問題:

土地の滅失の登記及び河川区域内の土地の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない。

イ. 河川法6条1項の河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項は、不動産登記法27条各号及び34条1項各号に掲げるもののほか、当該河川区域内の土地である旨とされている。

ウ. 土地の全部又は一部が河川法6条1項の河川区域内の土地となったときは、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、遅滞なく、その旨の登記を申請しなければならない。

エ. 土地の一部が河川法6条1項の河川区域内の土地となった場合において、河川管理者がその旨の登記を嘱託するときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができる。

オ. 河川法6条1項の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

アは正しい。不動産登記法42条は「土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない」と定める。建物の滅失の登記について同法57条が置く規律と同じ構造である。この申請義務の懈怠については、同法164条1項が36条・37条1項2項・42条・47条1項等と並べて42条を掲げており、正当な理由がないのに申請を怠ったときは10万円以下の過料に処するものとされている。

イは正しい。同法43条1項は、河川法6条1項の河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項を「第二十七条各号及び第三十四条第一項各号に掲げるもののほか、第一号に掲げる土地である旨及び第二号から第五号までに掲げる土地にあってはそれぞれその旨」と定める。1号が河川法6条1項の河川区域内の土地であり、2号が同条2項の高規格堤防特別区域内の土地、3号が同条3項の樹林帯区域内の土地、4号が河川法26条4項の特定樹林帯区域内の土地、5号が同法58条の2第2項の河川立体区域内の土地である。区域の種類ごとに5つの類型が並べられている点は、条文を一度は通しで読んでおきたいところである。

ウは誤りである。この登記を動かすのは河川管理者であり、当事者ではない。同法43条2項は「土地の全部又は一部が前項第一号の河川区域内又は同項第二号の高規格堤防特別区域内、同項第三号の樹林帯区域内、同項第四号の特定樹林帯区域内若しくは同項第五号の河川立体区域内の土地となったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記を登記所に嘱託しなければならない」と定める。表題部所有者又は所有権の登記名義人に申請義務を課す規定ではなく、河川管理者に嘱託義務を課す規定である。反対に、河川区域内の土地でなくなったときは、同条3項により河川管理者がその旨の登記の抹消を嘱託しなければならない。

エは正しい。同法43条4項は「土地の一部について前二項の規定により登記の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができる」と定める。河川区域に入るのが土地の一部であるときは、その部分を独立の一筆としなければ「その旨」を登記記録に的確に反映できない。そこで、分筆の登記を当事者に代わって嘱託する道が開かれている。「しなければならない」ではなく「することができる」と定められている点も条文どおり押さえておきたい。

オは誤りである。全部滅失と一部滅失とで嘱託すべき登記が書き分けられている。同法43条5項は「第一項各号の河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない」と定め、同条6項は「第一項各号の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の地積に関する変更の登記を登記所に嘱託しなければならない」と定める。一部が滅失したにとどまる場合は土地そのものが消滅したわけではないから、滅失の登記ではなく地積に関する変更の登記が嘱託の対象となる。5項と6項を入れ替えた肢は作りやすいので、条文の対応関係で覚えておきたい。


問題:

土地家屋調査士及び土地家屋調査士法人が業務を行い得ない事件に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士は、公務員として職務上取り扱った事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件については、その業務を行ってはならない。この制限は、筆界特定手続代理関係業務や民間紛争解決手続代理関係業務に限られず、土地家屋調査士の業務全般に及ぶ。

イ. 土地家屋調査士は、筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合であっても、筆界特定手続代理関係業務を行ってはならない。

ウ. 土地家屋調査士法人は、その使用人が相手方から筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合に限り、筆界特定手続代理関係業務を行うことができる。

エ. 土地家屋調査士法人の使用人である土地家屋調査士は、当該法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件については、自らその事件に関与していない場合であっても、筆界特定手続代理関係業務を行ってはならない。

オ. 土地家屋調査士法人が筆界特定手続代理関係業務を行ってはならない事件には、社員の三分の一以上の者が土地家屋調査士法22条の2の規定により筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務を行ってはならないこととされる事件が含まれる。

答え:

正しいものは、ア・イ・エの3つである。

解説:

この分野は、条文が「誰について」「どの業務について」「同意による解除があるかどうか」を三重に書き分けているところに難しさがある。まず前提として、土地家屋調査士法22条の2第2項は、同法3条1項4号から6号(4号及び5号に関する部分に限る。)までに規定する業務を「筆界特定手続代理関係業務」と定義し、同法3条2項は同条1項7号及び8号に規定する業務を「民間紛争解決手続代理関係業務」と定義している。制限の及ぶ範囲は、条文ごとにこのいずれかに絞られている場合と、業務全般に及ぶ場合とがある。

アは正しい。同法22条の2第1項は「調査士は、公務員として職務上取り扱つた事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件については、その業務を行つてはならない」と定める。ここでは業務の種類が限定されておらず、「その業務」とあるだけである。これに対して同条2項は「筆界特定手続代理関係業務を行つてはならない」、同条3項は「民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならない」と、いずれも業務を特定して定めている。1項だけが業務の種類を限定していないという書き分けが、この条文の骨格である。

イは正しい。同条2項は、本文で列挙する事件について筆界特定手続代理関係業務を行ってはならないとしたうえで、ただし書で「第三号及び第七号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない」と定める。同意による解除が認められるのは3号(受任している事件の相手方からの依頼による他の事件)と7号(法人の使用人である場合に、当該法人が受任している事件で自ら関与しているものの相手方からの依頼による他の事件)に限られる。イが挙げるのは1号(相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件)であるから、依頼者の同意があっても制限は解除されない。

ウは誤りである。同法36条の3第1項も、ただし書で同意による解除を認めるのは3号に掲げる事件だけである。ウが挙げるのは同項4号(使用人が相手方から筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件)であり、ただし書の対象に含まれていない。したがって、依頼者が同意しても法人は当該業務を行うことができない。22条の2第2項でも36条の3第1項でも、同意による解除の対象がどの号かを条文で確かめる習慣を付けておきたい。

エは正しい。同法22条の2第2項6号は「調査士法人の使用人である場合に、当該調査士法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件」を掲げており、当該調査士自身の関与を要件としていない。これに対して同項7号は「当該調査士が自ら関与しているものに限る」との限定を明文で付している。6号には限定がなく7号には限定がある、という差が正誤の分かれ目になる。同項4号・5号も「自らこれに関与したもの」という限定を置いており、限定の有無は号ごとに確認する必要がある。

オは誤りである。割合が条文と異なる。同法36条の3第1項5号は「第二十二条の二第一項に規定する事件、同条第二項第一号から第五号までに掲げる事件又は同条第三項に規定する同条第二項第一号から第五号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならないこととされる事件」と定めており、「三分の一以上」ではなく「半数以上」である。なお、民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする法人について定める同条2項2号では、同じ「半数以上」の基準が「特定社員」について用いられている。社員一般を基準とするか特定社員を基準とするかの書き分けも合わせて押さえておきたい。


問題:

所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 所有者不明土地管理命令により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地等の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。

イ. 管理不全土地管理命令により管理不全土地管理人が選任された場合には、管理不全土地等の管理及び処分をする権限は管理不全土地管理人に専属し、その土地の所有者は管理及び処分をする権限を失う。

ウ. 所有者不明土地管理人が、保存行為及び所有者不明土地等の性質を変えない範囲内においてその利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならず、この許可がないことは、善意でかつ過失がない第三者に対しても対抗することができる。

エ. 管理不全土地管理人が管理不全土地管理命令の対象とされた土地を処分することについて裁判所の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。

オ. 所有者不明建物管理命令の効力は、当該命令の対象とされた建物にある動産(当該建物の所有者が所有するものに限る。)には及ぶが、当該建物を所有するための建物の敷地に関する賃借権には及ばない。

答え:

誤っているものは、イ・ウ・オの3つである。

解説:

令和3年法律第24号による改正で新設され、令和5年4月1日から施行されている二つの管理命令は、名称も条文の並びも似ているが、権限の性質・第三者の保護要件・所有者の同意の要否のいずれもが書き分けられている。対比して読むのが近道である。

アは正しい。民法264条の3第1項は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分、命令の効力が及ぶ動産、及びその管理・処分その他の事由により管理人が得た財産(同項が「所有者不明土地等」と定義する。)について、「管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する」と定める。所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないことを要件とする制度であり(同法264条の2第1項)、管理処分権を管理人に集中させる建て付けが採られている。

イは誤りである。管理不全土地管理人の権限は専属しない。民法264条の10第1項は、管理不全土地等について管理不全土地管理人が「管理及び処分をする権限を有する」と定めるにとどまり、「専属する」とはしていない。管理不全土地管理命令は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合に発せられるものである(民法264条の9第1項)。所有者不明土地管理命令と異なり、所有者を知ることができないこと又はその所在を知ることができないことは要件とされておらず、所有者が判明している場合が典型である。もっとも、権限が専属しないという点は、条文に「専属する」という文言が置かれていないことから導かれる整理であり、正誤の判断自体は文言の違いで足りる。所有者の関与を前提とする明文としては、管理不全土地管理人は「管理不全土地等の所有者のために」善良な管理者の注意をもってその権限を行使しなければならないとする同法264条の11第1項や、土地の処分について裁判所が許可をするには所有者の同意がなければならないとする同法264条の10第3項(エ参照)がある。管理処分権が管理人に「専属する」と定める264条の3第1項とは、条文の組み立てが異なる。

ウは誤りである。対抗できるかどうかが条文と逆であり、第三者の保護要件も取り違えている。民法264条の3第2項は、保存行為及び所有者不明土地等の性質を変えない範囲内においてその利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為には裁判所の許可を要するとしたうえで、ただし書で「この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない」と定める。したがって対抗することはできない。加えて、ここでの保護要件は「善意」である。これに対して管理不全土地管理人について定める民法264条の10第2項ただし書は「善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない」としており、無過失まで要求している。所有者不明の場面では善意で足り、管理不全の場面では善意無過失を要するという書き分けである。

エは正しい。民法264条の10第3項は「管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない」と定める。イで見たとおり、管理不全土地管理命令では所有者が判明している場合が典型であり、所有者の同意を求めることができる場面である。これに対して、所有者不明土地管理人については、処分の許可に所有者の同意を要するとの規定は置かれていない。所有者不明土地管理命令は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地を対象とする制度である(同法264条の2第1項)。同意に関する規定が管理不全土地管理人の側にだけ置かれていることを、条文の位置で押さえておきたい。

オは誤りである。敷地に関する権利にも効力が及ぶ。民法264条の8第2項は、所有者不明建物管理命令の効力が、対象建物にある動産のほか「当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)」に及ぶと定める。建物の管理には、その建物を所有するための敷地の利用権限が関わる場面がある。かっこ書で所有権が除かれている点にも注意したい。敷地の所有権まで対象としたいときは、その土地について別に所有者不明土地管理命令を求めることになる。なお、所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ範囲を定める民法264条の2第2項には、動産についての定めはあるが、これに対応する敷地の権利の定めは置かれていない。


問題:

登記の申請の却下及び取下げに関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 登記官は、申請に係る登記が既に登記されているときは、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。

イ. 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が不動産登記法29条の規定による登記官の調査の結果と合致しないときであっても、登記官は、これを理由として当該申請を却下することはできない。

ウ. 登記官は、申請を却下するときは、決定書を作成してこれを交付するものとされており、代理人によって申請がされた場合であっても、申請人本人に対して交付しなければならない。

エ. 申請の取下げは、登記が完了した後は、することができない。

オ. 登記官の処分に不服がある者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができ、この審査請求は、登記官を経由してしなければならない。

答え:

正しいものは、ア・エ・オの3つである。

解説:

アは正しい。不動産登記法25条柱書は「登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない」と定め、ただし書で「当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない」とする。同条3号が「申請に係る登記が既に登記されているとき」であり、却下事由として明記されている。なお、補正の期間は法定されているのではなく「登記官が定めた相当の期間」とされている点も、条文どおり確認しておきたい。

イは誤りである。表示に関する登記に固有の却下事由が置かれている。同法25条11号は「表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき」を却下事由として掲げる。同法29条1項は、登記官は、表示に関する登記について18条の規定により申請があった場合及び28条の規定により職権で登記しようとする場合において、「必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる」と定めるものであり、この調査の結果と申請内容とが食い違うときは却下の対象となる。同条2項は、この調査に際して日出から日没までの間に限り不動産を検査し、又は関係者に対し文書等の提示を求め、若しくは質問をすることができるとしたうえで、登記官はその身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときはこれを提示しなければならないと定めている。表示に関する登記に固有の却下事由が置かれているのは、こうした調査が予定されていることに対応する。

ウは誤りである。代理人への交付で足りる。不動産登記規則38条1項は「登記官は、申請を却下するときは、決定書を作成して、これを申請人ごとに交付するものとする。ただし、代理人によって申請がされた場合は、当該代理人に交付すれば足りる」と定める。同条2項は、この交付を決定書の送付による方法ですることができるとし、同条3項は、書面申請がされた場合に申請を却下したときは添付書面を還付するものとしたうえで、ただし書で「偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面については、この限りでない」としている。

エは正しい。不動産登記規則39条2項は「申請の取下げは、登記完了後は、することができない」と定める。取下げの方法は同条1項が申請の区分に応じて定めており、電子申請では法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法、書面申請では取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法による。同条3項は、書面申請で取下げがされたときは申請書及びその添付書面を還付するものとし、38条3項ただし書を準用している。却下の場合に還付されるのが添付書面であるのに対し、取下げの場合は申請書も還付の対象となる点が異なる。

オは正しい。不動産登記法156条1項は「登記官の処分に不服がある者又は登記官の不作為に係る処分を申請した者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる」と定め、同条2項は「審査請求は、登記官を経由してしなければならない」と定める。審査請求の相手方は登記官本人ではなく監督する法務局又は地方法務局の長であり、他方で提出の経路は登記官を経由するという二段構えである。同法157条1項は、登記官が審査請求を理由があると認めるときは相当の処分をしなければならないとし、同条2項は、それ以外の場合には審査請求の日から3日以内に意見を付して事件を法務局又は地方法務局の長に送付しなければならないと定める。「3日以内」という短い期間も出題されやすい数字である。


問題:

国土調査法に基づく地籍調査及びその成果と登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 国土調査法にいう「地籍調査」とは、毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成することをいう。

イ. 国土調査以外の測量及び調査を行った者が、その結果作成された地図及び簿冊について国土調査の成果としての認証を申請した場合において、国土交通大臣又は事業所管大臣は、これらが認証を受けた国土調査の成果と同等以上の精度又は正確さを有すると認めたときは、これらを認証された国土調査の成果と同一の効果があるものとして指定することができる。

ウ. 地籍調査の成果が認証され、その写しが登記所に送付された場合であっても、登記所は、その写しに基づいて土地の表示に関する登記をすることはできず、表題部所有者又は所有権の登記名義人からの申請を待たなければならない。

エ. 地方公共団体又は土地改良区等は、地籍調査を行うために土地の分割又は合併があったものとして調査を行う必要がある場合において、当該土地の所有者がこれに同意するときは、分割又は合併があったものとして調査を行うことができる。

オ. 地方公共団体又は土地改良区等は、土地の分割があったものとして調査を行う場合において必要があるときは、当該土地の登記簿の表題部に所有者として記録された者若しくは所有権の登記名義人又はその相続人に代わり、所有権の保存の登記を申請することができる。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

アは正しい。国土調査法2条5項は「第一項第三号の『地籍調査』とは、毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成することをいう」と定める。同条1項は国土調査を基本調査・土地分類調査・水調査・地籍調査の枠組みで整理しており、同条2項が基本調査、3項が土地分類調査、4項が水調査をそれぞれ定義している。地籍調査だけを覚えるのではなく、国土調査という上位概念の中での位置づけとして押さえておきたい。

イは正しい。同法19条5項が定めるいわゆる指定の制度である。同項は、国土調査以外の測量及び調査を行った者が政令で定める手続により国土調査の成果としての認証を申請した場合において、国土交通大臣又は事業所管大臣がこれらの地図及び簿冊が同条2項の規定により認証を受けた国土調査の成果と同等以上の精度又は正確さを有すると認めたときは、これらを認証された国土調査の成果と同一の効果があるものとして指定することができると定める。同条6項は、国土調査を行う者が、測量及び調査を行った者の同意を得て、その者に代わってこの申請を行うことができるとしている。同条7項により事業所管大臣が指定をするには国土交通大臣の承認が必要であり、同条8項により指定をしたときは公告及び関係都道府県知事への通知が必要である。

ウは誤りである。申請を待つのではなく、送付された成果の写しに基づいて登記がされる。同法20条1項は、国土交通大臣、事業所管大臣又は都道府県知事が19条2項の認証をした場合又は同条5項の指定をした場合には、地籍調査にあっては当該調査に係る土地の登記の事務をつかさどる登記所に、その他の国土調査にあっては政令で定める台帳を備える者に、それぞれ国土調査の成果の写しを送付しなければならないと定める。そして同条2項は、登記所又は台帳を備える者は、政令で定めるところにより、送付された成果の写しに基づいて、土地の表示に関する登記及び所有権の登記名義人の氏名若しくは名称若しくは住所についての変更の登記若しくは更正の登記をし、又は台帳の記載を改めなければならないと定める。さらに同条3項は、地籍調査が32条の規定により行われたときは、登記所はその写しに基づいて分筆又は合筆の登記をしなければならないとしている。

エは正しい。同法32条は、地方公共団体(10条2項の規定により地籍調査の実施を委託された法人が実施する場合には当該法人)又は土地改良区等が、指定を受け又は事業計画に基づいて地籍調査を行うために土地の分割又は合併があったものとして調査を行う必要がある場合において、「当該土地の所有者がこれに同意するときは、分割又は合併があつたものとして調査を行うことができる」と定める。所有者の同意が要件として明記されている点が重要であり、同意なしに行えるとする肢は誤りになる。

オは誤りである。代位登記が認められるのは合併があったものとして調査を行う場合であって、分割の場合ではない。同法32条の2第1項は「地方公共団体又は土地改良区等は、前条の規定により土地の合併があつたものとして調査を行う場合において必要があるときは、当該土地の登記簿の表題部に所有者として記録された者若しくは所有権の登記名義人又はその相続人に代わり土地の表題部若しくは所有権の登記名義人の氏名若しくは名称若しくは住所についての変更の登記若しくは更正の登記又は所有権の保存若しくは相続による移転の登記を申請することができる」と定める。32条が分割と合併の双方を対象としているのに対し、32条の2が合併の場合に限っている点が、この二つの条文の読み分けどころである。合筆の登記については、表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆や、所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆はすることができないとされており(不動産登記法41条3号・5号)、代位登記の対象が氏名等についての変更又は更正の登記と所有権の保存又は相続による移転の登記とされていることと重なる。もっとも、正誤の判断は、32条の2第1項が「合併があつたものとして調査を行う場合」と明記していることで足りる。同条2項は、この登記の手続に関し必要な事項を政令に委ねている。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 土地の滅失の登記の申請義務、河川区域内の土地の登記事項の5類型、河川管理者による嘱託と当事者の申請との区別、土地の一部が河川区域内となった場合の分筆の登記の嘱託、全部滅失と一部滅失で嘱託すべき登記の書き分け 不動産登記法42条、43条1項〜6項(27条各号、34条1項各号、57条、164条1項)
第2問 土地家屋調査士法 22条の2第1項が業務を限定していないこと、同意による解除が認められる号の範囲、法人の使用人である調査士について自ら関与したことを要件とする号としない号の違い、法人の制限における「社員の半数以上」の基準 土地家屋調査士法22条の2第1項〜3項、36条の3第1項各号・2項各号(3条1項4号〜8号、2項)
第3問 民法(所有者不明土地管理命令・管理不全土地管理命令) 管理処分権が専属するかどうかの違い、裁判所の許可を欠く場合の第三者の保護要件が善意か善意無過失か、管理不全土地の処分の許可における所有者の同意、所有者不明建物管理命令の効力が敷地に関する権利に及ぶこと 民法264条の2第1項・2項、264条の3第1項・2項、264条の8第2項、264条の9第1項、264条の10第1項〜3項、264条の11第1項(令和3年法律第24号)
第4問 不動産登記法(申請の却下・取下げ・審査請求) 25条の却下事由と補正、表示に関する登記に固有の却下事由(29条の調査の結果との不一致)、却下決定書の交付先、登記完了後の取下げの可否と還付の対象の違い、審査請求の相手方と経由 不動産登記法25条柱書・3号・11号、29条1項、156条1項・2項、157条1項・2項、不動産登記規則38条1項〜3項、39条1項〜3項
第5問 国土調査法(地図関連制度) 地籍調査の定義、国土調査以外の測量及び調査の成果の指定、成果の写しの送付と登記所の職責、分割又は合併があったものとして行う地籍調査における所有者の同意、代位登記が合併の場合に限られること 国土調査法2条1項・5項、19条2項・5項〜8項、20条1項〜3項、32条、32条の2第1項・2項(不動産登記法41条3号・5号)