この記事の要点

  • 筆頭者とは、戸籍の最初に記載される人のことで、その戸籍を特定するための「見出し(索引)」の役割を持ちます
  • 筆頭者が亡くなっても筆頭者は変わりません。戸籍から除かれた後も、見出しとしてそのまま使われ続けます(戸籍法9条)
  • 戸籍を請求するときは「本籍地+筆頭者の氏名」のセットで戸籍を特定します。相続の戸籍集めでは、この2つを押さえることが出発点になります

相続の手続きで戸籍を集めようとすると、請求書に「筆頭者」という欄があって手が止まる──よくあるつまずきです。結論からいうと、筆頭者とは戸籍のいちばん最初に記載されている人のことで、その戸籍を探し当てるための「見出し」にすぎません。世帯主のような役割でも、家族の代表でもありません。

戸籍法9条は、戸籍は「その筆頭に記載した者の氏名及び本籍」で表示する、と定めています。つまり戸籍は、住所ではなく「本籍地+筆頭者の氏名」の組み合わせをラベルにして管理されている、ということです。

戦前の「戸主」とは別もの──筆頭者に法律上の権限はない

筆頭者は「家の主(あるじ)」のようなものと誤解されがちですが、このイメージは戦前の戸籍にあった「戸主(こしゅ)」の記憶によるものです。旧民法の家制度では、戸主は家族の婚姻に同意するなど、家族に対する法律上の権限を持つ立場でした。

現在の筆頭者にそのような権限はありません。筆頭者は「この戸籍を何と呼ぶか」を決める見出しであって、筆頭者だからといって相続で有利になることも、家族を代表することもありません。

ただし、戸籍の手続きの面では、筆頭者とその配偶者は分籍(自分を筆頭者とする新しい戸籍を作ること)ができない、という扱いがあります(戸籍法21条1項ただし書)。これも家族に対する権限ではなく、戸籍の見出しにかかわる手続き上の決まりです。

亡くなっても筆頭者は変わらない

筆頭者が亡くなると、その人は戸籍から除かれます(除籍)。それでも筆頭者は変わりません。戸籍法9条は、筆頭者が「戸籍から除かれた後も、同様である」と明記しています。

理由は、筆頭者が見出しだからです。本の背表紙のタイトルが、著者が亡くなっても変わらないのと同じで、見出しが途中で入れ替わると戸籍を特定できなくなってしまいます。ですから、たとえば父が筆頭者の戸籍で父が亡くなった後も、その戸籍を請求するときの筆頭者は父のままです。

戸籍を請求するときの使い方

市区町村の窓口で戸籍を請求するとき、申請書には「本籍」と「筆頭者の氏名」を書く欄があります。この2つで請求したい戸籍を特定するのが実務の基本形です。

  • 婚姻している方の現在の戸籍は、多くの場合、婚姻のときに新しく作られたものです(戸籍法16条1項)。このとき筆頭者になるのは、婚姻後の氏(名字)を選んだ側──夫の氏を称する婚姻なら夫、妻の氏を称する婚姻なら妻です(戸籍法14条1項)
  • 亡くなった親の戸籍を請求する場合、筆頭者は多くの場合、父または母(婚姻のとき氏を選んだ側)です
  • 本籍地や筆頭者がわからないときは、本籍・筆頭者の記載入りの住民票を取ると確認できます。調べ方の詳細は「本籍地がわからないときの調べ方」で解説しています

なお、執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

筆頭者とは、戸籍の最初に記載される「見出し」役の人で、法律上の権限はなく、亡くなっても変わりません。戸籍は「本籍地+筆頭者の氏名」のセットで特定するため、相続の戸籍集めでは、まず亡くなった方の本籍地と筆頭者を押さえることが出発点になります。戸籍をどこまで集めればよいか迷ったら、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年8月)。

※ 次の資料は一次情報ではなく、内容の照合に用いた参考資料です。

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