問題:

二以上の建物が合体して一個の建物となった場合の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 合体前の二以上の建物がいずれも表題登記がある建物であるときは、当該建物の表題部所有者が、合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消を申請しなければならない。

イ. 合体前の二以上の建物が表題登記がない建物及び所有権の登記がある建物のみであるときは、当該表題登記がない建物の所有者又は当該所有権の登記がある建物の所有権の登記名義人が、合体による登記等を申請しなければならない。

ウ. 合体前の二以上の建物が表題登記がない建物及び表題登記がある建物のみであるときは、当該合体による登記等の申請と併せて、当該表題登記がある建物の表題部所有者を当該合体後の建物の登記名義人とする所有権の登記を申請しなければならない。

エ. 不動産登記法第四十九条第一項第一号、第二号又は第六号に掲げる場合において、当該建物が合体して一個の建物となった後、合体前の表題登記がない建物の所有者から当該合体後の建物について合体前の表題登記がない建物の所有権に相当する持分を取得した者は、その持分の取得の日から一月以内に、合体による登記等を申請しなければならない。

オ. 登記官は、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物について合体による登記等をする場合において、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾を証する情報の提供がなくても、職権で当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

建物の合体による登記等は、不動産登記法49条・50条に規定されている。物理的に独立していた二以上の建物が一個の建物になるという特殊な変動を公示するため、通常の表題登記とは異なる申請適格・申請事項の枠組みが置かれている。

アは正しい。同法49条1項柱書は、二以上の建物が合体して一個の建物となった場合において、各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める者が、合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消(合体による登記等)を申請しなければならないと定める。そのうえで同項3号は、合体前の二以上の建物がいずれも表題登記がある建物であるときは、当該建物の表題部所有者を申請義務者として掲げている。

イは正しい。同項2号は、合体前の二以上の建物が表題登記がない建物及び所有権の登記がある建物のみであるときは、当該表題登記がない建物の所有者又は当該所有権の登記がある建物の所有権の登記名義人を申請義務者として掲げている。

ウは誤りである。同項柱書は、「この場合において、第二号に掲げる場合にあっては当該表題登記がない建物の所有者、第四号に掲げる場合にあっては当該表題登記がある建物…の表題部所有者、第六号に掲げる場合にあっては…をそれぞれ当該合体後の建物の登記名義人とする所有権の登記を併せて申請しなければならない」と定めており、所有権の登記を併せて申請すべき場面として掲げられているのは2号・4号・6号の場合に限られる。ウで問われている1号の場合(表題登記がない建物及び表題登記がある建物のみが合体する場合)は、この所有権の登記の併せ申請の対象とされていない。1号の場合は、合体前の建物のいずれにも所有権の登記がなく(柱書の括弧書きにより、「表題登記がある建物」からは所有権の登記がある建物が除かれる)、合体後の建物についても表題登記がされるにとどまるからである。「1号の場合にも所有権の登記を申請しなければならない」とする点が誤りである。

エは正しい。同条3項は、1項1号、2号又は6号に掲げる場合において、当該二以上の建物(6号の場合にあっては当該三以上の建物)が合体して一個の建物となった後、合体前の表題登記がない建物の所有者から当該合体後の建物について合体前の表題登記がない建物の所有権に相当する持分を取得した者は、その持分の取得の日から一月以内に、合体による登記等を申請しなければならないと定めている。

オは誤りである。同法50条は、登記官は、所有権等(所有権、地上権、永小作権、地役権及び採石権)の登記以外の権利に関する登記がある建物について合体による登記等をする場合において、当該合体による登記等の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(抵当証券が発行されているときは、その所持人又は裏書人を含む)が合体後の建物について当該権利を消滅させることについて承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合には、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る)は、当該権利が消滅した旨を登記しなければならないと定める。権利消滅の登記は、承諾を証する情報が合体による登記等の申請情報と併せて提供されたことを要件としている。本肢は、この要件を欠く場合にも権利が消滅した旨の登記をしなければならないとする点で誤りである。

以上より、誤っているものはウ・オの2つである。49条1項の各号は「誰が申請義務者か」を定める規定であるのに対し、柱書後段の所有権の登記の併せ申請は2号・4号・6号の場合に限られるという点、また50条の権利消滅の登記は承諾を証する情報の提供を前提とする点は、いずれも読み落としやすい箇所である。


問題:

土地家屋調査士法第68条の非調査士等の取締りに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者は、不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量を業として行うことができない。

イ. 調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者であっても、弁護士又は弁護士法人が、不動産の表示に関する登記の申請手続についての審査請求の手続に関する代理を行うことは妨げられない。

ウ. 司法書士法に規定する司法書士又は簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人は、調査士でなくても、不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理を行うことができる。

エ. 調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないが、調査士法人でない者が土地家屋調査士法人又はこれに紛らわしい名称を用いることについては、明文の規定が置かれていない。

オ. 第68条第1項の規定に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。

答え:

誤っているものは、ウ・エの2つである。

解説:

土地家屋調査士法68条は、調査士又は調査士法人でない者による無資格業務・紛らわしい名称の使用を取り締まる規定であり、1項が業務の取締り、3項から5項までが名称の取締りを定めている。1項には弁護士・司法書士の一部業務についての例外がただし書として置かれており、その適用範囲を正確に区別することが本条の急所である。

アは正しい。同条1項本文は、調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者(協会を除く)は、第3条1項1号から5号までに掲げる事務(2号・3号に掲げる事務にあっては、1号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る)又はこれらの事務に関する同項6号に掲げる事務を行うことを業とすることができないと定める。1号の事務(不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量)はこの禁止の対象に含まれる。なお、本文の「(協会を除く)」は公共嘱託登記土地家屋調査士協会についての除外であり(協会については同条2項が業務の範囲を超えて事務を行うことを禁じている)、本肢はこの括弧書きを除いた本文の内容をそのまま述べるものとして正しい。

イは正しい。同項ただし書は、弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人が同項2号から5号までに掲げる事務(2号・3号に掲げる事務にあっては、1号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関する審査請求の手続に関するものに限る)若しくはこれらの事務に関する同項6号に掲げる事務を行う場合は、この限りでないと定める。2号・3号の事務のうち弁護士等に許されるのは、申請手続そのものではなく、審査請求の手続に関するものに限られる。

ウは誤りである。同項ただし書のうち司法書士に関する部分は、「司法書士法第三条第二項に規定する司法書士若しくは同項に規定する簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人が第三条第一項第四号若しくは第五号に掲げる事務(同法第三条第一項第八号に規定する筆界特定の手続に係るものに限る。)…を行う場合」に限って適用される。すなわち、司法書士等に許されるのは4号・5号の事務(筆界特定の手続についての代理及びこれに関する書類作成)のうち、司法書士法3条1項8号に規定する筆界特定の手続に係るものに限られており、2号の事務である不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理は、この例外の対象に含まれていない。「登記の申請手続についての代理を行うことができる」とする点が誤りである。

エは誤りである。同条4項は「調査士法人でない者は、土地家屋調査士法人又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」と定めており、調査士でない者による名称使用の禁止(同条3項)と並んで、調査士法人でない者による紛らわしい名称の使用も明文で禁止されている。「明文の規定が置かれていない」とする点が誤りである。なお、同条5項は、協会でない者が公共嘱託登記土地家屋調査士協会又はこれに紛らわしい名称を用いることも禁止している。

オは正しい。同法73条1項は「第六十八条第一項の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と定める。

以上より、誤っているものはウ・エの2つである。1項ただし書のうち、弁護士等の例外は2号から5号までの事務に及び、そのうち2号・3号については「審査請求の手続」に関するものに限られるのに対し、司法書士等の例外はそもそも4号・5号の事務についてだけ認められ、しかも司法書士法3条1項8号に規定する筆界特定の手続に係るものに限られる。職種ごとに異なるこの限定の範囲を正確に区別しておきたい。


問題:

水流に関する相隣関係の規定についての次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができるが、自家用又は農工業用の余水を排出するために低地に水を通過させることはできない。

イ. 高地の所有者が低地に水を通過させる場合には、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。

ウ. 土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができるが、この場合、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合にかかわらず、工作物の設置及び保存の費用の全額を負担しなければならない。

エ. 水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときは、当該対岸の所有者の承諾を得なければ、その堰を対岸に付着させて設けることができない。

オ. 対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、水流地の所有者が設けた堰を使用することができ、この場合における費用の分担については、通水用工作物の使用に関する規定が準用される。

答え:

誤っているものは、ア・ウ・エの3つである。

解説:

民法の相隣関係のうち水に関する規定は、214条から222条までに置かれている。自然の水流をめぐる規律・水害の予防・雨水を注ぐ工作物の設置禁止・水流の変更を扱う214条から219条までに比べ、低地への通水・通水用工作物の使用・堰の設置及び使用を扱う220条から222条までは手薄になりやすい。いずれも、水を通過させる側と受け入れる側の利益をどう調整するかという視点で条文が組み立てられている。

アは誤りである。民法220条は「高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる」と定める。浸水を乾かす場合と、自家用又は農工業用の余水を排出する場合の双方が認められており、後者を除外する点が誤りである。

イは正しい。同条後段は「この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない」と定める。

ウは誤りである。民法221条1項は「土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる」と定め、同条2項は「前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない」と定める。費用の負担は利益を受ける割合に応じた分担であって、使用者が全額を負担するものではない。

エは誤りである。民法222条1項は「水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない」と定める。対岸が他人の所有に属する場合であっても、対岸の所有者の承諾を得ることは要件とされておらず、生じた損害について償金を支払う義務が課されるにとどまる。「承諾を得なければ設けることができない」とする点が誤りである。

オは正しい。同条2項は「対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、前項の堰を使用することができる」と定め、同条3項は「前条第二項の規定は、前項の場合について準用する」と定める。対岸の所有者が堰を使用する場合の費用分担については、221条2項の通水用工作物の使用に関する規定(利益を受ける割合に応じた分担)が準用される。

以上より、誤っているものはア・ウ・エの3つである。220条から222条までは、通水を受け入れる土地の所有者に配慮する規定(220条後段の損害最少の原則)と、工作物の利用に伴う費用を利益の割合に応じて分担させる規定(221条2項、222条3項による準用)とが組み合わさっており、承諾ではなく償金・費用分担によって利害を調整する構造になっている点を押さえておきたい。


問題:

測量業者の登録制度に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 測量業を営もうとする者は、測量法の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならず、この登録の有効期間は5年である。

イ. 登録の有効期間の満了後引き続き測量業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならないが、更新の登録を申請した場合において、有効期間の満了の日までに登録又は登録拒否の処分がされなかったときは、当該処分がされるまでの間、従前の登録の効力は失われる。

ウ. 登録申請書には、商号又は名称、営業所の名称及び所在地のほか、法人である場合にはその資本金又は出資の額及び役員の氏名を記載しなければならない。

エ. 登録申請書の添付書類として、直前2年の各事業年度における測量実施金額を記載した書面を添付しなければならないが、使用人数及び営業所ごとの測量士・測量士補の人数を記載した書面の添付は要しない。

オ. 測量法第55条第1項の規定により登録を受けようとする者は、登録免許税法の定めるところにより登録免許税を納めなければならないのが原則であるが、測量法第49条の規定に従い登録された測量士がこの登録を受けようとする場合及び登録の更新を受けようとする場合には、実費を勘案して政令で定める額の登録手数料を納めれば足りる。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

測量業者の登録のうち、申請から登録の実施までの入口段階の手続は、測量法55条から55条の5までに置かれている。登録の有効期間・更新(55条)、登録申請の記載事項(55条の2)、添付書類(55条の3)、登録免許税及び登録手数料(55条の4)、登録の実施及び登録の通知(55条の5)という順に手続が組み立てられており、登録の拒否(55条の6)とは別の、入口段階の手続規定である。

アは正しい。同法55条1項は「測量業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならない」と定め、同条2項は「前項の登録の有効期間は、五年とする」と定める。

イは誤りである。同条4項は「前項の更新の登録を受けようとする者が次条第一項の規定による申請をした場合において、第一項の登録の有効期間の満了の日までに、第五十五条の五第一項の規定による登録又は第五十五条の六第一項の規定による登録の拒否の処分がなされないときは、それらの処分があるまでは、第二項の規定にかかわらず、第一項の登録は、なお効力を有するものとみなす」と定めている。処分がされるまでの間、従前の登録はなお効力を有するものとみなされるのであって、効力を失うのではない。「従前の登録の効力は失われる」とする点が誤りである。

ウは正しい。同法55条の2は、登録を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に、商号又は名称(1号)、営業所の名称及び所在地(2号)、法人である場合における資本金又は出資の額及び役員の氏名(3号)等を記載した登録申請書を提出しなければならないと定めている。

エは誤りである。同法55条の3は、登録申請書に添付すべき書類として、営業経歴書及び定款(法人の場合、1号)、直前2年の各事業年度における測量実施金額を記載した書面(2号)、直前1年の事業年度の財務に関する書類(3号)とあわせて、「使用人数並びに営業所ごとの測量士及び測量士補の人数を記載した書面」(4号)を掲げている。この書面の添付は要求されており、「添付は要しない」とする点が誤りである。

オは正しい。同法55条の4第1項は、55条1項の規定により登録を受けようとする者(49条の規定に従い登録された測量士を除く)は登録免許税を納めなければならないと定め、同条2項は、55条1項の規定により登録を受けようとする者(49条の規定に従い登録された測量士に限る)及び55条3項の規定により更新の登録を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の登録手数料を納めなければならないと定めている。1項が対象とするのは55条1項の登録であって、55条3項の更新の登録は含まれていないから、更新を受けようとする場合と、49条の規定に従い登録された測量士が55条1項の登録を受けようとする場合とは、いずれも登録免許税ではなく登録手数料を納めることになる。

以上より、誤っているものはイ・エの2つである。55条4項のみなし存続の規定と、55条の3が掲げる添付書類の網羅性は、いずれも文言を落として出題されやすい箇所である。


問題:

建物の表題部の更正の登記並びに建物の分割、区分及び合併の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物の分割の登記とは、表題登記がある建物の附属建物を、当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。

イ. 建物の合併の登記とは、表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記、又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。

ウ. 建物の分割の登記、建物の区分の登記及び建物の合併の登記は、いずれも表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

エ. 共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請することができる。

オ. 不動産登記法第27条第1号、第2号又は第4号(法務省令で定めるものに限る)に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができないが、同法第44条第1項各号に掲げる登記事項に関する更正の登記については、この限定は適用されない。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

建物の表題部の更正の登記は不動産登記法53条に、建物の分割、区分又は合併の登記は同法54条に規定されている。53条は「更正の登記の対象となる登記事項の範囲」を、54条は「分割・区分・合併という三つの登記類型の定義と申請適格」を定めるものであり、両条とも、申請適格を表題部所有者又は所有権の登記名義人に限り、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物についてはこれを「所有者」とする点で共通するが、その限定の及ぶ登記事項・登記類型の範囲は条文ごとに異なる。

アは正しい。同法54条1項1号は「建物の分割の登記(表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)」と定めている。

イは正しい。同項3号は「建物の合併の登記(表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)」と定めている。

ウは正しい。同項柱書は「次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定め、1号(分割)、2号(区分)、3号(合併)のいずれもこの申請適格の制限に服する。

エは誤りである。同条2項は「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、所有者以外の者は、申請することができない」と定めている。共用部分である旨の登記がある建物は、共用部分である旨の登記に伴い表題部所有者の登記又は権利に関する登記が既に職権で抹消された状態にあるから、この場合の申請適格者は「表題部所有者又は所有権の登記名義人」ではなく「所有者」として定められている。「表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請することができる」とする点が誤りである。

オは誤りである。同法53条1項は「第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。)又は第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)以外の者は、申請することができない」と定めており、27条各号だけでなく、44条1項各号(2号及び6号を除く)に掲げる登記事項に関する更正の登記も、この申請適格の制限の対象に含まれている。「44条1項各号に掲げる登記事項に関する更正の登記については、この限定は適用されない」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはエ・オの2つである。共用部分である旨の登記がある建物について、54条が2項を設けて「表題部所有者又は所有権の登記名義人」ではなく「所有者」という主体を用い、53条も1項の括弧書きで同じく「所有者」としている点、53条1項が27条各号と44条1項各号(2号・6号を除く)の双方を対象としている点は、いずれも文言を正確に確認しないと見落としやすい。


出題分野の振り分け

出題分野 論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の合体による登記等の申請義務者、所有権の登記を併せて申請すべき場面(2号・4号・6号に限られること)、合体後の持分取得者の申請義務、権利消滅の登記と承諾を証する情報の提供 不動産登記法49条1項〜4項、50条
第2問 土地家屋調査士法(業務範囲・非調査士等の取締り) 非調査士等の業務禁止の範囲、弁護士等の例外(審査請求の手続に限る)、司法書士等の例外(筆界特定の手続に限る)、名称使用の禁止(調査士・調査士法人・協会)、罰則 土地家屋調査士法68条1項・3項〜5項、73条1項
第3問 民法(相隣関係) 低地への通水(浸水を乾かす場合と余水排出の場合の双方)、損害最少の原則、通水用工作物の使用と費用の按分負担、堰の設置(対岸所有者の承諾は不要・償金支払義務)、対岸所有者による堰の使用と費用分担の準用 民法220条、221条1項・2項、222条1項〜3項
第4問 測量法(測量業者の登録) 登録の有効期間(5年)と更新、更新申請中のみなし存続、登録申請書の記載事項、添付書類(測量実施金額・使用人数等)、登録免許税と登録手数料の使い分け 測量法55条1項〜4項、55条の2、55条の3、55条の4
第5問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の分割の登記・合併の登記の定義、分割・区分・合併の登記の申請適格、共用部分である旨の登記がある建物についての申請適格(「所有者」であること)、表題部の更正の登記の対象登記事項の範囲(27条各号及び44条1項各号) 不動産登記法53条1項・2項、54条1項〜3項