問題:
登記の申請の却下に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 登記官は、不動産登記法第25条各号に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならないが、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
イ. 申請に係る不動産の所在地が、当該申請を受けた登記所の管轄に属しないときは、却下事由に該当する。
ウ. 申請の権限を有しない者の申請によるときは、却下事由に該当する。
エ. 却下事由があることが判明した場合、登記官は、申請人に対しその旨を告げて申請の取下げを促すことはできず、申請人が自ら取り下げない限り、必ず却下の決定をしなければならない。
オ. 登録免許税を納付しないときは却下事由に該当するが、表示に関する登記の申請は原則として登録免許税が課されないため、この却下事由が現実に問題となる場面は限られる。
答え:
誤っているものは、エの1つである。
解説:
登記の申請の却下事由は不動産登記法25条に規定されている。
アは正しい。同条柱書は「登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない」と定めている。却下事由に該当する申請であっても、不備が補正可能なものであり、かつ登記官が定めた期間内に補正がされたときは、却下を免れる。
イは正しい。同条1号は「申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき」を却下事由として掲げている。管轄違いの申請は、そもそも当該登記所が登記記録を管理する不動産についてのものではないから、却下されることになる。
ウは正しい。同条4号は「申請の権限を有しない者の申請によるとき」を却下事由として掲げている。表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者による申請など、申請適格を欠く者による申請がこれに当たる。
エは誤りである。却下事由があることが判明した場合であっても、登記官が却下の決定をする前に申請人が当該申請を取り下げることは妨げられない。却下の決定がされる前に取下げがされれば、そもそも判断すべき申請が存在しなくなるのであるから、登記官が却下の決定をする必要はない。すなわち、却下の決定に至る前に申請人が自ら申請を取り下げる余地が残されている以上、「申請人が自ら取り下げない限り、必ず却下の決定をしなければならない」とする点が誤りである。なお、登記官が申請人に対して申請の不備を告げ、補正又は取下げの機会を案内することを禁ずる明文の規定は見当たらない。
オは正しい。同条12号は「登録免許税を納付しないとき」を却下事由として掲げている。もっとも、登録免許税は登録免許税法別表第一に掲げる登記について課されるところ(同法2条)、表題登記や地目・地積の変更の登記など、表示に関する登記の多くは同表に掲げられておらず、そもそも登録免許税の納付を要しない。他方、所有権の登記のある不動産についての土地の分筆・合筆(建物の分割・区分・合併)による表示の変更の登記には、分筆・合筆等の後の不動産の個数一個につき千円の登録免許税が課される(同法別表第一・一(十三))。したがって、この却下事由が実際に問題となるのは、このような登録免許税が課される登記の申請の場面に限られる。
以上より、誤っているものはエの1つである。25条は、管轄・申請適格・添付情報の要否・登記記録との整合性・登録免許税の納付等、申請の適法性に関わる事由を各号に列挙する総則規定であり、そのただし書が定める補正の機会と、却下の決定に至る前の申請人による取下げとは、別個の制度でありながら、いずれも申請人の不利益を避ける方向に働く点で共通している。
問題:
土地家屋調査士法人の解散に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 調査士法人は、総社員の同意によって解散することができる。
イ. 調査士法人は、他の調査士法人との合併により解散することがある。
ウ. 調査士法人は、破産手続開始の決定を受けたときは、解散する。
エ. 調査士法人は、社員が一人になったときは、その時点で当然に解散する。
オ. 調査士法人が解散したときは、業務を執行する社員の全員が清算人となるのであって、定款で清算人を定めたとき、又は社員の過半数の同意によって清算人を定めたときであっても、これらの者が清算人となることはない。
答え:
誤っているものは、エ・オの2つである。
解説:
調査士法人の解散事由は土地家屋調査士法39条1項に列挙されており、解散後の清算については、同法41条3項が会社法の持分会社の清算に関する規定を準用している。
アは正しい。同項2号は「総社員の同意」を解散事由として掲げている。社員全員が合意すれば、法人を存続させる基盤そのものが失われるためである。
イは正しい。同項3号は「他の調査士法人との合併」を解散事由として掲げている。合併により当該調査士法人が消滅する場合には、合併を原因として解散したことになる。
ウは正しい。同項4号は「破産手続開始の決定」を解散事由として掲げている。支払不能又は債務超過にあることが裁判所によって認められ、財産の清算が破産手続に委ねられる以上、法人としての存続を前提とする通常の業務執行を継続させることはできない。
エは誤りである。39条1項は調査士法人の解散事由を各号に掲げているところ、現行法において、社員が一人になったことは、そのいずれにも掲げられていない。同項7号が掲げるのは「社員の欠亡」、すなわち社員がいなくなった場合である。かつては、社員が一人になり、そのなった日から引き続き六箇月間その社員が二人以上にならなかったときは、その六箇月を経過した時に解散するという規定(改正前39条2項)が置かれていたが、令和元年法律第29号(司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律。令和2年8月1日施行)により、社員が一人の調査士法人(いわゆる一人法人)を認める趣旨で、この規定は削除された。同時に、解散事由に「社員の欠亡」が加えられ、社員の死亡により社員が欠亡した場合に相続人の同意を得て新たに社員を加入させ法人を継続できる旨の規定(39条の2)が新設されている。したがって、社員が一人になっても解散せず、また六箇月の猶予期間という規律も現在は存在しない。「その時点で当然に解散する」とする点が誤りである。
オは誤りである。41条3項により準用される会社法647条1項によれば、清算人となるのは、①業務を執行する社員(②又は③に掲げる者がある場合を除く)、②定款で定める者、③社員の過半数の同意によって定める者である。調査士法人の社員は全員が業務を執行する権利を有し義務を負うから(35条1項)、原則として社員全員が清算人となるが、定款で清算人を定めたとき、又は社員の過半数の同意によって清算人を定めたときは、その者が清算人となる。この場合、清算人は社員以外の者でもよいが、調査士でなければならない(39条3項)。また、解散を命ずる裁判・懲戒処分としての解散・社員の欠亡を理由とする解散のときは、裁判所が清算人を選任する(41条3項により読み替えて準用される会社法647条3項)。「これらの者が清算人となることはない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはエ・オの2つである。解散事由(定款に定める理由の発生・総社員の同意・合併・破産手続開始の決定・解散を命ずる裁判・懲戒処分としての解散・社員の欠亡)と、解散後の清算人の就任(原則として業務を執行する社員の全員、ただし定款の定め又は社員の過半数の同意による例外があり、いずれにせよ調査士に限られる)とは、いずれも法人としての存続・終了の局面を規律するものでありながら、前者が「どのような事由で法人が終了するか」、後者が「終了後の後始末を誰が担うか」という異なる問いに答えるものである点を区別して押さえておきたい。
問題:
地役権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有するが、この権利は、所有権の限界に関する民法の規定のうち公の秩序に関するものに違反しないものでなければならない。
イ. 地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転するのが原則であるが、設定行為に別段の定めがあるときは、要役地の所有権と分離して地役権のみを譲渡し、又は他の権利の目的とすることができる。
ウ. 土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
エ. 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
オ. 設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときであっても、当該義務は、承役地の所有者の特定承継人には承継されない。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
地役権は民法280条から294条までに規定されている。
アは正しい。民法280条は「地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない」と定めている。地役権は、設定行為によってその目的と内容を定めることができる権利であるが、所有権の限界に関する規定(相隣関係の規定を含む)のうち公の秩序に関するものに反することは許されない。
イは誤りである。民法281条1項は「地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」と定めているが、続く同条2項は「地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない」と定めている。1項には「ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」という留保が置かれているのに対し、2項には同様の留保が置かれていない。すなわち、要役地の所有権が移転したときに地役権もこれに伴って移転するという1項の規律については設定行為で別段の定めをすることができるが、地役権を要役地から切り離して単独で処分することを禁ずる2項について、設定行為による例外を認める規定は置かれていない。地役権は、要役地の便益に供されることによってはじめてその内容が定まる権利であり(280条)、要役地から切り離された地役権を観念することは、この権利の性質と相容れないからである。したがって、「設定行為に別段の定めがあるときは……分離して譲渡し、又は他の権利の目的とすることができる」とする点が誤りである。
ウは正しい。民法282条1項は「土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない」と定めている。地役権は、要役地又は承役地の全体について不可分的に成立し存続するものとされているため、共有者の一人が自己の持分についてのみ地役権を消滅させることはできない(地役権の不可分性)。
エは正しい。民法283条は「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる」と定めている。地役権の時効取得が認められるためには、単に事実上通行している等の状態が続いているだけでは足りず、行使が継続的であること、及びその行使が外部から客観的に認識できる状態にあることの双方を満たす必要がある。
オは誤りである。民法286条は「設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人も、その義務を負担する」と定めている。この義務は承役地という不動産に付随するものとして、承役地の所有権の移転に伴い特定承継人にも当然に承継される。「特定承継人には承継されない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはイ・オの2つである。280条から283条までが地役権の内容・付従性・不可分性・時効取得という総論的な規律を定めるのに対し、286条以下は承役地の所有者が負う工作物の設置・修繕義務とその承継、承役地の所有者が地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転することにより当該義務を免れる委棄(287条)、承役地の所有者による当該工作物の使用(288条)、承役地の時効取得による地役権の消滅(289条)といった各論的な規律を定めている。地役権が「土地そのものに結び付いた権利」であるという性質は、付従性(281条)・不可分性(282条)・義務の特定承継人への承継(286条)のいずれにも共通して表れている。
問題:
測量業者の登録の拒否及び取消しに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 国土交通大臣は、登録申請者が、無登録での測量業の営業を禁止する測量法の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者に該当するときは、その登録を拒否しなければならない。
イ. 登録の拒否は、登録申請者本人に一定の事由がある場合に限られ、登録申請者が法人であるときに、その役員のうちに当該事由に該当する者があることは、登録拒否事由とはならない。
ウ. 国土交通大臣は、測量業者が不正の手段により登録を受けたときは、その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
エ. 不正の手段により登録を受けたことを理由として登録を取り消された者は、その取消しの日から二年を経過しない間は、登録拒否事由に該当する。
オ. 国土交通大臣は、測量業者が、あらかじめ注文者の書面による承諾を得ることなく、その請け負った測量を一括して他人に請け負わせたときは、六月以内の期間を定めてその営業の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその登録を取り消すことができる。
答え:
誤っているものは、イ・ウの2つである。
解説:
測量業者としての登録の拒否は測量法55条の6に、登録の取消し又は営業の停止は同法57条に規定されている。
アは正しい。55条の6第1項3号は、55条の14(無登録営業の禁止)の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者を登録拒否事由として掲げており、これに該当するときは、国土交通大臣は登録を拒否しなければならない。なお、拒否事由となるのは無登録営業の禁止に違反した場合であって、測量法の規定一般に違反して刑に処せられた場合ではない点に注意を要する。
イは誤りである。55条の6第1項6号は「法人でその役員のうちに第一号から第四号までのいずれかに該当する者のあるもの」を登録拒否事由として掲げている。法人自体に事由がなくても、その意思決定を担う役員に破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者等があれば、法人としての適格性を欠くと扱われる。「役員のうちに当該事由に該当する者があることは、登録拒否事由とはならない」とする点が誤りである。
ウは誤りである。57条1項は「国土交通大臣は、測量業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該測量業者の登録を取り消さなければならない」と定め、その1号に不正の手段により登録を受けたときを掲げている。すなわち、この場合の登録の取消しは必要的なものであって、取り消すか営業の停止にとどめるかを選択する余地はない。また、営業の停止を命ずることができる場合を定めるのは57条2項であり、その期間も「六月以内」である。「その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めて……停止を命ずることができる」とする点が誤りである。
エは正しい。55条の6第1項2号は、57条1項1号若しくは3号又は同条2項各号のいずれかに該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者を登録拒否事由として掲げている。不正の手段により登録を受けたことを理由とする取消しは57条1項1号に当たるから、その取消しの日から二年を経過しない間は、この拒否事由に該当する。
オは正しい。56条の2第1項は一括下請負を禁止し、同条2項は、元請負人があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合には同条1項を適用しないと定めている。そして57条2項3号は、56条の2第1項の規定に違反して、その請け負った測量を一括して他人に請け負わせ、又は他の測量業者からその請け負った測量を一括して請け負ったときを掲げ、同項柱書は、これに該当するときは六月以内の期間を定めて営業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は登録を取り消すことができると定めている。一括下請負の禁止に違反した場合が、裁量的な処分の対象とされている。
以上より、誤っているものはイ・ウの2つである。55条の6が登録の入口における拒否事由を、57条がその後の取消し・営業停止という出口の事由をそれぞれ定めており、両条は、57条1項3号が55条の6第1項1号及び3号から8号までを引くという形と、55条の6第1項2号が57条による取消しを引くという形の双方で連動している。57条1項の取消しは必要的、同条2項の取消し・営業停止は裁量的であるという区別も、あわせて押さえておきたい。
問題:
共有物の管理者に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができるが、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えるには、共有者全員の同意を得なければならない。
イ. 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決したときは、その決定に従ってその職務を行わなければならない。
ウ. 共有物の管理者が共有者の決定に違反して行った行為は、共有者に対してその効力を生じないが、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
エ. 共有物の管理者の選任及び解任は、共有物の変更行為に準ずるものであるから、共有者全員の同意によらなければ決することができない。
オ. 共有物の管理者は、共有者ではない第三者であっても、これに選任することができる。
答え:
誤っているものは、エの1つである。
解説:
共有物の管理者は、令和3年法律第24号による民法改正で新設された制度であり、252条の2に規定されている(令和5年4月1日施行)。
アは正しい。同条1項は「共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない」と定めている。管理者に日常的な管理行為の権限を認めつつ、共有物の実質を変える行為については、なお共有者全員の同意という重い要件を課している。
イは正しい。同条3項は「共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない」と定めている。管理者は独自の判断で職務を行う独立の主体ではなく、共有者の決定に拘束される存在として位置付けられている。
ウは正しい。同条4項は「前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない」と定めている。共有者の決定に反する管理者の行為は共有者内部との関係では無効であるが、その事情を知らずに管理者と取引をした第三者の保護が優先される。
エは誤りである。252条1項は「共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」と定めており、共有物の管理者の選任及び解任は、共有物の管理に関する事項に含まれることが条文上明示されている。したがって、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することができ、共有者全員の同意までは要件とされていない。「共有者全員の同意によらなければ決することができない」とする点が誤りである。
オは正しい。252条の2には、共有物の管理者となり得る者を共有者に限る旨の制限は置かれていない。共有物の管理を専門的に行う第三者を管理者として選任し、共有者自身は管理の実務から離れつつ、管理に関する事項の決定権限は持分の価格の過半数によって保持するという形も、条文上は妨げられない。
以上より、誤っているものはエの1つである。252条の2は、管理者の権限の範囲(1項)、所在等が不明な共有者がいる場合に裁判所が変更を許可する裁判(2項)、共有者の決定への拘束(3項)、決定違反の行為の効力とその第三者対抗(4項)という順序で管理者の職務を規律する規定であり、管理者の選任及び解任そのものは、これとは別に、共有物の管理に関する事項として持分の価格の過半数で決するという、252条1項の一般原則に従う。管理者に関する規定を読む際は、管理者を選ぶ場面(252条1項)と、選ばれた管理者が職務を行う場面(252条の2)とを区別する必要がある。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(総則) | 登記の申請の却下事由(管轄違い・無権限者の申請・登録免許税の不納付等)、補正による却下の回避、却下決定前の申請の取下げ | 不動産登記法25条、登録免許税法2条・別表第一 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法(調査士法人) | 調査士法人の解散事由(総社員の同意・合併・破産手続開始の決定・社員の欠亡)、一人法人が認められたことに伴う旧「六箇月経過による解散」規定の削除、解散後の清算人(原則として業務を執行する社員の全員・定款の定め又は社員の過半数の同意による例外・調査士に限られること) | 土地家屋調査士法39条1項・3項、39条の2、41条3項(準用される会社法644条・647条)、令和元年法律第29号 |
| 第3問 | 民法(地役権) | 地役権の内容と所有権の限界に関する規定との関係、付従性の原則と分離譲渡等の禁止に例外を認める規定が置かれていないこと、地役権の不可分性、時効取得の要件(継続性・外形上の認識可能性)、承役地所有者の工作物設置義務の特定承継人への承継 | 民法280条、281条1項・2項、282条1項、283条、286条 |
| 第4問 | 測量法(測量業者の登録) | 測量業者の登録拒否事由(無登録営業の禁止違反による刑・法人役員の欠格事由・取消し後二年)、不正の手段による登録の必要的取消し、一括下請負の禁止違反による裁量的な営業停止・取消し | 測量法55条の6第1項、57条1項・2項 |
| 第5問 | 民法(共有) | 共有物の管理者の権限の範囲(管理行為と変更行為の区別)、共有者の決定への拘束、決定違反の行為の効力と善意の第三者への対抗、管理者の選任及び解任の決定方法、共有者以外の第三者の管理者選任の可否 | 民法252条の2第1項・第3項・第4項、252条1項(令和3年法律第24号) |