この記事の要点
- 本籍地がわからないときは、まず「本籍地の記載を希望した」住民票の写し(または除票)を取り寄せる
- 自分の本籍地は自分の住民票、亡くなった方の本籍地はその方の最後の住所地の住民票の除票からたどれる
- 除票の保存期間は延長されているが、古い除票はすでに廃棄されている場合もある
本文
戸籍を集めようとして最初につまずくのが、「そもそも本籍地がどこかわからない」という壁です。結論から言うと、本籍地を調べる最も確実な方法は、本籍地の記載を希望した住民票の写し(亡くなった方の場合は住民票の除票)を取り寄せることです。
住民票の写しには、通常は本籍地や筆頭者の氏名は記載されません。窓口や郵送で請求するときに「本籍地の記載を希望する」欄にチェックを入れて申請すると、本籍地入りの住民票が交付されます。この一枚があれば、自分がどこの市区町村に戸籍を置いているかがわかり、その市区町村の役場に戸籍謄本を請求できます。
相続の場面では、調べたいのは自分の本籍地ではなく、亡くなった方の本籍地であることがほとんどです。この場合は、亡くなった方の最後の住所地の市区町村役場で、「本籍地の記載ありの住民票の除票」を請求します。除票とは、亡くなったことなどにより住民登録が抹消された住民票のことで、本籍地の記載を希望して請求すれば、抹消される直前の本籍地を確認できます。
以前は除票の保存期間が5年と短く、古い相続では取得できないことがありましたが、住民基本台帳法施行令の改正(令和元年6月12日政令第26号)により、令和元年(2019年)6月20日から、保存期間は150年に延長されました(同令34条1項)。この改正には経過措置が置かれていて、施行日より前に消除された住民票の除票であっても、施行の時点で市区町村にまだ残っていたものは150年保存の対象になります。
ただし、施行より前にすでに5年の保存期間が満了して廃棄されてしまった除票は、もはや取得できません。その場合は、廃棄済みである旨の証明を役場から受け取ったうえで、他の方法(自宅に残る過去の戸籍謄本や戸籍の附票など)から本籍地の手がかりを探すことになります。
本籍地がわかったあとは、その市区町村の役場で戸籍謄本を請求します。相続で必要になるのは現在の戸籍だけではなく、亡くなった方が出生してから死亡するまでの戸籍を切れ目なくたどることです。その過程では、すでに閉じられた除籍謄本や、様式が変わる前の改製原戸籍にも行き当たります。本籍地さえわかれば、令和6年3月1日から始まった広域交付制度を使って、最寄りの窓口でまとめて請求できる場合もあります。
執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。
まとめ
本籍地がわからないときは、本籍地の記載を希望した住民票の写し(亡くなった方の場合は除票)を取り寄せるのが第一歩です。除票の保存期間は150年に延長されていますが、改正の施行前にすでに廃棄されたものは取得できません。本籍地が判明したあとの戸籍の集め方や、どこまでさかのぼる必要があるかで迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年8月・いずれも一次情報です)。
- 住民基本台帳法施行令 第34条第1項・附則(令和元年6月12日政令第26号)第2条第2項(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/342CO0000000292
- 戸籍法 第120条の2(広域交付)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html