土地家屋調査士試験 試験対策 第172回──表見代理/共同抵当/相続回復請求権/表示に関する登記の通則と地番/建物の合体による登記等/筆界特定の申請/公共嘱託登記土地家屋調査士協会/建物図面及び各階平面図

問題: 表見代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例の趣旨に照らし誤っているものはいくつあるか。 ア. 夫婦の一方が民法761条に規定する日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合には、その代理権を基礎として一般的に民法110条の表見代理が成立するから、第三者がその行為について代理権があると信ずべき正当な理由を有するときは、他の一方は、その行為について責任を負う。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

家を買うときの登記費用の内訳──登録免許税の軽減・住宅用家屋証明書・実費と報酬の考え方

この記事の要点 家を買うときの登記費用は、大きく「登録免許税(国に納める税金)」「証明書の取得などの実費」「司法書士の報酬」の3つに分かれます 登録免許税は登記の種類ごとに別々にかかります。土地の名義変更・建物の名義の登記・住宅ローンの抵当権設定で、それぞれ税率が違います 自分が住む家で一定の要件を満たせば、建物と住宅ローンの登記の税率が軽くなる措置があり、その入場券が住宅用家屋証明書です。土地の売買にも別の軽減措置があります 軽減措置には適用期限があり、税制改正で変わることがあります。登記の時点の条文で確認するのが基本です 報酬は事務所ごとに決めるものなので、見積書で「何が含まれているか」を確かめましょう 家を買うときの登記費用は、「登記1件いくら」という決まった料金があるわけではありません。どんな登記をいくつするかによって積み上がる、足し算の費用です。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

相続登記の完了後に届くもの──登記識別情報通知・登記完了証・還付書類の保管と使いどころ

この記事の要点 相続登記が終わると、登記識別情報通知(いまの「権利証」にあたるもの)・登記完了証・原本還付を求めた書類(還付の対象になるもの)の原本が手元に戻ってくる いちばん大切なのは登記識別情報通知。相続した不動産を将来売る・担保に入れるときに使い、なくしても再発行されない 返ってきた戸籍や遺産分割協議書の原本は、預貯金など不動産以外の相続手続きで使うことがあるので、まとめて保管しておく 書類が届いたら、登記事項証明書で名義と持分が申請どおりになっているかを確かめておくと安心 登記識別情報をなくした・盗まれたかもしれないときは、代わりの本人確認の手続きや「失効の申出」という制度がある 相続登記の申請を終えて、しばらくすると法務局から書類が戻ってきます。結論から言うと、最優先で保管すべきは「登記識別情報通知」、次に、返ってきた戸籍や遺産分割協議書などの原本です。「登記完了証」は登記が終わったことのお知らせで、次の登記で提出する書類ではありません。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

成年後見の審判が出るまでの間、本人の財産はどう守る?──審判前の保全処分(財産の管理者の選任・後見命令)

この記事の要点 後見開始の申立てがあった後、審判が効力を生じるまでの間、家庭裁判所は本人の生活や財産を守るために「財産の管理者」を選任するなどの保全処分をすることができる。申立てによるほか、家庭裁判所の職権でもできる(家事事件手続法第126条第1項) 本人の財産の保全のため特に必要があるときは、後見開始の申立てをした人の申立てにより、「後見命令」を出すことができる。後見命令が出ると、本人がした財産上の行為(日用品の購入など日常生活に関する行為を除く)を取り消せるようになる(同条第2項・第7項) いずれも家庭裁判所の後見開始の手続きに付随する家事事件手続法上の制度で、民事保全法に基づく民事保全(仮差押え・仮処分)とは別の仕組み 成年後見の申立てをしても、審判が出るのは家庭裁判所での審理を経た後です。その間に本人の財産が失われるおそれがあるときは、どうすればよいのでしょうか。結論から言うと、家庭裁判所は、審判が効力を生じるまでの間に限って「審判前の保全処分」をすることができ、本人の財産を管理する人(財産の管理者)を選んだり、本人がした財産上の行為を取り消せるようにしたり(後見命令)することができます。本記事は、執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月11日 · ひぐらしさとし

訴えを取り下げるとどうなる?──相手の同意が必要になる場面と、もう一度訴えられなくなる場合

この記事の要点 訴えは、判決が確定するまでなら、全部でも一部でも取り下げることができる(民事訴訟法261条1項)。ただし、相手が請求の中身について準備書面を出したり口頭弁論をしたりした後は、相手の同意がなければ取下げの効力が生じない(同条2項) 取り下げた部分は「初めから裁判所にかかっていなかった」ものとみなされる。一方、本案について終局判決が出た後に取り下げた人は、同一の訴えを起こすことができなくなる(同法262条) 当事者が双方とも期日に出てこない状態が続くと、取下げをしていなくても取り下げたものとみなされることがある(同法263条) 訴え(裁判)を起こした側は、判決が出るまで手続きを続けなければならないわけではありません。民事訴訟法は、訴えは「判決が確定するまで」その全部または一部を取り下げることができると定めています(261条1項)。判決が言い渡された後でも、確定する前であれば取り下げることができる建てつけです。ただし、取下げにはいくつかのルールがあり、タイミングによっては相手の同意が必要になったり、あとで同じ訴えを起こせなくなったりします。 ...

2026年10月11日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第171回──虚偽表示と民法94条2項の類推適用/根抵当権/公正証書遺言と秘密証書遺言の方式/建物の表題登記の申請義務と申請人/分筆の登記の地積測量図と記録方法/筆界特定書と筆界特定手続記録/調査士の登録の申請・拒否・取消し/建物の表題部の記録方法

問題: 虚偽表示及び民法94条2項の類推適用に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものはいくつあるか。 ア. 甲が乙の承諾の下に乙名義で不動産を競落し、丙が善意で乙からこれを譲り受けた場合には、甲は、丙に対して、登記の欠缺を主張して当該不動産の所有権の取得を否定することはできない。 ...

2026年10月11日 · ひぐらしさとし

途中で入れ替えた取締役の任期はいつまで?──任期10年の会社で起きる「任期のずれ」と、そろえる定款の定め

この記事の要点 任期の途中で選ばれた取締役(増員・辞めた人の後任)の任期は、原則としてその人自身が選ばれた時から数えます(会社法332条1項)。前の人の任期の残りを引き継ぐわけではありません 定款で任期を10年にしている会社では、このずれが大きくなりやすく、取締役ごとに改選と登記の時期がばらばらになりがちです 定款や、選任する株主総会の決議で任期を短くすれば、ほかの取締役と満了の時期をそろえられます(会社法332条1項ただし書) 役員変更の登記は変更から2週間以内(会社法915条1項)。登録免許税は資本金1億円以下の会社で1件1万円です まずは自社の定款に「任期をそろえる定め」があるかと、各取締役が選ばれた時期を確かめましょう 結論からお伝えします。会社の取締役を任期の途中で増やしたり、辞めた人の代わりを選んだりした場合、新しく加わった取締役の任期は、ほかの取締役の任期の残りではなく、その人が選ばれた時から改めて数え始めます。 ...

2026年10月11日 · ひぐらしさとし

相続登記をオンラインで申請する──「かんたん登記・供託申請」と申請用総合ソフト、自分でやるならどちら?

この記事の要点 相続登記(相続による所有権の移転の登記)をオンラインで申請する道具は、パソコンにインストールして使う「申請用総合ソフト」です。ブラウザで使う「かんたん登記・供託申請」で申請できる不動産登記は、建物滅失の登記と登記名義人の表示変更の登記に限られています(2026年10月10日確認)。 戸籍の証明書は電子データでは発行されていないため、相続登記はオンラインだけでは完結しません。申請はオンラインで送り、戸籍などの紙の書類は「特例方式」で法務局に持参するか、書留郵便などで送ります。 紙の書類は、オンライン申請の受付の日から2日以内に法務局に届いている必要があります(初日は数えません。土日祝日が絡むときの数え方は本文で説明します)。 申請する人のマイナンバーカードの電子証明書、ICカードリーダライタ、申請者情報の登録とソフトのインストールが前提になります。 相続人が多い、数次相続がある、遺産分割の内容で迷っているといった場合は、オンラインか書面かを決める前に、お近くの司法書士にご相談ください。 相続登記をオンラインで申請したいとき、まず知っておきたいのは「どの道具を使うか」です。結論から言うと、相続登記の申請そのものは、法務省の登記・供託オンライン申請システムが提供する「申請用総合ソフト」を使います。ブラウザだけで使える「かんたん登記・供託申請」は、2026年10月10日に確認した時点では、相続登記の申請に対応していません。 ...

2026年10月11日 · ひぐらしさとし

「別段の定めがある場合を除き」「別段の意思を表示したときは」とは──条文の原則を変えられる「別段」の読み方【遺言・登記の条文で解説】

この記事の要点 条文の「別段」は「特に異なる、特別の」という意味で、条文が置いた原則を、別の決め方で置き換えてよいとあらかじめ認める受け皿の言い回しです。「法令に別段の定めがある場合を除き」なら法令の別の規定(同じ法律の他の条文や、別の法令)が、「定款に別段の定めがある場合を除き」なら会社の定款が、「遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う」なら遺言者の意思が、条文の原則より優先します 誰が原則を変えられるのかは、「別段」の直前に置かれた言葉(法令に/定款に/遺言者がその遺言に)で決まります。遺言の条文に多い「別段の意思」は、遺言者が遺言の中で表示した意思を指しています 民法91条は「別段」ではなく「異なる意思を表示したときは」という言い回しで、当事者の取り決めで変えられる規定(任意規定)の一般ルールを定めています。逆に、遺留分の侵害額の請求(民法1046条)や遺留分の放棄(1049条)の条文には受け皿がなく、侵害額をお金で請求できる仕組みや、相続開始前の放棄に家庭裁判所の許可を求める仕組みから、遺言者が一方的には変えられないと読み取れます 条文には、原則を書いたうえで、「別の決め方があればそちらに従う」という逃げ道をあらかじめ用意しているものがあります。その合図になるのが「別段」という言葉です。同じ項の中で例外を作るただし書や、別の条文を名指しして原則を上書きする「〜の規定にかかわらず」とは、少し役割が違います。遺言と登記の条文を例に、実際の文言で見ていきます(執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です)。 ...

2026年10月10日 · ひぐらしさとし

書面で登記を申請したら『受領証』はもらえる?──申請書を出した証拠を手元に残すしくみ

この記事の要点 書面で登記を申請した人は、登記が完了するまでの間、申請書と添付書面の「受領証」の交付を請求できる 受領証は、法務局が申請書類を受け付けたことを示すもので、登記が終わったことや、申請どおりに権利を取得したことを証明するものではない オンライン申請では受領証は交付されず、受付を含む処理状況は申請用総合ソフト上に掲示されると案内されている 登記の申請書を法務局に出すと、書類一式は法務局の手元に残ります。「出した証拠が何も残らないのでは」と心配になる方もいるかもしれません。結論から言えば、書面で申請した場合は、申請書と添付書面を受け付けたことの証明として「受領証」を請求できます。ただし、受領証が示すのは「受け付けた」ことまでで、「登記が終わった」ことではありません。 ...

2026年10月10日 · ひぐらしさとし