない。
ウ. 敷地権付き区分建物の表題部所有者が、当該建物について所有権の保存の登記を申請する場合には、敷地権の登記名義人の承諾を要しない。
エ. 敷地権付き区分建物の登記記録において、当該建物が属する一棟の建物の構造及び床面積は、表題部の「一棟の建物の表示」欄に記録される。
オ. 敷地権の表示に関する登記がされた土地の登記記録には、当該土地が敷地権の目的となっている旨が記録されるが、その後も、当該土地のみを目的とする所有権の移転の登記又は担保権に係る権利に関する登記を原則として申請することができる。
答え: 誤っているものは、オの1つである。
解説: 区分建物が敷地権を有するときは、その敷地権が建物の表示に関する登記の登記事項となり(不動産登記法44条1項9号)、表題部に敷地権の目的である土地の符号、敷地権の種類及び敷地権の割合等が記録される(不動産登記規則118条。アは正しい)。敷地権付き区分建物については、区分所有法22条1項本文により建物と敷地利用権の分離処分が原則として禁止されているため、当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記は、原則としてすることができない(不動産登記法73条3項。イは正しい)。所有権の保存の登記は、表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人等が申請することができ(74条1項1号)、区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も申請することができるが、この場合において当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない(同条2項)。この承諾は、74条2項の「表題部所有者から所有権を取得した者」が申請する場合に限って要求されるものであり、表題部所有者自身が74条1項1号により保存の登記を申請する場合には、敷地権の登記名義人の承諾は要しない。したがってウは正しい。区分建物の登記記録には、専有部分の表示のほか、当該建物が属する一棟の建物の構造及び床面積が登記事項とされている(44条1項7号)。区分建物である建物の登記記録の表題部をどのような欄に区分するかは不動産登記規則4条3項及び別表三が定めており、同表は「一棟の建物の表題部」の中に「一棟の建物の表示欄」を置き、その下位の構造欄・床面積欄に一棟の建物の構造・床面積を記録するものとしている。したがってエは正しい。敷地権である旨の登記(46条)がされた土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができないのが原則である(73条2項本文)。敷地権の目的となった土地について、その土地のみを対象として所有権を移転し、又は担保権を設定する登記は、まさにここでいう敷地権の移転の登記・敷地権を目的とする担保権に係る登記に当たり、建物と敷地利用権の分離処分を原則として禁ずる区分所有法22条1項本文に対応して、原則として申請することができない。したがって、その後も当該土地のみを目的とする所有権の移転の登記又は担保権に係る権利に関する登記を原則として申請することができるとするオは誤りである。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法 | 登記官の職権による表示に関する登記 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 秘密保持義務 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 分割による囲繞地通行権 |
| 第4問 | 測量法 | 基本測量の測量成果の閲覧 |
| 第5問 | 不動産登記法 | 敷地権付き区分建物の登記事項 |