この記事の要点

  • 成年後見人になったら、まず本人の財産を調べて「財産目録」を作ることから始まる
  • 財産目録ができるまでの間は、急を要する行為を除き代理権の行使が制限される
  • その後は日常の財産管理を行いながら、家庭裁判所へ定期的に事務の状況を報告する

「成年後見人に選ばれたら、すぐに本人の財産を自由に動かせるのだろうか」——制度を調べ始めた方から、こうした疑問を伺うことがあります。実際には、就任後すぐに自由な財産管理が始まるわけではなく、まず財産を確定させる手続きを経てから、家庭裁判所の目が届く形で事務が続いていきます。本記事は、執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。

まず行うこと──財産の調査と目録の作成

成年後見人に選ばれると、まず本人がどのような財産を持っているかを調べ、「財産目録」を作成することになります(民法853条)。預貯金、不動産、有価証券など、本人名義の財産を洗い出して一覧にまとめる作業で、その後の財産管理すべての出発点になります。

目録ができるまでは権限が制限される

財産目録が整うまでの間、後見人が代理できるのは急を要する行為に限られ、通常の財産処分などは控える扱いになっています(民法854条)。目録が固まる前に財産が動いてしまうことを防ぐための仕組みです。

就任後は「財産管理」と「家裁への報告」が続く

目録作成後は、本人の生活費・医療費といった支出や、年金などの収入を管理する日常的な財産管理に移ります。それと並行して、家庭裁判所へ定期的に事務の状況を報告することになります。家庭裁判所はいつでも後見人に対し事務の報告や財産目録の提出を求め、状況を調査することができます(民法863条)。実務上は概ね1年に1回程度のペースで収支や財産の変動をまとめた報告を求められることが多いとされますが、頻度や書式は家庭裁判所や事案によって異なります。

法定後見の種類については法定後見の3類型『後見・保佐・補助』はどう違う?、後見人の権限の限界については成年後見人が『できないこと』とはもあわせてご覧ください。

制度改正の動きにご注意ください

本記事は現行の成年後見制度に基づく解説ですが、この制度は大きな改正が予定されています。令和8年(2026年)6月17日に「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)が成立し、同月24日に公布されました。この改正では、これまでの「後見・保佐・補助」の3類型を見直し、本人にとって必要な範囲で制度を利用できる仕組みへと改められる予定です。

もっとも、成年後見制度の見直しに関する部分の施行日は「公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、具体的な施行の時期は今後定められます(本記事執筆時点では未確定)。財産目録の作成や家庭裁判所への報告といった実務上の取扱いも、施行に向けて変わる可能性があります。実際に手続きを進める際は、その時点の最新の制度をご確認ください。

まとめ

成年後見人になった後は、まず財産の調査・目録作成を行い、その後は日常的な財産管理と家庭裁判所への定期的な報告という2つの柱で事務が続いていきます。実際にどのような書類が必要か、報告の頻度や内容がどう定まるかは、個々の事情や担当の家庭裁判所によって異なります。具体的な手続きについては、お近くの司法書士会や、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート等にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年07月・いずれも一次情報です)。

  • 民法 第853条(財産の調査及び目録の作成)
  • 民法 第854条(財産の目録の作成前の権限)
  • 民法 第863条(後見の事務の監督)
  • e-Gov法令検索: https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 法務省「『民法等の一部を改正する法律』(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」(令和8年法律第45号・令和8年6月24日公布): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00410.html

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