問題:
建物の所在及び家屋番号に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 区分建物である建物の表示に関する登記においては、登記事項である建物の所在として、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番が登記される。
イ. 家屋番号は、法務省令で定めるところにより、登記所が、一個の建物ごとに付さなければならない。
ウ. 家屋番号は、地番区域ごとに、建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるのが原則である。
エ. 附属建物にも、主である建物とは別に、一個ごとに独立の家屋番号が付される。
オ. 二個以上の建物が一筆の土地の上に存するときは、そのいずれの建物についても家屋番号を付すことができない。
答え:
誤っているものは、エ・オの2つである。
解説:
家屋番号は、土地における地番に対応する建物の番号であるが、「誰が付すのか」「何を基準に定めるのか」「附属建物はどう扱うのか」という3点を正確に押さえているかが問われる。
アは正しい。不動産登記法44条1項1号は、建物の表示に関する登記の登記事項として「建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番」を掲げたうえで、かっこ書で「区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番」と定めている。区分建物(マンションの専有部分など)は一棟の建物の一部であるから、所在は専有部分ごとにではなく、一棟の建物を基準に定まる。
イは正しい。不動産登記法45条は、「登記所は、法務省令で定めるところにより、一個の建物ごとに家屋番号を付さなければならない」と定めている。家屋番号を付すのは登記所であり、申請人が申請情報の内容として自由に定めるものではない。家屋番号が建物の表示に関する登記の登記事項とされていること(同法44条1項2号)と併せて押さえておきたい。
ウは正しい。不動産登記規則112条1項本文は、「家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとする」と定めている。敷地の地番が10番であれば家屋番号も10番とするのが原則である。
エは誤りである。不動産登記規則112条2項は、「附属建物には、符号を付すものとする」と定めている。附属建物は、主である建物と一体として一個の建物として登記されるものであるから、附属建物に独立の家屋番号が付されることはなく、符号(符号1、符号2など)によって特定される。「一個の建物ごとに」家屋番号を付すという不動産登記法45条の文言との関係で整理しておくと間違えにくい。
オは誤りである。不動産登記規則112条1項ただし書は、「二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するとき、その他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により、これを定めるものとする」と定めている。敷地の地番と同一の番号をもって定めるという原則を貫けない場合であっても、家屋番号を付すことができないのではなく、支号を付す方法(10番の1、10番の2など)その他の方法によって定めるのである。
問題:
共用部分である旨の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 規約により共用部分とすることができる建物の部分及び附属の建物は、共用部分である旨の登記をしなければ、共用部分であることをもって第三者に対抗することができない。
イ. 共用部分である旨の登記は、当該登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
ウ. 共用部分である旨の登記は、当該建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾があるときでなければ、申請することができない。
エ. 共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から3か月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
オ. 共用部分である旨を定めた規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説:
共用部分である旨の登記は、規約共用部分(区分所有法上、規約によって共用部分とされた建物の部分・附属の建物)についてされる表示に関する登記であり、申請適格・承諾・規約廃止後の処理という手続の流れに沿って条文を並べておくと整理しやすい。
アは正しい。建物の区分所有等に関する法律4条2項は、規約により建物の部分及び附属の建物を共用部分とすることができるとしたうえで、「この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない」と定めている。登記を対抗要件とするこの定めは、規約によって共用部分とした場合(同条2項)について置かれたものであり、構造上区分所有権の目的とならない部分(数個の専有部分に通ずる廊下・階段室など。同条1項)について同様の規定が置かれているわけではない。規約共用部分は外形からは共用部分であることが分からないため、登記による公示が求められているものと説明される。
イは正しい。不動産登記法58条2項は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、「当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定めている。
ウは正しい。不動産登記法58条3項は、当該建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(抵当証券が発行されているときは、その所持人又は裏書人を含む)の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合には、その第三者の承諾も得たときに限る)でなければ、申請することができないと定めている。共用部分である旨の登記がされると、登記官は職権で当該建物の表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならないため(同条4項)、登記を失うことになる権利者の承諾が要求されているのである。
エは誤りである。不動産登記法58条6項は、共用部分である旨の登記がある建物について規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、「当該規約の廃止の日から一月以内に」当該建物の表題登記を申請しなければならないと定めている。3か月以内ではない。共用部分である旨の登記がされた建物は表題部所有者の登記・権利に関する登記が抹消された状態にあるため、規約の廃止によって通常の建物に戻った以上、改めて表題登記から出発させる必要があるという趣旨である。
オは正しい。不動産登記法58条7項は、「前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない」と定めている。6項(規約廃止時の所有者:廃止の日から1か月)と7項(廃止後の取得者:取得の日から1か月)とで、起算点が異なる点に注意したい。
問題:
土地家屋調査士の欠格事由に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者は、調査士となる資格を有しない。
イ. 未成年者であっても、法定代理人の同意を得て業務を行うのであれば、調査士となる資格を有する。
ウ. 成年被後見人又は被保佐人は調査士となる資格を有しない旨の規定が、土地家屋調査士法5条に置かれている。
エ. 公務員であって懲戒免職の処分を受け、その処分の日から2年を経過しない者は、調査士となる資格を有しない。
オ. 司法書士法の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者は、調査士となる資格を有しない。
答え:
誤っているものは、イ・ウ・エの3つである。
解説:
土地家屋調査士法5条は、調査士となる資格を有しない者(欠格事由)として8つの号を列挙している。①拘禁刑以上の刑(執行終了等から3年)、②未成年者、③破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、④懲戒免職の公務員(処分の日から3年)、⑤調査士法42条の業務禁止処分(同3年)、⑥測量法52条2号の登録抹消処分(同3年)、⑦建築士法10条の免許取消処分(同3年)、⑧司法書士法47条の業務禁止処分(同3年)である。
アは正しい。土地家屋調査士法5条1号は、「拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者」と定めている。
イは誤りである。同条2号は「未成年者」を端的に欠格事由として掲げており、法定代理人の同意の有無によって結論は変わらない。未成年者は、同意を得ても調査士となる資格を有しない。
ウは誤りである。現行の土地家屋調査士法5条の各号に、成年被後見人又は被保佐人を欠格事由とする規定は存在しない。かつて置かれていた成年被後見人等に係る欠格条項は法改正により削除されており、現在の同条は上記8つの号のみを掲げている。改正前の知識のまま「成年被後見人・被保佐人は欠格」と覚えていると誤る、直前期に確認しておきたいポイントである。なお、削除後は一律に欠格とするのではなく、「心身の故障により調査士の業務を行うことができないとき」に登録を拒否する個別審査の規定(土地家屋調査士法10条1項2号)が受け皿となっている。
エは誤りである。同条4号は、「公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者」と定めている。2年ではない。5条のうち期間の定めがある号は、いずれも「3年」で統一されている(1号は執行終了等から、4号から8号までは処分の日から。2号の未成年者・3号の破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者には、期間の定めはない)ことを押さえておけば、年数を入れ替える出題に対応できる。
オは正しい。同条8号は、「司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第四十七条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者」と定めている。6号(測量法52条2号の登録抹消処分)・7号(建築士法10条の免許取消処分)と併せて、測量士・建築士・司法書士という隣接資格における重い処分が、調査士の欠格事由として連動する構造になっている。
問題:
境界線付近の掘削に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには、境界線から2メートル以上の距離を保たなければならない。
イ. し尿だめを掘るには、境界線から2メートル以上の距離を保たなければならない。
ウ. 導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、境界線からその深さの2分の1以上の距離を保たなければならない。
エ. 境界線の付近において民法237条に規定する工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない。
オ. 深さ3メートルの溝を掘るには、境界線から1.5メートル以上の距離を保たなければならない。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
民法237条は、境界線付近の掘削について、工作物の種類ごとに保つべき距離を定めている。1項が「2メートル組」と「1メートル組」の固定距離、2項が深さに連動する距離であり、どの工作物がどのグループに属するかの正確な記憶が問われる。
アは正しい。民法237条1項は、「井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない」と定めている。井戸・用水だめ・下水だめ・肥料だめが2メートル組である。
イは誤りである。同項の文言のとおり、し尿だめは池・穴蔵とともに1メートル組であり、2メートル以上の距離を要するのではない。「肥料だめ」(2メートル)と「し尿だめ」(1メートル)が別のグループに振り分けられている点は、この条文の最大の引っかけどころである。
ウは正しい。民法237条2項本文は、「導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、境界線からその深さの二分の一以上の距離を保たなければならない」と定めている。1項の固定距離と異なり、深さに応じて必要な距離が変わる。
エは正しい。民法238条は、「境界線の付近において前条の工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない」と定めている。237条の距離を保ちさえすればよいのではなく、工事の実施にあたっては238条の注意義務が別途課される、という二段構えの構造である。
オは誤りである。民法237条2項ただし書は、「一メートルを超えることを要しない」と定めている。深さ3メートルの溝であれば、2分の1の原則によると1.5メートルとなりそうであるが、ただし書により境界線から1メートルの距離を保てば足りる。原則(深さの2分の1)だけを覚えていて、上限(1メートル)を落としていると誤る肢である。
問題:
測量士及び測量士補となる資格に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 文部科学大臣の認定を受けた大学(短期大学を除く)において測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者で、測量に関し1年以上の実務の経験を有するものは、測量士となる資格を有する。
イ. 文部科学大臣の認定を受けた大学において測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者は、実務の経験を有しなくても、測量士補となる資格を有する。
ウ. 文部科学大臣の認定を受けた短期大学又は高等専門学校において測量に関する科目を修め、これを卒業した者で、測量に関し2年以上の実務の経験を有するものは、測量士となる資格を有する。
エ. 測量士補で、国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設において高度の専門の知識及び技能を修得した者は、実務の経験を有しなくても、測量士となる資格を有する。
オ. 測量士試験及び測量士補試験は、国土地理院の長が行う。
答え:
誤っているものは、ウの1つである。
解説:
測量法50条・51条は、測量士・測量士補となる資格の取得ルートを定めている。学歴ルートでは「どの学校区分に何年の実務経験が上乗せされるか」が問われ、試験ルート・養成施設ルートとの対比で整理しておくとよい。
アは正しい。測量法50条1号は、大学(短期大学を除く)であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者で、「測量に関し一年以上の実務の経験を有するもの」を測量士となる資格を有する者として掲げている。
イは正しい。測量法51条1号は、大学において測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者を、そのまま測量士補となる資格を有する者として掲げている。ここでいう「大学」は、50条1号のかっこ書(「大学(短期大学を除く。)であつて文部科学大臣の認定を受けたもの(以下この号及び次条第一号において単に『大学』という。)」)を受けたものであり、文部科学大臣の認定を受けた大学を指す。測量士(50条1号)と異なり、測量士補の学歴ルートには実務経験の要件が付されていない。
ウは誤りである。測量法50条2号は、短期大学(専門職大学の前期課程を含む)又は高等専門学校であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて測量に関する科目を修め、これを卒業した者について、「測量に関し三年以上の実務の経験を有するもの」と定めている。大学卒は1年、短期大学等卒は3年であり、2年ではない。なお、同条3号(国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で1年以上専門の知識・技能を修得した者)に求められる実務経験は2年以上であり、1年・3年・2年という3つの年数の対応関係を正確に覚えておきたい。
エは正しい。測量法50条4号は、「測量士補で、測量に関する専門の養成施設であつて…国土交通大臣の登録を受けたものにおいて高度の専門の知識及び技能を修得した者」を掲げており、この号には実務経験の要件が付されていない。
オは正しい。測量法50条5号は「国土地理院の長が行う測量士試験に合格した者」、51条4号は「国土地理院の長が行う測量士補試験に合格した者」と定めており、いずれの試験も国土地理院の長が行う。なお、養成施設の登録(50条3号・4号にいう「国土交通大臣の登録」)と、前各号の者と同等以上の知識・技能の認定(50条6号・51条5号)は、いずれも国土交通大臣が主体とされている。試験の実施主体(国土地理院の長)との対比も、出題されやすいポイントである。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 区分建物の所在の登記事項、家屋番号の付番主体(登記所)、敷地の地番と同一番号の原則と支号による例外、附属建物の符号 | 不動産登記法44条1項1号・2号、45条、不動産登記規則112条1項・2項 |
| 第2問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 規約共用部分の対抗要件としての登記、共用部分である旨の登記の申請適格、権利の登記名義人の承諾、職権による登記の抹消、規約廃止後の表題登記の申請義務と起算点 | 不動産登記法58条2項〜4項・6項・7項、建物の区分所有等に関する法律4条1項・2項 |
| 第3問 | 土地家屋調査士法 | 欠格事由の8類型、期間の定めがある号における「3年」の統一、未成年者の絶対的欠格、成年被後見人・被保佐人に係る欠格条項が現行法に存在しないこと、隣接資格の処分との連動 | 土地家屋調査士法5条1号〜8号 |
| 第4問 | 民法(相隣関係) | 境界線付近の掘削の距離制限(2メートル組と1メートル組の振り分け)、深さの2分の1の原則と1メートルの上限、掘削工事における注意義務 | 民法237条1項・2項、238条 |
| 第5問 | 測量法 | 測量士・測量士補となる資格の取得ルート、学歴ルートの実務経験年数(1年・3年・2年)、養成施設ルート、試験の実施主体(国土地理院の長)と登録・認定の主体(国土交通大臣)の区別 | 測量法50条1号〜6号、51条1号〜5号 |