問題:
建物の表題登記の申請に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
イ. 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することはできず、自己を表題部所有者とする新たな表題登記を申請しなければならない。
ウ. 建物の所有者が正当な理由がないのに表題登記の申請を怠ったときであっても、当該建物が滅失するまでは過料に処せられることはない。
エ. 表題登記がない建物について、これを申請すべき者がその申請をしない場合であっても、登記官は、職権で表題登記をすることができる。
オ. 建物の表題登記の申請は、当該建物の所在地を管轄する登記所にしなければならない。
答え:
正しいものは、ア・エ・オの3つである。
解説:
アは正しい。不動産登記法47条1項は、「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」と定める。表題登記の申請義務は、所有権を取得した日を起算点とする一月以内の期間制限に服する。
イは誤りである。不動産登記法47条2項は、「区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる」と定める。相続人その他の一般承継人は、被承継人を表題部所有者とする表題登記を申請することができるのであって、自己を表題部所有者とする新たな表題登記を申請しなければならないわけではない。
ウは誤りである。不動産登記法164条1項は、47条1項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定めている。過料の対象となるかどうかは申請義務の懈怠そのものによって定まり、建物が滅失したかどうかによって左右されない。
エは正しい。不動産登記法28条は、「表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる」と定める。表題登記は表示に関する登記の一つであるから、これを申請すべき者が申請をしない場合であっても、登記官は職権で表題登記をすることができる。
オは正しい。土地又は建物に関する登記の事務は、その不動産の所在地を管轄する登記所が行うのが原則である(不動産登記法6条1項)。登記の事務を担当する登記所がこのように定まる以上、表題登記の申請も、当該建物の所在地を管轄する登記所に対してすることになる。
問題:
土地家屋調査士の業務範囲に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量を行うことを業とすることができる。
イ. 土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続についての代理は、法務大臣が指定する研修課程を修了し、かつ、当該手続についての代理を行うのに必要な能力を有する旨の法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士に限り、業とすることができる。
ウ. 認定を受けた土地家屋調査士は、民間紛争解決手続代理関係業務について、弁護士が関与していない事件であっても、単独でこれを代理することができる。
エ. 不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理は、土地家屋調査士法3条1項に掲げる土地家屋調査士の業務に含まれない。
オ. 土地家屋調査士は、筆界特定の手続についての代理を業とすることができるが、これを行うには、民間紛争解決手続代理関係業務と同様に、法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士であることを要する。
答え:
正しいものは、ア・イの2つである。
解説:
アは正しい。土地家屋調査士法3条1項1号は、土地家屋調査士の業務として「不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量」を掲げている。
イは正しい。同法3条1項7号は、土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続であって法務大臣が指定する団体が行うものについての代理を業務として掲げる。同条2項は、この業務について、民間紛争解決手続代理関係業務についての研修(法務省令で定める法人が実施する研修であって法務大臣が指定するもの)の課程を修了した者であること、当該業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した者であること、土地家屋調査士会の会員であることのいずれにも該当する土地家屋調査士に限り、行うことができると定めている。
ウは誤りである。同条2項後段は、「この場合において、同項第七号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる」と定めている。民間紛争解決手続についての代理(同条1項7号の業務)は、認定を受けているというだけで、弁護士の関与なく単独で行うことができるものではない。
エは誤りである。同法3条1項2号は、不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理を土地家屋調査士の業務として掲げている。申請手続の代理は3条1項に明記された業務である。
オは誤りである。同条2項が認定を要件として掲げるのは、同条1項7号及び8号の業務(民間紛争解決手続代理関係業務)であり、1項4号の筆界特定の手続についての代理はこれに含まれていない。筆界特定の手続についての代理は、法務大臣の認定を受けていない土地家屋調査士も行うことができる。
問題:
境界線付近の建築の制限に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
イ. 隣地の所有者は、アの規定に違反して建築をしようとする者があっても、その建築の中止又は変更を求めることはできず、当該建物が完成した後に損害賠償を請求することができるにとどまる。
ウ. 境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
エ. ウの距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
オ. 防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物についてその外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨の建築基準法上の特則が適用される場合、当該特則は民法234条1項の特則としての効力を有し、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなくても足りるとするのが判例の立場である。
答え:
正しいものは、ア・ウ・エ・オの4つである。
解説:
アは正しい。民法234条1項は、「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない」と定める。
イは誤りである。同条2項は、「前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる」と定める。建築に着手した時から一年を経過せず、かつ建物が完成する前であれば、中止又は変更の請求をすることができ、損害賠償請求のみに限られるものではない。
ウは正しい。民法235条1項は、「境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない」と定める。
エは正しい。同条2項は、「前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する」と定める。
オは正しい。最判平成元年9月19日民集43巻8号955頁は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることを認める建築基準法上の特則(現行の建築基準法63条)は民法234条1項の特則であり、これによるときは同項の規律が及ばないとする趣旨を示したものと解されている。もっとも、この判例が特則としての効力を認めたのは、防火地域又は準防火地域内にあり、かつ外壁が耐火構造である建築物についてであって、これらの要件を満たさない建築物については、なお民法234条1項により境界線から五十センチメートル以上の距離を保つ必要がある。建築基準法上の制限があることを理由に、民法234条1項の適用が一般に排除されるわけではない。なお、民法236条は、「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」と定めており、建築基準法上の特則とは別に、慣習によって前二条の規律が修正される余地もある。
問題:
測量法に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する。
イ. 測量士補は、自ら測量に関する計画を作製した上で、これに従い測量に従事することができる。
ウ. 測量業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならず、登録を受けない者は、測量業を営むことができない。
エ. 測量法において「基本測量」とは、国、都道府県又は市町村が費用の全部若しくは一部を負担し、又は補助して実施する測量のうち、基本測量の測量成果を使用して行う測量をいう。
オ. 測量法において「測量」とは、土地の測量をいい、地図の調製及び測量用写真の撮影を含むものとする。
答え:
正しいものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
アは正しい。測量法48条2項は、「測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する」と定める。
イは誤りである。同条3項は、「測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する」と定める。測量士補は測量士の作製した計画に従って測量に従事するものとされており、自ら計画を作製することは同項の予定するところではない。計画の作製を測量士の職責として定める同条2項と対比して押さえておきたい。
ウは正しい。測量法55条1項は、「測量業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならない」と定める。この登録の申請は国土交通大臣に対して登録申請書を提出して行い(同法55条の2)、登録は国土交通大臣が測量業者登録簿に行う(同法55条の5第1項)。登録を受けなければ、測量業を営むことはできない。
エは誤りである。これは「公共測量」の定義の要素を組み替えたものである。測量法5条は、「公共測量」とは、基本測量以外の測量で、その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施する測量(同条1号)と、基本測量又は同条1号の測量の測量成果を使用して一定の事業のために実施する測量で国土交通大臣が指定するもの(同条2号)をいうと定める(建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものは除かれる)。これに対し、同法4条は、「基本測量」を「すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう」と定めており、実施主体を国土地理院に限る点で公共測量とは異なる。本肢は、公共測量の定義に含まれる要素を基本測量の定義として述べている点で誤りである。
オは正しい。測量法3条は、「この法律において「測量」とは、土地の測量をいい、地図の調製及び測量用写真の撮影を含むものとする」と定める。
問題:
土地の表示に関する登記の登記事項に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 土地の表示に関する登記の登記事項には、地目及び地積が含まれる。
イ. 地目の認定は、専ら土地の現況のみによって定めるものとされ、土地の利用目的は考慮されない。
ウ. 一筆の土地の一部が数個の地目に該当する場合において、その差異が部分的にわずかなものにすぎないときは、土地全体としての状況を観察して地目を定める。
エ. 登記所は、法務省令で定めるところにより地番を付すべき区域を定め、一筆の土地ごとに地番を付さなければならない。
オ. 地目及び地積に関する登記に必要な事項は不動産登記法に直接規定されており、法務省令に委任されている事項はない。
答え:
正しいものは、ア・ウ・エの3つである。
解説:
アは正しい。不動産登記法34条1項は、土地の表示に関する登記の登記事項として、地目及び地積を掲げている。
イは誤りである。不動産登記事務取扱手続準則68条は、地目は、土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的にわずかな差異の存するときでも、土地全体としての状況を観察して定めるものとしている。現況のみによって定めるものではなく、利用目的も考慮される。
ウは正しい。同準則68条は、地目を「部分的にわずかな差異の存するときでも、土地全体としての状況を観察して定める」ものとしている。一筆の土地の一部が他の地目に該当する場合であっても、その差異が部分的にわずかなものにとどまるときは、土地全体としての状況から地目を定めることになる。現況の細部にとらわれず、土地全体としての状況から判断する点に特色がある。
エは正しい。不動産登記法35条は、「登記所は、法務省令で定めるところにより、地番を付すべき区域(第三十九条第二項及び第四十一条第二号において「地番区域」という。)を定め、一筆の土地ごとに地番を付さなければならない」と定める。
オは誤りである。不動産登記法34条2項は、「前項第三号の地目及び同項第四号の地積に関し必要な事項は、法務省令で定める」と定めており、地目及び地積に関し必要な事項は法務省令(不動産登記規則)に委任されている。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 建物の表題登記の申請義務、区分建物新築者の相続人による申請、申請懈怠と過料の関係、登記官の職権登記、管轄登記所の原則 | 不動産登記法6条1項、28条、47条1項・2項、164条1項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士の業務範囲(調査・測量、申請手続代理、筆界特定手続代理、民間紛争解決手続代理関係業務)、認定調査士の要件、弁護士との共同受任要件 | 土地家屋調査士法3条1項1号・2号・4号・7号、2項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 境界線付近の建築の制限(50センチメートル離隔義務)、違反建築物の中止・変更請求権とその期間制限、目隠し設置義務とその測定方法、建築基準法上の特則との関係 | 民法234条1項・2項、235条1項・2項、236条(最判平成元年9月19日民集43巻8号955頁、建築基準法63条) |
| 第4問 | 測量法 | 測量士・測量士補の権限の違い、測量業者登録制度、基本測量と公共測量の定義の区別、測量の定義 | 測量法3条、4条、5条、48条2項・3項、55条1項、55条の2、55条の5 |
| 第5問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 土地の表示に関する登記の登記事項(地目・地積)、地目認定の基準(現況及び利用目的・土地全体としての状況観察)、地番を付す義務、法務省令への委任 | 不動産登記法34条1項・2項、35条(不動産登記事務取扱手続準則68条) |