問題:
建物の滅失の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
イ. 建物に附属建物がある場合において、主である建物は存続し、附属建物のみが滅失したときは、これによって生ずる登記事項の変動は、建物の滅失の登記ではなく、建物の表題部の変更の登記によって公示される。
ウ. 建物の滅失の登記の申請をすべき義務がある者が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、二十万円以下の過料に処せられる。
エ. 建物が滅失した場合において、これを申請すべき者がその申請をしないときは、登記官は、相当の期間を定めて申請すべき旨を催告し、その期間内に申請がないときに限り、職権で当該建物の滅失の登記をすることができる。
オ. 登記官は、建物の滅失の登記をするときは、当該建物の登記記録の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない。
答え:
誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説:
建物の滅失の登記は不動産登記法57条に規定されている。
アは正しい。同法57条は「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない」と定めている。土地の滅失の登記について同法42条が置く規律と同じ構造であり、いずれも「滅失の日から一月以内」という起算点・期間が共通している。
イは正しい。滅失の登記は、当該建物そのものが登記記録の対象として消滅した場合の登記である。附属建物は、主である建物と合わせて一個の建物として登記されるものであり(不動産登記規則81条も、建物図面及び各階平面図の作成単位について、附属建物があるときは主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とするものとしている)、附属建物のみが滅失し主である建物が存続している場合には、建物自体が消滅したわけではない。この場合に生ずるのは、不動産登記法44条1項5号が掲げる附属建物の所在・種類・構造・床面積等の登記事項の変動であるから、同法51条の建物の表題部の変更の登記によって公示されることになる。建物の滅失の登記と表題部の変更の登記とは、公示すべき事実が「建物自体の消滅」であるか「登記事項の変動」であるかによって使い分けられる。
ウは誤りである。同法164条1項は、57条の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する旨を定めている。同項は、36条(土地の表題登記)、37条1項・2項(地目又は地積の変更の登記)、42条(土地の滅失の登記)、47条1項(建物の表題登記)等と並んで57条を掲げており、同項が掲げるこれらの申請義務の違反については、いずれも十万円以下の過料とされている。「二十万円以下」とする点が誤りである。
エは誤りである。同法28条は「表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる」と定めており、職権による表示に関する登記の要件として、あらかじめ申請を催告すべき旨は定められていない。建物の滅失の登記も表示に関する登記の一つであるから、これを申請すべき者が申請をしない場合であっても、登記官は28条により職権で滅失の登記をすることができる。法が職権による登記に際して定めているのは、催告とその期間の経過ではなく、同法29条1項の調査(登記官は、職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる)である。催告を前置し、その期間内に申請がないときに限って職権で登記をすることができるという限定は、法律上の要件とはされていない。「相当の期間を定めて申請すべき旨を催告し、その期間内に申請がないときに限り」とする点が誤りである。
オは正しい。不動産登記規則144条1項は「登記官は、建物の滅失の登記をするときは、当該建物の登記記録の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない」と定めている。当該建物を目的として存していた抵当権その他の権利に関する登記も、当該建物の登記記録が閉鎖されることにより公示の対象から外れることになり、これらを個別に抹消する登記の申請があらかじめ求められているわけではない。もっとも、滅失した建物が他の不動産と共に所有権以外の権利の目的であったときは、同規則144条2項が準用する同規則110条により、登記官が当該他の不動産の登記記録又は共同担保目録に所要の記録をすべきものとされており、権利に関する登記についての処理が何も予定されていないというわけではない。
以上より、誤っているものはウ・エの2つである。57条の滅失の登記そのものは土地の滅失の登記(42条)と並行する簡明な規律であるが、附属建物のみの滅失(イ)、職権登記に催告を要しないこと(エ)、滅失の登記に伴う登記記録の閉鎖(オ)という周辺の規律まで押さえておくと、建物の消滅という一つの事実が登記記録全体にどう波及するかを立体的に理解できる。
問題:
土地家屋調査士の登録に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士となる資格を有する者が土地家屋調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会に備える土地家屋調査士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する土地家屋調査士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければならない。
イ. 日本土地家屋調査士会連合会は、登録の申請をした者が心身の故障により土地家屋調査士の業務を行うことができないと認めたときは、その登録を拒否しなければならない。
ウ. 破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得た後であっても、その後一定期間を経過するまでは、土地家屋調査士の登録を受けることができない。
エ. 土地家屋調査士の業務の禁止の処分を受けた者は、その処分を受けた後、いかなる期間を経過しても、土地家屋調査士の登録を受けることができない。
オ. 日本土地家屋調査士会連合会は、登録を拒否しようとするときは、その事由のいかんを問わず、あらかじめ当該申請者にその旨及びその理由を通知し、弁明の機会を与えなければならない。
答え:
誤っているものは、ウ・エ・オの3つである。
解説:
土地家屋調査士名簿への登録事項は土地家屋調査士法8条1項に、登録の欠格事由は同法5条に、登録の拒否事由及び弁明の機会は同法10条に、それぞれ規定されている。
アは正しい。同法8条1項は、土地家屋調査士名簿の登録事項として、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する土地家屋調査士会その他法務省令で定める事項を掲げている。調査士会を経由して連合会に登録申請書を提出するという登録の申請手続を定める9条とは条文の役割が異なり、8条1項は名簿に登録すべき事項そのものを定める規定である。
イは正しい。同法10条1項は、登録の申請をした者が調査士となる資格を有せず、又は同項各号のいずれかに該当すると認めたときは、連合会はその登録を拒否しなければならないと定めており、その2号に「心身の故障により調査士の業務を行うことができないとき」が掲げられている。なお、2号又は3号に該当することを理由に登録を拒否しようとするときは、登録審査会の議決に基づいてしなければならない(同項後段)。もっとも、この事由は5条各号が列挙する欠格事由(拘禁刑以上の刑に処せられ執行を終わり又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者、未成年者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、公務員であって懲戒免職の処分を受けその処分の日から3年を経過しない者、42条の規定による業務の禁止の処分を受けその処分の日から3年を経過しない者、測量法・建築士法・司法書士法の規定による登録の抹消・免許の取消し・業務の禁止の処分を受けその処分の日から3年を経過しない者)には含まれていない。欠格事由に該当する者が調査士となる資格を有しない者として一律に排除されるのに対し、心身の故障は10条1項2号の拒否事由として、連合会の認定を介して登録が拒否される点で位置づけが異なる。
ウは誤りである。同法5条3号は、欠格事由として「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を掲げているにとどまる。復権を得た時点で、この欠格事由に該当しなくなる。復権後にさらに一定期間の経過を要するという待機期間の定めは置かれていない。「復権を得た後であっても……一定期間を経過するまでは……できない」とする点が誤りである。
エは誤りである。同法5条5号は、欠格事由として、42条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者を掲げているにとどまる。業務の禁止の処分を受けた後3年を経過すれば、この欠格事由に該当しなくなる。「いかなる期間を経過しても……登録を受けることができない」とする点が誤りである。
オは誤りである。同法10条2項が定める弁明の機会は、連合会が10条1項2号又は3号に該当することを理由として登録を拒否しようとするときに限定されており、登録拒否事由一般に及ぶものではない。同項1号(52条1項の規定による入会の手続をとらないとき)に該当することを理由とする場合や、そもそも調査士となる資格を有しないことを理由とする場合には、この規定による弁明の機会の付与は求められていない。「その事由のいかんを問わず」とする点が誤りである。なお、条文の文言は「あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない」というものであり、理由の通知までを明文で求めるものではない。
以上より、誤っているものはウ・エ・オの3つである。8条1項の登録事項、5条の欠格事由、10条1項の拒否事由、10条2項の弁明の機会という一連の規定はそれぞれ役割の異なる条文に分かれて置かれており、「登録できない」という結論だけを見て根拠条文や要件の限定を混同しないようにしたい。
問題:
隣地使用権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者は、境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕のため必要な範囲内で、隣地を使用することができるが、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
イ. 境界標の調査又は境界に関する測量のために隣地を使用することは、隣地使用権の目的として掲げられていないから、これらの目的のために隣地の所有者の承諾なく隣地に立ち入ることはできない。
ウ. 隣地を使用する場合における使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
エ. 隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地を現に使用している者に通知しなければならないが、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく通知することをもって足りる。
オ. 隣地の使用によって隣地の所有者又は隣地を現に使用している者が損害を受けたときであっても、当該使用が隣地使用権の要件を満たすものである以上、これらの者は償金を請求することができない。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
隣地使用権は民法209条に規定されている。令和3年法律第24号による改正で、使用の目的・場所及び方法・通知・償金請求の各要件が明文化された。
アは正しい。同条1項は「土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない」と定め、1号に「境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕」を掲げている。住家への立入りについてのみ居住者の承諾を要するとする書き分けは、条文の文言どおりである。
イは誤りである。同条1項2号は「境界標の調査又は境界に関する測量」を、1号の工作物の築造等と並ぶ隣地使用権の目的として明文で掲げている。土地家屋調査士が業務上行う境界標の調査や境界確定のための測量は、まさにこの2号が予定する場面である。「目的として掲げられていない」とする点が誤りである。
ウは正しい。同条2項は「前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者……のために損害が最も少ないものを選ばなければならない」と定めている。
エは正しい。同条3項は「第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる」と定めている。事前通知が原則でありながら、困難な場合には事後の遅滞ない通知で足りるとする例外が置かれている点が条文の特徴である。
オは誤りである。同条4項は「第一項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる」と定めている。適法な隣地使用権の行使であっても、それによって現実に生じた損害の調整は別途図られるのであって、償金請求が一律に排除されるわけではない。「償金を請求することができない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはイ・オの2つである。209条は、使用の目的(1項各号)、場所及び方法の選定基準(2項)、通知義務とその例外(3項)、償金請求権(4項)という4層で構成されており、同じく令和3年改正で新設された213条の2(継続的給付を受けるための設備の設置権等)と並べて読むと、条文の組み立て方の共通性が見えてくる。
問題:
測量業者の登録に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 測量業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならず、登録を受けないで測量業を営んだ者は、罰則の対象となる。
イ. 測量業者としての登録の有効期間は、五年とする。
ウ. 登録の有効期間の満了後引き続き測量業を営もうとする者は、更新の登録を受ける必要はなく、当初の登録がそのまま効力を有する。
エ. 測量業者の登録は、国土地理院の長が行う。
オ. 測量業者は、商号又は名称、営業所の名称及び所在地など登録申請書に記載した一定の事項に変更があったときは、遅滞なく、国土交通大臣に変更登録の申請をしなければならない。
答え:
誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説:
測量業者の登録は測量法55条に規定されている。
アは正しい。同法55条1項は「測量業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならない」と定めており、登録の実施は国土交通大臣が行う(同法55条の5第1項)。また、同法55条の14は、登録を受けない者は測量業を営むことができない旨を定め、これに違反して登録を受けないで測量業を営んだ者には罰則が置かれている(同法61条の2第1号)。
イは正しい。同法55条2項は「前項の登録の有効期間は、五年とする」と定めている。建設業の許可や宅地建物取引業の免許など、他の営業許可・登録制度と同様に、一定期間ごとの更新を予定する仕組みが採られている。
ウは誤りである。同法55条3項は「第一項の登録の有効期間の満了後引き続き測量業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない」と定めている。更新の登録を受けなければ、有効期間の満了により登録の効力は失われる。「更新の登録を受ける必要はなく、当初の登録がそのまま効力を有する」とする点が誤りである。
エは誤りである。アで確認したとおり、測量業者の登録を行うのは国土交通大臣であって、国土地理院の長ではない。国土地理院の長の権限とされているのは、基本測量の測量標の保全(測量法22条)や測量成果の使用の承認(同法30条)など、基本測量に関する事務であり、測量業者としての登録という営業規制の側面は国土交通大臣が所管している。「国土地理院の長が行う」とする点が誤りである。
オは正しい。同法55条の7第1項は、測量業者は、商号又は名称、営業所の名称及び所在地、法人の資本金又は出資の額及び役員の氏名、個人の氏名(同法55条の2第1号から第4号までに掲げる事項)又は主として請け負う測量の種類について変更があったときは、遅滞なく、国土交通大臣に変更登録の申請をしなければならないと定めている。「届出」ではなく「変更登録の申請」という形が採られている点が特徴であり、この申請をせず、又は虚偽の申請をした者には罰則が置かれている(同法63条の2第5号)。
以上より、誤っているものはウ・エの2つである。測量業者の登録(国土交通大臣が所管する営業規制)と、基本測量の測量標・測量成果に関する国土地理院の長の権限(測量法22条・26条・29条・30条等)とは、いずれも同じ測量法に置かれながら所管が異なる点を、条文を読むたびに確認しておきたい。
問題:
分筆及び合筆の登記における登記官の職権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
イ. 地目について変更があったときに表題部所有者又は所有権の登記名義人が負うのは、不動産登記法37条1項の地目に関する変更の登記の申請義務であり、分筆又は合筆の登記の申請そのものを義務付ける規定は同法に置かれていない。
ウ. 登記官は、分筆又は合筆の登記の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をすることができる。
エ. 登記官は、地図又は建物所在図を作成するため必要があると認めるときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。
オ. 登記官が第14条第1項の地図を作成するため職権で分筆又は合筆の登記をするには、あらかじめ、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人の同意を得なければならない。
答え:
誤っているものは、ウ・エ・オの3つである。
解説:
分筆及び合筆の登記における申請適格及び登記官の職権は不動産登記法39条に規定されている。
アは正しい。同条1項は「分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定めている。同項は、分筆又は合筆の登記を申請することができる者を表題部所有者又は所有権の登記名義人に限定する、申請適格についての規定である。
イは正しい。同法37条1項は「地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない」と定めている。義務付けられているのは、あくまで地目又は地積に関する変更の登記の申請であって、分筆又は合筆の登記の申請そのものを義務付ける規定は不動産登記法に置かれていない。39条1項も「誰が申請することができるか」という申請適格を定めるにとどまり、「申請しなければならない」という義務を定める規定ではない。もっとも、一筆の土地の一部だけが別の地目となった場合は、その土地を分筆しなければ現況に沿った公示ができない。この場面について不動産登記法は39条2項を置き、同条1項の申請がないときであっても、登記官が職権でその土地の分筆の登記をしなければならないものとしている。分筆の登記の申請義務が置かれていないことによって生じうる公示の欠落は、この職権の規定によって埋められることになる。
ウは誤りである。同条2項は「登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない」と定めている。一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったという事実が生じた以上、分筆の登記の申請がされない場合に登記官が分筆の登記をするかどうかは裁量に委ねられておらず、職権ですることが義務付けられている。「職権で……分筆の登記をすることができる」とする点が誤りである。
エは誤りである。同条3項は、登記官が職権で分筆又は合筆の登記をすることができる場合を「第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるとき」と特定して定めており、職権発動の事由をこれに限る趣旨の規定である。建物所在図を作成するためという事由は掲げられていない。「地図又は建物所在図を作成するため」とする点が誤りである。
オは誤りである。エでみた39条3項は、地図を作成するため職権で分筆又は合筆の登記をすることができる要件として、表題部所有者又は所有権の登記名義人の「異議がないとき」に限る旨を定めているにとどまり、あらかじめ同意を得ることを要件としていない。異議がないことは、積極的に同意の意思表示を得ることまでは求めない消極的な要件であり、両者は要件の重さが異なる。「あらかじめ……同意を得なければならない」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはウ・エ・オの3つである。39条は、1項で分筆又は合筆の登記の申請適格を、2項で一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったことを事由とする登記官の職権義務を、3項で第14条第1項の地図の作成を事由とする登記官の裁量的な職権(異議がないときに限る)を、それぞれ定めている。37条1項が定めるのは地目又は地積に関する変更の登記の申請義務であって、分筆又は合筆の登記の申請義務を定める規定ではない点も含め、39条の各項と混同しないようにしたい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 建物の滅失の登記の申請義務、附属建物のみが滅失した場合の変更の登記との区別、過料の金額、職権登記に催告を要しないこと、滅失の登記に伴う登記記録の閉鎖と共同担保の場合の処理 | 不動産登記法57条、51条、28条、29条1項、164条1項(44条1項5号、不動産登記規則81条・144条1項・2項、110条) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 土地家屋調査士名簿の登録事項、登録の欠格事由(破産者の復権、業務禁止処分後の期間経過)、心身の故障による登録拒否事由と欠格事由の違い、登録拒否に当たっての弁明の機会の限定範囲 | 土地家屋調査士法8条1項、5条、10条1項・2項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 隣地使用権の目的(工作物の築造等、境界標の調査・境界測量)、使用の場所及び方法の選定基準、通知義務とその例外、償金請求権 | 民法209条1項1号・2号、2項、3項、4項(令和3年法律第24号) |
| 第4問 | 測量法 | 測量業者の登録の主体(国土交通大臣)、登録の有効期間及び更新、登録事項の変更登録の申請、無登録営業の禁止と罰則、国土地理院の長の権限(基本測量関連)との所管の違い | 測量法55条1項・2項・3項、55条の5第1項、55条の7第1項、55条の14、61条の2第1号(22条、26条、29条、30条との対比) |
| 第5問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 分筆又は合筆の登記の申請適格、一筆の土地の一部が別の地目となり又は地番区域を異にするに至ったことを事由とする登記官の職権義務、地図の作成を事由とする職権(異議がないときに限る)と37条1項の地目又は地積に関する変更の登記の申請義務との区別 | 不動産登記法39条1項・2項・3項(37条1項) |