この記事の要点
- 後見監督人(こうけんかんとくにん)は、成年後見人がきちんと本人のために事務をしているかを見守るため、家庭裁判所が選任する人
- すべての後見に必ず付くわけではなく、家庭裁判所が「必要がある」と判断した場合に選任される
- 保佐・補助にも同様の仕組み(保佐監督人・補助監督人)があり、任意後見の「任意後見監督人」とは別の制度
「後見人が決まったのに、さらに『後見監督人』という人が出てきた」——後見の手続きを進める中で、こうした戸惑いの声を聞くことがあります。後見監督人は、後見人に代わって本人を支援する人ではなく、後見人の仕事ぶりをチェックする役割の人です。本記事は、執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。
後見人を「見守る」役割
成年後見人は、本人の財産管理や契約手続きを広く任される立場にあります。権限が大きいぶん、その事務が適切に行われているかを確認する仕組みも用意されており、その役目を担うのが後見監督人です(民法849条・851条)。後見監督人自身が本人の財産を管理したり契約を結んだりするわけではなく、あくまで後見人の事務を監督する立場です。
必ず選ばれるわけではない
後見監督人は、すべての後見事件に自動的に付くものではありません。家庭裁判所が「必要がある」と認めたときに、本人・その親族・後見人の請求、または家庭裁判所の職権によって選任されます。実務上は、本人の財産が多額であったり、親族間で意見が分かれていたりする場合などに選任される傾向がありますが、選ぶかどうかは個別の事情をふまえた家庭裁判所の判断によります。
主な仕事
後見監督人の主な職務は、後見人の事務を監督すること、後見人が欠けた場合に新しい後見人の選任を家庭裁判所に請求すること、急な事情があるときに必要な対応をとること、そして後見人と本人の利益が対立する場面で本人を代表することです(民法851条)。多くの場合、弁護士・司法書士等の専門職が選ばれます。後見人自身にどんな限界があるかは、成年後見人が『できないこと』とはもあわせてご覧ください。
保佐監督人・補助監督人、任意後見監督人との関係
法定後見の3類型(後見・保佐・補助)にあわせて、保佐には保佐監督人、補助には補助監督人という同様の仕組みがあります。また、自分で契約しておく「任意後見」にも任意後見監督人がいますが、こちらは家庭裁判所が任意後見監督人を選んだ時点で初めて任意後見の効力が生じるという、法定後見の後見監督人とは異なる役割を持ちます。詳しくは任意後見契約とはをご覧ください。
まとめ
後見監督人は、成年後見人の事務が適切に行われているかを見守るために家庭裁判所が選任する人で、すべての後見に必ず付くわけではありません。選任されるかどうか、どのようなケースで必要になるかは個別の事情によって異なります。制度の利用を具体的に検討される場合は、お住まいの地域の家庭裁判所や、成年後見に取り組む司法書士会、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート等にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年07月・いずれも一次情報です)。
- 民法 第849条(後見監督人の選任)・第851条(後見監督人の職務)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 任意後見契約に関する法律 第2条第1号(定義・任意後見監督人の選任時から効力発生)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000150